大野潔の発言 (本会議)
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○大野潔君 私は、公明党を代表いたしまして、今回提出されました政治資金規正法に関し、総理並びに関係大臣に、特に重要な点にしぼって質問をいたします。
政治資金の規正について、公明党は、政界浄化の立場から、過去数回にわたり改正案を提案してまいりましたが、そのつど目ざすところは達成できず今日に至りましたことは、はなはだ残念なことであります。しかし、この問題は、いまや全国民の世論となって、すみやかに政治資金を規正せよとの声が日増しに激しくなっているのであります。公明党が主張する政治資金の理想像は、個人の献金に限れ、会社、団体からの政治献金を禁止せよでございます。この主張は、選挙制度審議会の第一次、第二次の答申でさえそれを認めている政治献金本来の姿でございます。今日のように国民の中に根強い政治不信を植えつけたのは何か、それは、政治と金のきたないつながりであります。政党と特定会社、特定団体との黒い霧にほかならなかったのでございます。特に今特別国会は、黒い霧解散による出直しの国会であり、国民の最も期待するところは、政治姿勢を正すべしということであり、この期待にこたえる道は、いかにきびしくとも、政治資金規正の実をあげることに徹すべきであると思うのでございます。(拍手)
答申は、このような政治献金本来のあり方、すなわち、個人献金に限るべしとの理想を実現を五年後に譲り、とりあえず実行可能な事項を緊急に成立させるべきであるとの趣旨でなされたのであります。しかるに、今回提出されました政府案は、このような答申の内容よりはるかに後退したものであることは、まことに残念なことでございます。ここに私どもが不満とする諸点について、総理並びに関係大臣の所信をただしたいのでございます。
まず第一に、施行日を政令に委任した問題は、最も理解に苦しむ点でございます。
答申は、当面緊急を要する措置として、早期実現を強く求めております。同じく世論も、一日も早く政治資金の規正実現を強く期待しております。その肝心な施行期日を政令にゆだねんとする意図はどこにあるのか。党利党略に終始して大局を見誤っているのか。それとも、その根底に根強い小選挙区制の野望をひそめ、両輪論の実現をねらっているのではないか。自治大臣のいうところの、準備や徹底に時間を要するという言いわけは、政令委任の絶対的な理由としては、どうしても納得できないのでございます。
昨年、公選法を改正し、永久選挙人名簿を作成した際は、わずかの期間で七千万有権者に対して強行をはかったことを思うならば、きわめて容易に施行が可能である。しかも、当局の自治省も、十分徹底できる期間を見込み、自信を持って、四十三年一月一日施行、そのように原案に出したものを、なぜ政令委任と不明確にしてしまったのか、総理の明確な答弁を求める次第でございます。
第二の点は、罰則について伺います。
乱脈をきわめた政治資金の姿勢を正すためには、違法行為に対して罰則の強化をすべきは当然であります。献金は善意のものであり、罰則をきびしくするのはおかしいなどとの論もあるようであります。その善意の名のもとに、それを利用し、無用し、国民のひんしゅくをかった事例こそ、共和製糖であり、昭和電工であり、保全経済会等々の汚職事件であり、国民の政治不信のもととなったのであります。したがって、世論にこたえるためにも、厳格な罰則を付するのは当然でありましょう。それにもかかわらず、本法案の罰則が、公選法の罰則に比してあまりにも軽きに失するのはいかなる考えによったものか、法務大臣並びに自治大臣にお答えをお願いいたします。
一方、罰則があっても、違反の事実を確認するための監査機関を設けなければ、規制自体何ら実をあげることはできないのでございます。監査機関なくして、いかにその違反を取り締まり、公平を保つ所存なのか、総理並びに自治大臣の明快なお答えをお願いする次第でございます。
第三に、法人の寄付に税制上破格の優遇措置を設けたことについて、大蔵大臣の所信を伺いたい。
答申には、法人の寄付に対する税制上の優遇措置は全くないのでございます。本来この法律は、会社でも個人でも多額の献金は好ましくないとし、規制を設けたものでございます。さらに、献金は個人を原則とし、現状やむなしとの立場より法人の献金を認めたものでございます。税の優遇措置をとることは、この法律の精神を曲げるものでございます。
大蔵大臣は、当初、子弟の教育費に対する免税措置もとれない現在、法人寄付の減税はしない、このように強調していながら、なぜ大幅な譲歩をしなければならなかったか、その理由を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
最後に、規正法成立への総理の決意をお伺いいたします。
第五次選挙制度審議会より答申が出された四月七日以来政府のとってきた態度は、はたして、国民の前に政治の姿勢を正す誠意としての本案成立をまじめにお考えでございましょうか。これについて、去る五月四日の予算委員会において、総理は次のように言明されたはずでございます。すなわち、「政界浄化、政治資金問題は国民の至上命令であり、あらゆる善処をはかる。与党内にも異論があるというが、私自身総理であり、同時に総裁ですから、万障を克服して、国会で審議を願い、成立を期する覚悟である。」このことばは、廃案ムードの中にあって国民は一条の希望の光として期待をいたしております。
ここで総理にお伺いをいたしたい。
一、この総理の発言から見て、国民の至上命令たるこの政治資金規正法の改正案を本国会における最重要法案とお認めになっているかどうか。
二、総理は、かまぼこ論や骨抜き、とげつき、実施抜きと公然といわれている廃案ムードしきりの中で、あくまでも法案を今国会において成立させることに現在なお強く決意されておられるかどうか。
三、成立させるためには、もはや旬日を残すのみとなった現在、物理的にも会期中の成立は困難と見なければなりません。もちろん、提案がおくれた政府の責任はあくまでも重大でありますが、国民の期待に沿い得るためには、党利党略を捨てて、どのようなスケジュールによって成立を期されようとするのか、しっかりとお示し願いたいと思うのでございます。
四、また、予算委員会の発言の中にもありましたが、総理は、自民党の総裁として党内の異論を押え、本案件の審議促進と成立についていかなる方策をもって臨まれるのか、以上の点を明らかにしていただきたいのでございます。
いまわれわれは、与野党を問わず、国民の前に、国会の権威いまだ失墜せずとの厳然たる姿をもってこたえるためにも、また、政治の姿勢を正すための本特別国会の使命を全うするためにも、国民の納得のいく政治資金規正法の成立を心から望んで、質問を終わるものでございます。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