川崎寛治の発言 (本会議)

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○川崎寛治君 私は、日本社会党を代表して、政府提出の昭和四十四年度予算三案に対して反対、細谷治嘉君外十三名提出の昭和四十四年度予算案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に対して賛成の討論を行ないます。(拍手)
 予算は、時の為政者の政治方針を金額であらわしたものであります。佐藤総理は、自民党の総裁三選後、沖繩、安保に政治生命をかけ、あえてどろをかぶるとまで言明いたしました。安保再検討の四十五年を来年に控え、乗り切りのための四十四年度予算案は、その性格を各面にあらわにいたしております。
 以下、佐藤内閣の政治姿勢、外交方針、財政、経済等の各方面にメスを加えて討論を進めてまいります。
 まず、第一には、佐藤内閣の政治姿勢についてであります。
 佐藤総理は、憲法尊重を唱え、非核三原則を口にしながら、核兵器持ち込みを容認し、自衛のためなら核兵器を保有しても憲法違反ではないとまで暴言し、ますます軍備を増強し、憲法の平和主義の精神を完全にじゅうりんしているのであります。また、警察力を増大して、国民の自由と人権を抑圧する権力政治への道をひた走りに走っているのであります。
 具体的に、防衛費については四千八百三十八億円のほかに、継続費百五十五億円、それに国庫債務負担行為は、ついに予算委員会においてその積算基礎を明らかにしなかったF4Eファントムを含む一千六百十億円が加わり、四十五年度以降の支出予定額は、何と二千七百三十五億円にも達するのであります。さらに、自衛官六千人の増員に加え、警察機動隊二千五百人を含む五千人の警官を増員しようとしています。四十四年度予算案が露骨な安保予算であることは、きわめて明白といわざるを得ないのであります。(拍手)
 また、佐藤総理は、政治資金規正法を握りつぶしました。国民の期待を裏切ったばかりか、一そう財閥と密着して金権政治を推し進めています。一部圧力団体に迎合するのみで、国民との対話を怠り、民心は議会政治から遊離しつつあります。まさに、佐藤総理は議会制民主主義の墓掘り人になろうとしているのであります。(拍手)
 第二には、自主性を失った対米従属外交についてであります。
 沖繩返還については、下田発言に見られるごとく、ひたすら米国の要求を国民に押しつけることにきゅうきゅうとしています。核つき、自由使用による沖繩の返還は、百万沖繩県民をさらに本土と差別し、屈辱を与えるものであります。そして、それはまさに日米安保体制を核安保、アジア安保に拡大をし、日本をして米国の極東戦略の先兵として、下請的帝国主義への危険な方向におとしいれんとするものであります。
 中国問題については、すでに、イタリア、カナダなど中国承認に進む大勢に逆行し、米国に追従して、中国の国連加盟を妨害し、日工展、食肉輸入問題に明らかなように、日中の経済交流を阻害しているのであります。
 核つき、自由使用の沖繩返還は、日本のみずからの意思による中国敵視政策の具体化であり、アジアの緊張を高める道にほかなりません。われわれは、沖繩県民を含む国民とともに、その道を断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 第三には、国民を無視し、大資本に奉仕する自民党政府の経済、財政、社会保障政策についてであります。
 わが国の経済は、昭和四十一年以来高度成長を続け、自由世界第二位の生産を誇っています。しかし、この繁栄は、国民生活と遊離し、第一に、大企業と一部資産階級への富の集中、第二に、消費者物価の恒常的上昇、第三に、あらゆる面での格差、不公平、不均衡の拡大、そして第四に、交通事故、公害、犯罪の激増を招き、社会の不安を激化し、深刻な人間性破壊の現象を進行させています。
 以下、具体的に五つの点にわたって予算三案にあらわれた佐藤内閣の経済、財政政策を究明し、反対の理由を明らかにいたします。
 第一には、インフレ、物価引き上げの責任であります。
 佐藤内閣は、国債発行政策を導入し、銀行の信用膨張を放任いたしました。池田内閣時代には昭和三十七年一回限りであった消費者米価を、佐藤内閣になってからは、何と四年連続引き上げてまいりました。のみならず、各種公共料金を積極的に引き上げ、インフレ、物価高を激化させてまいったのであります。消費者物価は年平均五・六%上昇し、定額預金の金利を上回る勢いであります。四十四年度の消費者物価五%の上昇見通しも、国鉄運賃値上げによって、すでにこれを上回ることは確実となりました。佐藤内閣になってからの消費者物価は、実に一七%をこえる上昇ぶりであります。この結果、勤労大衆は、名目所得の上昇が帳消しにされるばかりか、みずからの生活防衛のための零細貯蓄や、長年の勤労の結実である年金積み立て金からその値打ちを大きく奪い去られているのであります。一方、インフレ、物価高は、実体資産を持つ大企業や地主にはばく大な不労所得をもたらし、不公平を拡大しているのであります。国民生活を破壊するインフレ、物価高は、佐藤内閣の責任であることを糾弾せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二には、金持ち優遇、大衆収奪の過酷な税制についてであります。
