多田省吾の発言 (本会議)
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○多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、三木総理並びに関係大臣に対し、内政、外交の当面する問題について質問いたします。
初めに、ロッキード疑獄の真相徹底解明と今後の制度改革について、政権担当政党の総理・総裁としての三木総理に、その決意をお伺いしたいと思います。
総理は、真相解明に政治生命をかけると言われた当初の勢いが最近は影をひそめ、相次ぐ後退が見られるのははなはだ残念であります。また、事件解明後に粛正と制度改革に着手すると抽象的な言葉を繰り返すだけで、一向に具体的改革案を示さず、あまつさえ、党内ではいたずらに国民不在の政権抗争に明け暮れていたのであります。総理はみずから議会の子と言われるなら、国民の真相究明と制度改革への強い願いをくみ取って、強い徹底究明への決意と具体的制度改革案を示していただきたいと思います。
質問の第一は、最も多額の児玉ルートに対する究明が非常におくれていることであります。稻葉法務大臣は、二十六日、村上市で、児玉ルートの解明は十月末には黒白がはっきりするだろうと言ったと報道されておりますが、コーチャン、クラッター氏等の嘱託尋問も進んだ今日、児玉ルート徹底解明の見通しと決意をお聞きしたいと思います。
次に、灰色高官名の公表について、総理は当初すべて公表するのが原則だと言われておりましたが、最近は、灰色高官の範囲を考える慎重さが必要だと後退しております。灰色高官の範囲について、野党側が金品を受領したすべての高官と広く定義しているのに、自民党見解では、時効不起訴、微罪不起訴など狭い三条件にしぼり、政治資金として受けたのは灰色高官としないとしております。これは、刑事犯罪の範囲に問題を矮小化して、政治的道義的責任の徹底追及を放棄した灰色高官隠しにほかなりません。総理は、いままでの答弁のような国会任せの逃げ口上じゃなくて、自民党総裁として、灰色高官の範囲を狭い自民党見解に同調されるのかどうか、明白にお答えいただきたいと思います。いままで総理は何回も逃げ口上を言っております。私たちが聞きたいのは、自民党総裁としてのあなたの個人の意見なのでございます。また、現職国会議員の証人喚問は憲法上も何ら問題はないのですから、自民党が拒否する理由は何もありません。総理、ここでも自民党総裁としてのあなた個人のお考えをお聞きしたいと思います。
第三に、ロッキード疑獄の本質は構造汚職であり、政・官・財界の癒着や企業献金依存の金権腐敗体質にその根本原因があります。三木総理は、いまなお企業献金は悪ではないとして、今度の総選挙やあるいは今後も企業献金を継続させるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
また、ロッキード疑獄では政治家個人の受けた収賄が罪に問われておりますが、現在、政治家個人の政治資金の収支の公開や授受の規制は何ら措置もなく、税法上の申告すら免除されているのであります。ロッキード疑獄の解明との関連において、政治家個人の政治献金の収支の公開と献金総額の規制、税法上の申告について、総理はどのような具体的措置を考えておられますか。
さらに、政・官・財界の癒着を断ち切るために、従来から問題となっております高級公務員の立候補制限は、少なくとも参議院全国区に限ってはやるべきではございませんか。
第四に、総理の派閥や党内機関で、党の体質改革のためと称して、自民党が四割台の得票率で八割もの議席を獲得しようとする衆議院の小選挙区比例代表制を持ち出して、国民主権の選挙制度を党略的手段で改悪しようという論議があり、総理はそれを放任しております。これは、ロッキード疑獄の改革と称して、民意をさらにねじ曲げる反国民的意図となりますが、総理自身の御見解をお伺いしたいと思います。
いま、選挙に関して緊急に問われておりますのは、参議院地方区の定数是正問題であります。国民の主権と議会制民主主義を守るため、また、最高裁の違憲判決に対応いたしまして、早急に、区制とは別に、定数是正を図るべきであります。自民党は区制との一括方式を主張して、また、アンバランスや逆転現象をほとんど解決しない案を持ち出して、定数是正を阻んでおります。総理の定数是正に対する党への指導性と決意をお伺いしたいのであります。
