堀昌雄の発言 (本会議)
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○堀昌雄君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党と公明党が共同提案いたしております昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求める動議につき、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
すでに動議の案文につきましては、お手元に配付してありますので、御参照いただきたいと思います。
まず、動議の主文を朗読いたします。
昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、少なくとも次の諸点を含めて速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
右の動議を提出する。
まず最初に、昭和五十年度予算の編成替えを求める理由を申し上げます。
三木内閣は、口では対話と社会的不公正の是正を唱えながら、施策の実態は、まさに有言不実行の、全くのまやかしであり、このことは、三木内閣初の本格的予算とも言うべき五十年度予算の実態が、如実に証明しているところであります。
すなわち、昭和五十年度予算は、次のような基本的な欠陥を持っております。
その第一は、物価の安定、社会的公正の確保を公約しながら、公共料金の値上げ、独占禁止法の改正、あるいは公害規制に対する態度など、大企業と資産所得者の利益を守り、物価、賃金の悪循環論を振りかざして、インフレと不況の犠牲を国民に転嫁しようとしていることであります。このような姿勢では、社会的公正に反するばかりか、インフレと不況を一層拡大することは必至であります。
第二は、三木内閣の看板である福祉の充実も、老齢福祉年金等のわずかの底上げをしたにすぎず、これでは、放置されてきた福祉充実にはほど遠く、また、国民年金、厚生年金の賦課方式の実施や、年金額の引き上げも見送られてしまっているのであります。
さらに、教育費の父母負担が増大する中で、入学金、授業料の大幅値上げを黙視し、国公、私立間の格差是正のための処置はとられず、義務教育無償の措置も進まず、高校全入制への具体策もとられていないのであります。
その三は、税制改正でも、インフレ下での物価調整減税すらできず、かえって、酒税、たばこの値上げ等、間接税の増税を行い、大企業、高額所得者や資産所得者に対する不公平税制を温存し、高度経済成長政策のもとに体系化された税制を、いささかも転換しようとしていない点を指摘せざるを得ないのであります。
第四の理由は、今日の地方財政が、増高する行財政需要とインフレ、物価高のもとで、従来の貧弱な財政構造のままで膨大な超過負担を抱え、まさしく危機に瀕しております。にもかかわらず、何ら抜本的な措置を講じていないばかりか、逆に、事務所事業所税の創設に伴い、事業税の自主財源を制限しようとさえしているのであります。
五番目は、不況の中で、中小企業倒産対策、雇用、失業対策はきわめて貧弱であり、中小企業、労働者の不安は増大しております。一方、緊迫した農林漁業の危機打開を求める国民の声にこたえていないことは、全く遺憾なことであります。
その六でありますが、住宅、土地対策についても、建設戸数を実質的に削減し、住宅困窮者の期待を全く裏切っているのであります。三木総理の公約であります環境保全対策も、五十年規制の延長を初め、大幅に施策が後退をいたしております。
編成替えを求める理由の最後でありますが、国民生活優先の予算編成が強く求められているこのとき、依然として第四次防計画に固執し、防衛関係費を前年度よりも大幅に増額させているのは、国民の声を全く無視したものと言わざるを得ません。(拍手)
新規の装備費、研究費を初め、新規定員増に伴う人件費の全額削減、訓練、演習費等の大幅削減、継続費、国庫債務負担行為の凍結は、当然であると言わざるを得ません。
以上のような、国民生活軽視の予算を容認することはできないのであります。
日本社会党及び公明党は、これまでそれぞれの立場を明らかにし、予算委員会の中で、政府に施策の具体化を求めてきたところでありますが、国民生活の緊急課題について、ここに共同して、政府が昭和五十年度予算を撤回し、次に述べる基本方針及び重点組み替え要綱に基づき、編成替えを行うことを強く要求するものであります。(拍手)
