堀昌雄の発言 (本会議)
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○堀昌雄君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同提案いたしております昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
まず、動議の主文を朗読いたします。
昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、少なくとも左記の点を含めて速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
右の動議を提出する。
まず最初に、昭和四十九年度予算の編成替えを求める理由を申し上げます。
その第一は、この予算が見せかけのインフレ対策予算であるということであります。
今日の異常な物価高騰、インフレの高進は、国民生活をかつてないほどの深刻な危機におとしいれておりますが、こうした事態は、政府・自民党の大企業中心の高度経済成長政策と対米追従の外交政策によってもたらされたものであり、とりわけ、日本列島改造計画に基づく経済、財政政策の破綻を示すものであるといわざるを得ません。しかるに、昭和四十九年度予算は、依然として、日本列島改造計画を撤回せず、消費者米価、国鉄運賃などの公共料金の据え置きもわずか半年間にしかすぎないなど、インフレを促進する予算となっているばかりでなく、総需要抑制といいながら、巨額な国債発行を行ない、相変わらず高い水準の産業基盤投資を続け、加えて、防衛費を一兆円の大台に乗せているのであります。
一方、予算圧縮を理由として、地方財政に対しては大きな圧迫を加えております。さらに、石油危機を口実とした大企業の便乗値上げを野放しにし、大企業代表の国会証人喚問すら拒否するなど、政府の物価安定短期決戦のかけ声にもかかわらず、この予算は、物価安定とはほど遠いものとなっているのであります。
第二の理由は、この予算が弱者切り捨ての福祉軽視予算であるということであります。政府の福祉重点のかけ声にもかかわらず、生活保護基準も福祉施設入所者の措置費も二〇%の引き上げにとどまり、老齢福祉年金はこの十月以降やっと月額七千五百円となるにすぎません。これでは、年率二〇%をこえる消費者物価の上昇のもとでは、全く焼け石に水であり、福祉の一そうの低下が目に見えております。
しかも、健保家族と国保加入者の患者負担がふやされ、保険料率の引き上げも予定されております。これらは、とりわけ老齢者、生活困窮者、障害児者、難病患者などの生活を塗炭の苦しみに追いやるものであり、さらに、公共住宅建設戸数を四万五千戸削減するなどは、まさに弱者切り捨て、福祉軽視の予算であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
組み替えを求める第三の理由は、不公平と格差の拡大につながる予算であるという点にあります。
いわゆる二兆円減税も、インフレ、物価高に苦しむ勤労大衆の救済を内容とするものではなく、給与所得控除の上限撤廃、高額所得層の税率軽減など、減税の重点を高額所得層に置いております。この政府案は、すでに、総合累進課税体系が崩壊し、高額所得層ほど税負担が低下している逆累進の傾向をますます助長し、税の不公平を一そう拡大するものであります。
農業予算についても、食糧自給度の向上と農業再建に対する抜本対策を放置し、また、総需要抑制による引き締めと、石油危機を口実とした大企業の横暴のもとで、中小零細企業の経営の困難が一そう深まり、倒産がふえているにもかかわらず、中小企業予算は、相変わらず予算の〇・六%にすぎないという事実を指摘しなければなりません。
第四の理由は、この予算は地方財政を圧迫し、地方自治を侵害するものであるという点にあります。
国の予算規模縮小のための操作として、四十九年度地方交付税のうち千六百八十億円の削減を強制したことは、物価高の中で超過負担と福祉財源に苦しむ地方財政を一そう圧迫し、地方自治を明らかに侵害するものであります。さらに、昭和四十四年度予算編成の際に、今後、政府は、地方交付税の借り上げ措置は避けると約束したことをも破る、きわめて不当な措置であるといわねばなりません。
その第五の理由として、四次防推進の予算である点に触れねばなりません。
防衛関係費が前年度に比べて千五百七十六億円もふやされ、ついに一兆円の大台をこえ、引き続き四次防の強行がはかられていることはきわめて重大であります。これは平和を願う国民のとうてい承認できないものであり、インフレ対策にも完全に逆行するものであります。
