岡田宗司の発言 (本会議)

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○岡田宗司君 私は、日本社会党を代表して、わが国の外交に関する若干の問題につきまして、総理並びに外務大臣に対し、その所信をただそうとするものであります。
 去る二十三、二十五、両日、アメリカのグラスボロにおきまして、前後十時間にわたる米ソ両国首脳の会談が行なわれたのであります。この会談において論議された中東戦争、核拡散防止協定、核軍縮、ベトナム戦争等の問題の具体的な解決に到達するには至らなかったのでありますが、ベトナム戦争、中東戦争によって断ち切られたかと思われた平和共存路線が、ともかく両国首脳の努力によりまして維持され、さらに切り開かれていく見通しが与えられたことは、全世界のほとんどの国及び国民の愁眉を開かせたのであります。全世界の戦争と平和の問題について、最も大きな影響力と、かつ、責任を持つ米ソ両大国が、平和共存路線を再確認したことを、われわれは、もろ手をあげて歓迎するものでありますが、この最近の世界外交上の重大なできごとに対して、総理はこれをいかに評価されるか、まず、それを伺いたいのであります。
 さて、この両国首脳による平和共存路線の再確認は、中東問題の解決、核拡散防止協定の成立への見通しを明るくするものであり、ベトナム問題の解決にも一るの曙光を感ぜしめるものがあるのであります。そして、世界各国の外交姿勢、もちろん、米ソ両国の間にあって、両国の関係の変化に直接間接影響を受けるわが日本の外交姿勢に、微妙な変化をもたらすものと言わなければなりません。そして、この会談を行なった米ソ両首脳の真意、その後の両国の動き、国際関係の変化等を正しく把握することは、日本にとりましても、また今日必須のことであります。総理は、この秋アメリカを訪れ、ジョンソン大統領と会談して、その真意を確かめ得る機会を与えられているのでありますが、それとともに、コスイギン・ソ連首相とも会談して、ソ連側の意向を確かめることも、またそれに劣らず、重要ではないでしょうか。ソ連はすでに、佐藤総理の訪ソを歓迎する旨を数回申し入れてきているのであります。総理はこの際、これを受諾し、訪米と前後して訪ソを実現してはいかがでございましょうか。幸いに、七月には、三木外務大臣が日ソ定期協議のためにモスクワにおもむかれるのでありますが、その際、佐藤・コスイギン会談の実現のため、取りきめをするつもりがあるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。しかも、これは多くの問題をはらみ、悪評高い南ベトナム訪問を含む東南アジア訪問より前に行なわれることが適当であると思うのであります。両国首脳とひざ突き合わせて会談し、その真意を把握して後、東南アジア諸国を歴訪しても決しておそくはないのでございます。
 ところで、総理は、今秋予定されている東南アジア歴訪のうちに、南ベトナムの訪問を加えておられるのでありますが、これに対して、多くの批判、反対の声が国内にあがっているのでございます。総理、外務大臣は、これに対し、「儀礼的訪問である」、「一国だけ抜くことはおかしい」、「平和的解決への道を探求するためである」、あるいは、「この訪問によって日本の対ベトナム政策が変更されることはない」等々と、弁明にこれつとめておられるのでございますが、決して、この批判、反対を納得させることはできず、政府がやっきになればなるほど、一そう疑念を深めるばかりなのであります。それは、儀礼以上のものであり、平和的解決への道を開くどころか、南ベトナム政府の戦争行為を鼓舞することになり、日本のベトナム政策の転換を公に示す儀式になるものと思われるのであります。政府は、日本国民の間に、広く、かつ根深いベトナム戦争反対の空気があることを考慮して、「グエン・カオ・キ首相の訪日を再三にわたって断わる」、「経済援助の要請に応じない」、「南ベトナム援助のためのマニラ会議に参加しない」等々と、従来、ベトナム戦争に対して、他のアジア太平洋諸国に比べて、比較的消極的態度をとってきたのであります。
 ベトナム戦争の進展につれて、アメリカは、アジア太平洋において軍事同盟を結んでいる国々に、次から次へと働きかけて、あるいはベトナムに出兵させ、あるいは他の方法による積極的援助をやらせて、ベトナム戦争をアメリカひとりの戦争ではなく、アジア太平洋における いわゆる自由主義国の共通の戦争、反共の国際戦争に仕上げていったのであります。アメリカと軍事同盟を結んでいる日本を、この戦列に参加させることを陰に陽に口説き、あるいは圧力を加えてきたのでございますが、総理の南ベトナム訪問の決定は、単に南ベトナムからの要請によるものではなく、アメリカの強い要請によるものであることは否定できないところでありましょう。総理の南ベトナム訪問は、やがて南ベトナム大統領の日本訪問を招くでありましょう。そして、民主安定に名をかる南ベトナムに対する経済援助、技術援助は、直接間接、南ベトナムの戦争政策を鼓舞することになるのであります。これは、ベトナム戦争に中立的立場をとるとか、戦争の早期終結のために努力するとか、平和への道を探るとかいうこととは、全くつながらないのでありまして、総理の南ベトナム訪問の決定は、たとえ、あなた方が何と強弁しましょうと、日本の対ベトナム政策の変更をシンボライズしたものにほかならないことを隠すことはできないのであります。政府は、アメリカの要請にこたえて、その政策を変更し直接の軍事援助をしないまでも、南ベトナムに力をかすことに変更したのでありましょうか、その点を、はっきりとさしていただきたいのであります。
