門司亮の発言 (本会議)

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○門司亮君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されておりまする佐藤内閣不信任案に対して、若干の理由を申し述べて賛成の意を表するものでございます。(拍手)
 私がその理由を申し上げます前に、先ほどこの不信任案に対して自民党を代表して江崎君から反対の理由が申し述べられたのでございますが、その中で私どもが看過することのできない問題は、内閣の不信任案は、政権を担当する資格のある政党においてこそ初めてなし得るものであるという暴言でございます。民主主義の政治の道程の中で最も重要なものは、政治に対する絶えざる反省と改革でなければなりません。(拍手)この思い上がった言論は、明らかに反省を求めない、改革を求めない、多数にあぐらをかいた独善的思想であるといわなければなりません。(拍手)私は、この一事は民主政治を行なう上においてきわめて危険な思想と申し上げなければならないと存ずるのでございます。(拍手)
 佐藤内閣は、先ほども話のございましたように、一年有半を過ぎておりまするが、いまだ総選挙による国民の信頼を問うていないのでございます。民主主義の政治は、主権者である国民の信頼によってのみ初めて成立するものであると申し上げなければなりません。しかるに、その国民に対し何ら信任を問わない内閣の今日の居すわりというものは、およそ民主主義のルールに反するものであると申し上げましても決して私は過言でないと存ずるのでございます。(拍手)
 民主主義の東洋における父といわれておりまする孫文は、一九一四年の中国第一革命の際に、民意によって国興り、民意にさからえば国滅ぶという有名な詩を残しておることは皆さんも御存じと思います。民主主義の政治が、あくまでも民意によらなければならないものであるとするならば、佐藤内閣はいさぎよく退陣をして、民意にそのよりどころを問うという謙虚な態度を、私は要求しなければならないと存ずるのでございます。(拍手)
 同時に、こうした関係の中にあって、今日まで佐藤内閣がとってまいりましたこの姿勢自体に対する問題が一つと、さらに次に考えられなければなりませんことは、国民生活に直結したわが国経済の問題に対して、ほんとうに佐藤さんは責任をとられたかどうかということについては、国民のきびしい批判がなければならないかと存ずるのでございます。
 内閣が今日までとってまいりました経済政策に対しては、池田さんのあの不幸な事実のあとに、その池田さんがとってまいりました高度成長政策のひずみを直して、そうして国民の所得の格差の非常にはなはだしい今日の農村、中小企業あるいは労働者の生活というものが、ゆがめられた高度成長政策から、ややこれが均衡化して、国民生活が安定するものであるかのごとき、国民は佐藤内閣に十分なる期待を持っておったことも、またいなめない事実ではないかと私は考える。しかるに、その後の佐藤内閣の経済政策は、この池田内閣の高度成長政策、これを是正するというのでなくして、言いかえまするならば、むしろこれに拍車をかけた経済政策が、大企業を中心とする財政投融資であり、その結果は多くの中小企業の破産、倒産が雄弁に物語っており、農村における離農者の数がだんだんふえて、今日わが国の食糧政策さえ危機に瀕しておるといわれるような状態をかもし出したことは、明らかに佐藤内閣の財政政策の失敗であるといわなければなりません。(拍手)
 しかも、このことについて佐藤さんはどう言われておりますか。三十九年の六月二十八日の朝日新聞を、いまここで思い起こしてまいりまするならば、このいわゆる総裁選挙に対する抱負の中で、佐藤さんはこう申されております。「大企業と中小企業の生産量は五対四ぐらいだが、投資額は四対一だ。これなど、思い切った中小企業の世話をするのが愛情ある政治だ。物価の値上がりは経済の拡大のためには当然だとか、中小企業の倒産は放漫経営のせいなどと政府は説明しているが、物価が値上りする前にどうして対策を講じないのか。また、倒産しないうちに、どうしてあたたかい気持でこれを救おうとしないのか。これが本質的な問題だ。」と言われておるのでございます。これは佐藤さんが、総裁選挙のときに言われたことばでございます。私は、佐藤さんは、よもやこのおことばをお忘れになったとは考えません。ところが、その後の佐藤さんの政策は、これと全くうらはらで現実の姿があらわれてきておるということは、諸君も御承知のとおりであります。(拍手)私は、この一つの事実を見てまいりましても、佐藤さんは、国民に対して大きな食言をされておる。その食言は、国民の期待と希望を大きく裏切るものであるといわなければなりません。私は、佐藤内閣は、こうした問題に対して当然責任を負って、ひとつ退陣をしていただきたいということでございます。
 その結果は、それなら一体どうなっておるか。今日物価の上昇は、もうすでに私どもが申し上げるまでもなく、日々高騰を来たしておって、しかも公共料金は、長い間の政府の抑制政策から、この抑制がとうとうきかなくなって、いやおうなしに公共料金を上げなければならない段階に差し迫っておる。また、そういう事実が行なわれておる。と同時に、今日のわが国の中小企業の倒産の率というものは、史上最大の倒産の状態をかもし出しておることは、御承知のとおりであります。一体、佐藤内閣は、大企業がかわいいのか、あるいはすべての国民がかわいいのか、私は、政治の要諦は、あくまでも、佐藤さんがしばしば言われておりまする国民生活の安定でなければならない。その国民生活の安定が忘れられて指向されておりまする現在佐藤内閣は、国民に対しましても当然責任を負って、退陣されることが、私は、民主主義の政治の上では、これをいなむことはできないものだと考えるのでございます。
