三浦久の発言 (本会議)

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○三浦久君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和五十年度予算三案並びに社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議に対する反対の討論を行います。(拍手)
 わが党は、昨年末の党首会談で、三木総理に対し、五十年度予算編成に関連をして、第一に、高度成長型の税制、財政、金融の仕組みを取り除くこと、第二に、インフレ抑制のための総合対策をとること、第三に、独占禁止法の民主的改正を行うこと、第四に、国民生活を守る緊急措置をとること、以上、四項目から成る当面の財政経済政策についての要求を示し、予算編成に反映させるように強く求めたのであります。
 また、本年二月九日、「五十年度予算に関する日本共産党の主張」を発表し、本日の予算委員会においても、予算三案撤回のうえ編成替えを求める動議を提出して、その態度を明らかにしてまいりました。ところが、政府は、切実な国民の要求に基づくこのわが党の申し入れや主張を全く無視して、反国民的な本予算を押し通そうとしているのであります。
 審議の全経過によって明らかになったことは、三木内閣は、一般に、総論はよいが各論が悪いと言われてきましたが、実はその総論そのものが偽りであり、その本質は、歴代自民党内閣と全く同じ総路線、対米従属、大企業優先の路線であります。だからこそ、国民のための各論の実行、不公正是正など、何一つまともに実行できない内閣であるということが明白になってきたということであります。(拍手)
 三木内閣の総論が大企業奉仕であるからこそ、自動車排ガス五十一年規制について見ても、国民の健康や生命よりも企業の利益を優先させ、審議の結果を無視して、企業寄りの告示を強行するという暴挙をあえて行っているのであります。自動車工業会が昨年上期で四億八千万円もの政治献金を自民党にしていることと、排ガス規制の告示を強行するという今日の事態との関係について、多くの国民が重大な疑惑を抱いているのは当然なことであります。
 わが党は、ここに改めて、この告示の取り消しと再審議を要求すると同時に、三木内閣の暴挙を厳しく糾弾をするものであります。(拍手)
 三木内閣の日米関係に対する屈辱的な態度は、一層許しがたいものであります。沖繩嘉手納基地に常駐する米軍第十八戦術戦闘航空団の核爆弾投下訓練に対して、三木総理は、投下訓練は最小限度のものであり、理解できると述べております。これは、復帰後、米軍が核爆弾投下訓練をすれば、アメリカに警告をすると言った佐藤内閣よりも後退をした発言であり、三木内閣の総論が一きわめて危険な内容を持っていることを暴露したものと言わなければなりません。(拍手)
 こうした対米従属、大企業奉仕の三木内閣の総路線は、政治姿勢の面でも貫かれておるのであります。
 三木総理は、総理になる前は、企業から多額の政治献金を受けた候補者は企業の代弁者になりやすい、政治献金は個人に限ると大みえを切っていましたが、その後、後退に後退を重ね、今日では公然と財界に献金をねだるまでになっており、企業献金、団体献金を公認する政治資金規正法を提出しようとさえしているのであります。これは自民党政治の根深い金権的体質が、三木内閣になっても何ら改められるどころか、むしろ、これを合法化しようとさえしていることを示すものと言わなければなりません。
 こういう政治姿勢であるからこそ、対米従属、大企業奉仕、国民犠牲の予算をあえて押し通そうとしているのであり、わが党は、これに強く反対をするものであります。(拍手)
 第一に、本予算は、国民の切実な要求に反し、インフレを助長し、物価を引き上げ、国民生活を破壊する予算となっています。すなわち、郵便料金や酒、たばこ、大学入学金などの公共料金の大幅値上げを次々に予定し、インフレ、高物価に苦しんでいる国民の期待を完全に裏切っているのであります。
 また、世論の批判の強い赤字公債の発行を二兆円も行うほか、同じインフレの大きな原因である高度成長型税制、財政、金融の仕組みをそのまま温存しております。これでは、インフレを抑制し、物価を安定させることは絶対にできないのであります。
 いま、インフレ、不況克服のために三木内閣が実行をしなければならないことは、
 第一に、公共料金の値上げをやめることであります。
 第二に、新価格体系の名による大企業製品の価格つり上げを厳しく規制することであります。
 第三に、長期国債を大幅に削減すること。
 第四に、メジャーの不当な価格操作を規制すること。
 第五に、高度成長型税制、財政、金融の仕組みを取り除くこと。
 第六に、独占禁止法を民主的に改正し、巨大企業の反社会的な経済撹乱行為を規制することであり、賃金引き上げが物価値上げの原因だなどという、事実に反する不当な宣伝を直ちにやめることであります。(拍手)
 第二の反対の理由は、国民生活を守る措置がきわめて不十分であり、国民の緊急切実な要求にこたえるものになっていないということであります。
