堀昌雄の発言 (本会議)
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○堀昌雄君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同提案いたしております昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
すでに動議の案文につきましては、お手元に配付いたしてありますので、御参照いただきたいと思います。
まず、動議の主文を朗読いたします。
昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年
度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機
関予算については、政府はこれを撤回し、少な
くとも左記の点を含めてすみやかに組替えをな
し、再提出することを要求する。
右の動議を提出する。
〔拍手〕
まず最初に、昭和四十八年度予算の編成替えを求める理由を申し上げます。
その第一は、円再切り上げに追い込まれたその責任と、そのために予算編成の前提が完全にくずれてしまったという点にあります。
政府は、これまで、円の再切り上げはあくまで回避すると強く主張し、田中総理は、再切り上げに追い込まれた場合には、責任をとるとまで申されておりましたが、ついに円の変動相場制への移行という、事実上の円の大幅切り上げの事態を招き、国民に深刻な打撃と損失を与えることになりました。
私ども野党のたび重なる提言を無視して、当然行なうべき内外政策の転換を行なわなかった政府の責任は、きわめて重大であります。(拍手)まさに政府の無能と大企業優先、アメリカ追従の姿勢を如実に示すものと言わなければなりません。
しかも、このような事態を迎えた今日、昭和四十八年度予算がその前提をすべて失い、根本的な再編成が行なわれなければならないのは、当然のことであります。
政府は、すみやかに、経済見通し、予算案、財政投融資計画を再検討し、新しい事態に対処して、国民の生活と利益を守るべきであります。そのための編成替えがなされない限り、国民の期待にこたえることができないことは明らかであります。(拍手)
理由の第二は、今日まで政府のとってきた大企業優先の政策を、国民生活優先の政策に根本的に転換をする必要があるということであります。
これまで、自民党政府のとってきた高度経済成長政策は、生産と輸出をすべてに優先させ、そのために、国民は、不十分な福祉と低い所得に甘んじなければならない状態でありました。
労働者には、米国の三分の一の低賃金、また、先進諸国に例を見ない長時間労働を押しつけ、公害をたれ流しにし、社会保障、社会福祉の充実を怠り、生活環境の整備を放置し、農業や中小企業を踏み台にして国際競争力を強め、そのために生まれた低い輸出価格、国内価格との二重価格によって、他の国には例を見ない輸出の拡大が進められてきたのであります。
しかも、その上に、政、官、財一体となった金融、財政政策によって、産業基盤偏重の税制、財政投資の拡大が行なわれ、そのために、異常な物価の高騰を招き、国民の生活を苦しめております。現在の日本経済は、まさに、国民生活の犠牲と負担によってもたらされたものであります。(拍手)
第三の理由は、昭和四十八年度政府予算案が、国民生活を一そう苦しめるインフレ促進、低福祉高負担の予算となっていることであります。
田中内閣は、今日の事態を招くに至ったことについて、少しも反省せず、あくまでも日本列島改造論を振りかざし、従来にも増して高度成長路線を推し進めようとしています。
すなわち、昭和四十八年度予算は、福祉充実はおろか、経済政策転換の姿勢すら全く認められず、円再切り上げの原因をもっぱら外圧に置き、みずからの責任を回避して、通貨危機の犠牲を国民に押しつけ、またしても国民生活の犠牲と負担の増大をはかろうとしているのであります。(拍手)
具体的な問題を取り上げるならば、その一つは、昭和四十八年度予算は、インフレを促進させ、物価を上げる予算であります。
政府は、地下鉄、バス料金に続いて、国鉄運賃、健保料金値上げの法案を提出し、公共料金の引き上げによる政府主導の値上げ政策を進めようとしているのであります。
また、だぶついた資金と日本列島改造論によって、土地、株式、生活必需物資への投機をあおり、インフレの進展と社会的不公正を拡大しております。加えて、巨額の国債を増発しようとしているのであります。
これらは、物価の値上げに一そう拍車をかけ、国民生活を圧迫するだけでなく、国民の貯蓄を減価させ、将来の国民の生活を完全に破壊させるものであります。
しかも、減税とは名のみで、物価調整すら十分行なわれず、国民の負担をますます増大させるものとなっているのであります。
さらに、福祉転換はかけ声だけで、低福祉高負担を先行させ、その反面、産業基盤投資を優先させている予算であるということであります。
