斉藤正男の発言 (本会議)
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○斉藤正男君 私は、日本社会党、公明党並びに民社党を代表し、ただいま議題となりました今国会会期延長に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
最近の国会は、常会、臨時会を問わず、与党の党利党略によって、一方的に大幅な会期の延長が行なわれることが通例のようになってしまいました。このことは、国会審議のあり方から見て、きわめて重大な問題だと思うわけであります。
国会の会期は、相撲でいうならば土俵であります。相撲取りがあの手この手を使い勝負を争うとしても、それは土俵内のことであります。土俵の広さは最低のルールであり、このことは、国会においては会期内にすべての案件の審議を終了すべきであって、会期の延長などは例外であるということなのであります。したがって、国会法第十二条二項は、「会期の延長は、常会にあっては一回、特別会及び臨時会にあっては二回を超えてはならない。」と規定をし、会期の延長に対し、明らかに制限のワクをはめているのであります。
特に今国会のように、早くから会期の延長を予定し、通常国会もぎりぎりの二十九日まで召集を延期し、沖繩関係法案の成立をはかろうとする意図は、多数を頼み、見せかけの審議を行なうことにより、議会の機能をまっこうから否定し、数を頼んだ自民党の暴挙といわざるを得ないのであります。(拍手)
現行憲法のもとにおける会期の設定の意味は、戦前の帝国議会のそれとは本質的に異なり、行政権の優位と多数独裁によって議会を形式的な投票機関化しようとする野望に対し、歯どめをする重要な意義を認識しなければなりません。また、多数にあぐらをかいた専横な行政権によって提出された法案を議会が十分にチェックをし、議会審議と批判を通じて内容を整理していくことも重要な任務であります。
これまでの会期延長は、常に内閣の方針あるいは政策を強行するために多数によってしゃにむに行なわれてまいりました。その延長の理由は、大部分が反動法案の通過、成立をはかったものばかりであります。第十九国会における当時の堤議長の、指二本で二日間の延長の例に代表されますように、政府・与党の戦術的、党略的引き延ばしがそのほとんどであります。いまだ討議が熟していないからではなく、反国民的案件を強行通過させるために議会を形式化し、多数を頼んで通過を強行することによって、議会の立法機能そのものを麻痺させることにあったのであります。これは例をあげるまでもなく、定員法、破防法、スト規制法、警職法、政防法、安保条約など、最近に至るまでその事例には枚挙にいとまがないのであります。
今回の会期延長もその例外ではありません。表向きは低姿勢をとりながら、本音とたてまえを巧みに使い分け、なしくずしに会期延長を行ない、沖繩関連法案を中心とする反国民的諸立法を押し切ろうとするものであることは、だれの目にも明らかなのであります。(拍手)
史上最低の支持率に落ちた佐藤内閣、特に佐藤総理は、恥も外聞もなく沖繩国会にその政治生命をかけたといわれております。今国会に臨む佐藤総理の心境は、信念がいつの間にか執念になり、その執念も最近では怨念にまでなったといわれるのであります。(拍手)国語辞典によりますと、執念とは、かたく思い込んで動かない心、信念とは、かたく信じて疑わない心、怨念とは、恨みの思いを込めた不動の心と解釈をされております。(拍手)今国会中、沖繩案件審議促進のために、なりふりかまわず二人の大臣のなま首を切り、しかばねを乗り越えて、なお立ち向かう総理の身辺には、妖気さえ漂い、不吉な予感を感ずるものであります。(拍手)
総理の姿はまさに怨念そのものであります。佐藤総理は、この怨念を国会や国民に向けるのでなくて、なぜアメリカに向けないのでありますか。協定並びに関連法案に沖繩の心をもっともっとくみ込んだならば、会期の延長などは全く問題にならなかったと思うのであります。本末を転倒し、すりかえとすれ違いの答弁にあえて終始をし、事実をひた隠しにしようとしたところに問題があるのであります。
すでに与党自民党は、沖繩協定の審議において重大な前科を犯したのであります。重要な野党の質問には、沖繩県民はもちろん、全国民を納得させる答弁が何一つできなかったではありませんか。わが党楢崎議員の岩国基地における核兵器問題を追及されるや、理不尽にも委員会強行採決を行ない、その上参議院の存在をも無視し自然成立をねらった暴挙は、二重三重の犯罪行為であり、憲政史上消すことのできない汚点を残したことは、きびしく糾弾されなければなりますまい。(拍手)
十一月十七日午後三時十五分、協定特別委員会におけるやみ討ち的強行採決、それからまるまる六日間の空転空白、二十四日の変則本会議、そして二十六日の正副議長不信任決議案の審議終了まで、前後十日間を費やしたのであります。強行採決を避け、慎重審議を続けたとしたら、この事態もまた避けることは確実にできたのであります。
その後、参議院における協定の審議、あるいは衆参両院における関連法案の審議が深まるにつれて、協定や法案の問題点が克明に浮き彫りされ、沖繩県民はもちろんのこと、全国民から疑問点の解明と法案の撤回、交渉のやり直しが強く要求されております。憲法違反のかたまりとまでいわれる沖繩軍用地収用法案、屈辱的な対米請求権の放棄、国内法まで改悪をしたVOA放送、沖繩県民が強く反対する自衛隊の派遣などなど、何一つとして納得のいく答弁と説明は聞かされていないのであります。(拍手)
事実、百万沖繩県民は、協定と関連法案の危険な内容に憤激し、第三の琉球処分だ、再び差別の歴史を繰り返すなと強い反対の声をあげているではありませんか。このような法案を、会期まで延長し、多数を頼んで強行成立させようとする態度は、まさにファッショであり、沖繩県民及び日本国民の悲願を踏みにじり、歴史的な憲政史上の汚点をさらに大きくし、その傷口を深める以外の何ものでもありません。(拍手)
政府並びに与党自民党は、国民の疑惑を払い、ほんとうに沖繩県民の平和と福祉を実現し、長年の御苦労に報いるために、関連法案を練り直し、あらためて通常会に再提出することを強く要求するものであります。そのことなしに、党利党略がまかり通り、会期の延長が実現するようなことになれば、国民の政治不信、国会軽視の風潮はさらに高まり、本院みずからが議会の権威と機能を放棄し、自殺行為にもひとしいあやまちをおかすことになりかねないのであります。
そもそも、今国会の会期は、六十日を予定されたものが、むしろ野党の要求によって七十日になった経緯もあります。政府は、この際、国民が不安と期待をもって見守っている来年度予算を年内に編成し、円切り対策を確立をして、国民の期待にこたえるべきでありましょう。
以上、きわめて簡単でありましたけれども、会期延長反対の理由を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)