江崎真澄の発言 (本会議)

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○江崎真澄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました田中内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 元来、内閣不信任案なるものは、実際に政権を担当する能力と資格のある政党が提案することによって、初めて意義づけられるものであります。(拍手)政権を託するだけの国民の信頼も得られず、また、その主義、政策において、とうてい現実の政治をになう資質も能力も備えていない野党が、この時期にあたって無理やり不信任案を出しましたことは、党利党略以外の何ものでもありません。(拍手)国民は、内閣不信任案をあまりにも簡単に政争の具としてもてあそぶ野党の諸君に対し、激しい怒りを覚えることでありましょう。(拍手)
 野党の諸君は、今回の参議院選挙の結果が、何かわが党政府に対する国民の不信を示すような言い方をされます。わが党は、なるほど、参議院において若干の議席を失いました。しかし、依然として衆参両院において過半数以上の勢力を確保しておることに変化はないのであります。(拍手)
 もとより、私たち自由民主党は、政府与党であります。責任政党であります。したがって、選挙に示されたところを、昨年末の異常物価等に対する国民のきびしい批判を表示したものとして、謙虚にこれを受けとめ、深く反省するとともに、党の近代化を進め、国民的信頼のもとに、自由主義社会の発展に資することを真剣に考えておるものであります。(拍手)
 しかし、全国区、地方区を通じ、その得票数、得票率は、わが党に対する国民の支持の大勢は決して変わっていないということを、ここにはっきりと申し上げることができるのであります。
 すなわち、わが自民党は、その得票数において、前回四十六年の参議院選挙に比べ、五百五十七万票も多い二千三百三十三万票を獲得したのであります。(拍手)また、地方区においても、三百三十万票を上積みすることを実現いたしたのであります。これは、確かに投票率が高かったことにもよりましょう。しかし、その得票率におきましても、全国区においては前回とほぼ同じ四四・三%を確保し、地方区においても、この多党化の時代において、自民系の票数を合算すれば、四一・九%を保つことができたのであります。(拍手)
 これに対して、いま自民党をあしざまにののしって不信任案を出されておりまする社会党の諸君はどうでありますか。何か勝ち誇っておられるようにさえ見受けられるのでありますが、諸君はほんとうにそれで良心に恥じないのでありますか。投票率がきわめて高かったにもかかわらず、社会党は、全国区の場合、前回よりも五十万票減票しておるじゃありませんか。(拍手)また、その得票率におきましても、二一・三%から一五・二%へと急落をしておるじゃありませんか。(拍手)また、地方区におきましても、三一%から……(発言する者あり)これは地方区です。三一%から二六%へと転落いたしておるのであります。(拍手)まさにその低落ぶりははなはだしく、今次選挙を客観的に見まするならば、社会党の長期低落傾向こそ大きな特徴と言えるでありましょう。(拍手)
 また、共産党に対しても一言申し上げなければなりません。諸君は、大都会においては、すでにして頭打ちの状況を示したのであります。特に東京都における得票率の著しい低下、共産党も、政治に関心の高い大都会では、ついに月おくれの雑誌のように魅力を失いかけておることを反省すべきであります。(拍手)
 これらの数字は、国民が決して大きな政治的変化を求めなかったことの一つのあらわれであります。自民党政権の交代を求めたものではなく、私たちは、自民党に対し、異常物価に対する厳粛な反省と、より適切にして強力な政策の推進を求めた鞭撻であると受けとめておる次第であります。私は、むしろ、国民のきびしい審判は、革新のかなめであると自負しながら、すでにして主体性を失ってから久しい社会党にこそ、鉄槌が下されたことを指摘しておくものであります。(拍手)
 さて、次に申し上げたいことは、野党が従来のような非現実的な観念論や無責任な政策を捨てない限り、とうてい実際の政治を担当する資格がないということであります。選挙を前にして、それぞれ連合政府綱領なる作文を発表されましたが、いずれも現実性のないまぼろしのようなものばかりであったのであります。
