近藤忠孝の発言 (予算委員会)
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○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十一年度暫定予算三案に対し反対の討論を行います。
討論に先立って、私はまず、今回四十口にも及ぶ暫定予算の編成という非常の事態を招いたその責任が、挙げて政府自民党にあるということをはっきり指摘しないわけにはいきません。
さて、私が本暫定予算に反対する第一の理由は、その内容がインフレを促進するものとなっているからであります。
この一年間、政府みずからの手によって国民の主食である米、麦を初め私鉄運賃、酒、たばこ、郵便料金など公共料金の大幅引き上げが進められ、このことが、戦後最大の不況にもかかわらず、実に一〇%を超える物価の高騰を先導しており、国民の塗炭の苦しみの最大原因となっていることは議論の余地がありません。政府はいま、九・八%もの物価上昇を消費者物価上昇前年同月比一けたの公約達成などと宣伝しておりますが、国民のこの深刻な苦しみを理解しないこと、はなはだしいと言わなければなりません。
しかも、このような時期に、本暫定予算の一般会計は、実に歳入の七〇・二%にも及ぶ二兆五百億円もの大蔵省証券の発行によって財源を賄っております。この莫大な大蔵省証券は、直接日本銀行が引き受けるもので、わずか四十日間に二兆円を超える通貨を増発し、今日すでに問題となっている過剰流動性のもとで、インフレを一層促進することは火を見るよりも明らかであります。
政府が、この異常な大蔵省証券の発行に追い込まれたのは、大企業や大資産家のための特権的減免税を温存し、不公正税制を続けてきた結果であって、その責任は厳しく追及されなければなりません。同時に、この多額の大蔵省証券の発行は、まだ国会での審議も行われていない財政特例法に基づく三兆七千五百億円に及ぶ赤字公債の発行を事実上見込んだものであり、とうてい容認することができないのであります。
第二に、今日最も深刻であり、かつ緊急の対策を必要とする雇用問題に十分な対策がとられていないことであります。
失業者数は実質的には四百万人に上ると言われ、一月の政府統計でも完全失業者数百二十四万人で、昨年秋以来、半年間以上も失業百万人の状況が続き、負債総額一千万円以上の企業倒産件数も二月で千八十件を突破しております。加えて、日経連は企業内の余剰労働力百三十万人と称して労働者の合理化を言明するなど、失業問題はきわめて重大な事態となっております。失業対策や生活基盤のための公共事業を大幅にふやすなど、雇用、失業対策をきめ細かに実施することこそ緊急に求められているのであります。
ところが、政府は、失対賃金日額の若干の引き上げを行ったにとどまり、他に見るべき措置もとっておりません。これは、五十一年度予算の失対事業の積算基礎人員を前年度よりも削減するという、政府自民党の国民生活無視の姿勢を端的にあらわしたものであり、暫定予算という性格を考慮しても反対せざるを得ないのであります。
第三に、特に苦しい生活を余儀なくされている生活保護世帯、老人や障害者に対する福祉の充実が緊急に求められており、それは国民の購買力を高めて、正常に景気を回復させる一因ともなるものであります。しかるに政府は、本年一月一日から老齢福祉年金などの満額加算制度をやめて生活保護費から差し引くなど、社会福祉の切り下げを進めているのであります。
第四に、今日の経済危機から中小零細企業を守り抜く対策が全く貧弱であるという点であります。
まず一般会計に計上されている中小企業対策費は、予算全体のわずか〇・二七%にすぎず、五十、五十一年度本予算でのわずか〇・六%にさえ及ばないありさまであります。特に、小企業経営改善資金融資は、商工会議所の推薦や半年間の経営指導という条件を設けて窓口を制限するなど、真に救済を必要とする大多数の零細企業に対する救済がなされていない実情であり、これを直ちに改める必要があります。
さらに、財政投融資計画では、大企業向けの日本輸出入銀行、日本開発銀行に対する財投資金が融資規模総額の二三・六%であるのに比べて、中小零細企業向けの国民金融公庫、中小企業金融公庫への合計が総融資額の一三・二%にすぎないのであります。まさに中小企業見殺し政策と言っても過言ではありません。
第五に、公共事業費や財政投融資などが大企業優先に組まれていることであります。
政府は、この暫定予算においても景気対策を口実として、一般会計で公共事業費五千八百八億円を組んでおりますが、このうち、何と三六%の二千八十六億円が大企業中心の産業基盤整備に向けられ、高速道路、海湾、空港、工業用水など大企業本位の需要喚起策となっている反面、国民が切望している住宅対策、生活環境施設整備には二一%、千二百億円を組んでいるにすぎないのであります。
さらに、財政投融資計画では、日本住宅公団が八百三十八億円であるのに比べ、新幹線を含む国鉄、鉄道建設公団千八十三億円、日本道路公団六百三十六億円、首都高速道路公団百三十二億円など、依然として列島改造型大型プロジェクトの促進を図ろうとしているのであります。これが国民生活犠牲、大企業本位の景気回復策にすぎないことは明らかであります。
第六に、危機に陥っている地方財政の緊急課題を解決するのではなく、かえって危機拡大をもたらすものとなっていることであります。
政府はこの暫定予算において、国家予算と同じく大企業奉仕の景気対策を地方自治体に押しつけるばかりでなく、五十一年度政府本予算案の四月概算交付額一兆二千百九十億円と比べても、三千億円以上も減額して、多額の地方債の発行を余儀なくさせたのであります。これは住民の利益と地方自治の本旨に反して、自治体を借金財政に追い込むという二重の地方自治破壊であり、とうてい許せるものではありません。
わが党は、未曽有のインフレ・不況に当たり、国民生活防衛、日本経済の民主的再建のための施策を暫定予算の限られた枠の中でも盛り込むべきことを主張し、私の反対討論を終わります。(拍手)