米原昶の発言 (本会議)
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○米原昶君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、賛成の討論を行なうものであります。
まず第一に、不信任の理由として指摘しなければならないことは、田中内閣が、さきの参議院選挙で示された国民の厳粛な審判に挑戦し、民意に基づいて政治を進めるという議会制民主主義の基本をまっこうから踏みにじって、強権的政治姿勢を露骨に示したことであります。(拍手)
田中総理、あなたは、選挙直後の記者会見で、国民の審判は冷厳に受けとめるとか、謙虚な気持ちで話し合いによる国政の運営に当たりたいなどと、まことにしおらしい言明をいたしました。ところが、報道によれば、一昨日の自民党の議員総会では、これとは全く逆に、政府、多数党の言い分を通して、国会運営にけじめをつける必要があるなどと称し、選挙で示された国民の審判に対して、これを受け入れる一片の誠意もない態度を示しているのであります。(拍手)
政府・自民党は、参議院選挙後の臨時国会は、参議院の構成をすることが中心で、政府の所信表明は義務づけられていないなどと強弁しているが、言うまでもなく、選挙後の国会で、政府が選挙に示された国民の審判にこたえて所信を明らかにし、国民が解決を求めている緊急課題について十分な審議を行なうことは、昭和三十四年、国会法改正以来の慣例であるだけでなく、議会政治の基本であり、政府とその与党の当然の責務であります。まして、選挙後、ますます急を告げる物価問題、損害二千八百億円をこえる災害問題など、国民生活にかかわる緊急課題は、今日その解決に一刻の猶予も許されないのであります。
ところが、田中総理と自民党は、今臨時国会に向けられた国民の広範な世論を全く踏みにじり、不当にも、会期をわずか八日間とすることを強行議決した上、国民が強く要求してきた物価集中審議はもとより、所信表明、緊急質問をはじめ、一切の実質審議を頑強に拒否する態度をとり続けたのであります。
田中総理や自民党は、こうした問題に対して、長い国会が終わって、いまは行政に時間をかすことが大事だなどと言っております。しかし、これは全く言いのがれであり、国民を愚弄するものといわなければなりません。そもそも、行政に時間をかすなどと言うが、国民は、ほかならぬ田中内閣の反国民的行政そのものに対してきっぱりと審判を下したのであり、現に行なわれている公共料金値上げなどの行政自体を、根本的に転換することを強く要求しているのであります。(拍手)
また、田中総理は、昨年の国会では、反動法案をゴリ押しするために、憲法、国会法をじゅうりんした通年国会の構想を叫び立て、今度の国会では、国民のきびしい審判の前に、審議抜きで国会を早々に閉会しようとしているが、このような態度こそ、まさに国政と国会を私物化するものであり、議会制民主主義を根本から踏みにじるものといわなければならないのであります。
今臨時国会をめぐって露呈されたこのような反国民的態度こそ、田中内閣が、選挙で国民のきびしい審判を受けた大企業優先、国民生活無視の政治について、何ら反省する意思も能力も持ち合わせず、もはや国民から完全に遊離した存在にすぎないことを明白に示すものであります。(拍手)
第二に重大なことは、国民が緊急に解決を求めている国民生活の危機、とりわけ、物価問題に対する田中内閣の冷酷きわまる反国民的態度の問題であります。
田中総理、あなたは、選挙中、国民の最大の関心事である物価問題について、いまの物価問題は、台風でかわらが飛んで雨漏りがした程度などの発言をおくめんもなく繰り返しました。国民生活の実態からおよそかけ離れたこのような認識しか持ち得ない田中内閣に対して、国民がきびしい審判を加えたことは、当然過ぎるほど当然であります。
しかるに、政府・自民党は、この国民の審判など全く足げにし、国民に挑戦して、政府主導のもとに、大企業本位の物価値上げを次々に容認し、狂乱物価へ一そう拍車をかけているのであります。石油、電力、鉄鋼などの値上げに続いて、選挙後直ちに、私鉄、洗剤、アルミ、セメントなど、一連の公共料金、基礎物資価格の値上げを強行し、さらに、ガス料金、国鉄運賃、消費者米価などの大幅値上げ認可をたくらんでいるのであります。
