大村襄治の発言 (本会議)

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○大村襄治君 私は、ただいま議題となりました議員小林政子君の懲罰を求むるの動議に関し、その趣旨を御説明申し上げます。(拍手)
 去る四月二十六日の物価問題特別委員会における議員小林政子君の総理大臣に対する質問のうち、推測に基づき事実に反する発言によって、個人の名誉をはなはだしく傷つけ、院の品位を失墜させる部分があったことは、以下申し上げます調査事実をもってしても明白であり、国会法並びに衆議院規則に違反しており、懲罰の対象となることは明らかであります。(拍手、発言する者多し)
 したがって、私ども提案者は、公の場である国会において、一国の総理大臣を誹謗、中傷し、さらに善良なる市民の名誉と権利を傷つけるこのような行為を、このまま見のがすことはできません。(拍手、発言する者多し)
 よって、ここに国会法第百二十一条第三項の規定に基づき、木部佳昭君を代表とし、以下六名の連名をもって、議員小林政子君に対する懲罰動議を提出した次第であります。(拍手、発言する者多し)
 その事実を明らかにすれば、まず第一に小林君は、株式会社上牧荘が、上越新幹線上毛高原駅予定地から一・五キロメートル以内に土地を購入した事実があると繰り返し指摘されていますが、私の調査によると、そのような事実は全く認められません。(拍手)すなわち、株式会社上牧荘は、群馬県利根郡月夜野町大字石倉において旅館業を営んでおりますが、その位置は、上毛高原駅予定地より距離にしておよそ六・五キロメートル離れた地点にあります。また、その敷地として約一万六千七百平方メートルを所有しております。この土地は、現在の株式会社上牧荘が経営する以前の経営者から引き継いだもので、登記簿上は、昭和四十四年十月一日に合筆登記となっておりますが、これは登記上の整理を行なったにすぎません。また、敷地の買い増しの大部分は、昭和四十三年二月に地続きのがけ地一千六百二十九平方メートル、すなわち、五百坪にも満たない土地が購入されていますが、これは地続きの土地を買い増したにすぎません。また、小林君は、昭和四十三年から四十四年にかけて、株式会社上牧荘が石倉地域の土地を相当買っていると申されていますが、これは、合筆登記を新規取得と誤認して、いかにも大量の土地がその時点において売買されたかのごとき発言をされたのではないか。もしそうだとすれば、軽率きわまりない不謹慎な発言といわざるを得ないのであります。(拍手、発言する者多し)
 以上のほか、株式会社上牧荘は、現在旅館が建っている地点に近い月夜野町大字上牧字岩竹日影に、昭和四十三年五月に従業員の福利厚生施設の建設予定地として、四千四百二十七平方メートル、すなわち、千三百四十坪ほどの土地を購入しております。これもまた、小林君がいう、土地が相当買われているとはいえないのであります。
 以上の土地のすべては、小林君の指摘するような地域内には全く所在しておりません。したがって、同駅から一・五キロメートル以内で大規模の土地を買いあさっているがごとき小林君の発言は、事実に反するものと断定せざるを得ないのであります。(拍手、発言する者多し)
 第二に、新幹線計画が発表された時点の中で、駅の近辺の山林原野が相当買われている事実について責任を感じないかどうかとの質問については、小林君の指摘する時点及び地域の中での土地の購入が行なわれていないことは明白であり、したがって、責任の有無を論ずること自体がナンセンスといわざるを得ないのであります。(拍手、発言する者多し)
 あたかも総理大臣が、その地位を利用し、土地の買占めに加担しているがごとく事実を歪曲し、国会という公の場において、マスコミを通じ多くの人々に誤解を与えたばかりでなく、一国の代表者である総理大臣の名誉を著しく傷つけようとする発言以外の何ものでもないといわなければならないのであります。(拍手、発言する者多し)
 さらに重大なことは、善良なる市民に対する国会議員小林政子君としての責任について申し上げなければなりません。
 すなわち、議員小林君は、国会の場を利用して、事実を確かめもせず、内閣総理大臣の友人であるということだけで、善良なる市民を名ざしで買占めの張本人であるがごとき発言を行なったのであります。
 このことは、事実無根のことを公の場で名ざしで発言することによって、総理大臣はもとより、何らの関係もない国民に対し、多大の迷惑を及ぼしたことは明白であります。ことに、サービス業を営んでいる本人にとっては、社会的信用を失い、名誉を著しく傷つけられ、営業はもとより、私生活にも甚大なる影響を受けております。このことは、国会議員が院における発言を院外で責任を問われることのない、免責特権を与えられていることをいいこととしてこのような発言をしたとするならば、傷つけられた人は、その責任をだれに問えというのでありましょうか。国会の場でのみ、これらの人を守る以外に守る手だてはないのであります。このようなことがもし国会の場で許されるならば、もはや国会議員の権利の乱用であり、言論の暴力以外の何ものでもありません。(拍手、発言する者多し)したがって、議員の発言は、慎重の上にも慎重でなくてはならず、国会の権威と議院の品位を守る上でも、小林君の発言が不適当であったことは明々白々であり、他の責任を云々する以前に、小林君自身、みずからの責任を猛省すべきであると思うのであります。(拍手)
