田村元の発言 (運輸委員会)
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○田村国務大臣 第八十回国会に当たりまして、当面の運輸行政の諸問題に関し所信の一端を申し述べ、各位の御理解と御支援を賜りたいと存じます。
私は、いつの時代においても、国民生活と国民経済の基盤たる運輸交通の果たすべき役割りはきわめて重要であり、運輸行政の基本は、安全な輸送サービスを環境との調和を図りつつ国民に提供すべく、交通機関の維持整備に努めていくことにあると信じております。
この場合において、私は運輸行政の最高責任者として、運輸行政に対する国民の信頼を得てその円滑な遂行を確保するため、従来にも増して運輸省職員の綱紀の粛正と運輸行政の運営の改善に努めていく決意であります。
私は、当面次の諸点に重点を置いて運輸行政を遂行してまいりたいと考えております。
まず第一は、日本国有鉄道の再建であります。
国鉄は明治以来、わが国における基幹的な輸送機関として、きわめて重要な役割りを果たしてまいりましたが、近年に至ってその財政は急激に悪化し、いまやきわめて憂慮すべき経営状況に立ち至っております。
しかし、国鉄は、今後とも、わが国の陸上交通の分野で重要な機能を果たすべきものと考えており、そのためには何よりもまずその経営の健全性を回復させることが肝要であります。
このため政府としては、一昨年暮れに国鉄再建対策要綱を策定いたしました。この対策要綱は、まず、国鉄自身が、厳しい姿勢のもとに責任ある経営体制を確立することを前提として、国による所要の財政援助及び必要な運賃改定により、短期間に収支均衡の回復を図り、その後における健全経営の基盤を確立することを基本的な考え方としております。
今回政府は、基本的にはこの対策要綱に沿いつつ、その一部修正を行いましたが、その要点は、第一に、諸般の情勢に照らして収支均衡の目標年度をおおむね五十四年度に変更すること、第二は、国鉄運賃の決定方式について暫定的にその弾力化を図り、所要の運賃改定を行うこと、第三は、国鉄自身が、その経営改善のため赤字部門について具体的な対策を樹立し、早急にこれを実施に移すこと、また、関連事業部門についてもその強化を図ること、第四は、以上の措置とあわせて国の行財政上の援助を強化することであります。
そして、これらを実施するため、今国会に所要の法案を提出いたした次第でありますので、よろしく御協力を賜りたいと存じます。
第二は、新海洋秩序への対応であります。
近年、国際社会においては、新たな海洋秩序の形成が進展しつつあります。運輸省といたしましては、このような情勢を踏まえ、円滑な外航海運活動の確保、海洋汚染の防止等の観点から、今後とも国際的な努力を重ねてまいる所存であります。
一方、政府においては、主としてわが国沿岸漁業の保護の観点から、わが国の領海幅員を十二海里に拡張すべきことを決定したところであります。これに伴い、海上保安業務が増加することが予想されますので、海上保安庁において、巡視船艇、航空機等の増強を計画的に推進し、これに対処する所存であります。
第三は、新東京国際空港の早期開港の実現であります。
新東京国際空港につきましては、開港の障害となっている問題を早急に解決し、年内にその開港を達成すべく、関係省庁、地方公共団体等の協力のもとに、目下全力を挙げて対処しているところであります。
第四は、地域における公共交通機関の維持、整備についてであります。
最近国民は、生活の質的向上を特に重視するようになっており、交通運輸の分野においても、過疎地域、過密地域を問わず、地域住民の生活のための足を確保することが重要な課題となっております。
このため運輸省においては、従来から地方交通対策として、国鉄、中小民鉄、地方バス、離島航路、離島航空路に対する助成措置を講じ、これら公共交通機関の経営の維持を図ってきており、また、大都市交通対策として都市高速鉄道の整備を推進するとともに、バス輸送サービスの改善を図ってきております。今後とも、これらの諸施策を着実に推進してまいります。