新価格体系の名のもとに、政府と大企業が一体となって推し進めているこのような物価の法外な引き上げのもとで、勤労者の家庭はとめどもない生活不安に脅かされ、とりわけ、生活保護世帯、老人、母子世帯などの窮状はまことに深刻なものがあります。また、総需要抑制の名による犠牲の転嫁によって、中小企業や農業の危機はますます深刻の度を加え、毎月一千件になんなんとする中小企業の倒産が続いているのであります。
総理は、このような物価問題についても、政策準備のためにしばらく時間をかしてほしいとか、準備ができてから臨時国会を開けばよいなどと言っております。だが、もしほんとうに準備がないというのであるなら、現在政府が行なっている公共料金の引き上げなどは、何ら正当な根拠もないままに、全く無準備のままに行なっていることをみずから暴露したものといわなければなりません。(拍手)
もはや、このような田中内閣こそ、国民生活の最も残酷な破壊者であり、国民の利益と両立し得ない存在であることは、いまやだれの目にも明らかであります。(拍手)
第三に、外交問題について見ても、田中内閣の責任は重大であります。
政府は、韓国軍事政権に対しては、事件発生後ほぼ一年になろうとしているのに、金大中事件について何一つ解決しようとせず、最近では、二人の日本人学生に対する軍事裁判問題さえ発生しているのに、田中内閣が主権国家としての正当な措置を何一つとろうとしていない事実など、国の進路にかかわる重大な問題について、国民の不安と疑惑は、かつてなく強まっているのであります。政府がこれらの問題について何ら具体的、積極的対策を講じていないことは、断じて許すことができないのであります。
最後に指摘しなければならない問題は、田中総理の選掌中のさまざまな発言問題についてであります。
教育の反動化、国会運営の改悪、列島改造計画の強行などの発言に示された露骨な高圧的政治姿勢の問題、わけても、国政の根本にかかわる重大問題として黙過できないのは、総理が高知市で演説した際、明治から百年の今日、四十五カ国を相手にして戦いができたのは教育の成果であるなどと言い、日本軍国主義による侵略戦争に対して公然たる賛美論を展開したことであります。さらに、総理は、山形市で演説した際、海外に出る道を断たれ、自分たちが働いた製品も受けられないような情勢をつくられたとき、四十五カ国を相手についに戦いをいどんだとも述べ、侵略戦争賛美論をさらに露骨に展開したことであります。
田中総理のこれらの発言は、侵略戦争を二度と繰り返さないという反省の上に立って、わが国再建のために取り組んできた国民の努力を踏みにじり、国の進路を誤らせるものであり、現行憲法の前文、すなわち、「政府の行鳥によって再び職事の惨禍が起ることのないやうにすることを決意する」という精神を、まっこうからじゅうりんするものにほかならないのであります。(拍手)
このように、侵略戦争を肯定する総理の存在が、現行憲法のもとではたして許されるでありましょうか。総理は、一体、この国際的にも重要な発言をそのままにして、今秋の一連の外遊などに出かけることができるとでも思っているのでしょうか。この一事だけをもってしても、総理は直ちに辞任すべきであると私は強く主張するものであります。(拍手)
さらに、田中内閣の反動的本質を露骨に示した問題として、今回の選挙にあたり、積年の自民党の悪政に対する国民の批判を力づく、金づくで押しつぶすために、財界、大企業と一体となって、金権選挙、企業ぐるみ選挙を進めてきた問題があります。
田中総理みずから、かつてない規模と露骨さで推進してきた金権選挙の醜悪な実態は、自民党議員にかかわる大規模な買収、供応を中心とした腐敗選挙として、その一端が明るみに出されつつあります。
本来、言論で争うべき選挙戦が、買収、供応等、金力によって踏みにじられることは、主権在民、議会制民主主義というわが国政治の基盤を根本から破壊する、許しがたい反国民的犯罪といわなければなりません。(拍手)
だが、田中内閣の罪悪は、ただ以上にとどまるものではありません。田中内閣が政権を担当して以来二年間、その悪政の数々は枚挙にいとまがないのであります。その結果、いまや、自民党の得票率はすでに四〇%を割っており、田中内閣、自民党は、すでに国民の痛烈な不信任を受けているものであることを銘記すべきであります。
田中内閣が一日長く存在すれば、国民の不幸と苦しみはそれだけ一そう悪化していくのみである、このことはいまや明白であります。
田中総理は、あなたに残された道は、いまや直ちに政権の座を去ること以外にはないのであります。
私は、国政革新を願う広範な国民とともに、田中内閣の即時退陣を要求し、本決議案に対する賛成討論を終わるものであります。(拍手)