中村利次の発言 (本会議)
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○中村利次君 私は、民社党を代表して、国政が当面する諸問題について質問をいたしますが、その前に、ただいまの日本共産党の立木議員の質問を伺っておりましたところが、まことに納得のできないものがある。まず冒頭に、そのことについて新たな疑問も含めて質問をいたします。
日本共産党の言い方をすれば、わが党や公明党には言論の自由はない、この言論の府において、いろんな課題についてこれを知ろうとするための言論を張る自由がないという言い方であります。あるいはまた、法務大臣の答弁に対しても、それが日本共産党の気に入らなければそれは不当であり、憲法違反であるという、きめつけであります。(拍手)
私どもが言っておるのは、わが党の春日委員長が取り上げて、冒頭からそうでありますけれども、真実はどうなんだと、真実はどうなんだということなんです。この真実はどうなんだという真実追求の問題に対して、これが憲法違反である、あるいは不当であるという、ばり雑言が投げつけられましたけれども、ただいまの立木議員の意見を聞けばですよ、裁判に対する批判や判決の当否を論ずるのは自由であるとおっしゃる。日本共産党が裁判の批判をしたり、あるいは判決の当否を論ずるのは自由であって、ほかの者には一切そういう自由は認めないという、このきめつけは、まさに日本共産党一流の左翼全体主義と言わざるを得ません。(拍手)
また、裁判——戦前の治安維持法下における暗黒裁判のその判決がいかにもこれが不当である、こういうことを言いながらですよ、不当であるから宮本顕治氏は関係ないんだということを言いながら、宮本顕治は無罪であるとおっしゃる。あの暗黒時代の裁判なんだから、殺人はしたんだが、しかし、これはアメリカ軍が助けたんだと言うならまだロジックは通ずるんです。そうじゃなくって、不当だと言いながら、殺人はやっていないんだ、それはでっち上げだ——大体どっちをとればいいんです。裁判の記録は明らかに、金網で縛って、さるぐつわをかませて、そして、傷害死に至らしめたということになっておるわけでありますから、したがって、この事実を(「暗黒裁判だ」)と呼ぶ者あり)暗黒裁判なら、あんた、暗黒裁判のあれは認めないと言うんですか。民主化のためには殺人も放免すべきであるという議論ですか。そんなばかげた議論は成立をしない。殺人そのものが裁判の記録として明確に残っておる限り、これがインチキででっち上げだとおっしゃるならば、再審の請求はまさに自由でありますから、したがって、正々堂々と再審の請求をされて、国民の前に本当の、本物の事実を示すべきであります。(拍手)
そこで、私は大事な質問がありますから、法務大臣に質問をいたしますけれども、公明党の多田議員の質問と法務大臣の答弁によりますと、戦前の暗黒裁判ではなく——戦前の暗黒時代ではなく、戦後にもまた共産党によるこれに類する事件が発生をしておることを承知しておるという御答弁でございましたが、もしそれが事実であれば、その具体的資料を本院に提出をされるよう要求をいたしますが、その求めに応じられるかどうか御答弁を願います。
いま国民は、政治に対して強い期待を寄せながら、激しい不信と不満を持っていると思います。また、国会は何をしているんだというやり場のない憤りすら感じていると思います。
第七十七国会閉会後この臨時国会召集までの百十余日、政治課題が山積していたにもかかわらず、国政の渋滞ははなはだしく、特にその後半に至っては完全な空白状態であったと言えましょう。国民の不信と不満が頂点に達するのもまた当然であります。しかるに、総理は、この憂うべき状態について、その理由について、さらにまたその責任について全くお触れになっていない。これは一体どういうおつもりか。あなたの政治感覚と国民感情にはそれほどのずれがあるのでしょうか。
衆参での質問に対して、あなたや大蔵大臣は、政治の空白はない、行政は遅滞なく実施されていると答弁されていますが、私は行政事務職の三木さんに質問をしておるんではありません。政治家の、それも一国の総理としての三木さんに尋ねているんです。国民のほとんどが政治の空白を感じ、国政のおくれを憂慮したことをあなたはお認めにならないのですか。もしそうだとすれば、総理の政治感覚はもはやずれではなくて、世論すら把握することができないということになります。しっかりとした御所見を伺います。
