岡本富夫の発言 (本会議)
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○岡本富夫君 私は、公明党を代表いたしまして、昭和四十八年度予算政府三案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党が共同提出した予算組み替え動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
最初に私が申し上げたいことは、当面する通貨危機の現状の中で、すでに東京為替市場は再度の市場閉鎖を行ない、国際通貨会議の動向は、かつてない重要性を示しております。しかして、円の実勢から見て、予想外の円の大幅切り上げに立ち至ることは必至と考えられ、このことが日本経済に及ぼす影響は甚大であることは、容易に想像ができることであります。
したがって、政府は、国民の不安にこたえ、少なくとも、今日の円の実勢に照らし、その結果、変動する経済指数を具体的に明らかにし、われわれ野党が一致して組み替え動議を提出するまでもなく、みずから予算案を修正することこそ、責任ある政府の態度というべきであります。(拍手)
政府は、予算審議中において、今回の事態に立ち至った政治責任の表明で、今後政府がとるべき姿勢として、わが国の経済社会構造を福祉中心型構造へ転換するための努力をすると確約しているのでありますが、その後の通貨情勢の変化は、直ちに実行に移すべき状態に立ち至っているというべきであります。
それにもかかわらず、政府があくまでも原案どおりの予算案の成立を強行しようとしていることは、固陋頑迷に過ぎて、百害あって一利なく、みずから予算編成権の権威を失墜するものであり、国民の名において断じて許すことはできないのであります。(拍手)
すなわち、わが党をはじめ、野党各党が予算の組み替えをすべきであると主張しているのは、以上のような前提、そうしてそれと関連して、政府案が、その以前の政策課題に対しても全然こたえ得ないものとなっているからにほかならないのであります。
そもそも、今日の日本経済がかかえる福祉、円、物価といった政策課題が解決を迫られるに至ったのは、にわかにわき起こった問題ではありません。かねてからわが党が要求してきた国民福祉優先への経済体制への転換に対し、政府は反省することなく、いたずらに大企業優先、輸出至上、生産第一主義のもとで、国民福祉の向上を押えつけて、もっぱら高度経済成長政策を推し進めてきた当然の帰結であります。
したがって、これら政治課題の解決は、経済成長は一体だれのためにあるのか、その原点に立ち戻らなければ解決はしないのであります。
本来、国民福祉の向上のためにあるべき経済成長が、一部大企業の発展のためにすりかえられてきたことは、根本的な誤りであります。
あたかも、国際経済社会において壮年期に達した日本経済は、その体質においては、低福祉国という欠陥体質をつくってしまったのであります。したがって、日本の急務は、国民の福祉を向上させることであり、それを実践に移し、健全な経済体質を保持しなければなりません。そのためには、従来のインフレ促進型の経済成長と資本の高度蓄積の路線を完全に放棄する必要があります。
しかしながら、政府案が示す経済運営は、従来の路線を踏襲して、何ら国民本位となっていないのであります。
すなわち、経済見通しは、実質一〇・七%の成長率、これは三十六年から十年間の年平均実質成長率一一%に匹敵する超高度成長を継承し、その成長の見通しのもとで、二兆三千四百億円という巨額の国債を発行し、日本列島改造計画をてことして、依然として産業優先の高度成長、インフレ経済を推進しようとしているのであります。
政府は、四十八年度予算案を自画自賛し、社会資本と社会保障を重視した財政主導型に転換したいと言っておりますが、そのバックボーンはどこにもないのであります。
四十八年度の財政資金は、四十七年度補正を含め、一般会計は十五兆円、さらに、四十七年度財政投融資計画の消化実績から判断して、四十八年度に財投が実際に使う金は八兆円から八兆五千億円になるのであります。こうしたインフレ大型予算をカムフラージュするために、社会資本整備のための財政の大型化、主導化は必要であるとか、資源配分の適正化が必要だと言っているにすぎません。
