荒木宏の発言 (大蔵委員会)
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○荒木委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について賛成、租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。
まず所得税法の改正に関する法律案は、基礎控除を初め人的控除を各三万円引き上げることを主たる内容とするもので、その意味では一定の改良であります。しかし所得税減税が見送られた本年度と通算しますと、その減税規模は両年度の物価上昇に及ばず実質増税となるもので、物価高と不況に苦しむ国民生活をさらに圧迫するものであり、支持することはできません。
政府は、わが国の課税最低限がすでに国際的に上位にあると言いますが、通貨の対外交換比率にすぎない為替相場の換算によって課税最低限を比較することは税負担の実質比較にはなりません。なぜなら、長期の激しい物価高の結果、名目所得が上昇し、円相場の高騰と相まって名目課税最低限が上昇したとしても、その実質水準がなお低いときには税負担が重いと言わざるを得ないからであります。国際比較の一つの基準であるエンゲル係数をとれば、日本は米国、西独に比べてはるかに劣り、その生活実質は所得の相当部分をなお食費に割かざるを得ない状態にあります。さらに税及び税外負担と社会保障給付の比率が先進諸国の中でも低いことは、国民の重税感の重要な根拠となっております。だからこそ生活防衛のために大幅減税の国民的要求が高まり、与野党伯仲の政治情勢のもとで上積み減税が実現をし、課税最低限は二百二十四万円に引き上げられたのであります。
わが党は課税最低限を二百八十万円に引き上げることを主張しており、その点から見ますとなお不十分ではありますが、今回の上積み減税は国民要求を反映したものであり、政府案が実質的に修正されたものとして賛成する次第であります。
次に、租税特別措置法改正に関する法律案について反対の理由を申し述べます。
第一に、それは不公正税制の象徴並びに根幹であります。各種特別措置は言うまでもなくそれぞれの政策目的に応じて設けられたものであり、中小企業、一般国民も利用しておりますが、しかし全体として大企業、高額所得者の利用額が多く、その結果として実質税負担率が大企業、高額所得者の方が、小規模、低額所得者より軽いという不正常な状態が戦後一貫して続いてまいりました。このことは昭和二十七年ないし三十三年、同三十六年、同四十七年ないし四十九年に関する大蔵省資料、税制調査会資料でも明らかにされております。租税特別措置法は大企業、高額所得者に全体として租税特別措置集積の利益とも言うべき巨額の利益を与えており、不公正税制の温床、象徴とも言うべきもので、その大綱を維持している政府案には反対であります。
第二に、租税特別措置法は経済的危機の根源をなすものであります。たとえば、各種特別償却は整理合理化されたと言いながらなお数多く、これが普通償却の大幅拡張の上にさらに上積みされていることは、長期的に見て日本経済と国民生活に重大な悪影響を与えたことは明らかであります。一つは、資源多消費を促進し、政府みずから資源小国と称しながらエネルギー危機を一層激しくしてまいりました。二つには、それは設備投資を人為的に促進し、今日の不況現象として指摘される需給ギャップをつくり出し、わが国の市場問題を深刻化させたのであります。三つには、原価計算上コストアップをもたらし、物価高、独占価格高騰を進めてまいりました。そして四つには、財政危機の重要な一因をつくり出したのであります。
わが党は、不公正税制の是正とともに、資源を尊重し、物価を抑え、市場問題を解決するために、これら高成長を支えた特権的減免税の廃止、縮減を主張してまいりました。先ほど特別償却を例にとりましたが、このことは他の多くの特別措置についても同様であります。利子配当の優遇税制や貸倒引当金、価格変動準備金など各種引当金、準備金を初め、法人の受取配当の益金不算入、支払い配当軽課措置など、いわゆる特権的減免税と言われる各措置は、すべてその主要な側面がさきに述べたような日本経済の危機を激しくし、高度成長型経済政策に沿って設けられたものであり、その存続は容認しがたいところであります。よって政府案に反対の態度を表明して、討論を終わります。