小林政子の発言 (本会議)
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○小林政子君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度の公債発行の特例に関する法律案に対して、反対の立場を表明し、討論をいたします。(拍手)
まず最初に、本法案の大蔵委員会の審議における自民党の暴挙についてであります。
わが党は、本法案の国民生活に及ぼす重大な影響にかんがみ、その徹底審議を主張してまいりました。その結果、一昨日、与野党理事の間で、慎重審議をする、強行採決はしないなどの三項目の合意が、委員長を含め全会一致で成立し、審議が順調に進められていたことは周知の事実であります。しかるに自民党は、上村委員長みずから合意したこの理事会決定の審議日程を踏みにじり、まだわが党議員二名を含め十一名もの質疑予定者と重要な質疑事項を残したまま、動議もないのに突然質疑を打ち切り、採決したと称しております。これは国会史上まれに見る暴挙であり、議会制民主主義を踏みにじった上村委員長は、当然本院において解任されるべきものであります。(拍手)
そこで、私は本法案の内容についてその理由を述べたいと思います。
第一の理由は、この赤字公債発行の目的が、もともと大企業優先の経済、財政政策が生み出した今日の深刻な歳入欠陥を穴埋めして、国民の一層の犠牲を強いるとともに、引き続いて大企業本位の経済、財政政策を続けようとするものであるからであります。
政府は、今年度約四兆円にも上る歳入欠陥が、深刻な不況を原因とする税収不足から起こったものであり、やむを得ないものだと述べております。けれども、この深刻な歳入欠陥が、一方では租税特別措置その他によって、大企業、大資産家に莫大な特権的な減免税を行い、他方では、国の歳出を大企業本位の産業基盤投資と補助金、新植民地主義的な海外援助、自衛隊の増強などに湯水のように注ぎ込んできた歴代自民党政府の経済、財政政策の矛盾が深刻な不況のもとで異常に激化したものであることは、わが党がたびたび指摘をしてきたところであります。ところが、政府はこの根本の病弊に何のメスも加えず、特例法による赤字国債を初めとする国債の大量発行によって歳入欠陥を穴埋めしながら、依然として大企業本位、高度成長型の経済、財政政策を続けようとしております。わが党は、今日の財政危機を根本的に打開する最も重要な道は、このような財政、税制の仕組みを、国民生活安定を第一とした国民本位の仕組みに改めることにあることを強く主張してきましたが、この立場に立って、赤字国債の発行に断固として反対をするものであります。(拍手)
第二の反対の理由は、今回の赤字国債の発行が、憲法、財政法の規定する財政民主主義、健全財政主義の精神を踏みにじり、とめどもない財政破壊の道を進むものだからであります。
政府は、赤字公債の発行は、臨時非常の措置であると主張しております。しかし、政府は来年度もこの赤字公債の発行を予定しており、このままで行くならば、昭和五十五年度の公債残高は七十兆円にも及ぶとさえ発表しているありさまではありませんか。赤字公債の発行が、自民党政府の大企業本位の経済政策と相まって、いわゆる建設国債など大量の国債発行の口火になることは、昭和四十年、戦後最初の赤字国債の発行に続いて、翌年度も公債の大量発行が強行されてきた事実を見れば明らかであります。このような事態が「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と定めた財政法四条の精神を根底から踏みにじるものであり、今後のとめどもない財政破綻に道を開くものであることは、議論の余地のないところであります。
第三の理由は、このような大量の国債の発行が、国民に果てしない重税とインフレを押しつける点であります。
この特例法の成立により、国債残高は本年度末十五兆円の巨額に上り、その上、利子負担が約一兆二千億円にも達するのであります。しかも、その償還計画さえ明示できないというありさまではありませんか。また、政府は、昭和五十五年度に七十兆円にも及ぶと見られるこの莫大な公債の償還のために、一連の公共料金の大幅値上げや、最悪の大衆課税である付加価値税の創設などを公言し、国民負担の著しい増大を当然のこととして要求しています。
さらに、政府は市中消化がインフレの歯どめであるかのように強弁しておりますが、国債の増発による市中資金不足がすべて日銀の信用創造によって補充され、また、日銀の買いオペによる国債保有量の急増が通貨発行量の著しい増大となってインフレを激化させ、国民を苦しめてきたことは、この十年間の経過が雄弁に証明をしているではありませんか。(拍手)
そればかりか、当面この年末の市中資金不足が大きく見込まれているときに、かかる国債の大量発行が、財政危機にあえぐ地方自治体の資金調達や、不況に苦しむ中小企業の年末金融を大きく圧迫し、一層苦境に追い込むものと言わなければなりません。この赤字国債によって、国民は激しい重税とインフレの二重苦という大きな困難な道に陥れられようとしていることは明白であります。
わが党は、この臨時国会の開会に当たり、赤字国債を出さずに今日の財政危機を解決できる実現可能な国民本位の財源対策を発表し、政府にその実施を求めてまいりました。
それは、第一に、五十年度予算の多額の防衛費や、大企業に対する直接の補助金の未執行分など、不要不急の経費を可能な限り削減をし、大企業本位の公共事業費を大幅に国民本位に組みかえること。第二に、赤字企業に対する法人税還付を、この不況下でも内部留保の厚い大企業に対してとりあえずこれを停止すること。第三に、非課税でふやし続けてきた大企業の内部留保に臨時課税を行うとともに、大銀行、大商社などの貸し倒れ引当金の繰り入れ率を引き下げるなど、大企業の特権的減免税を是正すること。そして第四に、高額所得者に著しい恩恵を与える利子、配当の分離課税率を二倍に引き上げること。さらに、郵便貯金などの国民の零細な資金を集めた国の資金運用部の資金の流れを、地方財政重点に振り向けることであります。
このような国民の立場に立った措置をとるならば、赤字国債の発行をしなくても済むのであることを私は重ねて強く主張をいたし、討論を終わるものであります。(拍手)