また、さきの総理が東南アジアを訪問された際の諸国でのわが国の経済侵略反対の反日デモにも見られるように、自民党政府の東南アジア政策に対する批判がますます強くなっているにもかかわらず、政府は、これに根本的な反省を加えないばかりか、資源外交強化に名をかりて、経済協力費を大幅にふやしているのは問題であるといわざるを得ません。
以上のような、明らかに国民生活を軽視し、当面の緊急課題にも対処し得ていない予算を、私たちは容認することはできません。政府予算、財政投融資計画を根本的に再検討し、国民の生活と福祉優先の予算に編成し直し、国民の期待にこたえるべきであります。(拍手)
次に、編成替えに関する要求について、歳入歳出それぞれの立場から、具体的に提案するものであります。
予算は、国の内外政策の全体にかかわる問題であり、その編成については、各党それぞれに見解を持っているところでありますが、国民生活擁護の緊急問題について、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党は、ここに共同して、政府が昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算を撤回し、少なくとも次の点を含めて編成替えをすることを要求するものであります。
まず、歳入の関係については、第一に、大衆減税と税の公平化をはかる点にあります。
その一つは、物価高の中で勤労者の税負担の緊急大幅減税を行ない、また、生活費非課税の原則を貫くため、所得税は、四人家族で年収二百十五万円まで無税とするよう、世帯構成に応じた税額控除を行ない、低所得層中心の減税を行なうこと。住民税についてもこれに準じて大幅に減税を行なうこと。
その二として、中小零細事業者に対しては、法人税率の引き下げなど大幅な税の軽減を行なうこと。
その三は、印紙税の引き上げ、自動車関係諸税の引き上げ、電源開発促進税の創設は取りやめること。
その四は、大企業の法人税率を四二%以上に引き上げ、法人受け取り配当の益金不算入、支払い配当税率軽減措置は廃止すること。
その五は、大企業、資産所得、高額所得者に対する負担を強化し、各種の特権的な減免税措置は廃止すること。また、大企業の交際費課税の強化、広告費課税の新設、さらに有価証券の取引、譲渡所得に対する課税を強化すること。
その六は、土地税制を改革し、法人所有の土地譲渡所得の完全分離、高率課税及び大法人所有の土地の適正な評価等による土地課税の強化をはかること。
その七として、大企業に対し、臨時の法人利得課税を行なうこと。
以上の諸点を取り入れて大衆減税を行ない、税の公平化をはかることを提案するとともに、あわせて、この際、国債発行を大幅に圧縮し、減額することを強く求めるものであります。
次は、歳出に関係する組み替え要求であります。
その第一は、インフレ、物価高を抑制するため、まず、消費者米価、国鉄運賃、家庭用電気料金、小口電力料金など公共料金の値上げをストップし、消費者米価の物統令適用を復活すべきであります。また、大企業の便乗値上げを押え、生活必需物資の優先確保、価格及び需給安定のため、買占め売惜しみ規制法の運用の強化、専任価格調査官の増強をはかり、権限委任に伴う地方自治体への国庫負担を大幅に増額すべきであります。さらには、大企業の管理価格に対する規制と監視機構の強化とともに、公正取引委員会の強化、充実をはかること。生鮮食料品の生産増強、流通対策費を大幅に増額すること。消費者保護行政の強化、生活協同組合への助成などの措置を講ずること。
以上の諸点をあわせて強く要求するものであります。
第二は、社会保障と福祉の拡充に関する要求であります。
現下の緊急課題は、各種社会保障給付の賃金、物価自動スライド制を創設することであります。そのため、各年度の各種社会保障給付額の引き上げは、年間平均賃金の上昇率に見合って引き上げること。また、短期的には緊急物価スライド制を採用し、物価上昇率に見合って給付額を引き上げることであります。あわせて、老齢福祉年金、障害、母子、準母子年金を大幅に増額するとともに、厚生年金、国民年金については、従来の積み立て方式を賦課方式に改め、同時に、支給額の大幅な引き上げを行なうため、制度の抜本的改革を行なう必要があります。
