東中光雄の発言 (本会議)
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○東中光雄君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております沖繩関連法案について、反対の討論をいたします。(拍手)
これらの案件は、日米沖繩協定と不可分一体のものであり、日米両国政府間で協定批准の前提とされている重要案件であります。沖繩協定が、ニクソン・ドクトリンに基づき、アメリカのアジア侵略のかなめ石としての沖繩の役割りをあくまでも維持するために、謀略部隊、特殊部隊を含む米軍基地をほとんどそのまま存続させるばかりか、自衛隊の配備によって日米共同作戦体制を一そう強化し、事前協議制度を有名無実にするなど、日米安保条約を事実上改悪するものであることは、すでに明らかになっているところであります。(拍手)
その上、沖繩協定は、二十六年にわたる米軍の軍事占領による沖繩県民の被害に対する請求権を放棄し、本来県民の資産であるべき三公社その他の資産を大金を支出して買い取るなど、きわめて屈辱的な性格を持っておるものであります。
このような沖繩協定を国内法的にも保障するのがこれらの関連法案であります。したがって、その中には、復帰に伴って政府が当然とるべき措置が含まれているとはいえ、本土法適用のための特別措置の名のもとに、米軍基地の存続、占領下の裁判の効力の引き継ぎ、アメリカ企業の既得権の承認など、憲法をはじめとする国内法体系と全く矛盾し、これを根底からくつがえす許しがたい条項を含んでいるものであります。まさに現行法の民主的条項改悪の突破口が沖繩関係特別措置法によって切り開かれようとしておるのであります。
次に、関連法案のおもな問題点について、反対の理由を明らかにいたします。
その第一は、公用地等暫定使用法案についてであります。
この法案は、別名軍用地強奪法といわれていることにも端的に示されておるように、全くファッショ的な違憲立法、差別立法であります。ポツダム宣言、ヘーグ陸戦協定などに違反する不法不当な米軍の占領に引き続き、サンフランシスコ条約第三条によりアメリカに売り渡された沖繩県民の、二十六年にわたる言語に絶する屈辱と苦痛を典型的に示すものは、米軍による膨大な土地の強奪であります。銃剣を突きつけ、戦車やブルドーザーを繰り出し、問答無用に土地を強奪したその蛮行は、佐藤総理さえ不法不当と言わざるを得なかったものであり、いかなる理由をもってしても、絶対に合法化できるものではありません。ところが、この法案は、あえてこのような米軍の野蛮な行動を免罪し、合法化しようとするものであります。
その内容について見れば、本法案は、復帰後の沖繩に核攻撃機能と装備を持つ米軍第三海兵水陸両用部隊、第十八戦術戦闘航空団などの核戦争兵力やCSG、FBISなどのCIA機関の存続を許すものであり、憲法第九条、戦力不保持の原則に違反することは明白であります。(拍手)
土地強制取り上げのやり方は、施政権復帰のその瞬間に、何らの行政手続を経ることなしに使用権を設定するという、まさに問答無用のやり方であり、憲法第二十九条、国民の財産権保障規定、憲法第三十一条、適法手続条項に違反し、さらに、行政訴訟提起を事実上不可能とするもので、憲法第三十二条、国民の裁判を受ける権利を不当に侵害するものであります。(拍手)また、憲法第十四条、法の前の平等の原則に違反し、立法手続においても、憲法第九十五条、地方自治特別法の住民投票の規定に違反する、まさに類例のない憲法じゅうりん法であります。
さらに、本法案は、わが国の土地収用法体系の根幹に重大な変更をもたらし、戦時中の悪名高い国家総動員法でさえなし得なかった権力による一方的な土地強奪を行なおうとするものであります。本土においては土地強制収用の法的根拠を持たない自衛隊の用地を強制的取り上げの対象とすることは、自衛隊の配備に反対している沖繩県民の意思を踏みにじる二重、三重の暴挙であるばかりか、やがては、本土の沖繩化として、本土における自衛隊用地の強制収用に道を開くねらいが隠されているものといわなければなりません。(拍手)
このように、本法案は、戦前、戦中、戦後を通じて、わが国はおろか、世界にも比類まれな、きわめて悪質な強権立法であり、沖繩県民はもちろん、日弁連をはじめ、多数の法学者、各界人士が、違憲立法として糾弾しておるところであり、わが党の断じて容認できないものであります。(拍手)
第二は、復帰特別措置法案についてであります。
この法案は、現行国内法のうち四百八十一件に関連する膨大な内容と幾多の問題点をかかえており、当然国内法に関連する特別措置法として国会の各委員会において審議を尽くさるべきものであります。しかるに、政府はあえてこれを一本の法律とし、しかも法律事項の多くを政令委任事項とするなど、まさに非常時立法にもひとしいものとしたのであります。このような行政権の優位、立法権侵害は、議会制民主主義の基本に反するものであり、断じて許すことはできません。(拍手)
