園田直の発言 (外務委員会)
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○国務大臣(園田直君) いま御発言にありましたとおり、辛うじて私が日本に帰ることができましたのは、一に先輩諸氏、特に皆さん方のおかげであると考えておりますが、なおまた中国の指導者が私の話を真剣に聞いて、そして非常な友情を日本に示されたということをつけ加えておきたいと存じます。
この条約を結ぶについて、私は、第一には次のようなことを申し上げました。
日本と中国の間には過去百年近く残念な時期が続いてまことに遺憾であった。しかし、悠久何千年の歴史から見ると、お互いに栄枯盛衰があり、強い国が弱い国に脅威を与え、それを繰り返してきた。日本ばかりでなく、どこの国でも隣の国に不安を感じ、脅威を感じ、そして隣の国が繁栄しないようにということでやってきたが、いまやその時代は過ぎた。お互いが相手の国を繁栄させ、そしてその繁栄の中に自分の国も繁栄の道をもっていくという時代に変わってきた。現にヨーロッパで西ドイツとフランスは興亡常ならずやってきたが、いまでは緊密に提携をしてECを利用し、そしてまたそれぞれ繁栄の策を講じておる。
したがって、この条約は、貴中国ではいろいろな厳しい国際環境の情勢にあるから、現状のもとでいろいろお考えになるであろうけれども、この友好条約は未来永劫これからの将来を規定するものであるから、本来に日本と中国がお互いに侵し侵されず、そしてアジアの繁栄のために尽くす、こういう条約をつくりたい。いま第三国条項などあるけれども、これは第三国の問題ではありません、日本と中国の問題であります。こう申し上げて、私は、アジアの国々、日本、これは現在正直にソ連の脅威を感じております。しかし、将来、中国が強くなった場合には、中国はどうやるんであろうかという中国の未来に不安を感じております。こう言ったら、向こうから、中国やアジアの国々は、わが国に対する不安もあるだろうが、日本の軍国主義の復活に非常な不安を感じておる、こういう話がありました。
そこで、私は、その点は反発しない、十分自覚をいたします。日本が中国やアジアに対して軍国主義の復活はいたしませんということを、言葉ではなくて、今後の実行で示す所存であります。中国の方も、言葉ではなくて、実行でアジアの国々に将来とも中国の不安はないということをここでお互いに話し合おうじゃありませんか。そこで、この日中友好条約というものは、日中が本当に手を握ってやればアジアは安定をし得るし、アジアは繁栄をするし、世界の国々がこれを祝福する、そういう条約をつくろうではございませんかというのが第一義であります。
第二義には、私は、条約交渉その他の会談で世の中が変わってきたと思います。どう変わってきたか、お互いが自分の国の利害あるいは主張を相手にぶっつけて、勝った、負けた、譲った、あるいは向こうが譲った、そういう時代ではなくて、お互いが議論をするうちに、アジアのためにどういう条約が一番いいか、世界の国民が祝福する条約はどういう条約か、そういう高い見地から話し合おうじゃありませんか、こういうことを言ったわけでありますが、幸い中国の方はこれを理解していただいて、そして今日のような条約が締結できたと考えております。