 国家として最も基本であるべき憲法に対する考え方、国の安全と防衛に関する政策、外交政策、政治経済の社会体制、すなわち、自由と民主主義等の基本において、マルクス・レーニン主義の共産党や、これと同工異曲の社会党、人間社会主義をいわれる公明党、民主社会主義の民社党が、根本において相いれないのは当然の帰結であります。
 このような性格の異なるそれぞれの野党が、連合して国政を担当できるわけがありません。そのことは、過ぐる参議院選挙におきましても完全に露呈されたではありませんか。野党間における政策論争は、いわゆる政策論争というものではなく、まさしく口げんかであり、ののしり合いさながらであったではありませんか。(拍手)
 また、社会党、共産党の諸君は、自由経済体制による経済の成長を否定しながら、社会保障は画期的に拡充をする、教育は飛躍的に振興をする、食糧はすべて自給する、消費者米価へのはね返りは忘れ捨てにして、生産者米価は六〇%以上も値上げをする、給料は大幅に引き上げる、現実の予算に比べて、数倍も金のかかるような架空の政策をおくめんもなく並べ立て、一方では、税金は思い切って軽くすると訴え続けたのであります。
 諸君、民主主義を生んだイギリスの政治は、政権担当能力のある野党が、平素からシャドーキャビネットを用意し、国民の考えが変われば、いつでもスムーズに政権交代を可能にいたしておるのであります。政府案に対しては、野党も必ず具体的な代案を国民に示し、政府と同じように国民の批判を受けるのであります。イギリスの民主政治が、与野党共同責任に立つ政治といわれるゆえんは、まさにそこにあることを知らなければならないのであります。
 以上申し述べましたとおり、このたびの内閣不信任案は、全く提案の資格すらない野党の根拠なき中傷であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 次に、この臨時国会において政府が所信表明演説を行なわないことを、不信任の理由の一つにあげておられるのであります。
 この国会は、国会法第二条三の規定に基づき、参議院の構成を目的として召集された臨時国会であります。法案の提出、その他特に必要な事情がない限り、政府の所信表明等は行なわないのがたてまえであることをよく認識されたいのであります。(拍手)政府の当面の施政方針とその具体的内容、特に物価問題等に関する考えや進め方は、会期百八十五日間という、まさに半年以上に及ぶさきの長期国会において十分論議し尽くされたところであります。しかも、続く選挙戦におきまして、最も具体的に、政府及びわが党の政策をくまなく全国民に訴えてまいったのであります。その後わずかにして十七日間を経て召集されたのが、この臨時国会であります。新たな法案も提出しないのに、所信表明の必要がどこにあるかと申し上げたいのであります。(拍手)政府及び党は、常に公約した政策は、その財源の見通しをはっきりと立て、責任をもって実行する段階において初めて所信を表明することこそ、責任ある政党の態度であります。(拍手)
 公務員給与の改善にいたしましても、国家公務員、地方公務員、国家、地方の財政合わせて二兆二千億円の巨額にのぼるのであります。これをわずか数日間のうちに片づけようというのは、それこそ無理というものであります。人事院勧告をそのままに実行するかどうか、それこそ財源の問題と十分にらみ合わせ、その可能性をしっかりと確かめた上においてすみやかに実行することこそ、わが党の態度であることを申し上げておきたいのであります。
 次に、物価問題であります。
 野党の諸君は、口を開けば、物価の問題は田中内閣の責任のように申されますが、昨年末の異常な物価高は、世界各国共通の悩みであります。先ほど私が例にとった民主主義の先進国イギリスにおいてすら、物価高を背景にして非常事態宣言をしたではありませんか。内閣が更迭するほどだったではありませんか。イタリアの政変はどうです。かれこれ……(発言する者多し)それくらい世界的な悩みになっておるのです。かわれと言われるが、日本の場合は、政権交代の能力が残念ながら諸君にはないということです。
  〔発言する者多し〕

発言情報

speech_id: 107305254X00319740731_015

発言者: 江崎真澄

speaker_id: 3035

日付: 1974-07-31

院: 衆議院

会議名: 本会議