渡辺武三の発言 (本会議)

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○渡辺武三君 私は、民社党を代表し、政府提案の昭和四十八年度一般会計予算案、特別会計予算案及び政府関係機関予算案の三案に対して一括して反対するとともに、野党四党共同の政府予算案組み替え要求動議に賛成する態度を明らかにしたいと思います。(拍手)
 わが党が政府予算案に反対する第一の理由は、円の実質的再切り上げによって、予算案の前提が根本から崩壊したということであります。
 言うまでもなく、政府はこれまであらゆる努力を払い、円の再切り上げは回避すると国民に約束をし、また、その前提で今回の予算案を編成したのであります。しかし、事実はすでに御承知のとおり、円は実質上の大幅再切り上げを余儀なくされ、為替市場は長期にわたって閉鎖をされているなど、予算の前提条件は根本からくずれ去っているのであります。
 しかるに、政府は、あたかもこれを天災地変によって受けた災害のごとくに装い、何らその責任を痛感しないばかりか、一片の反省すらうかがい得ないのであります。(拍手)
 かつて、この壇上より、国民のための政治を決断し、実行いたします、そして結果についての責任をとりますと言明されたのは、そも何人であったでありましょうか。(拍手)
 総理がここに決断し実行すべきは、このような大きな変化に対応するために、いまこそこの予算案を組み替えることにありと考えます。
 民社党をはじめ野党四党が、その基本的な主張の違いにもかかわらず、共同して政府予算案の組み替え要求動議を提案をしました最大の理由は、この際、国民福祉の飛躍的増大をはかることによって、今後の円の再々切り上げを防止することが当面緊急の課題であると考えたからであります。(拍手)
 しかるに、政府は、このような国民の切実な要求を無視し、野党の主張に耳をかさず、政府原案を多数の横暴によって押し通そうとする態度は、まさに反国民的な硬直姿勢そのものをむき出しにしたものであり、(拍手)わが党の断じて認めがたいところであります。
 政府予算案に反対する第二の理由は、今回の予算案が国民生活を一そう苦しめるインフレ促進予算であることにあります。
 田中総理は、わが国政が直面している最大の課題である土地政策に何らの対策を講じないまま、いたずらに日本列島改造論を強調し、ために地価の暴騰、証券の高騰、それがひいては大豆、木材、綿糸などの生活必需品への投機を引き起こし、いまや日本列島はインフレの危機にさらされているのであります。(拍手)
 しかるに、今回の予算案は、この物価高にブレーキをかけるどころか、一そう景気の過熱をあおり立てようとしているのであります。
 すなわち、第一に、旅客運賃の二三・二%など、大幅な国鉄運賃の値上げを画策し、第二に、土地政策は無為無策のまま国土の総合開発を強行して、全国的な地価の上昇をもたらし、第三に、無原則かつ大幅な国債の発行によって予算の大型化をはかり、財政面からインフレを促進しているのであります。
 民社党は、四党共同組み替え案の中にその骨子を述べておりますが、この際、インフレを抑制するためには、あらゆる施策を尽くして国鉄運賃の値上げはこれを取りやめるべきであり、土地価格の安定をはかるためには、まず土地利用公社の設立によって政策の方向を明示すべきであります。
 また、一方において、法人税の引き上げ、富裕税の創設などによって国債の減額を行なうことなどを強く主張しているのであります。
 これらインフレ対策を全く無視した政府予算案に対しては、わが党は断じて反対せざるを得ません。(拍手)
 第三に指摘しなければならないことは、現在国民が最も切実に要求している福祉の飛躍的増大に対して、政府予算案はきわめて冷淡なことであります。
 わが党は、この国民の要求にこたえるために、さきに、国民福祉四倍増五カ年計画を策定し、政府にその実現を迫ってまいりましたが、政府は、依然としてその易しのぎの糊塗策に終始しているありさまであります。
 現に、政府案は、口で福祉充実を唱えながら、その実質は、老齢福祉年金がわずか月額五千円にすぎず、また五万円年金構想も、それは見せかけのものであり、特に国民年金に至っては、その実施は昭和六十一年度からという、遠い遠い将来の計画にすぎないのであります。しかも、健康保険、厚生年金、国民年金ともに、その掛け金は大幅に引き上げるという、それはまさしく、低福祉高負担そのものといっても過言ではありません。(拍手)
 なおまた、老人、心身障害者の福祉施設とそこに働く従業員対策についても、その約九〇%を民間の協力に依存するなど、政府の社会保障、社会福祉政策は、何ら国民の期待にこたえてはおりません。これでは福祉国家の建設は、言うべくして、その実行は全く不可能であります。
 政府予算案に反対する第四の理由は、防衛費が大幅に増大されていることであります。
 わが国の防衛予算は、年々急膨張を続け、昭和四十八年度は九千三百五十四億円にも達し、ここに四次防はその第二年目を迎えようとしております。このような政府の防衛力増強計画に対して、いまや国民は深い危惧の念を抱いております。
 わが党は、自主防衛の必要性を認める立場に立ちながらも、国民的合意なくして、いたずらに防衛力増強計画だけを独走させることは反対であり、(拍手)また、日中国交回復、ベナトム和平などアジアの緊張緩和の現状にあって、ことさらに防衛力の増強をはかることは、まさに時流に逆行するものと断ぜざるを得ません。(拍手)
 われわれは、わが国が率先をして防衛費の削減をはかることによってアジアの緊張緩和を一そう促進することこそが、わが国の安全と平和を守る賢明な路線であると確信をいたします。政府の予算案は、防衛費を拡大し、わが国を再び軍事大国へとのめり込ませるおそれあるものでありますから、強く反対せざるを得ません。(拍手)
 最後に、私は、いまこそ国民のために、政治が決断をされ、実行されなければならぬときが来たと思います。総理は、みずからの公約どおり、まずその第一歩とし、この四野党共同の組み替えを求める動議の線に従い、本予算案を編成替えされんことを強く要望し、政府予算案に対する反対討論と、野党四党の共同組み替え動議に対する賛成の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 渡辺武三

speaker_id: 4971

日付: 1973-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議