諫山博の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○諫山博君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和四十九年度予算三案に反対し、日本社会党、日本共産党、公明党及び民社党共同提案にかかる、政府原案を撤回し編成替えを求める動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
現在、異常なインフレと物価高の中で、国民は言い知れぬ不安のうちに毎日を送っています。このような時期の予算は、何よりもまずインフレ抑制、国民生活防衛を最優先させ、大企業の利益をきびしく抑制するものでなければなりません。
ところが、政府の予算は、このような事態を招いた政府・自民党の責任をいささかも反省せず、幾らかの手直しはしたものの、依然として対米従属、大企業優先の路線を取り続けています。しかも、危機打開の名のもとに、国民にいまより以上の犠牲をさえしいようとしているのであります。
第一に、この予算では、物価定安、インフレ抑制を期待することは全くできません。
ことし二月の卸売り物価は、東京で前年同月比三七%の上昇、消費者物価は二四%の上昇を示しました。中小企業は、原燃料、資材不足と金融引き締めのダブルパンチで、倒産が急増しています。電力削減、公共事業削減を口実とした大企業の合理化攻撃で、失業、半失業の脅威が広がっています。しかも、間もなく石油の再値上げが行われるというので、国民生活は一そう深刻な打撃にさらされています。
一方、アメリカ石油十社の昨年の利益は、前年を五一%上回って、七十八億ドルに達しています。日本の大企業も、石油危機を誇大に宣伝して、反国民的な荒かせぎをしました。石油精製、元売り企業が便乗値上げによって手にした超過利潤は、一日十億円にも達しています。
政府は、総需要抑制などといって、いかにも大企業本位の高度成長政策の手直しをするかのように宣伝しています。しかし、実際は、総需要抑制の名のもとに、国民に総がまんを押しつけています。国民生活に一そうの犠牲を強要することによって、大企業への犠牲をいかにして少なくするかに、なみなみならぬ苦心を払っているのであります。
現に総理は、日本列島改造計画を放棄するとは言いませんでした。そのための国総法の成立をいまなおあきらめておりません。高速自動車道路には五千億円という前年並みの資金を、国鉄投資額の半ばを占める新幹線建設には三千六百億円もの巨費をつぎ込もうとしています。防衛関係費を一六・八%も伸ばし、産業基盤中心の公共事業費は、四十八年度の繰り延べ分を合わせると、三兆円に近い巨額になっています。そしてさらに、二兆一千六百億円もの赤字公債を発行するのであります。こうしたことは、大企業の買い占め、売り惜しみ、物価つり上げの野放しと相まって、このたびの予算が、物価安定とはほど遠いものであることを示しているのであります。
第二に、この予算は、福祉重点を唱えながら、実際には、国民生活向上どころか、逆に国民の負担を強め、生活破壊を促進するものになっています。政府は、社会保障関係費三六・七%増を盛んに宣伝しています。しかし、これではわが国の社会保障の劣悪な内容は依然として改善されません。生活に困る人々や老人、子供、障害者など、社会保障の充実を切実に求める人たちの要求にこたえる内容とはほど遠いのであります。老齢福祉年金は、引き上げられたとはいえ、月額わずかに七千五百円です。しかもその実施は十月以降に引き延ばされています。国民年金の受けられない七十歳前の、いわゆる谷間の老人に対する老齢特別給付金は、月額四千円から五千円に引き上げられるにすぎません。これでは、どうひいき目に見ても、お年寄りを大事にする予算とはいえないのであります。(拍手)
日本共産党・革新共同は、老齢福祉年金をさしあたり月額一万五千円に引き上げ、厚生年金は月額最低四万円、夫婦で六万円、国民年金は三万円に引き上げることを主張します。生活保護基準も、昨年十月の五%アップを含めて、わずかに二〇%の引き上げにすぎません。インスタントラーメンさえ一袋四十円から六十円に値上がりしたという現在、一食百円にも満たない食費で、一体どうして生活していけというのでしょうか。これでは、文字どおり焼け石に水というほかはないのであります。生活保護基準は直ちに五割引き上げるべきであります。
鳴りもの入りで宣伝された二兆円減税も、実際には初年度で一兆四千五百億円にすぎません。しかもその内容たるや、高額所得者への税率の緩和、給与所得控除の上限の撤廃など、高額所得者優遇の、いわゆる重役減税となっているのであります。このような上厚下薄でなく、勤労者には大幅減税、大企業、大資本には厳正な課税をしなければなりません。四人家族の所得税課税最低限は二百万円に引き上げるべきであります。法人税率を累進制にし、十億円以上の所得については、税率を四三%まで引き上げるべきであります。中小零細法人の税率は五%引き下げることを主張します。
住宅、下水道、環境衛生、公園など、生活関連施設の整備費は二一%ふやされています。しかし、資材費が高騰していますから、工事量の大幅ダウンとなることは避けられないのであります。公共住宅の建設戸数は、前年度より四万五千戸削減されました。しかも、家賃と分譲価格の大幅引き上げさえやられようとしています。住宅難は、解決するどころか、ますます激しくならざるを得ないのであります。
地方財政の危機を打開し、住民の暮らしを守ることも、緊急な課題になっています。