しかし、経済の実質成長率が二けたの成長が見込まれる四十八年度財政が、これほど大型化したことは、財政の景気調整機能から見るならば、投資乗数効果によって有効需要を拡大することは間違いなく、インフレ景気刺激型であって、そのことを社会資本整備の必要性や資源の配分の適正化でごまかすのは許されないことであります。(拍手)
これまでのわが国の財政運営を資源配分重視型に転換する前提として、世界でまれに見る低率の大法人の税負担の是正、資産所得、高額所得優遇税制の抜本的改正等の対策がとられ、財政の所得再配分機能が十分に働く条件を整えることが必要であります。
政府案は、生産第一、大企業優先の歴代保守政党の政策と何ら変わりはなく、政治の流れを変えるとか、あるいは決断と実行などということは、おせじにも言えないのであります。(拍手)
以下、政府案の内容について反対する理由を述べます。
その第一は、政府案は、庶民生活切り捨ての物価値上げ予算であるということであります。
政府案は、一方では、大量の国債発行をもとに、財政規模を安易に膨張させ、インフレをあおり、他方では、国鉄運賃や健康保険料などの公共料金の値上げをしようとして、政府みずからが物価高騰を主導し、さらには、地価安定のめどが立たないままに日本列島改造を先行しようとするなど、二重、三重の物価値上げ予算になっております。
現に、大商社などによって生活必需物資までが買い占められ、異常騰貴を見せており、去年の卸売り物価の急上昇のはね返りや、野菜価格の先行不安なども合わせると、物価問題はさらに深刻化することは必至といわなければなりません。
物価の安定を要求する国民の合意を無視し、これに逆行した物価値上げ予算を編成した政府の責任は重大であります。
わが党は、この際、日本列島改造のための産業基盤投資関係予算を削除して、また、国債発行を大幅に減額し、また国鉄、健保の料金値上げなど、公共料金値上げをストップすることを強く要求するものであります。
第二に、政府の宣伝ずる福祉充実が全く見せかけのものであり、いわんや、福祉経済への転換などということは、及びもつかない予算案であるということであります。
政府は、社会保障関係費の伸び率をあげて、福祉充実予算であると宣伝していますが、社会保障関係費の一般会計に占める割合は、昨年度の一四・三%をわずかに〇・五%増したにすぎないのであり、しかも、福祉向上のビジョンは何ら示されていないのであります。
また、福祉充実の一枚看板であるといわれる年金は、老人福祉年金が月わずか千七百円アップのみであり、はなばなしく登場した五万円年金のキャッチフレーズも、掛け金の引き上げを先行させ、厚生年金において実際に五万円年金を給付される者は受給者のうち約一割であり、国民年金に至っては、夫婦五万円の受給は、実際には早くても十三年後ということであり、これでは看板に偽りありといわざるを得ないのであります。(拍手)
わが党は、老齢福祉年金三万円を、また厚生年金六万円、国民年金夫婦で六万円の実施を、修正賦課方式によって実現することを強く要求するものであります。
第三には、来年度税制が福祉税制逆行の税制改正であることを指摘しなければなりません。
政府は、大幅所得減税の公約を踏みにじり、国税の自然増収だけで二兆五千億以上見込まれているにかかわらず、国税、地方税を合わせてわずか五千億程度の減税にとどめてしまっております。
予想される物価高から国民生活を守り、福祉向上をはかる意味からも、大幅減税は当然であり、政府案では税負担の不公平を助長するだけであります。
さらに、大企業の法人税引き上げが見送られ、租税特別措置法の改廃が小手先の細工に終わり、さらに地価高騰や土地投機抑制のために期待された土地税制も骨抜きに終わったことは、とうてい納得ができないものであります。(拍手)
政府において、真にわが国の経済体質や産業構造を転換し、さらに所得再配分の公平を期する意思があるならば、大法人税率を四〇%以上に引き上げ、勤労所得税の課税最低限を標準世帯年収百五十万円に引き上げ、また、大法人、資産所得者に対する租税特別措置の撤廃をし、土地税制を強化すべきであると思うのであります。
