堀昌雄の発言 (本会議)
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○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表して、今回提案されました政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、総理大臣及び各大臣に質問をいたします。
ただいま総理大臣も話しておりましたように、現在の日本の政治の情勢というものは、必ずしも国民が信頼をしておるところになっておらないのであります。日本国憲法は、その前文において、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と、こう書き出しておるのであります。一体、正当に選挙された代表者とはどういうものでありましょうか。これは少なくとも現在の公職選挙法の定めを守って、法律の定めた範囲内における選挙を行なっておる者が、すなわち正当に選挙された国民の代表であることに間違いはありません。(拍手)現在公職選挙法第二百四十七条では、「出納責任者が、第百九十六条《選挙運動に関する支出金額の制限額の告示》の規定により告示された額を超えて選挙運動に関する支出をし又はさせたときは、三年以下の禁錮又は五千円以上五万円以下の罰金に処する。」このように明らかに規定されておるのであります。
ところで、今度の総選挙についての資料はありませんから、前回の三十回総選挙、三十八年の資料について調べてみますと、三十八年の総選挙において、自由民主党は、公認料として六億三千八百万円を支出しておるのであります。三百三十四件でありまして、一件当たりは約百九十一万円であります。さらに、貸し付け金として二億九千六百四十万円、二百八十件で、一件当たり約百六万円、一人の候補者に対して二百九十六万円を公然と支出しておるのであります。ところが、前回の総選挙の法定選挙費用は、全国平均二百万円でありますから、自由民主党は、すでにこの選挙にあたって法定選挙費用を上回るものを公認料として与え、あるいは貸し付けておるというのが、この前の総選挙の実態であります。(拍手)
さらに、三十八年の政治資金の規正について、自由民主党に寄付された金額で官報に告示されておりますものは、三十八年の上期が十二億九千三百万円、総選挙のあった下期は四十億九千万円であります。同じく、国民協会に対して寄付されたものは、上期五億四千万円、下期十八億九千五百万円、合わせて——自民党と国民協会の中で、国民協会から自民党への献金がありますから、これを純計して計算をいたしますならば、上期が十二億八千六百万円、下期が四十八億四千万円というのが、自民党及び国民協会への昭和三十八年の献金であります。さらに、自民党の派閥に対して行なわれた献金の総額は、上期に五億一千八百万円、下期に三十億一千五百万円でありまして、この金額は、年間九十六億五千九百万円に達しているのであります。昭和三十八年の総選挙にあたって自由民主党の諸君の使用した金額がこれらの総計であります。下期の七十八億五千五百万円を、当時の自民党の候補者三百五十九名で割り算をしてみるならば、一人当たりが二千百八十八万円、下期だけに使ったことになっておるのであります。はたして皆さん、これで正当な代表といえるでありましょうか。(拍手)
私たちは、このような巨額な政治資金が湯水のように使われておるところに——総理大臣が、昨年の十月二十日に言っておられるように、所信表明の中で明らかにしておられるように、「私は、今後一大決心を持って、積年の病弊を根絶するため、積極的かつ具体的な措置を講じていく決意であります。これが、いま私に与えられた国家国民に対する義務であると信じております。」と、こう言っておるのであります。私たちは、このような問題の背景になっておるところの政治献金の実態について、企業側の問題について触れておかなければなりません。
昭和三十八年における大口献金の会社名と金額を参考までに申し上げますと、一番大きいのは日本水産四千八百八十万円、二番目が出光興産三千四百八十五万円、三番目が東海ガス三千六十万円、四番目、大日本精糖二千七百七十万円、五番目、日魯漁業二千七百十万円、六番目、丸紅飯田二千六百三十五万円、大洋漁業が七番目で二千二百六十一万円、北海道炭磯二千百七十万円、前田建設千九百九十万円、台湾製糖千九百八十万円、これらが主たるものでありますが、かつて政治資金規正で問題になった八幡製鉄は、十九位で千五百六十一万円を献金しているのであります。