次に、生活保護費、老人福祉費、児童手当、心身障害児者対策、難病対策等の社会福祉関係費については、これを大幅に増額し、公費医療制度を拡大することによって、すべての難病者、六十五歳以上の老齢者、三歳以下の乳幼児の医療費を無料にすべきであります。さらに、健康保険料の引き上げをやめ、医療保険に対する大幅な国庫補助を行なうこと。保育所、老人施設、心身障害児者施設等の社会福祉施設及び医療施設の緊急整備をはかること。福祉施設の措置費を増額し、社会福祉従事者、各福祉施設職員、医療従事者の増員と待遇改善をはかること。加えて、被爆者援護法を制定し、医療の無料化、被爆者年金と遺族年金の新設、介護料等の大幅な引き上げをはかることが緊要であります。
以上の諸点を含む社会保障と福祉の拡充をはかるため、早急に社会保障長期計画を立て、財政対策を確立するよう重ねて要求するものであります。
第三は、土地と住宅並びに環境保全対策についてであります。
従来の産業基盤整備を重点とした投資のあり方を全面的に転換し、公共投資、財政投融資とも、住宅、環境衛生、社会福祉施設、病院、学校などの整備を優先して集中投資を行なうことが最も肝要であります。同時に、公共賃貸住宅を大幅にふやし、民間自力建設依存の住宅政策を転換するとともに、地価を抑制し、生活関連、公共用地を確保するため、大企業、大地主の買い占め土地の放出、地価の凍結、土地税制の改革等土地緊急対策を強力に実施すべきであり、あわせて、公害防止、環境保全の対策の強化を求めるものであります。
第四は、労働者、農業、中小企業対策に関する要求であります。
労働者の実質賃金の引き上げ、週休二日、週四十時間労働制などの労働条件の改善、雇用の安定、失業対策の充実をはかり、失業保険の改悪は行なわないことを強く求めるものであります。
農業に関しては、特に、おもな農畜産物の自給率の向上と備蓄制度の確立、価格補償制度の改善充実をはかること。農地三十万ヘクタールの転用をやめて、休耕地の復元、主要農畜産物の生産奨励対策の拡充等を強化することを求めるものであります。
また、中小零細企業の資材と資金の確保をはかり、経営の安定のための予算を増額するとともに、金融面では、政府関係金融機関の貸し出しワクの増大、融資方法の改善をはかることを強く求めます。
第五は、資源、エネルギー政策を確立することにあります。
資源、エネルギーの安定的供給を確保するため、石油のメジャー依存の供給体制を改め、自主的エネルギー政策を確立し、炭鉱の一方的閉山を中止して、石炭対策と新エネルギー源の開発政策の強化及び資源浪費型産業構造の転換を求めるものであります。
第六は、教育予算の充実についてであります。
義務教育の完全無償化を進め、教職員の定数改善、小中高校等の学校教育施設の国庫負担の増額と超過負担の解消をはかり、幼稚園、保育所の大幅増設と施設費公費負担の増額、高校入学希望者全員入学の保障、私学への財政補助の拡充をはかるよう要求いたします。
第七は、地方財政の拡充を求めるものであります。
地方財政充実のため、シビルミニマムを保障するに足る自主財源を付与し、超過負担の完全解消をはかるべきであり、地方交付税千六百八十億円の削減は取りやめること。地方債の起債ワクを拡大し、財政資金の割合を高めるべきであります。
次に、列島改造計画の撤回を求めます。
日本列島改造計画、新全総、経済社会基本計画を中止し、大企業中心の産業基盤整備のための公共投資を縮減すること。これに伴い、新幹線、高速道路などの大型プロジェクトを凍結または大幅縮小し、新たな大規模工業開発を再検討すること。国総法はこれを直ちに撤回することを要求いたします。(拍手)
いま一つは、防衛費の削減であります。
四次防をとりやめ、兵器装備などの防衛費を削減して、これを生活福祉関係費に回すことを要求します。
最後に、財政投融資計画が国民本位に運用されることを求めます。
財政投融資計画は、資金配分のあり方を根本的に改め、大企業への低利融資や産業基盤投資を削減し、大蔵省資金運用部資金をはじめ、開銀、輸銀等の資金運用の詳細を国会に報告させ、審議することとし、もって国民生活の向上に役立つよう、抜本的に再検討することを要求いたします。
以上、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同して提案いたしました昭和四十九年度政府予算につき撤回のうえ、編成替えを求めるの動議の理由及びその概要を申し上げました。
これらは、野党四党が一致して提案する要求であり、同時に、国民の期待する、国民の立場に立った要求であります。政府は、いさぎよく今回の予算を撤回し、すみやかに組み替えを行ない、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)
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