 さらに、こうした問題を中心にして、今日の国内情勢は一体それならどうなっておるか。非行少年が非常に多い、あるいは交通禍による災害は非常に大きくのぼっておる、至るところに犯罪のはんらんと不正の事実が暴露されつつありまする今日の状態は、全く政治の中に国民不在と申し上げましても、私は決して過言ではないと考えておる。(拍手)思想的に申し上げてまいりましても、現実的に申し上げてまいりましても、日本の将来は一体どこに持っていくのか、私は、こういうことを考えてまいりまするときに、一日もすみやかに佐藤内閣の退陣を要求するということが国民の声であり、また国民の要望であると申し上げても差しつかえないと存ずるのでございます。(拍手)
 さらにまた、私どもはもう一つの問題として佐藤内閣に要求いたしたいと思いますことは、経済の行き詰まりからくる国民生活の破綻と、政策の食い違いであります。すなわち、従来保守党がとってまいりました絶対健全政策、国の予算の九五%ないし九八%までは租税でまかなうという超均衡国家予算がついに破れて、数千億の国債を発行しなければならない段階に差し迫ったことは、木四十一年度の予算が明確にこれを物語っておりましょう。七千三百億のこの公債は何であるか。この公債は、いまの佐藤さんがこれの支払いをすることは困難でございましょう。また、お互い同僚が、この借金を支払うまでここにいられるかどうか。考えなければならないことは、公債というものは、後世の住民に対し、その負担と義務をしいるものであるということを政治家はよく知らなければならないのでございます。(拍手)安易な経済政策によって借金を残していくことは、われわれの子孫に対し負債を残していくことであって、健全なる経済政策ではあり得ないということを十分われわれは知らなければならないのでございます。公債政策を佐藤さんはおとりになっておりまするが、この政策は、従来から保守党がとってまいりました超健全な均衡財政にまっこうから反対する政策であるといたしまするならば、この公債政策をおとりになるについても、その信を国民に問われる必要があったということは、申し上げても決して差しつかえはないかと存ずるのでございます。(拍手)
 こういうことで、国内における今日の経済政策は、どこから申し上げてまいりましても、結局は佐藤さんの退陣を要求するたくさんの要素があるということを、謙虚に反省をしていただきたい。
 さらに私は、外交の問題にいたしましてもいろいろ問題はございますが、すでに提案者あるいは赤松議員等からいろいろ申し上げられておりまするので、省略して、できるだけ簡単に申し上げようと思いまするが、第一の問題は、わが国の自主、性でございます。
 佐藤内閣は、安保条約のさらに無条件の継続を意図されておるやにわれわれは聞いておりまするが、このことは一体何を物語るか。そもそも、他国の軍隊によってその国が守られ、他国の軍隊によってみずからの安易な道を歩こうとするものの考え方は、いやおうなしにその国に隷属する心理状態をかもし出すものであるということを、お互いは知らなければならないのでございます。(拍手)今日、米国従属の外交と悪口をいわれております原因はここにあるのである。私は、少なくとも今日の情勢において、安保条約をそのまま継続するというようなことでなぐ、米軍の駐留を排除し、しこうしてわが国の健全なる憲法を守っていくという、真に佐藤さんがしばしば言われておりまする平和に徹する政策を、今日要求しなければなりません。
 ことに私が遺憾に考えておりますることは、沖縄の状態である。沖縄は、百万の日本民族であります。この沖縄は、あの大東亜戦争中において軍靴にじゅうりんせられて、無棄の住民十数万の人間があの戦禍を受けた。この沖縄に対し、戦後二十年、いまだ異民族の支配に呻吟しておる沖縄同胞のことを諸君はどうして考えないか。(拍手)一国の消長は民族の消長である。その民族の、百万の民族が異国の支配を受けながら今日呻吟しているこの事実に対し、何ら解決する方策の具体的事実を示さない佐藤内閣こそ、国民の名において、民族の名において、われわれは退陣を要求せざるを得ないのでございます。(拍手)
 さらに私は、こうした問題の中にあって、今日の世界の情勢をながめてまいりまするときに、ベトナムを中心とするアジアの戦雲はきわめて急を告げておる。しかもこのアジアの戦雲が、いつ世界の動乱に転化しないとは限らないのである。いまこそアジアの民族は、いまこそアジアの諸国は、このベトナムの平和解決に最大の努力をいたさなければなりません。常日ごろ、アジアの大国であり、アジアの先進国であり、アジアの兄貴分であるかのごとき言辞を弄しておりまする佐藤内閣は、いまこそほんとうに、真剣にベトナム問題の解決に取り組むということが、佐藤さんの唱えられる平和に徹する問題でないかと私は痛感するものでございます。(拍手)
 こうした問題に対し、佐藤内閣が今日までとってまいりましたことは、一面わが国をして再び戦争に巻き込まれるというような危険性を国民に与えながら、内政問題に対しては、国民生活の不安は、国民不在の政治であるというような、政治と国民とが離れるというようなことこそ、ほんとうに政治の課題といたしましては、きわめて重大な問題といわなければなりません。
 与えられた時間もございますので、これ以上申し上げることはいかがかと思いますが、われわれは、少なくとも今日の時点において、佐藤内閣の退陣こそ、わが国の政治の安定と、国民生活の安定と、さらに世界の平和に寄与するものであるということをここに申し上げて、この不信任案に賛成の意を表する次第でございます。(拍手)

発言情報

speech_id: 105105254X05119660514_012

発言者: 門司亮

speaker_id: 34525

日付: 1966-05-14

院: 衆議院

会議名: 本会議