園田直の発言 (外務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(園田直君) 本大臣は、去る八月八日から十三日まで中国を訪問してまいりました。外務大臣としての私の任務は、中国政府要人と率直な意見交換を行い、それを通じて数年来の懸案であった「日中平和友好条約」の締結交渉に最後の活力を与え、この条約を日中双方にとって満足のいく形でまとめることにありました。そして、華国鋒主席兼総理、鄧小平副主席兼副総理及び黄華外交部長と率直に話し合いました。
 その結果、八月十二日、人民大会堂において「日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約」に、日本国の全権委員として署名調印をいたしました。
 この条約が日中両国及び両国民の双方の満足する形でまとまったと確信するものであります。このことを心から喜びたいと思います。
 そして、このような円満なる条約締結がアジアと世界の平和と安定に寄与することを強く希望し、また、それを確信しております。
 私は、この機会に、この歴史的な外交文書がこの世に生まれるについては、この条約の締結のため不断の努力を惜しまれなかった日中両国の数多くの先輩、同僚諸兄姉、友人各位のことを決して忘れてはならないことを強調いたしたいと思います。特に、外務委員会各位のこれまでの御激励、御指導、御支援に対し衷心より感謝申し上げます。
 私は、日中平和条約の署名調印をきょうここに御報告できることを衷心から欣快とするものであります。
 ここで、「日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約」の概要を御説明申し上げます。
 この条約は、前文と本文五カ条から成っております。
 「前文」におきましては、一九七二年九月二十九日の日中共同声明発出以来の日中関係の発展を回顧し、引き続きこの日中共同声明の諸原則を厳格に遵守すること、また、国連憲章の原則を尊重することを確認した上、アジアと世界の平和と安定に寄与したいという希望のもとに、「日中両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるために」この条約を締結することに決定した、と述べ、この条約の「目的」を明確に規定しております。この目的は、日中共同声明第八項においてすでに明らかにされていたところと完全に一致しております。
 「第一条」におきましては、日中共同声明の第六項と同様に、社会制度を異にする日中両国がそれぞれの立場を尊重しながら、恒久的な平和友好関係を築き上げていくに当たっての指針となるべき原則を挙げております。
 「第二条」におきましては、日中共同声明の第七項と同様に、日中両国が、いずれも覇権を求めないこと、また、覇権を確立しようとする他のいかなる国または国の集団による試みにも反対することを表明しております。なお、共同声明第七項に比し、その対象地域は、日中両国に特に関係の深い「アジア・太平洋地域」に限らず、「他のいずれの地域においても」と拡大されております。
 また、「いかなる国または国の集団」であれ、覇権を確立しようとする試みがあれば、これに反対する、ということですから、だれそれと指しているものではないことは読んで字のごとくであります。
 「第三条」におきましては、日中両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展、また、両国民の交流の促進のための努力が規定されております。特に、その際、善隣友好の精神に基づき、互恵平等、内政不干渉の原則に従うべき旨が明らかにされております。
 「第四条」におきましては、この条約が、各締約国が第三国との関係でとっておる立場には何ら影響を及ぼさない旨を規定しております。このことは、前文において明らかにされておりますように、この条約の目的が「日中両国間の平和友好関係を強固にし、発展させること」にある以上当然のことですが、日本について言えば、日米関係を基軸として、いずれの国とも体制のいかんを問わず親善友好関係を維持し発展させるというわが国外交の基本的立場が、この条項により、将来にわたって確保されるわけでございます。
 なお、このことは、第二条に示されている立場と何ら矛盾するものではございません。
 「第五条」は、この条約が批准を要すること、批准書交換は東京で行われること、そして批准書交換の日にこの条約の効力が発生して、まず十年間という有効期間を定め、その後も、いずれか一方の締約国が一年前の予告をもって廃棄通告しない限り、いつまでも有効である旨を定めております。
 以上が日中平和友好条約の概要であります。
 なお、ここで、条文自体に直接関係はありませんが、わが国において関心が持たれている問題につき若干御説明いたしたいと思います。
 中ソ友好同盟相互援助条約に関しましては、かねてから中国要路の人々がわが方に対し非公式に述べてきた同条約に関する中国側の考え方が、今回、中国政府より、同政府の正式な立場として確認されました。さらに、本大臣は、今般の中国の指導者との会談を通じて、中国政府は来年四月には中ソ同盟条約を廃棄するため必要な措置をとるとの強い感触を得ました。
 尖閣諸島の問題に関しましては、十日午後の私と鄧小平副主席との会談において、私から日本政府の立場について述べたのに対し、中国側は、中国政府として再び先般のような事件を起こすことはないと述べました。
 本大臣といたしましては、この条約ができるだけ早く効力を発生し、日中両国が、安定した基礎の上に平和友好関係を発展させるとともに、同国がそれそれの立場でアジアと世界の平和及び安定に寄与することを心から念願するものでございます。

発言情報

speech_id: 108413968X00119780818_002

発言者: 園田直

speaker_id: 5762

日付: 1978-08-18

院: 参議院

会議名: 外務委員会