山田太郎の発言 (本会議)
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○山田太郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十九年度予算政府三案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党が共同提出した予算組み替え動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
最初に、私は、予算案を編成する政府の基本的な姿勢について申し上げたいのであります。
狂乱ともいうべき物価の上昇は、すべての国民の生活に重圧を加え、庶民の苦悩と怨嗟の声はちまたに満ちあふれております。この物価狂乱の真の原因は、自民党長期政権の政策の誤りや失敗によるものであり、高度経済成長路線によって恒常化されたインフレ政策にさらに輪をかけたのが田中内閣の経済政策の失敗であるといえます。
すなわち、田中内閣は、発足以来、物価の抑制と福祉の充実をこいねがう国民の声を無視し、その中核的政策としている日本列島改造計画に固執して、四十七年度には公共投資の追加を軸とした大型補正予算を組み、四十八年度には、さらに前年度比二四・六%という記録破りの大型積極予算を組んだ財政政策の失敗は、いまやだれの目にも明らかであります。
さらに、財政政策の失敗と並んで、為替政策の失敗と、それに伴う金融緩和政策は、大企業の手元流動性を高め、土地、株式及び木材その他生活必需物資への投機を激発させたのであります。
このような一昨年来の政策の失敗によって物価の騰勢が加速されていたやさきに、石油危機が追い打ちをかけたのであり、物価狂乱はすでに石油危機以前にその素地を持っていたというべきであります。
しかもこの石油危機なるものの実態が、昨年十二月末における輸入量から見ても、政府や業界が宣伝したようなものではなく、つくられた石油危機であったということであります。その中で、大企業のほしいままの便乗値上げによって、一般消費者は、物質的にも精神的にも甚大な損失を受けてきたのであります。それらは、予算委員会の審議において、大商社あるいは大企業が、塗炭の苦しみにあえいでいる国民の生活を無視して、悪らつな商法によって巨額の利得を得た上、しかもその利得を隠匿しようとしてきた事実等をもって、国民の前に明らかにされたのであります。
さらに、つけ加えねばならないことは、このような不当利得をほしいままにする業界から、政府・自民党が巨額の政治資金を受け取っているということであります。次々に明らかにされたこれらの実態から、もはや、政府・自民党に物価の安定を求めることは、百年河清を待つにひとしいといわなければなりません。(拍手)
したがって、四十九年度予算編成にあたって、政府は、政府・自民党と業界との癒着を断ち切り、敢然として大企業の横暴を押えることはもちろんのこと、今日までの歴代自民党政権、なかんずく田中内閣は、みずからの政策の誤りをはっきりと認め、その前提に立って予算編成に当たるべきであったのであります。しかし、残念ながら、今日までの予算委員会の審議を通して、その決意と実践を見ることができないのであります。
以下、政府三案に反対するおもな具体的理由を申し述べます。
第一には、政府案は、見せかけだけのインフレ、物価対策しか講じていないことであります。
政府は、物価安定を目ざし、総需要抑制のために予算規模を圧縮したと宣伝しておりますが、それは不当表示以外の何ものでもありません。予算規模の伸び率が前年対比で二〇%を切ったことは地方交付税の操作によるものであり、内容的に見ても、公共事業費の伸び率低下は災害復旧事業費が著しく減少したことなどに負うもので、異常な高い伸び率であった四十七年度、四十八年度と事実上同水準の巨額な額になっていること、公債を二兆一千六百億円も発行していること、さらに、防衛費が一兆円台に乗せたことなどから見て、決して政府のいうような総需要抑制型予算になっていないのであります。
しかも、消費者米価、国鉄運賃などの公共料金の据え置きもわずかに半年間にすぎず、大企業のやみ価格協定や管理価格を排除するために国民が期待している公正取引委員会の予算も、わずか一六・六%の伸びにすぎないのであります。これでは、国民が望む物価安定の実現は期しがたいと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
第二には、当面の事態に対処するために政府に要求されているのは、インフレ、物価高の被害を最も受ける社会的に弱い立場に置かれた人々の生活を守るという至上課題であり、あるいは進んで国民福祉の向上をはかることでありますが、政府案はそれにこたえていないということであります。
年率二〇%をこす消費者物価の上昇のもとで、老齢福祉年金は、十月以降月額これまでの五千円から七千五百円に引き上げられるにすぎません。また、生活扶助基準も、福祉施設入所者の措置費も二〇%どまりという程度であります。しかも健保家族と国保加入者の患者負担がふえ、保険料率の引き上げも予定されるという状況であります。生活保護世帯、老人、身障者等の生活を守るためには、物価高騰を押えることとあわせ、生活権を保障するに足りる社会保障関係費の手当てがなされなければならないことは言うまでもありません。同時に、西欧先進国に比べ著しくおくれているわが国の社会保障を充実するために、早急に社会保障長期計画を立て、これを実施する必要があるのであります。
さらに、政府案は、住宅不足が五百万戸ないし八百万戸といわれているにもかかわらず、公共住宅建設戸数を四万五千戸削減したり、政府の政策の失敗によってとらざるを得なくなった総需要抑制による中小企業の倒産についても、積極的な対策をとっていないのであります。
第三には、政府の税制改正案についてであります。
政府は、四十九年度において、夫婦子二人の標準世帯で、所得税の課税最低限を百五十万円に引き上げようとしていますが、この程度の減税では、物価高騰にきびしい生活を余儀なくされている国民生活を安定させることはできません。また、今回の所得減税は、給与所得控除の上限をなくしたり、高額所得者の累進税率を緩和するなど、上厚下薄の減税となっており、国民の要請とは反するものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
さらに、大法人の税率はようやく四〇%に引き上げたにすぎず、その他、利子、配当所得に対する優遇措置、法人の受け取り配当に対する減免措置を温存してしまっているのであります。私は、このような不公平を拡大する税制改正に反対するものであります。
第四には、政府案は、地方財政の困窮に何ら配慮をしないどころか、地方交付税のうち、一千六百八十億円の削減をしていることであります。
地方財政の超過負担は、年を追うごとに深刻な問題になっており、国民生活と関連した社会福祉施設及び文教関係施設までも、実質的に不備、不足を増大する状態になってきております。国に交付税を貸し付けした措置については、四十四年の約束を破るものであると同時に、余裕のない地方財政を圧迫するものであり、断じて認めることはできないのであります。(拍手)
第五には、政府の軍事増強政策に反対する国民の意向を無視し、しかも、一方では総需要の抑制を強調しながら、防衛関係予算を一兆円台に乗せ、四次防を優先強行しようとしていることであります。現在、国民が強く要求していることは、政府が国民生活防衛を最優先しなければならないことであります。したがって、私は、政府に対し、防衛関係予算を大幅に削減し、国民生活を防衛するために財源を振り向けることを強く主張するものであります。(拍手)
以上、四十九年度予算政府三案に反対するおもな理由を申し上げましたが、政府・自民党は、国民経済の非常事態と国民生活の危機を逆用した大企業の反社会的な、利潤追求の悪どい企業活動と狂乱物価が、みずから過信した経済成長至上主義によるものであるとともに、大企業優先の高度経済成長の中で形成された日本経済の体質であるということをみずから認め、いまこそ国民生活の防衛を主軸とした経済政策へ転換することが緊要であることを認識すべきであり、四野党の共同組み替え動議にこたえ、みずから政府案を修正すべきであることを要求いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)