ロッキード事件を初め、論外とも言うべき自民党の内部抗争によって、行政や立法の機能が国民の期待に敏感に反応できない現状については、野党としてのわれわれも厳しい反省が必要と思います。
自民党がその内部抗争によって政権政党としての責任をみずから放棄し、国政を停滞させ、国民の不信を買ったにもかかわらず、いろいろな主張、いろいろな構想はあろうとも、現実にこれにかわるべき政治勢力がなく、国民のいら立ちにこたえ得ないという事実に対しては、われわれも深く反省をし、主権者たる国民とともに政治の原点に立ち返って、国民本位の政治体制確立の強い決意を固めなければならないと思いますが、それにしても、まことにわかりにくいのは、内閣改造時における副総理、大蔵大臣、それに三木総理の進退であります。副総理と大蔵大臣が三木おろしの旗頭であることは天下周知の事実であります。また、総理が三木政治こそ国民の信を得る保守政治のあり方だと確信されているのに対して、お二人や反三木派の人たちは、三木政治は保守本流の路線ではないとのお考えだと伝えられています。だとすれば、これはまさしく政治路線の相違であり、政治信条の違いであります。新内閣の組閣に当たって、総理はなぜ政治信条を異にするお二人を再任されたのか。お二人が再び閣内から総理の退陣を求め、前内閣末期の状態を再現して政治空白を生むことは断じてないと確信をされたのかどうか、総理の御所見を伺います。
さらに、副総理と大蔵大臣にお尋ねします。
三木退陣を迫った十五閣僚のうち、お二人だけが再び重要閣僚として留任されたのでありますが、政府の当面する課題はまことに重要であり、閣内不統一による政治空白は、これを国民が許しますまい。この際、三木退陣の旗をおろして入閣されたのかどうか、政治家のモラルの問題でもありますので、明確な御所見をお聞かせ願います。
ロッキード問題につきましては、総理は、この事件の真相を解明しなければ日本の民主主義は傷つけられる、そして、その全容を個体名を含め明らかにすると言っておられます。ところが、総理の所信表明を受けた法務当局は、中間報告に灰色高官の名前は出さない、資料提供も秘密会でなければその量や範囲が変わると、まるで骨抜きの姿勢であることが報道されています。この報道は誤りなのか、もし事実だとすればその責任はどうなるのか、総理のお答えを求めます。
また総理は、この真相解明には政治生命をかけると言っておられますが、政府・自民党の中にこの事件についての統一姿勢が見られませんので、この際、総理の政治生命をおかけになるその中身について、具体的に政治生命をどうおかけになるのか、御見解をお示しいただきたいと存じます。
財特法案につきましては、すでにわが党の春日委員長が衆議院においてこれを取り上げましたので重複を避けますが、この法案処理のおくれには政府・自民党の重大な責任があることでもありますので、国民生活、地方財政、産業活動に悪影響を及ぼすことのないよう、その努力と具体的な対策を重ねてお示しいただきます。
次は、景気対策についてであります。
政府は、景気は着実に上昇しているとして、両院を通じての御答弁でも楽観論をとっておられるのでありますが、そこでただしたい第一点は、政府の言ういわゆる景気上昇の原因は、米国を初めとする世界経済の回復による輸出の急増によるものと思いますが、政府の見解と相違するのかどうか。第二点は、国内需要の伸びも輸出の急増に関連するものと思うが、この点も政府の見解と異なるのかどうか。第三点は、他力本願によるわが国の輸出の急増が米国を初め他国の非難を受けていないのかどうか。米国を中心として円安批判や課徴金等保護貿易的な機運はなぜ起きているのか。第四点として、その輸出の急増にもすでにかげりが見えているが、政府はこれをどう受けとめておられるのか。第五点は、輸出主導型の景気回復がこのまま定着するとお考えになるのかどうか。
以上について、まずお伺いいたします。
わが国が節度のある輸出の増加を図るのは当然であります。同時に、みずからの政策によって国内需要を拡大し、両々相まって、偏りのない全業種にわたっての回復を図り、雇用不安をなくして景気を安定的に定着させるのが真の経済政策であると存じます。その意味では、私は政府の自画自賛を認めるわけにはまいりません。内需の柱とも言うべき民間消費が三カ月間連続してマイナスを記録している事実は、重大な赤信号としてこれを受けとめるべきです。政府は頑強に減税を拒否されますが、個人消費の回復に最も有効な減税は設備投資の拡大にもつながり、総じて内需の堅実な伸びに通ずることは疑う余地はございますまい。これに節度のある輸出の増加が加わるならば、バランスのとれた、まさに好ましい景気の回復となり、結果して租税の収入も増加して、財政上減税の余裕はないとおっしゃる歳入欠陥も逐次改善されることになると思いますが、なぜ政府は頑迷に減税を否定なさるのか。アメリカが大幅減税を行って景気対策に成功したということをどのようにお考えになるのか。また、減税が景気政策上どのようなマイナスを伴うのか。お伺いをいたします。