政府は、口では福祉優先を唱えながら、老齢福祉年金は月額五千円にすぎず、五万円年金構想も完全に見せかけのものであり、国民年金に至っては、その実施は昭和六十一年からという遠い先のことであります。
しかも、健康保険料、厚生年金、国民年金の保険料の引き上げは、国鉄運賃の値上げと相まって、国民の負担を増大させ、かえって福祉を後退させるものであります。
これに対し、列島改造を先行させる道路等の産業基盤投資は大幅に増額し、これまで放置されてきた住宅、生活環境、社会福祉、教育文化施設等の整備は軽視され、かえって、公害の発生、自然破壊に拍車をかけようとしているのであります。
さらに、加えるならば、昭和四十八年度予算は、農業と中小企業の危機を一そう深めるものであることであります。
政府のこれまでの農政のもとで、農林漁業は破壊され、危機に瀕しております。減反と米の買い入れ制限が推し進められ、生産費と所得を補償する生産者米価及び食管制度はくずされ、農産物の自由化促進によって、果樹、畜産も、経営の自立性は完全におびやかされています。
円再切り上げの事態を迎える中で、中小企業予算は相変わらずコンマ以下の低位に放置され、中小企業労働者に対する積極的施策は全く忘れられて、中小企業の危機的状況をますます深めているのであります。
編成替えを求める理由の第四は、四次防推進の予算だということであります。
政府は、国民世論を無視して、四次防計画を決定し、攻撃用兵器の装備を進め、これと対応して、自衛官を大幅に増員し、さらに、兵器国産化などにより、日米安保条約のもとで、軍事力の一そうの増強をはかろうとしております。これは、平和を願う日本国民のとうてい承認することのできないものであります。(拍手)
以上のような国民生活軽視の予算を、私たちは容認することはできません。
政府予算、財政投融資計画を根本的に再検討し、ほんとうに福祉を優先し、国民の生活と利益を守るよう編成し直し、国民の期待にこたえるべきであります。(拍手)
次に、編成替えに関する要求の概要を申し上げます。
日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党は、以上申し述べました理由に基づいて、ここに共同して、政府が、昭和四十八年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算を撤回し、少なくとも次の点を含め、編成替えをすることを強く要求するものであります。(拍手)
組み替え要求の第一は、歳入関係であります。
まず第一は、勤労者の所得税の減税であります。
物価高の中で、勤労者に重い税の負担をかける現行の税体系を根本的に改め、生活費非課税の原則を貫き、諸控除を大幅に引き上げるべきであります。
そのため、所得税は、四人家族、年所得百五十万円まで無税とすることを目途に、諸控除を引き上げるべきであります。なお、高額所得者に対しては課税を強化すべきであります。
次は、中小零細事業者の減税であります。
中小零細事業者に対しては、法人税率の引き下げなど、大幅な軽減を行なうべきであります。
二番目は、大企業の税負担を強化することであります。
大企業の法人税率を四〇%以上に引き上げること。また、法人受け取り配当の益金不算入など、大法人優遇の法人税体系を根本的に改めるべきであります。
さらに、大企業、資産所得優遇の減免税を廃止することであります。
大企業、資産所得優遇の租税特別措置を廃止するとともに、交際費課税の強化、広告費課税の新設、さらに、有価証券の取引、譲渡所得に対する課税を強化すべきであります。
三番目は、土地税制の改革であります。
この際、土地税制を抜本的に改革し、法人所有の土地譲渡所得の完全分離、高率課税及び大法人所有の土地の適正な評価等による土地課税の強化を行なうべきであります。(拍手)
国債の発行については、財政法第四条、第五条の原則に立って、赤字国債の発行をやめることを要求いたします。(拍手)
次は、歳出の増加についてであります。
現在、国民の最も切実な願いは物価の安定であります。そのために、国鉄運賃値上げ等、各種公共料金の引き上げをやめ、政府主導による値上げ政策を根本的に改めるべきであります。
また、大企業の管理価格の監視機構の強化、生活必需物資の投機規制、生鮮食料品の価格安定対策と消費者保護行政の強化、生協への助成など、強力な物価安定対策を緊急に実施すべきであり、さらに、消費者米価の物統令適用を復活することを要求いたします。(拍手)
二つには、社会保障の拡充であります。
まず、健康保険法の保険料の引き上げ等の改悪をやめ、医療保険に対する大幅な国庫補助を行なうべきであります。
また、老齢福祉年金、障害、母子・準母子年金を大幅に増額し、そのため、老齢福祉年金は、六十五歳以上少なくとも一人月額一万円とし、障害、母子等についてもそれに準じてそれぞれ引き上げるべきであります。