 いま、国民が切実に求めているのは、インフレを抑制するとともに、老齢者、障害者、生活保護を受けている人々の社会保障、福祉の諸給付を大幅に引き上げることであり、不況の波から労働者、中小零細企業の生活と経営を守る緊急措置もとることであります。ところが、本予算は、国民の生活を守るどころか、逆に、国民生活を破壊する最悪の予算となっているのであります。
 三木内閣は、福祉重点、社会的不公正の是正をあれほど繰り返しておきながら、その福祉対策は、インフレでどんどん引き下げられ、これまでの福祉を維持することさえできない水準のものとなっているのであります。わずかに、社会保障関係費を三五・八%ふやしたことを一枚看板にしていますが、これは、田中内閣の四十九年度の伸び三六・七%さえ下回っているものなのであります。
 老齢福祉年金は、わずか月額一万二千円、しかも十月実施であり、物価値上げを考慮すれば、実質は九千円、田中内閣の公約よりも後退をしているものであります。
 その上、政府は、七十歳以下の老人医療費を無料にしている自治体に対して、今回、新たに国民健康保険に対する五%の調整交付金を打ち切るという措置さえとっているのであります。本来、政府のやるべきことをやっている自治体に対し、政府は感謝をすべきであるのにもかかわらず、逆に、懲罰的な措置をとって臨むという、このような政府の態度は、社会的不公正の是正とは全く逆のものであると言うほかはありません。(拍手)
 政府は、高福祉高負担が原則だと言っているが、これは国と資本家の負担を原則とする近代的な社会保障の原理を、真っ向から否定する許しがたい言動だと言わなければなりません。
 政府は、その責任で総合的社会保障五カ年計画を直ちに立てて、老齢福祉年金は二万円、生活保護費は五割引き上げるべきであります。また、年金の積み立て方式を賦課方式に改め、厚生年金は本人月額五万円、夫婦で八万円、国民年金は最低四万円に引き上げるべきであります。
 また、住宅建設を積極的に行うとともに、国民健康保険に対する財政調整交付金を一五%に引き上げて、保険料の引き上げを抑えること、健康保険も保険料の労使負担の割合を、労働者を三、資本家を七に改め、家族給付を八割に引き上げなければなりません。
 また、失業問題が非常に深刻となり、ことし四月には、失業者は百万人を大幅に超すだろうと予測をされているのにもかかわらず、政府は何らその対策を講じないばかりか、依然として失対事業の打ち切り政策を続け、他方、大もうけをしている大企業にさえ雇用保険法を適用して、交付金をつぎ込むなどということをしているのであります。
 政府は、不況に便乗した大企業の一時解雇、不当解雇を制限し、失対打ち切り政策をやめ、失対賃金を五割引き上げることが必要であります。
 また、中小企業の倒産による賃金不払いをなくすために、労働債権の補償制度を確立することも、きわめて重要であります。
 また、本予算では、不況の中で深刻な危機に陥っている中小零細業者の切実な要求も、完全に無視をされているのであります。中小企業対策費は、一般会計の〇・六%、千二百七十八億円にすぎず、そのため、中小企業の倒産は戦後最高となっています。かつてある閣僚は、中小企業の一人や二人死んでも構わないと暴言を吐きましたが、三木内閣は、口ではこうは言わなくとも、やっていることは、かつてのこの閣僚と全く同じだと言わなければならないのであります。(拍手)
 政府は、中小企業の仕事を確保するために、官公需発注のうち、中小企業への発注を五割以上とすること、また、大企業が中小企業固有の分野へ進出することを当分の間禁止するとともに、中小企業の金融難を打開するために、政府関係中小金融機関の融資を大幅に拡大し、金利引き下げなどの措置をとり、中小企業の経営を守るべきであります。
 第三の反対の理由は、政府は地方財政危機打開の措置を何らとっていないばかりか、逆に、地方・自治体にその責任を転嫁しようとしていることであります。
 地方財政は、いま大きな財政赤字となっています。これは超過負担を解消しようとせず、いたずらに、財政を悪化させるに任せてきた国の責任なのであります。ところが、政府は、逆にその責任を自治体に転嫁し、不当にも、地方自治体に対するさまざまな干渉を行って、地方自治を破壊しているのであります。本予算でも、総需要抑制の名のもとに、地方債の起債を前年度比二一・二%と低く抑えただけではなく、過去五年間で一兆円に及ぶ超過負担を解消する措置を何らとっていないのであります。
 三木総理は、地方財政のあり方を根本的に検討する必要があると言っていますけれども、これが事実であるならば、過去五年間分の超過負担を、今後三年間で補てんする措置をとるとともに、実勢価格に即した補助単価に改めるなど、今後も超過負担が生じない措置をとるべきであります。
 また、今日、多くの自治体財政を危機に陥れている大きな理由になっている部落解放同盟朝田派の、暴力と脅迫に基づく同和財政の不公正で乱脈な支出に対し、政府はこれをただし、是正する厳正な措置を直ちにとるべきであります。これらの措置をとらず、いたずらに地方財政の危機を招来しておきながら、その原因を、自治体労働者の人件費が高いからなどと、問題をすりかえ、根本的な解決にメスを入れない三木内閣は、地方行政を語る資格はないと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 以上の緊急措置を実行するために、政府は次のような財源措置をとるべきであります。