次に、災害及び食糧、環境問題についてお尋ねいたします。
ここ数年、風水害の災害が数多く起こっております。先般の台風第十七号は西日本を中心に猛威をふるい、多くの方々が不幸にも犠牲になられ、また被害を受けられました。心から謹んで哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げます。政府は、人命尊重、徹底救済の立場で救助、復旧に努め、特に中小企業者、農業者等に手厚い救済を図るとともに、個人災害に対する救済措置を、災害弔慰金やあるいは貸付金の大幅増額とともに、また、新しい個人災害共済制度を考えるべきであると思います。また、災害再発防止の五十二年度よりの治山治水五カ年計画は、その規模、一級、二級河川の決壊対策、がけ崩れ対策等、具体的に示していただきたいと思います。
また、東日本一帯は四十二年ぶりの冷害に襲われ、関東の早場米地帯を初め、東北、北海道、新潟県など、農作物に壊滅的な打撃をこうむりました。岩手県では収獲ゼロの農家も続出いたしました。初霜がさらに追い打ちをかけ、自殺者も出している県があります。また、来年の十月まで一切の収入がなく、多くの人が職場探しに懸命であります。地元では、天災融資法や激甚災害法の早期発動、融資枠の拡大と融資条件の緩和、農業共済資金の早期高額支払い、病虫害防除対策費助成、また、等外米麦と規格外米の全量買い上げ、新しい職場探し、さらに、災害の県市町村に対する特別交付税や起債枠の設定などの財政援助を強く望んでおります。政府は万全の対策を立て、特に、大石農林大臣が現地で約束されたことはすべて実行されるよう強く要望して、所信をお伺いいたします。
わが国の食糧問題は、小氷期と言われる世界的な異常気象、大干ばつ、冷害の中で、穀物自給率が大豆を含めるとわずか三〇%台という現状でありまして、世界一の食糧危機の中に立たされております。食糧自給率を高め、生活できる農業の復興のために、思い切った政策転換が必要であります。
わが党が、最近、穀倉地帯と言われる純農村で広範囲の農業者意識調査を行ったところ、農政に不満のある人は全体の九〇%もあり、その内容は、経営が成り立たない、農政の一貫性がない、抜本的な農産物の価格補償がない、また、税制上の優遇策がない、こういう不満が多く、その他、将来農業をやめるという人が全体の三〇%、また、後継者がいないという人が二五%もありました。福島潟や大潟村の紛争や青刈り問題は、まさに農政に一貫性のない証拠であります。
農地について言いますと、農林省は昭和六十年まで十六万ヘクタール増加の目標でありますが、食糧自給率を高めるためには、遊休農地の買い戻しや、農地六十万ヘクタール、草地やあるいは野草地百九十万ヘクタール程度の新規造成を図るべきではございませんか。
次に、公害、環境問題について伺います。
公害による環境汚染はますます広がり、公害病認定患者が増加し続けております。最近の例でも、長い間工事がストップしておりました長野県の有料道路ビーナスライン、これを環境庁は建設を認め、南アルプスのスーパー林道も建設促進の動きが見えます。六月には、鹿児島県かも新大隅開発計画の第二次試案が突然発表されました。日南海岸国定公園の指定を外してまで強行施行するのか、総理の環境保全に対する基本的姿勢をお伺いしたいと思います。
また、環境アセスメント法、すなわち環境影響事前評価制は、公害の後追い行政から未然防止へと脱皮を図るために国民の強い要望であり、わが党も昨年二月に法案を提出いたしまして、早期法制化に努力してまいりました。しかし、昨年十二月、環境庁が報告した環境アセスメント素案は不十分なものでありましたけれども、それすら各省庁との調整がつかず、成案まで至らなかったと聞いております。三木総理は、各省庁を指導して、早期法制化されるお考えはありませんか。
次に、財政経済問題について質問いたします。
私たちは、財政特例法による安易な大量の赤字国債の発行に反対し、不公平税制の是正や歳出の節約、償還計画や市中消化の明確化などの提言を行ってまいりましたが、昨日の政府答弁を聞きましても、政府の努力にはほとんど見るべきものがございません。