さらに、四十年において、会社以外の団体はいかなる形で自由民主党や国民協会に寄付しておるかというと、石油連盟が三千九百八十万円、鉄鋼連盟の名で四千八百三十五万円、自動車工業会が四千五百万円、電気事業連合会が五千万円、東京銀行協会が六千五百万円、化学繊維協会が二千五百万円と、膨大な金額が四十年に国民協会に献金をされておるのであります。
私たちは、これらの問題が当然国民の批判を買い、今日の政治資金規正強化の声となったのは当然のことでありまして、先ほどのような世論の圧迫などという理解は、国民の側からすれば、まことに迷惑千万といわなければなりません。(拍手)
そこで、総理大臣にお伺いをいたします。
審議会はその答申の中で、「政党は、できるだけすみやかに近代化、組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金と党費によりその運営を行なうものとし、当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきものと考える。」こう答申をしておるのであります。あなたは政党の総裁として、この答申で述べられておるところの、すみやかに近代化、組織化をはかるために、五年間で現在の団体の寄付を党費及び個人献金に切りかえるための努力をここで明らかにすることができるのかどうか、はっきりお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)
二番目は、六月八日のこの本会議におきまして、同僚の島上代議士の質問に答えて、「小骨一本も抜くようなことはございません」と、はっきり申されておるわけでございます。以下私が申し上げることは、一体それでは何に当たるのか、大骨に当たるのか、筋肉に当たるのか、いずれかをひとつお答え願いたいと思うのであります。(拍手)
今度の「特定会社等の寄附の禁止」の項目では、「国と特別の関係にある次に掲げる会社その他の法人は、政治資金の寄附をしてはならない」と、はっきり答申をしておるのであります。ところが、先ほども自治大臣の趣旨説明にありましたように、国に関するものは地方には自由だ、こういう理解は審議会の答申にはないわけであります。これが第一点。
第二点は、「国または公共企業体と請負契約の当事者であるものおよび特定の政府関係金融機関から融資を受けているものは、上記の金額のおおむね二分の一に相当する額を超えて寄附してはならないものとすること。」と、こうあるわけであります。これに対して、十分の一というワクを設けて、その大部分をこれから開放しようとしておるのは一体どういうわけでありますか。その次に、公職選挙法の部分で「公職の候補者等の寄附の禁止」という項目について、答申は「候補者、候補者となろうとする者および候補者等に係る後援団体等は、当該選挙区内にある者に対し、寄附をしてはならないものとすること。」と明らかになっておるのであります。上記の場合において例外は、「親族または政党その他の政治団体もしくは候補者等に対して寄附する場合は、この眠りではない」と、こうなっておるのでありますけれども、これについても重大な変更を与えておるのでありまして、特に後援会への寄付については完全に骨抜きにしておるではありませんか。
さらに、私は、非常に重大な問題であると考えておりますのは、答申の中で、「政治資金に係る課税については、たとえば個人の受けた寄附に対する課税、個人のした寄附についての優遇措置その他その合理化を検討するものとする」とあるのであります。ところが、今回の場合は、個人の受けた寄付については何ら触れることなく、会社、法人については、現在すでに税制上の恩典があるにもかかわらず、別ワクとして全額損金に算入させることを提案しているのであります。
これは、皆さん、国民の側からすれば、政治家は、自分たちが受け取る金は、自分たちに不利益であるから、これは横へどけておいて、自分たちに有利な会社の献金に対してだけ優遇の道を開こうとすると、こう理解をするのは当然であります。今回のこの提案が国民の信頼にこたえるというのであれば、このようなやり方は、国民の期待を裏切るだけではなく、この考え方は、審議会の答申が団体から個人へと政治献金のシフトを考えておるにもかかわらず、逆に団体、法人、会社の寄付を奨励する形をとっておることは、何としても審議会の答申を完全に裏切っておるものといわなければならないのでありまして、これは骨抜きなんというものではないのであります。(拍手)
さらに、もっと重要な問題の一つは、政治資金に関する部分の施行は、すべて政令の定める日からということにして、おる点であります。御承知のように、いま総理も答えられましたけれども、今度の答申は「緊急に措置することを要する事項」として答申をしているのでありますから、その実施については、少なくとも時期を明らかにするのは政府の責任であります。にもかかわらず、審議会が緊急に措置すべき事項としておるものを、何ら日限をきめることなく提案しておるということは、これまた審議会の答申に完全に反するものでありまして、この点については、もはや骨抜きの問題以上の問題であるわけであります。
