川俣健二郎の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○川俣健二郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和五十三年度一般会計補正予算、同特別会計補正予算及び同政府関係機関補正予算案に反対し、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、三党共同提案に係る予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成討論を行います。(拍手)
政府は、当初予算編成において、国際収支の均衡と国内景気の回復を重点に置いて、とりわけ、七%経済成長を目標として、公共投資偏重、国民生活無視の政策をとり、その結果、国内需要は依然として停滞し、ついに円高を助長して輸出の減退を引き起こし、ついには七%成長どころか、六%に乗るのさえとうていむずかしい事態を招いているのであります。しかも、公共事業による雇用効果は一向に見えない。企業の減量経営はますます進み、合理化すなわち人員整理は一段と激しさを加え、特に中高年齢層の雇用問題は深刻な一途をたどっております。
政府は、さきのいわゆるボン会議において七%成長を重ねて国際公約し、その柱として今年度の補正予算を提案してまいりました。しかしながら、その内容を見ますと、相変わらず公共事業中心の財政支出を行うもので、これでは国民の立場に立った対策とはとうてい言えないのであります。
私たちは考えます。すなわち、現在の経済情勢、雇用状況を踏まえて、円高による景気の後退に伴う国民生活の切り下げと雇用の悪化を防ぐこと、低成長経済のもとでは、国民生活全般にわたって公平、公正を確保することが政治の使命であること、また、四%に満たない賃金アップの中で、一兆六千億円に及ぶ公共料金の引き上げを直ちに撤回すること、さらに失業者対策を充実することが当面の緊急課題であると考えるものであります。(拍手)
しかるに、政府は、公共投資拡大こそ現在の問題解決の切り札であると言い張っているが、私たちは、むしろ最終需要、個人消費の拡大こそ求められる対策と信じ、ここに一兆円減税要求を掲げたのであります。同じ公共投資に力を入れるならば、いち早く私たちが提唱したように、文教施設、社会福祉施設投資を重点的に増加するならばまだしも、政府が力を入れる公共投資というのは、またまた道路投資を中心といたしており、こんな公共事業内容のパターンは直ちに是正すべきであり、その上、一部産業に偏重する結果となり、私たちは、適切妥当な予算運営を国民の立場で要求するものであります。
また、住宅建設を促進するとの政策を予算委員会で聞いてみるに、住宅金融公庫の住宅資金を七万三千戸分、八千四百億円の規模と言いますが、国民が期待する住宅建設とはほど遠く、これは従来同様の住宅政策をそのまま延長したにすぎないのであります。
このような公共投資の拡大では、需要効果は大きな期待を持てないばかりでなく、むしろ地価の上昇が目立ち始めているように、この予算案は土地買収費に大きく食われるのも避けられないのではないでしょうか。(拍手)
さらに、国内需要喚起のために減税政策を活用するのはいまや常識と言ってもいいのだと私は思います。自由民主党員ですら減税政策を唱える方がいるではありませんか。減税しても貯蓄に回ってしまうとか、減税するにも財源がないという政府の主張は、もう国民には通じません。もはや国民の生活は、年間給与収入が物価上昇を下回り、実質的には国民生活が低下した中で、どうして貯蓄できるというのでしょうか。減税分を貯蓄するという余裕があるとでも福田内閣は言うのであろうか。政府は財源はないと言う。違います。財源はないのではない。あるところから取ろうとしないから、ないのであります。(拍手)不況下といいながら企業間格差は広がり、円高差益を享受している企業はもとより、調査によりますと、五十二年の申告所得上位五千社の所得は、前年に比べて二一%も伸びたと言われているではありませんか。政府は、減税に回す財源がないと言う前に、なぜ先ほどの提案者のように、各種の税制改革案に耳を傾けないのかと言いたいのであります。ましてや、財政再建のために一般消費税の導入こそ必要というのでは、国民は全く納得するわけがない。一般消費税の導入を訴えている税制調査会でも、昨年十月の同じ中期税制答申の中では、法人税率引き上げの余地はあると答申しているのであります。低所得者に過酷な逆進的な税金である一般消費税を導入する条件は、わが国には皆無と言っていいと思います。
さらにまた、不況産業対策、不況地域対策についてあれやこれやと講じられてはいますが、これとて雇用の面から見ますと肝心な対策が欠けているではありませんか。すなわち、今年度の経済白書にも、わが国における完全週休二日制の普及はわずか二三%、アメリカ、イギリスの八五%に比較して問題にならない。OECDの日本経済の調査報告でも、日本の労働時間は長いとの批判が強いのであります。どうです。こちらの特定の企業では、残業を含めての過重労働者があると思えば、その隣の不況企業では、解雇、整理といった悲劇が演じられているのが実情ではありませんか。
さらにまた、海外からの批判、不信であります。七%成長といったいまや実現不可能なことを軽々に約束しながら、そのための政策は一切欠落するという二重の誤りを福田内閣は犯しているのであります。(拍手)世界経済全体で見ても、七%は今日では異常であり、また、日本経済の体質がそれを可能にできる状態にはなく、特に民間の設備投資計画は、決して七%成長を前提にして計画は組んでおりません。今回の補正予算の規模そのものが、実質的にはわずかに千四百五十億の追加ではありませんか。
不可思議なのは、この補正予算で七%成長をすると一人で豪語しておる、その姿であります。いまや、すでに福田内閣の言う七%成長達成は、国民も企業も、そして海外挙げてだれしも信用はしておりません。明治三十八歳の頑迷固陋のなせるしわざでは済まされない問題だと思います。
いま国民が求めているのは、実現可能な政策を提示し、その政策を実現する的確な政治行動と強力な政治力であります。しかるに、福田さんの経済政策は、不可能なことを可能だと粉飾し、やがてトンネルを抜けるまでと国民に幻想を抱かせるだけであり、すでに政治不信すら生み出しておるのであります。今回の補正予算もその一翼を担うだけに終わるのは明々白々であると思います。
最後に指摘しておきたいのは、最近の福田内閣の反動的な動向の危険性についてであります。
米の減反政策を進めるのに、あめとむちを手にしたり、なかんずく有事立法などというのは、わが国が誇る平和憲法を根底から覆すものであり、武力でなければ平和は得られないという理念につながる暴挙と言わざるを得ません。それとも、これら一連の反動化の真のねらいは、現在の経済危機の打開を防衛産業、軍事産業の育成に求めているというのでありましょうか。そうだとすれば、今日の経済、財政危機を勤労国民の負担によって克服ぜんとしている政府がさらに軍事強化の方針を進め、国民生活は一層の切り下げを余儀なくされ、また、暗黒なトンネルに入る危険な道に進むことを強く警告を申し上げたいと思います。(拍手)
かくして、福田内閣は、連帯と協調を口にはするが、その予算をがむしゃらに通すために、あらゆる子供だましのような手練手管を使い、まことに嘆かわしい次第だと思います。(拍手)
以上に見たように、政府・自民党の経済政策は、国民生活優先の経済政策とはとうていほど遠く、経済の転換に逆行するものと断定せざるを得ません。(拍手)