大石武一の発言 (本会議)

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○国務大臣(大石武一君) 多田さんの御質問にお答えをいたします。
 北日本の冷害はきわめて厳しいものがございます。私も、先日その二県ほど視察してまいりましたが、余りのひどさに心を痛めておる状態でございます。これに対しまして、できるだけ早く被害の実態の確認をいたしまして、被災農家に対する具体的な救済に万全を期してまいる考えでございます。
 現在までに数々の災害を経験いたしまして、そのたびにいろいろとりっぱな対策、制度というものがつくられてまいりました。これを温かい気持ちで全面的に活用いたしますと、相当の成果を上げることができると思います。そういう方針のもとにこの災害対策を推し進めてまいりますが、何と申しましても、この冷害は、ことしから来年までの一年間の生活をそう落とさないように保ってあげることと、それから来年以降の再生産に対して、そのあり方を確保しなければなりません。そういう点で、先ほど総理や大蔵大臣からもお話のありましたように、農業共済金は年内に支払いを完了するようにいたす方針でございます。
 さらに、数々の制度融資を利用いたしまして、天災融資法及び激甚災害法を発動いたしまして、これによって天災融資法あるいは自作農維持資金の貸し付け等、そういうものを、できるだけ金が、現金が入るようにいたしたいと考えております。
 さらに、いままでの借入金、制度の借入金が相当ございましょう。こういうものに対しましては、できるだけその返還の条件を緩和いたしまして、これに対処できるようにいたしてまいりたいと思います。
 なお、これらのいろいろな施策というものは、必ずしも十月か十一月にはこれらの金が出てまいらないおそれがございますので、その間は、いろいろと国が各県に連絡をいたしまして、つなぎの融資の手だてを尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、規格外米の取り扱いにつきましては、幸いに大蔵大臣からもまことにありがたい話がありましたので、これは政府におきまして何とかして責任を持って処分いたしたいと思います。どのような方法によりますか、いま細かいところは申し上げませんが、政府において責任を持って十分にこれを処理してまいりたいと考えております。
 それから、なお、病害虫の防除費その他につきましても、これは大蔵大臣のお話のとおり、できるだけ確保して、重点的に配分いたしてまいりたいと思います。
 その他いろいろございますが、とりあえずこういうことを中心として災害対策を進めてまいる方針でございます。
 次に、純農村には、経営が成り立たない、いろいろな不満があるではないかという御意見でございますが、私も残念ながらそのように認識いたしております。で、これは御承知のように、日本の農業というものは、他の産業に比べまして、きわめて厳しいハンディキャップをしょっております。これは日本の何百年来の歴史の中で、そのような宿命を負わされておるのでございます。これを取り除いて、他のどの産業にも負けないような生活をつくってあげることが農政の大きな目的だろうと思います。
 そういう意味で、この数十年来いろいろと方策が行われました。国の力、指導によりまして非常に農村はよくなってまいりました。しかし、また、十数年この方の日本の高度経済成長がこれらの歯車を狂わしまして、農村のあり方、考え方が大きく変わってまいりましたことが今日のいろいろな農村の混乱の原因だろうと私は思うのでございます。現に、私のような純農村地帯の、地域の郷里におきましても、たとえば二ヘクタールとか二ヘクタール半の耕地ではとうてい経営が成り立たないとか、四ヘクタールや五ヘクタールのたんぼではとても生活が苦しいというような不満が非常に多いのでございます。こんなことでは、とうていもう農業というのは成り立ちません。
 そこで、やはり何と申しましても、これらに対して希望を与えることが一番大事だと思います。農業の将来に対して十分に明るい希望を持たせて、情熱をかき立てて、そうしてその農業経営によって明るい生活が保障されるような農政をつくることが一番大事だと考えております。で、これらに対してはいろいろと苦労はいたしておりますが、何とかしてそのような方向で、このような農政の方針を打ち立ててまいる決意でございます。
 その中の一つとして、当然、農業経営の安定が大事でございます。農業経営の安定のためには、農産物価格の安定がきわめて大事でございますことは御説のとおりであります。したがいまして、従来、それぞれの物資の特性に応じました価格安定制度をつくりまして、適正な価格水準の実現に努めてまいっておるのでございますが、反面、価格政策だけによることも問題があると思います。これだけでは十分だと思いません。そこでやはり経営規模の拡大であるとか、あるいは生産基盤の整備であるとか、あるいは生産コストの低下だとか、いろいろの政策を行いまして、このような農家経営の安定を進めてまいりたいと思うのでございます。同時に、都市に比べまして、いろいろと農村環境の整備やその他の点において立ちおくれがございます。こういうものを十分に整えていくことが大事な問題ではないか。そのようなことになりますと、おのずから農業後継者も農業に希望を持って働いてまいることと考えておる次第でございます。
