近江巳記夫の発言 (本会議)

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○近江巳記夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま提案されました大平内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 不信任案に賛成する理由の第一は、わが国が直面する経済的難局と、国民生活に対する無為無策のみならず、その失政を反省することなく、国民大衆の犠牲によって難局をくぐり抜けようとする反国民的姿勢であります。(拍手)
 第二次石油危機はわが国経済を直撃し、石油を初め輸入物資の高騰は、円安と相まって、すでに前年同月比二〇%を超える卸売物価の高騰を招き、輸入インフレは国内物価に転化し、インフレ再燃の様相を濃くしております。したがって、わが国経済の急務は、物価抑制に全力を挙げ、景気の持続的回復を図り、雇用と国民生活を安定させることにあるのであります。
 にもかかわらず、大平内閣の物価に対する認識はきわめて楽観的であると言わざるを得ません。第三次物価総合対策もおざなりであり、電気・ガス料金、国鉄運賃等の大幅値上げを許し、われわれが再三要求した生活二法の発動を無視するのみならず、異常な地価高騰にも無策に終始しているのであります。
 大平内閣は、こうした現状がスダグフレーションを招きかねないとの国民の憂慮に対して何らこたえようとせず、政策の行き詰まりを露呈しているのであります。
 また、高齢化時代を迎え、福祉需要がますます増大している中で、福祉施策の後退を策していることを厳しく指摘せねばなりません。(拍手)
 すなわち、高齢化社会の人材育成に不可欠な児童手当制度の廃止や、老後の医療に多大な安らぎを与えている老人医療制度の縮小、さらには義務教育教科書の有料化をも企図していることは、国民に対する政府の義務を放棄するものであり、大平総理の言う生きがいある社会づくりをみずから破るものであります。
 また健保法案は、自民党政府の積年の失政から生じた財政悪化を、初診時負担の強化や総報酬制の導入等、患者や国民の負担増加によって解消しようというもので、国民の生命と健康を守るという国の責任を果たさず、いたずらに事態を混乱させていることは、大平内閣の無能、大平総理の指導力の欠如を示すものにはかなりません。(拍手)
 千四百万人を超える年金受給者が心から待望している年金の改善は、もともと別個に処理し成立を図るべきであるのに、自民党の党利党略から、不当にも健保法案の審議と絡ませ、その成立を妨げていることは、重大な国民への背信行為であり、年金生活者の実態を無視した許されざる暴挙と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 福祉後退の理由を、大平内閣は財政の窮迫にあると国民に印象づけ、総理は、所信表明演説で財政再建はここ数年間でなし遂げると言明して、今国会の最大のテーマとして訴えました。しかし、大平内閣の財政再建策とは、財政再建に名をかり、みずからの失政を国民生活に転嫁するものと言わざるを得ないのであります。
 このことは、歳入不足額の縮小を税の自然増収に頼り、かつ、財政再建に不可欠な行政改革の断行、補助金の整理合理化、不公平税制の是正のいずれもが不徹底で、有名無実であるばかりか、逆に、福祉の後退、公共料金の値上げ、所得税減税の見送りなどで、国民に負担増を強いていることは明白であります。(拍手)
 しかも、一般消費税導入など大衆増税については、国民の強い拒絶反応を初め、われわれの強い反対にもかかわらず、いまだに断念を明言しないのであります。
 このように、みずからの主体的な努力を放置し、財政再建策を国民の負担増にのみ求める大平内閣は、まさに反国民的姿勢を明らかに示すものであります。(拍手)
 第二に、金権腐敗政治の温存、公約不履行の大平内閣の姿勢を糾弾するものであります。国民が現在政治と行政に最も期待していることは、清潔と公正ということであり、なかんずく、金権腐敗政治の一掃であります。
 大平内閣は、綱紀粛正、政治倫理の確立を公約したにもかかわらず、具体策は一向に明らかにされていないのであります。しかも、その間、政治腐敗は後を絶たず、逆に、航空機疑惑にかかわる浜田前代議士の証人喚問、さらにはKDD不正事件にかかわる服部元郵政大臣等の喚問を拒否するなど、金権腐敗の真相究明に全く消極的姿勢を示しているのであります。しかも、見過ごしにできないことは、疑惑隠し、腐敗隠しのために、疑惑の人物を次々にトカゲのしっぽ切りによって切り離し、追及の手をかわそうとしている点であります。(拍手)
 また、金権腐敗政治の打破は、まず政治資金規正法の改正から着手すべきことはいまさら指摘するまでもありません。大平内閣は、今国会末期に政治資金規正法改正案を提出いたしましたが、その真意は、金権腐敗の政府・自民党に対する国民の批判をかわすためのものであり、端的に言って、参議院選向けのポーズとしか見えないのであります。
 行政改革の断行にしても、肉を切らせて骨に達するという当初の意気込みはいつの間にか失われ、官僚ペースの行革に終始し、綱紀の粛正にしても、官僚の天下り一つ規制を強化できないでいるありさまであります。
 国民から大きな期待を寄せられていた環境アセスメント法案の提出にしても、またまた今回も提出公約をほごにし、国民を愚弄したのであります。(拍手)このような公約無視の大平内閣を信任することは断じてできません。(拍手)
 第三の理由は、外交、防衛についての危険な姿勢についてであります。
 アフガニスタン、イラン問題を中心として、国際的な緊張は一段と高まり、今日ほど冷静な判断と平和的解決への努力と対応が要求されたことはありません。ところが、大平総理は、軍事的な対決を辞さないという強硬姿勢を一貫してとり続けるカーター米大統領の政策に、全く無原則に追随同調し、わが国の自主平和外交の基盤をみずから放棄してしまったのであります。日米首脳会談においては、カーター大統領から、イラン問題に対する軍事力不行使の約束を取りつけることもできず、人質救出作戦で犠牲者を出した米国に批判がましい言及はしなかったとか、ただ国会で弁解するだけであります。
 それにも増して重大なことは、この日米首脳会談において、カーター米大統領からわが国の防衛力増強を求められ、本来わが国が自主的に決定されるべき問題である、にもかかわらず、これを受け入れ、防衛庁の中期業務見積もりの繰り上げ実施を約束させられてしまったのであります。真剣に検討するとは言ったが、約束はしていないなどという理由が、果たして米国に、またわが国国民に通ずるとでも思っているのでしょうか。
 こうした大平総理の防衛政策は、果てしなき防衛力増強、平和憲法の形骸化とともに、福祉の切り捨てか、大幅な増税を求め、国民に犠牲を強要しようとするものであります。こうした危険な、国民を無視した、平和に逆行する大平内閣の外交、防衛政策は、断じて許すことのできないものであることは明らかであります。(拍手)
 以上、きわめて重点的に述べましたが、このような姿勢をもってしても、もはや、大平内閣は、内外の難局に対処する政権担当能力なしと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 公明党・国民会議を代表し、大平内閣は信任するに値しないことを明言し、大平内閣不信任決議案に賛成する私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 109105254X02519800516_012

発言者: 近江巳記夫

speaker_id: 7490

日付: 1980-05-16

院: 衆議院

会議名: 本会議