次に、予算編成替えの基本方針について、御説明申し上げます。
今日の経済情勢は、インフレ、物価高騰と不況の併存というきわめて深刻な事態に直面し、社会的不公正はますます拡大されております。
当面する局面を打開するには、まず、これまでの政府・自民党がとり続けてきた大企業優先の高度経済成長政策の誤りを率直に反省し、国民生活優先の経済路線へ転換することが必要であり、同時に、この方向に沿って、インフレ、物価高の収束、不況の克服はもとよりのこと、現実にインフレ、物価高騰、不況の最も被害をこうむっている社会的に弱い立場に置かれている人たちの被害救済に、全力を挙げなければなりません。
したがって、昭和五十年度予算は、以上の立場を堅持し、次の五つの基本目標を貫く財政の重点的配分を行い、財政構造の根本的転換を図ることによって、インフレと不況の克服、不公平、不公正の是正、生活優先の方向に編成替えすることが必要であります。
一つ、インフレ物価高の抑制。
二つ、総需要抑制の質的転換と中小企業不況の打開、雇用の安定。
三つ、地方財政の危機打開と超過負担の解消。
四つ、公平な税制の実現と国民福祉の飛躍的拡大。
五つ、農漁業の基盤整備と公害防除、環境保全。
以上、五つの基本目標を土台として、次に、国民生活優先への重点組み替え要綱について、歳入歳出のそれぞれの立場から、具体的に提案をいたします。
まず、歳入の関係については、その柱として、勤労所得税の減税と、税負担の公平化を図ることにあります。
インフレ、物価高のもとで、勤労者の税負担の軽減を図るため、生活費には課税しないとの原則に立ち、低所得層中心の所得税減税を実施する。
このため、所得税は、四人家族年収二百八十万円まで無税とするよう、世帯構成に応じた税額控除を行うこと。
所得税の課税所得一千万円以上の部分については、累進税率を高めること。
資産所得課税を強化するため、利子所得、配当所得課税の特別措置を廃止し、株式譲渡所得課税を復活させ、有価証券取引税を強化し、さらに、個人の土地譲渡所得課税の特別措置は廃止し、また、富裕税を新設すること。
大企業の法人税率を四二%に引き上げ、他方、中小企業の軽減税率適用区分を拡大する。さらに、配当軽課税率の引き上げ、法人受取配当の益金不算入をやめること。
大企業優遇の価格変動準備金、異常危険準備金、及び内部留保の充実のための特権的減免税措置を廃止するとともに、交際費課税、政治献金課税を強化し、広告費に対する課税を創設し、一定割合を損金不算入とすること。
法人所有の土地に対し、土地再評価益課税を行い、土地譲渡所得に対しては、分離高率課税を行うこと。
酒税の税率の引き上げ、たばこ定価の値上げは行わないこと。
入場税は、一万円以上の高額料金等を除いて、廃止すること。
以上の諸点を取り入れて大衆減税を行い、税の公平化を図ることを提案するとともに、あわせて、この際、国債の発行を圧縮し、減額することを強く求めるものであります。(拍手)
次は、歳出に関係する組み替え要求であります。
その第一は、インフレ、物価対策の強化、公共料金、独占価格の規制についてであります。
酒、たばこ、郵便料金などの公共料金の値上げはストップすること。また、消費者米価の物統令適用を復活すること。
大企業の管理価格に対する規制と監視機構の強化を図り、主要商品の原価及び在庫の調査、公表を行うための専任の物価調査官を増員し、公正取引委員会の機構を強化すること。
国民生活安定法、投機防止法の運用を強化すること。
生鮮食料品の生産増強、卸売市場の整備、総合小売センターの設置等、流通機構の改革費用を増額すること。
消費者保護行政を推進し、消費者団体への助成措置を講ずること。
次は、社会保障、社会福祉、労働対策の強化についてであります。
福祉年金を改善し、老齢福祉年金月三万円を目指し、当面二万円とし、特別給付金、障害福祉年金、母子、準母子福祉年金の大幅引き上げを図る。また、年金制度の抜本的改革を行い、賃金自動スライド制の年度当初よりの実施、賦課方式、国民年金夫婦六万円の最低保障制、被用者年金の一元化等を計画的に行うこと。
生活保護基準引き上げ率を五〇%とし、施設入居者の生活経費も同様に引き上げること。
老人福祉対策の拡充を進め、寝たきり老人対策を推進し、ホームヘルパーの増員、身分、待遇面善等を図ること。
児童手当は月六千円とし、四月実施とすること。
社会福祉施設緊急整備五カ年計画を、予定どおり五十年度に達成するとともに、施設職員及び病休代替職員の増員を図ること。また、自治体の超過負担や上乗せ措置を必要としないよう、措置費の抜本改善を図ること。