次は、国鉄の再建について伺います。
国鉄の現状が破産状態にあることは、これを直視します。しかし、あの世界に冠たる輝かしい歴史を持った国鉄がなぜ今日の姿になったのか。国鉄赤字の元凶は何なのか。総理や運輸大臣はこの原因の究明や対策を真剣にお考えになったことがありますか。国鉄は年ごとに貨物をトラックや船にとられ、貨物輸送に占める比重を歯どめなく低下させています。五十年のシェアは、たったの一二・九%にすぎないではありませんか。このままでいけば間もなく一〇%を割ることになるでしょう。輸送競争の条件では国鉄がはるかに有利のはずであります。にもかかわらず、民間のトラックや船舶の企業努力と国鉄の無策、怠慢との差によって、数字は冷酷に国鉄貨物のシェアの下落を示しているのであります。荷主が国鉄に信頼をなくすれば、船やトラックヘの切りかえが進行するのは当然であります。対策を怠り、怠慢の結果として生ずる赤字は芸もなく運賃値上げに頼るというのでは、国民はとうてい浮かばれません。民間に劣らない企業努力が必要なはずです。職場秩序を回復し、違法ストがなくなる労使関係の改善をして、国民の信頼を取り戻してこそ、国鉄再建の前提が整うことを肝に銘じて知るべきであります。政府の姿勢とその対策について明確な御答弁を求めます。
台風十七号は関東以西の各地に甚大な被害を与え、とうとい人命すら奪い去りました。また、東北、北海道では冷害によって深刻な打撃を受けています。被災された方たちに謹んでお見舞いを申し上げますとともに、行政上の対策に万遺憾なきを強く要望しますが、台風、冷害、干ばつ、あるいは地震等のいわゆる天災と称する災害は、天災という名によって施策上の責任を免れることはできません。対策のおくれが想像をはるかに超える被害を招くことはすでに体験済みであります。天災もこれを人災と心得て、人間の英知と科学技術を駆使して未然に防止し、あるいは被害を最小限度にとどめなければなりません。政府の対策をお尋ねいたします。
次に、ミグ25問題について質問します。
この事件は、ソ連機によるわが国の領空侵犯、強行着陸によって生じたものでありますが、第一に、ソ連はこのことに対し何ら遺憾の意を表することなく、逆にベレンコ中尉の亡命を強制であり、でっち上げであるとしてわが国に強い抗議を行っていると伝えられていますが、事実かどうか。事実とすれば、これに対し政府はどのような対応をしているのか。ソ連との友好関係を強く希望することはもちろんでありますが、それは独立国としてのわが国の主権を確立した上でのことであるのは当然であります。不法侵入機の調査は当然と思うのでありますが、それに米国の力をかりたのはなぜか。わが国が自力で解体調査すらできる能力がないのかどうか。また、米国の介入を求めたことがソ連との友好関係に悪影響があることを考慮に入れられたのかどうか。お伺いいたします。
さらに、私はこの事件によって文民統制に対し強い不安を覚えました。地上レーダーで不明機を発見してから防衛庁への連絡に一時間を要しているのであります。緊急発進したファントム機より不明機に警告を発してから防衛庁への連絡が五十分、領空侵犯してからなお四十七分三十秒を要しているのであります。強行着陸されてから防衛庁運用課への電話連絡はさらに十三分を要しているのでありまして、領空侵犯から防衛庁長官、総理に報告されるのに要した時間は果たしてどれほどの時間がかかったのか。私は唖然といたしました。これではシビリアンコントロールは有名無実であり、全く機能することができません。われわれはいろんな事態を想定しなければなりませんが、このたびの事件は、シビリアンコントロールが全く機能しないままに現地自衛隊の独断専行が行われる可能性を示唆しています。総理の御所見と、何らかの対策をお持ちかどうか、お伺いいたします。
以上、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