柴田弘の発言 (本会議)

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○柴田弘君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案につきまして、反対の態度を表明し、討論を行うものであります。(拍手)
 まず、反対する理由の第一は、今回の酒税の引き上げは、その提案の理由でも明らかでありますが、財政再建を進めるためのものとされております。われわれも、財政再建を進めることにつきましては異論を差しはさむものではありません。
 しかし、政府の財政再建の手法は、国民生活に負担増を一方的に押しつけるものと言わざるを得ないのであります。
 たとえば、政府の昭和五十六年度予算案及び税制改正案を見ましても、所得税減税の見送りによる、いわゆる見えざる増税二兆七千六百九十億円と酒税の引き上げ分の二千八百三十億円だけでも、三兆円を超える大衆増税の強行となっております。
 しかも、われわれが再三にわたって要求をしてまいりました所得税、法人税、租税特別措置などの税制全般にわたる広い意味での不公平税制の是正は、若干の措置がなされたものの、とうてい納得のいくものではありません。
 また、国民の強い要望であった歳出の削減につながる行財政改革の断行につきましても、五十四年度の会計検査院の決算報告書では相変わらず予算のむだ遣いが指摘をされているにもかかわらず、五十六年度予算では、このむだ遣いをなくするための根幹である行政改革や補助金の整理合理化に見るべき成果がないというのが実情であります。
 このように、財政再建に名をかりて強行される安易な大衆増税路線の一環としての酒税の引き上げには反対せざるを得ないのであります。
 反対理由の第二は、酒税の引き上げが国民生活を圧迫することはもとより、わが国の経済成長や財政再建にとってもマイナス要因となりかねないことであります。
 政府は、酒税の引き上げが消費者物価にもたらす影響は、CPIで〇・一六%程度の上昇であると楽観をいたしておりますが、これは余りにも短絡的な見方であります。
 わが国の経済、財政状況は、第一次石油危機を乗り越え、第二次石油危機も克服しつつあると言われております。すなわち、近年、経済では五%程度の実質経済成長率が保たれ、財政でも所得税減税を見送るなど内容的に問題はあるものの、好調な税の自然増収の確保ができ、ひいては国債発行額の減額を可能にしているのであります。
 こうした経済、財政の推移を支えた主要因の一つとして、個人消費の順調な伸びがあったことを見逃すことができないのであります。
 また、五十五年度においては、第二次石油危機の影響から高物価が懸念をされていたにもかかわらず、勤労者は、政府の消費者物価上昇の当初見通し六・四%を信じ、低いベースアップに甘んじてきたのであります。しかも、この勤労者の節度ある対応は、わが国経済が先進諸外国に比べて最も早く第二次石油危機を克服するという成果をもたらしております。
 しかし、政府の消費者物価の上昇見通し六・四%は、実績見込みで七%に上方修正することを余儀なくされ、かつ、最近の消費者物価動向からは、五十五年度の消費者物価の上昇率が八%に迫るとも見られております。こうした政府見通しを大幅に上回る物価高騰は、所得税減税の見送りなどと相まって、勤労者の実質賃金の減少をもたらし、その減少幅も五十五年度ではマイナス一%に達して、戦後最悪とも言われているのであります。
 また、五十六年度を展望してみても、政府案では所得税減税が見送られたことから、ますます実質増税が加速されることを初め、景気のかげりの広がりはベースアップの抑制要因となりかねず、物価動向も、公共料金の軒並み値上げが物価高の引き金になりかねない状況であります。
 この上に、税負担増と物価高をもたらす酒税の大幅引き上げが強行されるならば、勤労者を中心とする国民生活は、ますます窮乏化することは必至であります。加えて国民生活の窮乏化は、個人消費の減退から景気の後退など、経済不振を招くことは容易に想像できます。
 したがって、所得税減税の実施、公共料金の値上げ抑制など、国民生活の向上に適切な配慮を講じないままで、負担増加の上乗せを図る酒税の引き上げは、断じて認めることはできないのであります。
 また、酒税の引き上げは、酒類製造業者及び販売業者への多大な影響をもたらし、規模の小さいものほど経営の圧迫要因となることが明らかであります。
 特に、現在は中小零細企業の倒産が史上第二位に位置する規模で続出し、景気動向も、政府が総合景気対策の発動を検討せざるを得なくなっていることなどを考え合わせますと、酒税の引き上げが中小規模の酒類メーカー及び販売業者の経営に打撃を与えることは十分に予測できるのであります。
 この点につきましても、われわれが本法案に賛成できない理由の一つであることを申し添えまして、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 109405254X00919810303_011

発言者: 柴田弘

speaker_id: 6128

日付: 1981-03-03

院: 衆議院

会議名: 本会議