第五は、わが国の経済を支え、国民生活の充実の基盤となる港湾、空港、鉄道等の運輸関係社会資本の長期的整備についてであります。これにつきましては、昭和五十年代前期経済計画との整合性を保ちつつ第五次港湾整備五カ年計画及び第三次空港整備五カ年計画の第二年度として港湾及び空港の整備を推進するとともに、新幹線等を初めとする国鉄輸送力の整備充実を図ることといたしております。これら運輸関係社会資本の整備は、全国的な幹線交通ネットワークを形成し、あるいは地域交通の充実を図り、また国際交通の進展を図る上で不可欠なものでありますが、その整備に際しては、環境の保全、交通公害の防止についても十分の配慮をなすべきものと考えております。
第六は、交通安全の確保と災害の防止についてであります。
私は、安全の確保こそすべての運輸サービスの基本であり、瞬時もゆるがせにすることのできない課題であると確信しております。すなわち、陸、海、空、のいずれの交通分野におきましても、人命の尊重は何物にも優先するとの認識のもとに、交通従事者の厳しい自覚を前提とした知識、技能の向上、安全管理体制の充実、また、交通環境の整備、被害者の救済の充実、さらには海上衝突予防法等の関係法令の整備等の施策を総合的に推進し、交通安全の確保を図ってまいる所存であります。
一方、運輸行政は、災害対策の面においても重要な役割りを担っております。特に自然災害については、まず科学的な調査研究を進めて予知、予報の精度を高めるとともに、国土保全のための事業を進め、万一災害が発生した場合には復旧事業を迅速、的確に実施することが重要であります。このため運輸省においては、静止気象衛星の打ち上げを初めとして、気象業務体制の一層の充実を図るとともに、第二次海岸卒業五カ年計画に基づき、海岸保全施設等の整備を推進してまいります。特に近年重視されている震災対策につきましては、地震予知体制の強化を初め、関係機関との密接な連携のもとに諸対策を強力に推進してまいります。
第七に、交通公害の防止についでであります。
私は、豊かな国民生活を実況するためには、交通機関のもたらす利便を促進すると同時に、交通機関が与える環境への影響についても十分な配慮を払う必要があると考えております。運輸交通に係る公害問題としては、航空機の騒音問題、新幹線鉄道の騒音、振動問題、自動車の排出ガス、騒音問題、海洋汚染問題等広範多岐にわたっております。
これらいずれの問題についても、まず、基本的には公害発生源対策としての技術開発を推進し、公害の発生を抑えることが重要であり、次に周辺対策として、必要に応じ民家防音工事等を推進するとともに、土地利用の調整を図ることによって、その被害を防止し、さらには公害に対する規制及び監視取り締まり体制を強化して公害対策の実効を期することが必要であります。私は今後とも、これら所要の施策を積極的に推進してまいる決意であります。
最後に、今日の厳しい国際環境の中での造船不況問題、外航海運問題、国際航空問題等の国際的問題について申し上げます。
まず、造船につきましては、その世界的な不況のもとで、わが国としては操業度勧告を実施し、あるいは事業転換を促進するなどの対策を講じております。一方、EC諸国がわが国の造船受注に対して厳しい態度を示しておりますが、これに対しては、OECD等の場を通じ積極的に協議を進め、鋭意解決に努力しているところであります。
外航海運につきましては、世界的なタンカー船腹の過剰、日本船の国際競争力の低下とこれに伴うわが国商船隊の構成の変化等構造的ともいえる問題が山積しつつあります。このため、今後の外航海運政策のあり方についてこの際抜本的に再検討を加えることとしております。また、最近強化されつつある開発途上国の国旗差別政策に対しましては、いわゆる対抗立法を今国会に提出すべく準備を進めているところであります。
なお、最近の船員雇用をめぐる厳しい情勢に対処するため、船員対策を計画的に推進することとしております。
また、従来から懸案になっております日米航空協定の改定問題につきましては、今後とも日米間の航空権益の不均衡を是正すべく努力してまいる所存であります。
このほか、国際脚光の振興、開発途上国等における運輸関係施設の整備に対する国際協力の推進等についても、従来以上の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
以上、運輸行政の当面の諸施策につき申し述べましたが、これらは申すまでもなく委員各位の深い御理解と絶大なる御支援とを必要とする問題ばかりでございます。
終わりに当たりまして、重ねて皆様の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。