税制面では、東京都の調査でも、昭和四十九年の企業優遇税額は実に二兆五千八百三十七億円に達し、資本金百億円以上の大企業の実質税率が資本金数千万あるいは数百万円の中小企業の実質税率よりも低い、こういう不合理さえ生じております。政府は、このような大企業や金持ち優遇の不公平税制を抜本的に改革し、また、ロッキード疑獄に見られる悪質脱税の摘発を強化する、公正な税の執行、健全で効率的な財政の運営等を図るべきであります。
大蔵省は、五年ものの国債、中期割引債発行を考えているようでありますが、銀行の反対、また利息に一二%の税金を払えば無記名で買えるという税法上の問題について、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
第二に、国鉄運賃、電信電話料金の値上げと消費者物価について、総理にお尋ねいたします。
電力、ガス料金を初め、多くの公共料金の値上げと卸売物価の十四カ月の連騰で、消費者物価も前年比九・五%も上昇し、さらに高騰する勢いであります。私どもは、安易な国鉄運賃の五〇・三%という大幅値上げ案に強く反対いたします。国鉄の再建には、国鉄自身の経営努力、国の助成強化、新線建設の見直し、大企業優遇の貨物料金の抜本改革、あるいは総合交通体系の確立等がまず急務であります。
また、電信電話料金の大幅値上げに対しても強く反対いたします。値上げしないで済むように、第五次五カ年計画を抜本改正すること、また、減価償却制を定率法から定額法に改めること、データ通信等の企業優遇料金制度を改めて、一般住宅用の電話料金を抑制すべきことを主張いたします。
しかも、政府のこうした公共料金の値上げは、上昇を続ける消費者物価をさらに押し上げ、ますます国民生活を圧迫するのであります。このような状態で、総理は、年度末消費者物価を八%にする目標を守れると思っておりますか、お伺いいたします。
次に、国民福祉の課題についてお伺いいたします。
国民の福祉は、過去の高度成長のときも最もなおざりにされ、いまや不況とインフレの同時進行の中で、完全失業者は百万人に達し、老人世帯、母子家庭、身障者世帯の方々の生活はまさに危機に直面しております。
わが国の社会保障の国民一人当たり給付額は、西ドイツ、フランスの六分の一、カナダ、イギリスの四分の一、イタリアの三分の一で、まさに福祉三流国であり、福祉充実の声はますます高まっております。三木総理のもとにライフサイクル計画の提言もあったことでございますから、ナショナルミニマムを設定し、予算を優先確保して、社会保障充実のための五年計画または三年計画を示すお考えはありませんか。
第二に、すべての国民の老後に安定した最低生活を平等に保障する老齢年金制度の確立についてお尋ねいたします。
わが国の年金制度は、厚生年金の改善もまだまだ不十分であり、特に国民年金や老齢福祉年金については非常に立ちおくれております。積立期間が少ないとか無拠出という理由は、国民年金の発足が遅かったのは政府の責任でありますから、理由は成り立ちません。いま厚生省にも基礎年金制などのお考えもあるようですから、所得比例年金との二階建て年金制で、諸外国並みの修正賦課方式に切りかえ、世代間の相互扶助の精神で、社会に大功労のあられた御年配のすべての方々が安心して生活できる年金制度を抜本的に早急に確立することが必要でありますが、政府の考えをお尋ねいたします。もしそれが早急にできないなら、せめて国民年金の十年年金、五年年金を、現在の低い二万五百円、一万五千円より大幅に増額し、そして老齢福祉年金を、十月からの一万三千五百円を早く月二万円に引き上げるべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
第三に、住宅対策ですが、全国で二百四十七万七千世帯の住宅難世帯が、また一千三万世帯の住宅困窮世帯があります。いま大都市圏でごく小さな持ち家やマンションを購入するのに、若干の手持ち資金に一千百万円程度を住宅金融公庫や民間住宅ローンを借りますと、二十年間毎月九万五千円程度の返済額になりまして、これでは持ち家は庶民にとってますます高ねの花となってまいります。賃貸住宅も年々家賃が上がり、民間アパートは四畳半一間で平均一万三千四百円、耐火づくりの二DKは平均五万七千六百円、公団住宅も高家賃団地となり、二DKで四万六百円、高いのでは赤羽二丁目団地の三DKで六万九千六百円となっております。中でも、ひとり暮らしのお年寄り、夫を亡くされた御婦人など、単身世帯では公的住宅にほとんど入れず、過酷な仕打ちとなっております。政府は、住宅五カ年計画の公的住宅三百八十六万戸を少なくとも五百万戸に増加し、条件をよくし、特に老人、御婦人の単身世帯向け公営住宅を開放または建設するお考えはありませんか。
