根本龍太郎の発言 (本会議)
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○根本龍太郎君 ただいま議題となりました昭和四十八年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
この予算三案は、去る一月二十六日に予算委員会に付託され、同月三十一日に提案理由の説明を聴取し、翌二月一日より質疑に入りましたが、二月十三日午後、アメリカのドル一〇%の切り下げ措置に対応し、わが国は外国為替について変動相場制をとることとなったことに伴い、審議は一たん中断され、二月二十日より質疑を再開し、公聴会、分科会をあわせて三十日間にわたって委員各位の熱心な審議が行なわれ、本日、討論採決をいたしたものであります。
なお、総予算に関連し、一般質疑の期間中、外国為替の変動相場制採用の問題に関して二日間、また、一般質疑終了後、円対策、商品投機及び土地問題に関し二日間を充て、内閣総理大臣の出席を得て特に審議が行なわれましたことを申し添えておきます。
まず、予算の規模等について簡単に申し上げます。
一般会計予算額は、歳入歳出とも十四兆二千八百四十億円でありまして、前年度当初予算額に比べ、二四・六%の増加であり、歳入のうち、公債金は二兆三千四百億円で、公債依存度は一六・四%であります。
また、特別会計及び政府関係機関の数はそれぞれ四十一及び十五で、前年度と同数であり、なお、財政投融資計画については、資金運用部並びに簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の長期運用について別途法律を制定し、国会の議決の措置を講ずることとし、その運用予定額を両特別会計の予算総則に掲げることといたしております。
次に、質疑の概要を申し上げます。
まず、財政金融政策についてであります。
すなわち、質疑は、予算をめぐるインフレ、地価の高騰及び商品投機と過剰流動性、また、過剰流動性を吸い上げる方法、国際通貨問題、税制については、所得税、法人税のあり方等について行なわれましたが、特に変動相場制へ移行について、「今回、変動相場制への移行せざるを得なかった原因は、福祉中心型経済への転換の努力を怠ったこと、また、低賃金、長労働時間、低い企業課税による低コストの製品で海外市場を乱していること、アメリカがドルの信認回復への努力を怠っているのに、政府はアメリカに対し事態の改善を講ずるよう何らの要請をしなかったことなどによるのではないか。また、予算の歳入歳出面でその見積もりを変更する必要はないか。外為会計の評価損は一般会計で負担することとなるのか。政府は責任を痛感するというならば、予算の内容を福祉中心型により一そう充実して修正すべきではないか」等の趣旨の質疑が行なわれました。
これに対し、政府は、「福祉への転換については全力を傾けているが、その財源は経済の安定した成長によって求めていかなければならないので、急激な転換はできない。また、産業構造の転換については、ある程度の期間を必要とする。わが国の企業の賃金が低かったことは認めるが、このことのみで変動相場制をとらざるを得なくなったものとは考えない。ドル価値の急速な低下など他動的要因が大きく複雑にからみ合っている。国際通貨の不安は、単に黒字国の責任だけではなく、赤字国の責任でもあるし、特にドルが唯一の基軸通貨となっているので、政府としては、アメリカに対し、ドル価値が維持されるよう、インフレ政策の抑止、海外投資の抑制等について、機会あるごとに強く主張してきている。今回のドルの切り下げは、緊急事態という認識のもとにとられた措置と思うが、重大問題であるので、このたび開催されるパリの蔵相会議では、ドルの交換性の回復、海外投資の抑制、国内政策、特に金融政策について適切な措置をとるよう強く主張することとしている。予算の歳入面については、税収は当初の見積もりどおり確保できると考える。歳出面では、輸入物資は基準レート以下で購入できるし、対外支出金等は三百八円の基準相場で小切手振り出しで送金することとなるから、何ら国損を生ずることなく、予算は適正に執行できる。外為会計の評価損の処理は、単に評価損として計上しておけばこと足りる。評価損は一般会計から補てんする性質のものではない。昭和四十八年度予算は社会保障の拡充等に最善を尽くしたものである。予算執行の過程で、中小企業等に対し万遺憾なき措置をとりたいと考えているので修正する考えはない」との趣旨の答弁がありました。