 第一に、大企業に対する特権的減免税をやめて、適正に課税すること。これによって、三兆円の財源を得ることができ、地方自治体への緊急特別交付金一兆円の支出や、老齢福祉年金を月二万円にすることができます。
 第二に、一兆三千億円にも上る軍事費を大幅に削減することであります。また、百四十六億円に及ぶ電算機振興対策費やYX開発費等、大企業のための補助金等の不要不急の支出をやめることであります。
 第三は、第二の予算と言われている財政投融資計画を、大企業向けや産業基盤の整備を中心とするのではなく、中小零細企業、農林漁業者の生活を守り、住宅、下水道等の生活基盤を中心に大幅にふやしていくことであります。また、産業投資特別会計を、国民生活安定特別会計に改めることであります。これによって、国民生活安定の財源は十分確保されることになるのであります。
 要は、政府・自民党に、これらの施策を実行する意思があるかないかということであります。
 反対理由の第四は、エネルギー、食糧政策が対米従属、対米依存に貫かれているということであります。
 エネルギー、食糧は、わが国経済の安定、産業の振興にとって、欠くことのできないものであります。しかるに政府は、中東、北アフリカの産油国に対して軍事侵略をたくらんでいるキッシンジャー構想に追随をして、その枠組みの中で、石油備蓄体制づくりのために、一千六百五十六億円もの政府資金を注ぎ、海外油田開発、石油備蓄の名目で、石油開発公団の資金を昨年度の約三倍、二千四百二十四億円に大幅にふやす等、独占資本に莫大な資金をつぎ込もうとしています。
 一方、総合エネルギー政策に基づく石炭産業の民主的な復興が緊急不可欠であるにもかかわらず、石炭産業取りつぶしの第五次石炭政策を依然として推進をしているのであります。日本が進むべき道は、このような対米従属やメジャー依存をやめて、自主的、民主的な総合エネルギー政策を確立し、産油国との平等互恵の経済外交によって、DD原油の輸入を大幅に増大するとともに、第五次石炭政策をきっぱりとやめ、石炭産業復興のための施策を進めることであります。
 食糧問題についても同様であります。三木総理は、対米従属の食糧政策をますます強め、小麦、大豆などの主要農産物の輸入自由化を進める一方、国内の米作には依然として減反を押しつけ、農業用土地の縮小さえ図っているのであります。
 政府は、畜産危機打開のために、輸入飼料穀物を食管扱いとし、外国農産物の無原則的な輸入をやめて、食糧の自給率の向上を図らなければなりません。
 反対理由の第五は、対米従属のもとでの軍国主義復活強化を進行させていることであります。
 三木内閣は、日米安保条約を日米協力の基本憲章とまで持ち上げ、フォード政権の侵略的な中東政策、ベトナム再介入政策に積極的に協力の態度を示しながら、事実上の防衛分担金である米軍基地集約移転費は三百四十三億円に大幅に増額され、七四式戦車、ファントム戦闘機、ヘリ積載護衛艦など、海外侵略可能な新鋭兵器を大量に新規発注し、海上、航空自衛隊を増員するなど、四次防推進費は、総額一兆三千二百七十三億円にも達しているのであります。
 さらに、韓国、インドシナ援助などを中心に、新植民地主義推進のための経済協力費は、一千七百六十七億円にも上っております。
 日米軍事同盟の存在をそのままにしておいて、日本国民の平和と安全、世界の平和と安全はもとより、国民生活の向上を図ることもできないことは、だれの目にも明白であります。わが党は、日米安保条約を廃棄し、沖繩を初めとする全国の米軍基地を撤去し、四次防の中止と、自衛隊の縮小を強く要求するものであります。(拍手)
 わが党は、このような予算をやめ、五十年度予算を、国民生活と福祉向上を最優先とし、日本経済のつり合いのとれた発展の第一歩を踏み出す予算にしなければならないことを強く主張をするものであります。(拍手)
 また、日本社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議については、内政面での幾つかの施策の要求はともかく、その財源の確保策が明らかではなく、かつ、大企業に対する補助金である電子計算機対策費、外航船舶建造利子補給金、YX開発費など、当然大幅に削除すべきものを放置しており、外交面においては、三木内閣の産油国敵視のキッシンジャー構想に追随する危険な外交や、石油備蓄計画のための施策、メジャーへの規制などに触れないなど、重要な諸点で反国民的な政府予算案を容認しているので、反対の態度をとるものであります。
 以上の立場から、日本共産党・革新共同は、政府提出に係る昭和五十年度予算並びに日本社会党、公明党共同提出に係る組み替え動議に反対することを明らかにいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 107505254X01019750304_020

発言者: 三浦久

speaker_id: 12074

日付: 1975-03-04

院: 衆議院

会議名: 本会議