政府は、超過負担解消に特段の努力を払ったなどといっています。しかし、地方自治体の実態はなまやさしいものではありません。政府の補助単価をはるかに上回る自治体の設計単価によってさえ容易に落札しないという深刻な事態が各地で生まれています。われわれは、超過負担を解消するため、社会福祉施設、学校、住宅、下水道など、生活基盤整備については、直ちに補助単価を実勢単価に見合ったものに引き上げることを主張します。地方交付税交付金の削減をやめ、地方交付税率を現行の三二%から四〇%に引き上げるべきであります。
第三に、政府が日米軍事同盟を堅持し、軍国主義の復活、強化をはかっているという問題であります。
横須賀は、空母ミッドウエーの母港となり、第七艦隊の重要な根拠地とされました。ミッドウエーのトンキン湾への出動や、中東戦争に際しての在日米軍のアラブ諸国への露骨な軍事脅迫は、日米安保条約がアメリカの全世界における侵略と軍事挑発に奉仕するものであることを白日のもとにさらしました。
総理の東南アジア訪問のとき、インドネシアなどの諸国で総理に対する爆発的な抗議が起こったことは、アメリカと一体となった新植民地主義的経済進出に対するきびしい批判であります。
政府がこれらについて何の反省も示さず、国民生活がこれほど深刻な破綻に追い込まれているというのに、対米従属、憲法違反の自衛隊の侵略的強化を目ざす経費や、独占資本の新植民地主義的海外進出をはかる経費を大幅にふやしているのは、きわめて重大であります。
防衛関係予算は、 ついに一兆円を突破しました。前年度に比べても、実に千五百七十六億円もの増加であります。これこそが不急不要予算の最たるものといわなければなりません。(拍手)
これがいかにとほうもないものであるかを示す一例をあげましょう。
三菱重工など軍需独占資本につぎ込まれる軍事研究開発費が、百二十二億円も計上されています。これは、何と、日本の基礎科学の研究をささえている文部省の科学研究補助金百四十億円とほぼ匹敵する金額であります。軍事研究費が単独で基礎科学の研究費と同額に迫るということは、この予算の侵略的、反動的性格を最も端的に証明するものであります。(拍手)
対外進出費は、一般会計の経済協力費六百五十九億円と、財政投融資、特別会計などを含めると、まさに総額一兆円規模のものであります。この膨大な予算を使って、東南アジアなどで、政府と独占資本が、現地の支配層や政府との癒着を強め、アメリカ帝国主義とも新しい形で結合していくなら、抑圧されている現地国民との対立を一そう深める結果になっていくことは当然であります。
昭和四十九年度の予算審議にあたって、日本共産党・革新共同は、何よりも国民の利益を守る立場から、事実に基づき問題点を積極的に解明して、建設的な方向を打ち出してきました。予算審議を通じて、この激しいインフレ、高物価の原因が、政府・自民党の大企業本位の政治にあることがいよいよ明白になってきました。大企業が、国民の苦しみをよそに、石油危機を千載一遇のチャンスとして、とほうもない荒かせぎをしていることも裏づけられました。そして、今日の異常な物価高騰の最大の元凶が、これら大企業と、これと癒着した政府・自民党であったということが、動かすことのできない事実として明らかになったのであります。(拍手)
しかし、わが党をはじめとする国民多数の声を無視し、徹頭徹尾証人喚問に反対した自民党のために、大企業の常軌を逸した不当行為をこれ以上追及することが大きくはばまれました。これは自民党と大企業の癒着がいかに根深いものであるかを、あらためて国民の前に暴露したものであります。(拍手)
また、予算審議において、国民福祉、社会保障、教育施設の拡充強化、地方財政の逼迫など、国民生活の全般にわたって積極的な提案と要求が出されたにもかかわらず、政府・自民党はこれに耳をかそうとせず、あくまでも国民に冷酷きわまる予算をそのまま押し通そうとしています。これこそまさに反国民的な立場以外の何ものでもないのであります。
さらに、審議の過程でもう一つ明らかになったのは、分析化学研究所の問題であります。国民の命と健康に重大な影響を及ぼす問題でのでたらめな報告が、長期にわたって放置されてきました。このことは、自民党政府が、アメリカの侵略的軍事政策に協力するためには、国民の命や健康を全く軽視していることをまのあたりに示したものであります。(拍手)
これら一連の事実は、田中内閣にはもはや適正な予算の策定も執行も期待できないということをあらためて証明したものであります。
以上のように、本予算は、その内容においても、審議過程にあらわれた政治姿勢から見ても、とうてい賛成することのできないものであることはきわめて明らかであります。
日本共産党・革新共同は、以上のような国民生活破壊の予算を、文字どおり物価の安定と異常なインフレからの国民生活防衛を最大の柱にし、四次防の中止、軍事費の大幅削減、列島改造計画の中止、公共投資の産業基盤中心から生活基盤中心への転換、福祉の向上、農漁業、中小企業への積極的な援助、自主的エネルギー政策の確立、対米追随と新植民地主義的外交政策の転換など、経済、外交政策の根本的転換への第一歩を踏み出す予算とするよう、強く要求するものであります。(拍手)
以上の立場から、日本共産党・革新共同は、四党共同提案の四十九年度政府予算の撤回、編成替えを求める動議に賛成するとともに、政府提出の四十九年度予算に断固として反対することを明らかにして、私の討論を終わります。(拍手)
なお、最初に日本共産党と発言したのは、日本共産党・革新共同の誤りでありますから、訂正いたします。(拍手)