厚生年金、国民年金については、老齢福祉年金等の引き上げとあわせて、従来の積み立て方式を賦課方式に改め、同時に、支給額の大幅な引き上げを行なうため、制度の抜本的改革を行なうことを要求いたします。
次に、生活保護費、老人福祉費、児童手当、心身障害児者施設、難病対策等については、社会福祉関係費を大幅に増額し、保育所、老人施設、心身障害児者施設、医療施設等の福祉施設の緊急整備、並びに社会福祉施設従業員の増員と待遇改善をはかるべきであり、以上のことを含む社会保障、社会福祉施設の充実をはかるため、この際、総合的な年次計画を立てることを求めるものであります。(拍手)
三つには、生活環境の整備であります。
公共賃貸住宅の建設戸数は、これを年間百万戸にふやし、政府出資並びに補助金の増額等により、家賃の値上げを押えるべきであり、下水道、ごみ処理施設、公園緑地の拡充、生活道路、大量輸送機関、交通安全施設等の整備、農村地域の生活環境の改善等、生活環境関係予算を大幅に増額すべきであります。
また、土地投機を規制し、土地税制の強化、公有地の拡大、地価の抑制など、総合的な土地政策を確立し、強力に実施することを要求いたします。
四つには、公害対策と自然環境の保護についてであります。
公害関係法令を再改正し、公害原因者負担原則に立って、企業に公害防止施設の整備を行なわせること、発生源規制の強化並びに総排出量規制の実施など、公害防除施策を強化するとともに、公害監視体制を拡充するよう、大幅な予算措置を行なうべきであります。
被害者の救済措置についても、企業責任を明確にするとともに、公害被害者救済制度の改善をはかり、また、休廃止鉱山対策、公害関係研究体制の確立等をはかり、同時に、瀬戸内海等海域浄化対策の強化など、自然環境の保全整備を行なうことを要求いたします。
五つには、中小企業、農業対策であります。
ドル切り下げ、円の変動相場制移行に伴う被害から、中小零細企業を守るための緊急対策を強化し、下請企業対策及び労働者雇用対策の徹底、大幅な緊急融資を十分行なうべきであります。
また、中小企業信用保険公庫の出資金の増額と保証ワクの拡大、小規模事業助成の拡充、納税猶予の実施など、中小企業対策予算を大幅に増額し、あわせて中小零細企業の労働者福祉施設の整備を進めることを要求します。
農業対策につきましては、主要食糧の自給体制を確立し、食管制度の根幹を維持し、農産物の価格支持制度を拡充するとともに、土地改良事業など、農業基盤整備のための国庫負担を大幅に増額することを求めるものであります。
六つには、地方財政の強化であります。
地方財政の危機を打開し、生活福祉重点の政策を実施するため、地方財政を強化する必要があります。そのため、地方交付税率の引き上げ、国庫補助制度の改善、超過負担の解消等をはかるべきであり、また、危機に直面している公営企業に対し、国の助成を強化することを要求します。
七つには、教育・文化対策であります。
義務教育の完全無償化を実施するとともに、私学振興のための経常費補助を含む国庫助成を増額すること。奨学金制度の拡充をはかり、国公私立大学の授業料は値上げをしないこと。人口急増地域の不足教室の解消、僻地教育振興のための教育施設整備、教員の増員、さらに幼稚園施設整備、社会教育施設の充実等、教育関係費を大幅に増額することを要求します。
また、入場税を撤廃し、文化・スポーツ施設の整備、文化財の保護、芸術家、芸能人等の生活・医療共済制度の設置助成などの予算を大幅に増額することを要求します。(拍手)
第三には、歳出の減額についての要求であります。
その一つは、四次防計画を取りやめることであります。(拍手)
二つは、産業基盤整備のための公共事業費、特に産業道路整備の予算を削減するとともに、日本列島改造計画による先行投資や経費の支出は大幅に削減すべきであります。(拍手)
三つには、産投会計繰り入れ金の削減であります。
産投会計の大企業優先の融資につながる繰り入れ金は、削減することを要求します。
第四は、財政投融資計画についてであります。
財政投融資計画は、これを抜本的に改め、大企業、産業優先の運用を、住宅、生活環境など、国民生活改善、福祉優先の施策に大幅に投入することを要求します。
また、財政投融資計画の運用の民主化をはかるため、国会議決のあり方を抜本的に再検討すべきであります。
以上、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同して提案いたしました、昭和四十八年度政府予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議の理由及び概要を申し上げましたが、これらは、当面緊急を要する最低限度の要求であります。(拍手)
政府は、いさぎよく今回の予算を撤回し、すみやかに組み替えを行ない、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)
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