 第三には、政治的地位を利用して、あたかも田中総理大臣が、株式会社上牧荘が土地を取得するのに当時の地位を利用して協力したかのごとき発言は、全く事実無根であります。
 なぜなら、田中総理大臣が党役員在任中に、鉄道建設審議会委員になり、その審議に参加した事実はありますが、この審議会の任務が、新幹線建設については、純然たる基本計画及び整備計画を運輸大臣が決定するための諮問機関であり、路線並びに駅の位置等については、具体的な審議をした事実もなく、従来からこれらのことを審議しないたてまえになっていることは周知のことであります。また、この審議会の委員の構成を見ても明らかなように、自由民主党以外に、社会党や公明党の議員も審議会委員として参加し、公正な運営をはかっているのであります。
 さらに、株式会社上牧荘が土地を取得した時期と上越新幹線計画との関係は全く認められません。
 なぜなら、上越新幹線の構想が始まったのは、昭和四十四年五月新全国総合開発計画の決定に始まり、昭和四十六年一月十八日に東北、上越、成田新幹線の基本計画が公示され、これに基づいて同月十九日公団及び国鉄に調査の指示が出されたのであります。この時点で初めて路線等について具体的に計画が着手されたものであります。いわんや、駅の位置について検討に入ったのは、四十六年四月一日であり、上毛高原駅の決定は同年十月十四日に行なわれたのであります。
 以上によっても明らかなように、株式会社上牧荘が上越新幹線計画を事前に知り得る立場にもなく、また同荘の土地取得が、時期的にも新幹線計画とは何ら関係もないことは明白であり、総理大臣が当時の地位を利用して情報を事前に提供したかのごとく推測することは、事実を無視することはなはだしいものがあるといわざるを得ません。
 以上のとおり、私の調査したところによりますと、議員小林君の発言は、全く事実に相違するばかりでなく、個人の名誉を著しく傷つけ、国会の品位を失墜させる発言と断ぜざるを得ないのであります。(拍手、発言する者多し)
 およそ国会議員は、議院内での発言は、院外で責任を問われないということは、憲法第五十一条の規定により保障されておりますが、このことは、決して、院内では何を言ってもよい、何をしてもよいということではなく、むしろ院内の言動はあくまで国会議員みずからの責任において、事実に基づいて正々堂々行なわれるべきであり、単なる推測に基づいて個人を誹謗したり、国会の品位を傷つける等の行為が断じてあってはならないことは論をまたないところであります。(拍手)
 私は、これまでに小林君とは、大蔵委員会で席を同じくし、同君の平生のまじめな態度にはひそかに敬意を抱いておりました。(拍手)しかるに、同君の今回の発言は、同君の平生に似ない無責任かつずさんきわまりない発言であり、どうしてこのような発言をされるに至ったか、私の理解に苦しむところであります。同席の委員の方々も、おそらく同様の感を抱かれたものと思います。もし、小林君の発言が、同君の意思のみに基づくものにあらずして、周囲に動かされての発言であるとすれば、事は一そう重大であるといわねばなりません。
 何となれば、そのようなことは、言論の自由に名をかりて、国会を一党一派の宣伝の具に供しようとするものであり、そのようなことが放置されるならば、国会の秩序を守り、その品位を保つことはとうてい不可能となり、ひいては、議会制民主主義の崩壊につながるものといわざるを得ないのであります。(拍手、発言する者多し)
 しかも、その後、同君より、何らの反省の意思表示もなく今日に及んでいることは、個人の名誉と権利を守るべき国会の権威を失墜させた責任は、まことに重大といわなければなりません。国会の品位と権威を保ち、国民の信頼をつなぐためにも、このことを看過すべからざるものといわなければなりません。(拍手)
 したがって、われわれといたしましても、物価問題特別委員長に対し、小林君に対する善処を申し入れましたが、遺憾ながらその意に沿っていただけない旨の意向がありましたので、ここに、小林君の発言を断じて許されざることとして、同君に対する懲罰動議を提出し、その理由を明らかにした次第であります。(拍手)
 何とぞ、党派の別なく、わが国の民主主義議会政治の健全なる発展のためと、国会における発言のあるべき真の姿を取り戻すためにも、ふるってこの動議に御賛同あらんことを切に要望いたしまして、提案理由の説明といたします。(拍手)
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発言情報

speech_id: 107105254X03219730510_003

発言者: 大村襄治

speaker_id: 17030

日付: 1973-05-10

院: 衆議院

会議名: 本会議