このほか、今後の国際通貨体制のあり方、輸出産業等に与える影響、輸入価格の値下がりを消費者に還元する方策、今後の国際収支対策、特に農産物輸入の自由化、週休二日制、法人税の引き上げ等についても質疑が行なわれたのであります。
次は、社会保障についてであります。
すなわち、質疑は、福祉社会の意義、社会保障費、年次計画の策定、年金制度、健康保険、医療需要の増加と医療のシステム化の重要性、救急病院、保健所のあり方、献血者に対する無料健康診断の実施、福祉施設等について質疑が行なわれましたが、特に「年金制度の谷間にある六十七歳から六十九歳までの約百二十九万人に対し、年金支給の措置を早急に講ずべきではないか。また、老齢福祉年金の給付額は実情に合わぬと思うが、政府の見解はどうか」との質疑が行なわれました。これに対し、政府は、「年金制度発足当時五十五歳以上で年金制度に入れなかった人たちについては、拠出制か、無拠出か、いずれの制度で解決したほうがよいか、結論を得るに至っていないが、引き続き検討していく。また、老齢福祉年金については、再検討の時期が来ていると考えるので、五十年度に予定している一万円年金の実現を機会に、拠出制年金その他共済年金等とあわせ、その位置づけ、性格等について検討したい」との答弁がありました。
次は、土地対策についてであります。
土地問題は現下の最重要問題の一つとして、社会的に大きな関心を呼んでおります。
質疑は多面にわたって行なわれましたが、特に、「政府の決定した土地対策について、政府の対策は手ぬるいので、所期の目的を達成しないのではないか、特定地域の指定は、大企業に安い土地を保証する結果となるのではないか。土地譲渡税は分離課税とすべきではないか。所有税については、課税対象から除外される区域を多くし過ぎていると思われる。また、税率の一・四%は低過ぎるのではないか」等の質疑が行なわれ、これに対し、政府より、「土地対策は現時点で考え得る最善のものと信ずる。特定地域の指定は、土地の投機買いの抑制、乱開発の防止、よりよい住宅団地の提供等を目的とするもので、特定大企業の利益を守るものでは絶対にない。譲渡税の分離課税については、完全に他の所得と分離して、法人税とは別にかりに七〇%の課税をすることとした場合、利益をあげた通常の法人は、譲渡税による追加的負担は約二〇%で済むが、欠損法人の負担は七〇%になるというバランス上の問題に留意し、分離課税方式をとらないこととした。保有税の課税対象から除外する土地は、農地の規模拡大等のため取得した場合であって、望ましい土地造成のための取得に対しては課税をしないというところに主眼を置いている。また、税率の一・四%は取引価格に課税されるので、固定資産税とは比較にならぬほどの高額となると考える」との趣旨の答弁があり、また、地価公示制等についても質疑が行なわれました。
なお、土地対策につきましては、土地利用公社による一手売買、価格認定機関の設置等各種の提案がありましたことを申し添えておきます。
総予算に関連しての質疑は、以上のほか、外交、防衛、岩国、三沢における米軍施設の改修等の負担、沖繩問題、政治資金、商品の投機的取引、為替差損に対する会計処理と法人税の取り扱い、食糧の備蓄、米の流通秩序の問題、農業問題、林野行政、また環境基準、被害者救済、騒音、瀬戸内海汚染対策等の公害問題、大学紛争及び文部行政、公務員等のストライキ権、国鉄財政再建計画、地方行財政等、その他国政の各般にわたってきわめて熱心に行なわれましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
なお、本日質疑終了後、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の四党共同提案による予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨説明が行なわれましたあと、予算三案及び四党共同の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は政府原案に賛成、四党共同提案の動議に反対、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党は四党共同提案の動議に賛成、政府原案に反対の討論を行ない、採決の結果、四党共同提案の動議は否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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