この問題について総理にお伺いをしておかなければならないのは、一体、総理は、この問題について、いつからこの問題の実施をする考えでおられるのか。審議会の答申を尊重するのならば、明らかに日時を示していただきたいと思うのであります。
さらに、四十二年五月四日の参議院において、総理はこのように言っておられるのであります。わが同僚の占部議員の質問に対し、「今日国民から私どもに対する期待というか、政界の浄化、政治資金規正の問題は国民の至上命令だと、かように実は考えておりますので、あらゆる善処をはかるつもりでございます。私自身総理であり、同時に総裁ですから、今日法律案を出すことは政府の責任だと、かように考えておりますので、万障を克服して、国会で御審議をいただくだけではなく、ぜひとも成立を期する、こういう覚悟でいるわけであります。」こうあなたは申しておられるのであります。さらに、テレビを見ておりましたらば、この間の十三日の閣議のときに、あなたは、会期中に成立を期するということを申されたと、木村官房副長官はテレビで国民の前に明らかにしておるわけであります。
総理は、総理として、さらに総裁として、この国会の会期中に必ず答申の線で成立をさせることを国民の前に重ねて確約してもらいたいのであります。(拍手)
これらの問題について、特に総理にお伺いした問題について、答弁が不明確な場合には、再質問を留保さしていただきたいと思うのであります。
次に、労働大臣にお伺いをいたします。
労働基準法二十四条は「労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」と、こうなっているのであります。この法律に盛られておるあっせんの規制というのは、労働組合があっせんすることがあったとかりにいたしましても、そのあっせんによって寄付をすると約束した者のその寄付金を、チェックオフによって取ることが一体どこが悪いのでありましょうか。この現在の労働基準法二十四条との関係において、私は、今回の政治資金規正法の中での取り扱いは、この基準法の精神を踏みにじるものだと考えるのでありますけれども、労働大臣のお答えをいただきたいのであります。
その次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。
先ほどの法人税の損金算入の例でありますけれども、現在すでに、資本金の千分の二・五及び収入の百分の二・五の二分の一は税法上明らかに寄付が認められて、損金として認められておるのであります。これが昭和四十年には三百億円に達しているのでありまして、百億円以上の会社百十二社について見ますならば、合計九十四億二千四百万円が、この寄付金の法令によって損金に算入されておるのであります。このように多額のものが、現在すでに政治資金を含めて損金に算入されておるにもかかわらず、新たにその全額を政党に対するものについては損金として認めるというのは、一体これは税の公平の原則から見てもおかしいのではないか。すでにそれだけが認められておるのにやるということは、税の立場から考えても、私は納得ができないのであります。さらに、個人の受けた寄付の課税について、一体どういう処置をしようとするのか、大蔵大臣の見解をお伺いいたしたいのであります。
最後に、法務大臣にお伺いをいたします。
法治国では、法律は守られなければなりません。ところが、公選法二百四十七条によって、過去十年間に出納責任者が起訴をされたり処分をされた例を、私は寡聞にして聞いておりません。一体、処分をされた者があるのかどうか。このような法律があって、明らかに選挙違反等で、多額の選挙費用を使ったことが明らかになっておる者すらも、この条項に該当して起訴されていないということであれば、選挙に関する法律は、きわめてルーズな適用しか受けていないということになるのではないでしょうか。小さなものに対してはきびしく、肝心なところだけが抜けているというような、そのような取り扱いでは、今度の政治資金規正についてのいろいろな罰則の取り扱いについても、ほとんど期待をすることができないのではないかと、国民は心配をするであろうと思うのであります。この点について、政治家の立場からも、われわれはそのような誤解を一掃するために、法務大臣としてのき然たる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