 それから、農地は十年間で四十万ヘクタールも減少ではないかと。これらのものの、その他遊休地の買い戻し対策を講ずべきではないかという御意見でございます。これにつきましては、現在、国土庁の発表によりますと、取得された未利用地の面積は二十六万七千ヘクタールとなっておりますが、このうち遊休化している農地は余り多くないようでございます。しかし、やはりこの農地がそのまま遊んでおりますことは、まことに好ましくありませんので、これを何とか利用できますように、農地として利用できますように、土地につきましては農地保有合理化法人等による買い入れによりまして、できるだけ優良農地の確保に努めてまいりたいと思う次第でございます。
 なお、農用地につきましては、昨年閣議決定されました「農産物の需要と生産の長期見通し」において、食糧自給力の向上を図るために、昭和六十年度に五百八十五万ヘクタールを確保することを目標に、四十八年から六十年までの十二年間に八十六万ヘクタールの新規造成を見込んでおります。その造成につきましては、なかなか、これからいろいろな困難な問題がございますけれども、できるだけその方向に進めまして、この耕地を確保したい覚悟でございます。ことに、今後の日本の畜産のあり方を考えますと、どうしても多くの広い耕地、草地を造成することが一番大事でございます。そのような方針から、御意見どおり一生懸命に努力してまいりたいと思うのでございます。
 最後に、食管制度あるいは二重米価についてのお尋ねでございます。この食管法というものは、食管制度は、これはあくまで堅持していかなければなりません。御承知のように、食管法ができました初めは、国民の食糧、国の食糧を確保することが大きな目的でございました。しかし、その後三十数年を経過いたしまして、今日におきましては、この食管制度というものはその内容が多少変わってまいりました。現在では、むしろ農民のために米の価格を補償するという点に重点があるのではないかと思います。私はこの両方面の目的が日本の農政の根本であると思いますので、この食管制度の根幹というものは今後とも維持してまいる方針でございます。
 なお、二重米価制度の問題がございますが、これは別に食管法の根幹とは考えておりません。現に農林省におきましては、本年度から二重米価の中の逆ざや解消を目的として、この数年間に逆ざやを完全に解消しようという方針のもとに、この方向を進めておるわけでございます。
   〔副議長退席、議長着席〕
こういうことにして、この二重米価制度も、ある期間をもって、できるだけ適当に処理してまいることが正しいのではないかと思うのでございます。
 なお、米の需給につきましては、現在、現実に米は余っておる状態でございます。しかし、日本人の将来、日本の民族の将来を考えますと、やはり米というものは、これは一番大事な主食であります。あくまでもこの米というものは、私は主食として確保しなければならないと思います。そういう意味では、現在は余っておりますけれども、将来のいろいろな時期に対処するために十分な生産性の向上ということは、これは図ってまいらなければならないと考えております。しかし、現に米が余りますと、それは食管会計の赤字をふやすことになりまして、農政上の操作にもいろいろと重荷になっておりますことは確かでございます。したがいまして、非常にむずかしい問題でありますが、この現在米の余る問題をどのように処理するか、そうして将来の生産性を考えながら、どのような方向に行くかということが重大な問題でございまして、これを何とかして、むずかしいものであるけれども、これに対して対処して、正しい方向を決めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、米の備蓄につきましては、現在二百三十万トン、約四カ月分の配給分がございます。大体これくらいあれば一応は間に合うではなかろうかと現在考えておる最中でございます。
 いずれにしましても、私は、この農林省の目的というものは、国民、民族のための正しい、よい食糧を確保することということと、農民の命を守り、農民の暮らしを守ることが大きな使命であると考えます。この点からあらゆる努力をして、明るい日本の農業の将来をつくってまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 107815254X00619760929_008

発言者: 大石武一

speaker_id: 23383

日付: 1976-09-29

院: 参議院

会議名: 本会議