第四に、医療における健康保険制度の問題であります。中でも国民健康保険財政は逼迫し、市町村の中には、苦しさの余り、国保返上論さえ起こっております。健康保険制度はすでに定着しております。保険制度の崩壊は国民の健康の崩壊につながるものであります。政府は、この危機をいかに回避し、国民健康保険の健全化を図るか、考え方を示していただきたい。
また、被用者保険加入者が退職後に苦労されるのを防ぐために、退職者継続医療制度の整備を図るべきだと思いますが、見解をお聞きしたいと思います。もちろん、老人医療の有料化への動きには強く反対してまいります。
第五に、教育について伺います。
受験地獄の中で塾通いの児童が激増しており、文部省でも実態調査をしているそうですが、塾へ行かなくても済む教育制度の充実対策についてどのように考えておりますか。また、高校建設は人口急増地区等では深刻な問題であり、高校全入制の実現も強く求められております。来年の文部省の概算要求はまだ少額と言わざるを得ません。大量の高校建設に対する政府の助成についての考え方をお伺いしたい。
さらに、だれでも高校、大学で学べるように、高校、大学の奨学生制度を、人数、金額ともに来年度はさらに倍増し、改善すべきだと思いますが、どのように考えておりますか、お伺いいたします。
次に、外交問題について三木総理にお伺いいたします。
アジアと世界の平和を強く願うわが国の外交方針は、平和憲法を基本とした自主平和外交と、すべての国と友好親善を図る等距離中立外交でなければならぬと私たちは考えております。
この立場で総理にお尋ねしたい第一点は、海洋法会議の経済水域設定の問題であります。経済水域二百海里、領海十二海里の設定を主張する声はもはや世界の大勢となりつつあります。
まず、領海十二海里の早期宣言は、わが国の零細沿岸漁業を守るためきわめて重要であります。三木総理は、本年二月二日の予算委員会で、海洋法会議で結論が出ない場合でも政府としてことしじゅうに領海十二海里決定をやりますと確約しましたが、いまだに宣言を渋っておりますのは公約違反ではありませんか。何かいま宣言できない理由があるのですか。その理由をはっきりお答えください。
また、経済水域二百海里設定についてわが国の利害得失をどう考えておられますか。各国がばらばらに経済水域二百海里を宣言することが予想されますが、これはわが国の遠洋漁業に壊滅的な打撃となると思います。先般は日米漁業交渉もあったわけです。経済協力や入漁料、減船の救済など、その二国間交渉と対策について明確な答弁をお願いしたいと思います。
第二に、核政策でありますが、前の国会で核兵器拡散防止条約批准に踏み切ったのに、肝心の核軍縮は進まず、米ソ間の戦略兵器制限交渉も米ソ両国の拡大均衡の結果しか生じておりません。総理は、米ソ両国に強い態度で核軍縮を求めるべきではありませんか。
また、次の問題として、気象を変えるという、人類皆殺しの恐るべき環境破壊兵器の開発が現在進んでおりますが、政府はこの開発を取りやめるよう強く発言すべきだと思いますが、いかがでございますか。
さらに、領海十二海里が設定された場合、国際海峡における核兵器の無害通過は、非核三原則を堅持するわが国は当然禁止すべきであると思いますが、総理の明確な姿勢をお尋ねいたします。
第三に、日中平和友好条約の締結交渉でありますが、早期締結を強く願っている間に、残念にも毛主席、周首相が死去されております。総理はさきの国会で、現在の日中間にそんなに大きな考えの隔たりがあるとは思わないと答弁されておりますが、すべては総理の断固たる決断にかかっているのであります。小坂外務大臣と喬冠華外務大臣との会談が近く行われるようでありますけれども、総理に、反覇権問題に関する交渉のいきさつ、締結の見通しを、あわせて示していただきたいと思います。