第四には、社会資本の充実の面でも、生活環境施設整備が対前年度比六一・四%と大幅に増加したと政府は声を大きくして宣伝しておりますが、前年度に対して、増加額八百六十億円は、道路整備費の増加額千八百七十八億円を大きく下回っており、政府があくまでも産業優先の姿勢を変えていないことは、公共事業費によって占められる産業基盤投資が六五・五%を占めていることを見ても明らかであります。
これでも政府は、資源配分の適正化だとか生活関連社会資本の充実だと言い得るかどうか。生活関連整備をあと回しにし、決して国民の命や生活を重視した資源配分を行なっていないことは明瞭であります。公共住宅年間百万戸の建設をはじめ、生活環境関係予算とともに、公害関係予算の大幅増額を強く要求するものであります。(拍手)
第五には、中小企業と農業の危機を一そう深刻化する予算であるといわねばなりません。
現在、すでに事実上の大幅円切り上げに直面した中小企業者は、一昨年十二月の切り上げによる被害が続出し、その影響は想像以上のものがあります。
政府はかねてから、中小企業に対して重大な影響を与える円再切り上げは絶対に回避すると言い続けてきたのであり、この政府の公約をだれよりも期待しておったのは中小企業者であると思うのであります。その中小企業者に対してその責任を明確にする意味からも、万全な予算措置が必要であります。
しかるに、政府の中小企業対策予算の伸び率は、予算規模の伸び率よりはるかに低く、大幅な円の切り上げが予想されるに至った今日の事態を全く予想していない予算案なのであります。
政府は、当面の切り抜け策をもっぱら金融政策にゆだねようとしていますが、大幅な緊急融資はもちろんのこと、助成の拡充、下請企業対策及び労働者雇用対策の徹底、さらに減税、納税猶予を実施するなど、中小企業対策予算を大幅に増額すべきであります。
わが国農業は、米作の減反と買い入れ制限の中で食管体制はくずされ、一方、農産物の自由化の促進は果樹、畜産経営をも脅かし、まさに危機に直面しておるのであります。国際社会にあっては、すでに世界の食糧危機が訴えられ、国内にあっては、急速な都市化現象と相まって、農業経営の危機が叫ばれ、加えて商社の投機が動く中で、主要食糧の自給体制の確立と農業経営の健全化は急務であります。政府の予算案は、この基本的な課題に対してこたえてはいないのであります。
この際、わが党は、農業基盤整備に対する国庫負担をはじめ、食管制度の根幹を維持し、農産物の価格支持制度の拡充のため、予算の大幅増額を要求するものであります。(拍手)
第六には、本年度の防衛予算は、昨年度から開始された五兆一千億にのぼる四次防計画が本格的に予算化されたものであり、従来の専守防衛構想から逸脱し、攻撃型の兵器を増強したきわめて危険きわまりない内容を持っているものであります。
たとえばF4ファントム要撃戦闘機、大型護衛艦をはじめ攻撃的性格の兵器が増強され、しかも、兵器増強に伴う自衛官の大幅増員、南西航空混成団の新設、旧軍の軍医制度復活を意図した防衛医大の新設や予備自衛官の増員、さらには兵器の国産化による産軍複合体制の強化、在日米軍基地の統合による強化等、日米安保体制堅持の姿勢と連動して、軍事国家へのレールが着々と敷設されている意図が明らかであるといっても過言ではありません。
わが党は、アジアの平和に逆行し、軍事力増強政策を具体化する防衛予算は断じて認めることはできないのであります。したがって、四次防計画を取りやめ、さらに三次防の国庫債務負担行為の打ち切りをし、防衛関係予算を大幅に削減し、それを福祉関係予算に振り向けることを要求するものであります。(拍手)
以上、申し述べただけでも数々の欠陥を持つ政府の予算には、とうてい賛成できないのであります。(拍手)
わが党は、三野党とともに、これを国民生活優先の予算にするため、組み替え動議を提出いたしましたが、政府は、この動議を真摯に受けとめるとともに、野党四党の背景には自民党をこえる国民の支持があることをよくよく理解すべきであります。(拍手)
これをもって、政府予算三案には反対、野党四党の組み替え動議に賛成する私の討論を終わります。(拍手)