小宮武喜の発言 (本会議)
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○小宮武喜君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されております昭和五十年度一般会計予算案、特別会計予算案及び政府関係機関予算案に対し、一括して反対の討論を行うものであります。(拍手)
なお、社会党、公明党両党共同提案による編成替えを求めるの動議につきましては、見解を異にいたしておりますので、反対であることを明らかにしておきたいと思います。
いま、私は、これから決定されるであろう五十年度政府予算案について、失望の念を抱いておるのであります。
申すまでもなく、わが国経済は、この数年、高度成長の破綻が明らかになり、国民生活は、激しいインフレと、かつてない深刻な不況によって、二重の苦しみを経験しているのであります。このときに当たり、三木総理の登場は、国民に幾らかなりとも政策転換の期待を与え、また、総理自身も、社会的公正の確保を公約し、政策転換の意気込みを示されたのであります。
ところが、その後の予算編成過程を見れば、相変わらず官僚主導型編成を踏襲し、予算案自体についても、何ら新味はなく、むしろ、酒、たばこ、郵便料金の増税や値上げを強行するなど、国民の期待を完全に裏切ったものになっているのであります。
わが党は、このような政府予算案の諸欠点を予算委員会において具体的に指摘し、三木総理初め、政府に対し、強くその改正を要求したのでありますが、三木総理はその声に全然耳をかそうともせず、いま政府原案を多数決で押し切ろうとしているのであります。全く残念としか言いようがございません。
三木総理が、本当に対話の政治を推し進めようとされるのであれば、政府原案にこだわることなく、野党の声も十分に聞き、真に国民福祉の向上のため、みずから予算修正を行う決意があってしかるべきだと思うのであります。しかるに、その姿勢も見受けられず、従来の自民党政治から一歩も抜け出ていないことは、三木総理の限界を露呈したものと言っても過言ではないと思います。
次に、具体的に政府予算案に反対する理由を申し述べたいと思います。
その反対の第一の理由は、公平を欠く政府の税制改正についてであります。
現在のインフレのもとにおいては、労働者は生活防衛のために、名目賃金の大幅引き上げを獲得せざるを得ない状況にありますが、所得税はこの名目賃金に累進的に課税される仕組みになっており、課税最低限の大幅引き上げを行わない限り、実質増税になることは明らかであります。ところが、政府案は、わずかに課税最低限を百八十三万円に引き上げるだけにとどまっており、これでは、減税どころか、大衆増税であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
また、政府は、財源確保の名目で、たばこの値上げ、酒税の増税を行っていますが、これは、まさに、大衆の犠牲のもとに予算編成を行わんとするものであり、わが党の断じて許すことのできないところであります。三木総理が社会的公正の確保を唱えるのであれば、当然、財源は、高額資産家を対象にした富裕税の創設を行い、利子、配当の優遇課税を抜本的に改正し、交際費課税を強化するなどの措置を講ずべきであります。
反対の第二の理由は、わが党の要求である公共料金の値上げ凍結を無視し、さきに指摘した酒、たばこのみならず、郵便料金の大幅引き上げを図っていることであります。
すでに政府は、昨年十月以降に、国鉄運賃、バス料金、消費者米価、都市ガスなどの公共料金の値上げを軒並みに行ったのでありますが、さらに、これら公共料金の値上げを強行せんとすることは、政府の物価抑制に対する熱意を全く疑わざるを得ないのであります。わが党はすでに、昨年来、公共料金の値上げは、消費者物価上昇率が一〇%以下に定着するまでは凍結すべきであるという、現実的な提案を行っているのであります。同時に、この間、三公社五現業など、公共企業体の経営の近代化、労使の正常化を図るべきであると主張してまいったのでありますが、政府はこの具体的な提案を無視し、公共料金の値上げを断行することは、きわめて遺憾であり、絶対反対であります。(拍手)
第三に私が政府予算案に反対する理由は、社会保障、住宅政策など、国民福祉の向上について、その対策が遅々として進んでおらず、むしろ後退さえしているのではないかという点であります。
三木総理は、社会的不公正の是正を強調しておられますが、予算委員会の審議を通じて感じられましたことは、三木総理の言う社会的公正の確保は、依然として、弱者の救済、インフレによる被害の救済というようなことは、何か国からの恩恵的、慈善的救済の考え方がいまだに根強く残っており、発想の転換が一つも見られないことであります。したがって、そのため、予算の制約を理由に、ことごとく国民の要求が削られ、社会保障対策も全く中途半端に終わっていることであります。
それどころか、社会保障政策と並んで最も重要な住宅政策においては、公営住宅の建設戸数が、昨年の九万五千戸から八万五千戸に、公団住宅も七万戸から六万戸へと、それぞれ一万戸も削減され、住宅政策が著しく後退していることは、見逃すことのできない重要な問題であります。
このような事態を招いた原因は、政府の福祉に対する考え方が、あくまで個人中心、自己努力中心主義によるものであり、わが党の主張する、国の責務として福祉向上を図るという考え方と著しくかけ離れていることを、この際、厳しく指摘しておかなければなりません。
最後に、私は、以上の観点から、改めて政府に要求しておきたいことがあります。
それは、すなわち、わが国が真に福祉国家に前進するためには、広く国民の参加を求め、長期経済計画を策定すると同時に、国の重要施策として、福祉向上五カ年計画を策定することであります。また、その裏づけとなる長期財政計画が必要なことは言うまでもありません。
わが国が、現在直面しているスタグフレーションの難局を乗り切り、国民生活の不断の向上を図るためには、国民の参加こそ重要であり、福祉の計画的向上こそ不可欠の要件であります。
この二つの基本政策を忘れ、いかに諸問題を糊塗したとしても、それは、ますます国民大衆の政治不信を招くことは必定であることを忘れてはなりません。
政府は、このことを十分反省されるよう強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
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