 この政策変更の理由として、政府は、現存米軍にとって軍事情勢が有利に展開し、平定計画、経済援助等によって、南ベトナムの政治経済情勢が安定の方向に向かっていると見て、将来ベトナム戦争終結への動きが起こった場合、アメリカと南ベトナムの側に立って、これに割り込んで一役演じようと考えているのでございましょうか。
 また、総理が今秋ジョンソン大統領を訪れる際に、日本が南ベトナムに対し、より積極的な政策をとることをおみやげとして持って行くつもりであるのかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
 さらに、中東戦争の結果示されたソ連の勢力の後退、中国の水爆実験と核兵器の急速な開発の見通しなどによって、日本はアメリカの世界政策への傾斜を深めていくことが現在必要であるとお考えになっているのかどうか、それを明らかにしていただきたいのであります。
 私の見解によれば、ベトナム戦争は、アメリカの優勢、南ベトナムの政治的、経済的安定のうちに有利に解決される見通しはないのであります。たとえ日本が、何らかの形でアメリカと南ベトナム側に加担したといたしましても、それは、戦争を長引かせこそすれ、戦争の終結に役立つものではない。日本が、ベトナム戦争の終結とアジアの平和の確立のために寄与し、一役演じようとするならば、むしろ、厳正にこの戦争に対し中立不介入の政策をとり、日本が、戦争終結への動きが始まるときに、自由に身軽に動き得る立場をとっていくべきではないかと思うのでありますが、この点、総理並びに外務大臣はどうお考えになりますか。
 国民の多くは、総理の南ベトナム訪問を、儀礼訪問だとか、平和的解決への手がかりだとか、そういうふうに単純に考えてはいないのであります。むしろ、そこに政策変更への危険を読みとっているのであります。自民党のうちにおいてさえ、反対の声が起こり、前外務大臣の藤山愛一郎氏が、総理の南ベトナム訪問中止を申し入れたのも、そのためではないでございましょうか。総理、外務大臣は、ベトナム戦争に対し、より一そう厳正に中立不介入政策をとることを明らかにするため、南ベトナム訪問のスケジュールをお取り消しになるつもりはないのでございましょうか、その点をお伺いしたいのでございます。
 グラスボロ会談によりまして、米ソが再び平和共存路線を進むことが確認された以上、日本もまた、直接間接この路線に協力して、世界の平和、アジアの平和の確立を期すべきであって、現在アメリカがアジアにおいて行なっている力の政策、中国封じ込め政策等に、断じて、力をかし、同調すべきではないのであります。総理、外務大臣はこの点をどうお考えになるか、お伺いしたいのでございます。
 なお、明後日に予定されております総理の朴大統領就任式参列の問題についてでございますが、わが党は、国会開会中に総理がみずからこれに参列するほどの必要はないと、こういう点から反対をしているのでございます。六月十五日の外務委員会におきまして、三木外務大臣は、私の質問に答えまして、次のように答えておられるのでございます。この点、私は当日の速記録をここに引用いたしまして、総理並びに外務大臣の見解を承りたいのであります。
 すなわち三木外務大臣はその際、「佐藤総理としては……就任式に都合が許せば自分が行ってもいいという意向だと思います。しかし、国会開会中ですから、それは各党の了承を得るということが必要でしょうね。了承を得られれば総理みずから行って祝意を表したいという気持ちがあることは事実でありますが、何ぶんにも国会開会中ですから、これは各党のやはり行ってらっしゃいという、こういう了承が必要だと思います。……会期延長がどういうふうになるかということとも結びついておりますが、そういうことと結びついて国会がそういうことで了承しようということが前提になると思います。」。
 閣議は総理派遣をすでに決定し、また、椎名悦三郎氏、本院の木内四郎氏等の随行をきめておりますが、国会各党の了承はまだ得られておらないようであります。話もされておらないようであります。国会の了承を必要とするという三木外務大臣の発言は、一体どういうことになっておるのでございますか。私は、外務大臣の言われるように、各党の了承、国会の了承を得べきものと思うのでございますが、総理は、各党の了承、国会の了承を必要としないとお考えでございましょうか。外相のこの発言は無視してもいいとお考えでございましょうか。もし、そうだとしたならば、これは国会軽視もはなはだしいものと言わなければならないのでございます。また、三木外務大臣も、当然、内閣に対しまして、各党の了承、国会の了承を得るべく総理に進言すべきでありますが、もし、そうしてもいれられなかったとすれば、副総理格としてのあなたは、かなえの軽重を問われてもしかたがないのであります。また、進言しなかったといたしますならば、あの言明によってわれわれはあなたに欺かれたことになるのでありまして、これは断じて許しがたいことと言わなければなりません。三木外務大臣のはっきりした御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 105515254X02019670628_008

発言者: 岡田宗司

speaker_id: 14741

日付: 1967-06-28

院: 参議院

会議名: 本会議