障害児保育、教育の拡充、いわゆる介護手当の倍増と対象拡大、福祉電話の大量建設と通話料軽減、障害者団体の機関誌紙の郵送料無料化、福祉工場拡充や盲人福祉工場の新設、各種障害者の職域開拓、障害者が利用しやすい公共建築物(道路、鉄道などを含む)への改造等々、きめ細かな障害児者対策を確立すること。
公設公営の休日夜間診療所網(歯科を含む)の整備、休日夜間診療所や僻地診療所に医師を派遣できる国公立基幹病院の整備、自治体病院に対する補助の拡大、救急医療対策の強化など、医療供給体制を国の責任で確立すること。
いわゆる難病患者にも障害者福祉策が行き届くようにするとともに、身体障害者福祉法を初め、各法に分立する障害等級区分の抜本的改定を行うこと。
国公立病院の差額ベッドの一掃、歯科における保険適用範囲の拡大、腎臓病患者の血液人工透析体制の確立、がん治療用原子炉の新設など、患者の負担軽減を図ること。
医療保険の給付率を引き上げ(健保家族及び国保を八割に)、国民健康保険の国庫負担率を五〇%プラス調整交付金一〇%に、政管健保の国庫負担率を二〇%にするのを初め、老人医療その他の現行公費負担制度を、全額公費負担に転換すること。
大腿四頭筋短縮症を初め、多発傾向にある薬害、医療被害の早期発見、原因究明、被害者救済の制度を整備し、予算措置を講ずること。
結核、精神病、ハンセン氏病など長期慢性疾患対象の病院、療養所は、入所者にとって単なる治療の場であるだけでなく、一定期間の生活の場にならざるを得ない。このため、これらの病院、療養所の生活面を充実させ、リハビリテーションを含む予算を拡充すること。
医師、看護婦など医療従事者の養成、医療機関及び福祉施設職員の週休二日制早期実施のための準備費を計上し、計画を策定すること。
原爆被爆者及び民間戦災犠牲者に対する援護措置を確立すること。
社会保障、社会福祉の計画的向上を実現するため、社会保障長期計画を立て財政対策を確立すること。
労働災害対策を強化し、被災労働者に対する援護措置を充実すること。
全国一律最低賃金制度の実施と労働基本権の確保のための施策、時間短縮、週休二日制、心身障害者高年齢者雇用等を図り、雇用安定対策を推進すること。
中小零細企業の雇用対策を強化し、雇用保険の失業者に対する給与の延長措置の実施等雇用保障体制を確立すること。
次は、住宅、生活環境の整備についてであります。
従来の産業基盤整備優先の政策を改め、高速道、港湾等の予算の生活関連投資への切りかえなど、生活基盤整備重点の公共投資に転換すること。災害復旧事業については、実施時期を繰り上げ、早急に施行すること。
公営住宅建設戸数の拡大を初め、公共賃貸住宅の大量建設、居住水準の向上を図るとともに、住宅金融公庫資金を増額して、住宅建設を促進する。日本住宅公団の家賃を引き下げる。住宅基本法の早期制定、公共住宅五カ年七百五十万戸の建設計画を確立すること。
国土利用計画法施行費補助の増額、遊休地指定、公有地拡大のため、買い取り請求にこたえ得る財源を確保すること。
下水道、公園、生活道路、中小河川整備等を重点的に行うこと。
過疎バス対策の強化、国鉄在来線の整備強化を図り、住民の足を確保すること。また、通勤通学対策を強化し、交通地獄を解消するとともに、都市近郊の足なし団地の解決を図ること。
次は、公害防止、自然環境保全対策の強化についてであります。
瀬戸内海環境保全対策、環境影響事前評価の充実強化、総量規制の実施の拡大、公害監視測定器の整備等の促進、公害防止事業団助成費の拡充。工場排水クローズドシステム開発促進及び実施指導の促進、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金の拡充等を図ること。さらに、環境放射能増加防止対策、石油コンビナートの災害防止立法を含む対策を強化すること。食品公害対策の強化を図り、合成洗剤はやめさせる行政指導の措置をとること。
公害被害者を全面的に救済するため、制度の拡充を行い、公害病の究明と治療開発のための研究開発制度を確立すること。
国立、国定公園などの天然資源、自然美の荒廃状況を点検し、自然保護対策のための抜本的施策を講ずること。
次は、教育、文化対策の充実についてであります。
義務教育費の父母負担を引き下げ、給食費への国庫補助をふやすこと。
義務教育施設への国庫負担の増額を行い、人口急増地域の小中学校用地取得費、校舎建設費等の拡充、高校の施設、用地費のための国庫補助を増額すること。
私大奨学金を初め、奨学資金を増額すること。私立学校に対する経常費補助を増額すること。