第四に、日ソ関係についてお尋ねいたしますが、日ソ復交以来二十年、アジアの隣国としての友好親善が、ミグ25強行着陸問題で重大な局面を迎えております。ミグ25の機体は現在解体調査が行われておりますが、わが党は、昨日の矢野書記長の質問のような早期返還を要望しております。本日は小坂・グロムイコ会談も始まったようですから、機体の調査期間と返還方法について、また、今後の日ソ関係のあり方について、総理の明確な御所信を伺いたいと思います。
また、将来の問題として、もしミグ25が函館を少しずれて、三沢とか横田等の米軍基地に強行着陸した場合、わが国政府のなし得る権限について、種々の場合について、この際明らかにしていただきたいと思います。
第五に、わが国の海外政府援助が、先般OECDから指摘されたように、昨年は目標のGNP〇・七%にはるかに及ばず、一昨年の〇・二五%より低い〇・二四%に落ち込み、量質ともに諸国の強い批判を浴びておりますが、総理は、所信表明に、経済技術協力、とりわけ政府援助の面を一層強化したい、こう言われております。本年の具体的な目標と抱負をお聞きしたいと思います。また、発展途上国に対する一次産品の価格安定構想と累積債務救済についてのお考えをあわせてお伺いいたします。
次に、日本共産党のいわゆるスパイリンチ事件についてお伺いしたい。
本件はすでに前国会でも取り上げられましたが、また、昨日の衆議院本会議でも、共産党の金子議員から改めて本件についての問題提起があったことは御承知のとおりであります。それを受けて、わが党の矢野書記長も疑問点について若干触れたわけでありますが、日本共産党側からあえて問題提起があったのは、本件がまさに今日的課題としてまことに重要であるとの判断からであろうかと思います。矢野書記長もまた、自由と民主主義を守る今日的課題に立ったものであります。しかも、矢野書記長の質疑の途中、日本共産党議員席からわが党書記長に向かって犬呼ばわりをいたしたのであります。これはまことに無視し得ない暴言であり、その根底には、自分と意見の異なる者は人間として認めないという日本共産党の体質を露呈したものであり、まさに議会制民主主義に真っ向から挑戦するものと言わざるを得ないのであります。(拍手)
私は、以上の観点から、国民各位が本件に重大な関心を持っているとも思いますので、きわめて常識的に若干お伺いするものであります。
法務大臣は、昨日の答弁において、宮本顕治氏が連合軍の特別指令によるいわゆる超法規的措置によって釈放されたと答弁された。つまり、リンチ事件については勅令七百三十号の適用除外であり、これを釈放することは法規上の裏づけを欠如するものであり、まさに連合軍司令部のおかげであると言っても差し支えないと答弁された。当時、このような総司令部の措置については、法務当局もこの命令を受忍せざるを得なかったと思うが、もし連合軍の特別指示がなかったとすれば、わが国法律上、刑法犯として網走刑務所に収監されておった宮本氏はどのような取り扱いになったか、所見を承りたい。
また、法務大臣が述べられた超法規的措置の内容については、立憲民主国家としての日本の進路に対して重大なる影響を与えるものであるとの立場から、同措置の内容、特にアメリカ側の指令の態様及び日本側の司法当局のとった措置及び法的手続等について御説明をいただきたい。
さらに、治安維持法下におけるスパイリンチ事件の発生については、異常な時代の不幸なる出来事として共産党の説明が行われているが、同党の持つ本質的な体質から生ずる事件であるとの見方もあり、これについて戦後同種リンチ事件が発生していないことを望むものであるが、不幸にして同種事件が発生したとすれば、民主議会政治においてまことに遺憾な事実と言わざるを得ません。ここに政府は、共産党にまつわる同種の戦後の事件について覚知しているかどうか、伺いたい。もしありとすれば、その資料を提出した上、かかる事態の再発を防止するための措置としてどのような方策を考えておられるか、明らかにされたいと思います。
以上、私は内政、外交の当面の問題についてお尋ねいたしましたが、三木総理及び関係大臣の明確で誠意ある答弁を要望しまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