本法案でまずあげなければならないのは、VOAを引き続き存続させることであります。審議を通じて、これが電波法を侵害し、アメリカの謀略的放送機関であることが客観的資料で明らかにされたにもかかわらず、政府は存続の根拠さえ明らかにし得なかったのであります。また、極東放送が米第七心理作戦部隊と密接な関係にあることが暴露されました。謀略宣伝を任務とするこれらの放送機関を存続させることは、アメリカのアジア侵略政策に加担し、わが国の主権の一部を売り渡すものであります。(拍手)
また、わが党が追及した沖繩、台湾間の海底ケーブルについては、いやしくも独立国家として外国軍隊所有の国際海底ケーブルの存続を認めることは、国際的にも全く例を見ない屈辱的な行為であります。さらに、このケーブルの存続をはかるために、国内にだけ適用される地位協定を国外にまで及ぼし、保護水域というあいまいきわまりない取りきめまで行なうことは、地位協定の乱暴な拡張解釈であり、安保条約の変質を典型的に証明するものであります。(拍手)
さらに、裁判の問題、特に国家権力の端的な行使である刑事裁判について、わが党は、わが国の主権を行使しながら、真の沖繩復帰にあたって何らの混乱をも生ぜしめない方途を具体的に明らかにいたしました。これに反して、政府が、異民族裁判の引き継ぎを平然として行なおうとしていることは、まさに国家主権を守る意思が一かけらもないことを示すものであるといわなければなりません。(拍手)
そして、この法案の施行によって、沖繩刑法、日本刑法のいずれによっても裁判が可能となる問題、法施行以前にさかのぼって処罰されるという、憲法第三十九条不遡及の原則違反の問題など、わが国裁判史上ぬぐいがたい汚点を残すものであります。(拍手)
他方、この法案は、米軍の占領支配と弾圧の中で民族教育をあくまで守り、教育権は国民にあるとの立場を堅持して沖繩県民がかちとってきた教育委員の公選制など、教育の根本に関する制度や、公務員の政治活動の自由などの民主的諸権利を、いわゆる本土並み法適用の名のもとに一挙に剥奪しようとする、きわめて反動的な内容を持っておるものであります。(拍手)
第三は、いわゆる振興開発特別措置法案であります。
この法案審議の過程で明白になったことは、政府が平和で豊かな沖繩県の復興を願う県民の意思に反して、公害大企業を沖繩に誘致し、基地の苦しみに加えて大企業による公害まき散らしと、水、電力、土地の収奪をつけ加えようとしていることであります。農林漁業、中小企業の保護育成や県民の福祉の増進を怠り、沖繩県の自治を徹底的に破壊しようとしていることであります。
すなわち、本法案は、石油、アルミなど典型的な公害大企業を沖繩に誘致し、これらの企業の集中する地域を工業開発地区に指定して、税制上の優遇措置をはじめ、工業用地、道路、港湾、工業用水など、あらゆる便宜を提供するものであります。これらは、臨海型装置産業の誘致に慎重な配慮を要請した琉球政府の建議書の立場を踏みにじるものであります。この反面、農業に対しては、低いキビ価格を放置し、食管制も適用せず、農地改革の実施をおくらせようとしています。中小企業を本土の大資本から保護する措置もほとんどとられておりません。それだけでなく、本法案は開発計画の決定権を総理大臣が握り、道路、河川、ダム、港湾などに対する知事の権限を国に吸い上げ、新設を予定されている沖繩開発庁総合事務局とあわせて、沖繩開発のあらゆる面にわたって県民の自治権を奪おうとするものであります。(拍手)
わが党は、本法案に反対し、県知事のもとに民主的な審議会を設置して、県民の意思を反映した沖繩復興五カ年計画をつくり、国がこれらの計画に対して財政的、技術的にもひもをつけない大幅な援助を与えることを強く要求するものであります。(拍手)
最後に、佐藤内閣と自民党は、本関連法案の審議は十分尽くされたとしていますが、その実態は、公聴会や連合審査会など、審議の形式を整えることにきゅうきゅうとして、核や基地問題をはじめ、国民の重大な関心事に対しては何ら納得のいく答弁をせず、その態度は不誠実きわまりないものであります。本来、立法府たる国会は、各法案についてできるだけ逐条的に問題別に審議を尽くすべき責務を負うておるものであります。(拍手)しかるに、この歴史的に重要な沖繩案件の審議において、五案件を一括して一般質疑を行なったのみであり、わが党の徹底審議の要求にもかかわらず、一方的に質疑終了宣言を行なって審議を打ち切ったのであります。これは、協定の自然成立をねらう強行採決の暴挙とあわせて、議会制民主主義を踏みにじるものとして、とうてい容認できないところであります。これこそ、沖繩協定を強行する佐藤内閣と自民党の、県民の苦難の歴史を無視し、国の運命を危うくする反民主的本質を余すところなく示したものであります。このことを強く指摘しまして、私の反対討論を終わります。(拍手)