文化財の保存、史跡買い上げの予算を増額すること。
次は、農林漁業、中小零細企業対策の充実についてであります。
国民の食糧確保の見地から、十カ年計画で、自給率八〇%以上を目標にして、農用地の拡大、休耕田の復元、水田裏作、輪作等のための強力な予算措置をとること。また、共同化促進のため、長期低利融資をふやすこと。
農産物の価格安定を図り、消費者に安定した価格で供給できるよう予算措置をとること。
畜産危機打開のため、緊急粗飼料増産対策事業等の充実、飼料対策費の充実、流通飼料の価格安定策費を強化すること。
林業生産基盤の整備を図り、造林事業費の中における労働者の賃金を引き上げ、国土緑化を推進すること。
養殖漁業の推進、大型魚礁設置など、沿岸漁業整備費を強化すること。
中小零細企業の緊急融資強化の措置を図るため、政府系三機関の融資枠を拡大すること。無担保、無保証融資制度を改善し、融資限度額を三百万円に引き上げ、小規模事業者生産安定資金を創設するとともに、信用補完制度を充実すること。下請振興協会の強化等、下請企業対策を強化すること。また、中小企業省の設置、中小企業の事業分野の確保、官公需についての中小企業の枠の拡大を図ること。さらに、繊維業の過剰在庫は、海外援助向け等、政府買い上げを図るとともに、伝統的工芸品対策費を増額すること。
次は、資源・エネルギー対策の確立についてであります。
総合エネルギーにおける国内炭の位置を明確にし、生産力拡大のための予算措置を図ること。また、国内資源確保の立場から鉱産物備蓄制度を実現すること。さらに、石油エネルギーについては、輸入、開発、精製の一元化を推進する措置を図ること。なお、資源収奪的海外援助は廃止すること。
次は、地方財政危機打開と超過負担の解消についてであります。
地方財政危機を打開し、住民福祉優先の地方財政を確立するため、自主財源を付与するとともに、地方税の課税最低限の引き上げに伴い、交付税率を大幅に引き上げて、第二交付税交付金制度を創設すること。なお、予算計上額の交付税交付金四千億円を保障すること。
超過負担の解消を図ること。このため、約一兆円の既往の地方の超過負担について、三年間で補てんするための年度計画を立てること。また、公営住宅、義務教育施設、保育所等、福祉施設について、超過負担の生じないよう単価是正を行うとともに、対象差、数量差についても抜本的改革を行うこと。さらに、機関委任事務等についての人件費と事務費についても、国は全額措置すること。
地方公営企業に対する助成を強化し、公営交通、水道財政対策、公営病院への財政措置を強化すること。企業債の償還期間の延長、利子の引き下げを図ること。
次は、防衛関係費の削減についてであります。
第四次防衛力整備計画は直ちに中止することとし、新規装備費を一切取りやめ、提供施設移設整備費を削減し、自衛官の定員増、欠員補充は認めない等によって防衛費は削減する。なお、継続費、国庫債務負担行為は凍結すること。
次は、産業投資特別会計等への繰り入れの削減についてであります。
一般会計からの産業投資特別会計及び港湾整備特別会計への繰り入れを削除すること。
次は、その他経費の削減及び予算の効率的使用についてであります。
国債減額に伴う利子支払い及び事務費を削減する。出資金のうち、日本原子力船開発事業団への出資金の削減及び輸出入銀行等への貸付金を取りやめる。予備費を削減する。施設費、補助金、委託費、物件費、旅費等のうち一%程度を削減し、予算の効率的使用を図ること。
次は、財政投融資計画の国民本位の運用についてであります。
財政投融資計画の大企業中心の運用を改め、開銀、輸銀等の大企業への長期低利融資や産業基盤投資を削減し、国民生活基盤投資を充実させること。特に、原子力発電はまだ商業炉建設の段階でないので、開銀融資等は削除すること。なお、財投計画は、全体として国会議決とすること。
以上により、歳入歳出の規模は、政府原案と同額とすること。
以上、日本社会党と公明党が共同して提案いたしました昭和五十年度政府予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議の理由及びその概要を申し上げました。
これらは、国民の期待する、国民の立場に立つ要求であり、政府は、潔く今回の予算を撤回し、速やかに組み替えを行い、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)
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