 佐藤内閣は、大法人、資産所得者優先の税制を進めてまいりました。これまた佐藤内閣になってから、法人税率は引き下げられたのであります。昭和四十年の三八%から三五%への法人税率の引き下げによって、その比率は逆転し、所得税総額が法人税額を上回りました。悪名高い租税特別措置法によって、企業税制においては大企業優遇の税体系、個人税制においては資産所得への過度の優遇措置が行なわれ、中央、地方を通じて、何と年々一兆円をこえる大減税を行なっているのであります。昭和四十二年度以降、延べ五兆円をこえる自然増収がありながら、四千億円程度の所得税減税しか行なわれず、勤労者階級には、頭からの天引き重税を行なっているのであります。四十四年度においても、一兆二千億円もの自然増収がありながら、減税で勤労者に返されるものはわずかに千五百億円にしかすぎないのであります。数千万円の株式を持つ利子配当所得者には、配当所得二百八十二万円まで非課税としながら、汗水流して働く勤労者には、生活費に食い込む過酷な税の収奪を続けているのであります。不労所得者天国、勤労者地獄の税制には、断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 第三には、中小企業倒産の責任についてであります。
 主要企業は、この三月期で七期連続の増益を記録しました。イザナギ景気を謳歌しながら、他方、中小企業の整理倒産は、四十一年に六千件台、四十二年八千件台、四十三年度には一万の大台をこえる増加ぶりであります。日陰の産業と日の当たる大企業との格差はますます開き、激烈な生存競争の中で、多数の弱小企業が整理されていますが、中小企業対策費はわずかに総予算の〇・六%にしかすぎないのであります。税制、金融、あらゆる面で中小企業軽視の政策を続けている佐藤内閣の冷酷ぶりを、われわれは許すわけにはまいらないのであります。(拍手)
 第四には、農村破壊についてであります。
 佐藤内閣は、農民の頼みとする米の食管制度を破壊し、その最後の希望をまさに奪おうとしています。しかも、農政不在の結果、農民は米以外の安心してつくれる作目を奪われている中で食管制度をくずすことは、完全な農村破壊の暴挙といわざるを得ません。これは、農村を安い農産物と安い労働力の供給源としての苗しろとする悪政であります。農山村をますます過疎化し、老人の墓場とする佐藤内閣の農村破壊の罪は、きわめて重大であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 第五には、社会保障怠慢の責任についてであります。
 わが国は、急激な経済成長の結果、国民総生産においては自由世界第二位となりながら、社会保障の面は著しく立ちおくれています。佐藤内閣成立以来、予算総額に対する社会保障関係予算は、昭和四十年の一四・六%から一四・一%に、また国民所得に対しても、同様に二・一八%から二・〇六%へと低下しつつあることは、受益者負担、財政の効率化とともに、佐藤内閣の社会保障軽視を実証するものであります。不完全な年金制度は恒常的物価上昇に脅かされ、多くの老人は深刻な不安に悩み、医療費負担の増加、勤労者の児童保育所の不足、心身障害者対策の立ちおくれは、住宅、保健衛生など生活環境の悪化とともに、国民生活に大きな苦痛となっています。資本優先、人間軽視の佐藤内閣の社会保障怠慢の罪を糾弾せざるを得ないのであります。(拍手)
 最後に、民主教育破壊の責任についてであります。
 わが国の教育は、幼稚園から大学まで、健康な人間形成の姿を失い、社会の生存競争が持ち込まれ、より有利な資格獲得のための進学教育、受験地獄の姿は深刻であります。まさに今日の教育は、財界の要請する、産業により適応した労働力を供給するベルトコンベヤーになりつつあるのであります。自民党政府は、防衛予算は着実にふやしながら、豊かな教育のための環境整備は完全に怠ってまいったのであります。大学紛争は、この教育矛盾の集中的表現にほかならないのであります。しかるに佐藤内閣は、この病理を理解しておりません。また、根本的な環境整備への熱意を、四十四年度予算には全く示していないのであります。上からの権力による管理によって教育に介入する反動政策を行ない、民主教育を破壊している佐藤内閣の権力主義に、民主主義を守る立場から、断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 以上見たとおり、佐藤内閣の危険な政治姿勢、外交方針、並びに国民生活を破壊し資本に奉仕する佐藤内閣の経済、財政、社会保障、教育政策等を裏づける政府の昭和四十四年度予算三案に反対をし、平和と民主主義を拡大し、豊かな国民生活の拡充をはかろうとする日本社会党の編成替え動議に賛成をし、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 106105254X01219690304_015

発言者: 川崎寛治

speaker_id: 34024

日付: 1969-03-04

院: 衆議院

会議名: 本会議