木島則夫の発言 (予算委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○木島則夫君 私は、民社党を代表して、昭和五十一年度暫定予算案に対して反対の討論を行うものです。
 現在、国会は不幸にしてロッキード事件をめぐり、国会を軽視した政府の姿勢、態度によって空転を続けていることは異常事態であり、まことに遺憾なことであります。これは一にかかって三木総理の指導性を欠いた政治姿勢のためであります。
 現在国民が求めているのは、この不況を克服するための政府の強力な施策であります。不況は底離れをしたと言われておりますけれど、二月の失業は政府の数字でも百二十四万人を数え、企業の倒産は千八十九件にも上っています。いまこそ強力な不況対策を打ち出さなければ日本経済は立ち直ることはできないわけです。したがって、本来ならば昭和五十一年度本予算案が速やかに審議され、実施されるべきであるのに、これが政府の失態によって大幅におくれ、四十日間という長期の暫定予算を組まざるを得ない政治責任はまことに重大です。加えて、その内容も、現在の経済状況のもとで不況対策、景気浮揚策としての公共事業費、さらには、社会保障関係費などが計上され、一般会計二兆九千億、財投八千億を超える大規模な予算内容であり、しかも本予算を先取りしたものであることを考えるならば、単なる暫定の枠をはるかに越える性格を持っていることは明らかです。このような性格と規模を持つ暫定予算案に対して、いささかの質疑も行わず議了することが果たして許されるでありましょうか。
 三木総理が就任早々言明されたクリーンな政治、社会的不公平の是正は、いま、もろくも崩れ去ろうとしています。金にきれいな政治を標榜されましたが、音を立てて崩れ落ちようとしています。国民に対する税の不公平な負担は依然として是正されておりません。赤字解消のための行政改革による経費節減は、これも実行されておりません。また、国民の切実な願望であり、これが行われることによって沈滞した消費を刺激し、景気浮揚に大きな効果をもたらすと私どもが主張する減税もついに見送られ、かわって公共料金の引き上げ、増税、赤字国債発行という、国民にしわ寄せを強いる安易な方法で財源を求めようとしております。こういった問題については、本予算審議の折に徹底的にただしたいと考えております。
 なお、この際、特に指摘しておきたいことは、暫定予算案の扱いについての与野党の態度であります。
 暫定予算案については与野党の政治休戦が成立して、ロッキード問題とは切り離して扱うことに全党の合意が成立していたはずであります。それならば、国会は当然本来の任務を遂行するために、暫定予算案の審議に最善の努力を尽くすべきではなかったでしょうか。私ども民社党は、このような基本的立場から、二十六日以降暫定予算案の質疑に入ることを提唱してきたのですが、残念ながら他党の同意を得ることができませんでした。
 社会、公明、共産の三党は、質疑省略の理由として、質疑を行うことにより政府にロッキード事件についての発言と釈明の機会を与え、なしくずしに全体の審議再開に持ち込まれるおそれがあるというような趣旨を述べておられますが、これは、野党が従来から慎重審議を主張してきたその主張と矛盾するものであり、国会の審議権の放棄と言っても過言ではありません。もし万一、政府に不当にこの場を利用しようという企てがあるのならば、即刻審議を打ち切ることも可能であります。
 与党にその決意さえあれば、二十六日以降審議に入ることも可能ですし、たとえ質疑時間は少なくとも、可能な限りの審議を尽くすことは当然ではないでしょうか。それとも与党自民党は、国会は審議の場ではなくて、単に予算案、法律案を採決する場だと考えているのでしょうか。予算、法律案などが成立すれば、審議などない方がよいのが本音と受け取られても仕方はありません。
 まして、今回の暫定予算案は、先ほども触れましたように単なる暫定ではなく、事務的経常費にとどまらず、不況対策としての公共事業費や福祉対策費などを含む異例のものであります。このような重要課題について国会がいささかの質疑も行わずに通過させるならば、国会がその機能をみずから放棄することになり、将来に向かって重大な悪例を残すことになりましょう。まして、参議院が衆議院の行き過ぎを抑え、足らざるところを補うというあり方から見て、この点を特に強調するものであります。
 さらに、この深刻な不況からの脱出を強力に推進すべき時期に、このような暫定予算案を組まなければならないという重大事態を招いたことへの政府の猛省であります。野党をやむにやまれぬ立場に追い込んだ政府当局の政治姿勢についての猛省なくしては、事態の解決はあり得ません。国会を正常化し、不況脱出のための予算審議を一刻も早く開始するためには、三木総理、あなたがこの際、勇断をもって院の決議にのっとり新たな行動を起こすことです。もし、それができないというならば、あなた自身の政治責任を明確にすることであります。
 三木総理の勇気ある決断を求めて、私の反対討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 107715261X00219760331_012

発言者: 木島則夫

speaker_id: 3118

日付: 1976-03-31

院: 参議院

会議名: 予算委員会