五十嵐広三の発言 (本会議)

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○五十嵐広三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度の地方財政計画並びに地方税法、地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵、自治両大臣に御質問申し上げたいと思います。(拍手)
 まず、地方税についてであります。
 五十七年度政府経済見通しが甘過ぎるということは、すでに予算委員会等でも論じ尽くされているとおりであります。五十七年度地方税の約二兆円の自然増収は、その高過ぎる政府見通しに基づくものであって、また地方交付税も同様でありまして、自治省の概算要求額を三千六百億円も上回って決まる結果となっているのであります。これが五十七年度地方財政収支均衡と言われる原因であります。
 正直なところ、自治省もやむなく押しつけられたものの、その見通しにつきましては、恐らく真っ暗であろうと思うのでありますが、自治大臣、地方税収入に自信がありますか。
 次に、地方交付税ですが、法本則の規定によって算定した額は九兆二千三百九億円、伸び率は一四%ですが、地方財政計画に示された交付額は九兆三千三百億円で、伸び率は七%になっております。実に七%相当額が縮減されているのであります。
 すなわち、政府は、臨時地方特例交付金が五十七年度において地方債の利子差額補給分千九十八億円、利子配当課税の特例措置に伴う住民税の減収補給分一千億円の合計二千九十八億円を一般会計から支出すべきところ、これを取りやめて、資金運用部から借り入れさせることにしたわけであります。またさらに、本来、法の規定に基づいて一般会計から交付税会計に繰り入れるべき額のうち一千百三十五億円を借り入れることとして、一般会計負担を軽減する措置を講じているのであります。国の財政再建のために地方財政を供したものであることは申すまでもありません。
 そして政府は、これまで地方財政の財源不足を補てんするため、地方交付税法第六条の規定によることなく附則八条を設け、財源不足額の半分を国が負担することとしてまいりましたのを、今度はその附則も改めて、特例交付金を廃止し、交付税特別会計の借り入れによって措置するようにしたのであります。このようなやり方は、地方交付税法の趣旨を破り、事実上第二補助金化して地方財政の独自性を著しく損なうものであることは申すまでもありません。
 また、地方団体固有の財源である地方交付税を地方団体の意思を問うこともなく一方的にその本質を曲げることは、地方自治の本旨に反し、地方自治を軽視するものと思うが、自治大臣、いかがでありますか。(拍手)
 政府は、五十八年度において三兆三千七百億円の要調整額があると述べておりますが、それをひねり出すために、さらに地方交付税の縮減をねらうようなことは断じてあってはならないと思うが、自治大臣、大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 さらに、地方交付税が法第一条に言うように、地方団体の独立性を強化することを目的とした地方団体固有の財源であり、自主財源であることは、昭和四十四年の福田大蔵大臣の答弁を初め、しばしば確認されてきているところではありますが、念のために、この際、総理の地方交付税の基本認識についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 さて、政府が申しますように、国に貸すほど地方に財政の余裕があるというのなら、まず第一に、長い間問題になっている個人住民税の課税最低限の引き下げを行うべきであります。今日、所得税減税は国民の統一的最大の要求でありますが、住民税は、その所得税の課税最低額をさらに大きく下回っているのであって、深刻な生活苦にあえぐ低所得者に広く深く突き刺さっているのであります。非課税限度額を生活保護基準に合わせるために、わずかに十二、三億円の減税でお茶を濁すことは許されるものではありません。国に召し捕られるお金があるのならば、それを財源にして大幅な住民税減税が可能でありますから、強くこれを要求するものでありますが、自治大臣いかがでありますか。
 自治大臣、実は私は先ごろから自治省に対して、幾たびか五十七年度地方税の非課税措置についての資料を求めているのでありますが、残念ながらいまだいただくことができないでいるのであります。特定法人などに対する税の非課税特例措置は、およそ税や財政を論ずるすべての機関が常に批判を重ね、その廃止を強く求めているものであります。しかるに五十六年度は、そのような世論とは反対に実に前年比八百五十八億円も非課税額が増加する結果となり、これを私は昨年指摘し、追及したものでありました。しかし今年こそは、調査会や臨調の答申もあり、また総理御自身の是正発言もあることでありますから、税の公平を期して必ず改善されるものと確信しているのでありますが、いまだその内容を確認することはできないのであります。簡単で結構であります。非課税措置は減ったのかふえたのか、大体どのぐらいの金額になるのか、この場でお教えをいただければ幸いと思います。(拍手)
 第二臨調最大の山場である基本答申は、地方行財政の改革も含めて、主要課題の検討作業が鋭意進められているようであります。聞くところによりますと、最近臨調の内部では、日増しに増税なし路線の貫徹は不可能という意見が強まって、土光会長の路線との内部対立が深まっていて、しかもその背景には、政府・自民党の強い働きかけや、総理周辺から臨調事務局への指示が流れているというようなことも伝えられているのであります。
 そこで、この際、改めて総理にお伺いいたしますが、総理の増税なき財政を貫くという決意には変わりありませんか。また、五十八年度以降もゼロシーリング、大幅歳出カットを続行する決心なのでありますか。それともまた、最近の厳しい経済情勢などを勘案して、行革の既定方針や日程に弾力性を持つ必要を感じておられるのかどうか、お答えをいただきたいのであります。
 昨年末、経団連や関西経連から道州制、地方庁制度が相次いで提案され、第二臨調もこれらを検討課題に含めているようであります。一方、地方制度調査会は、この動きに対応してこれを論議した結果、昨年の十一月、公選知事を中心とする現在の府県制度は、すでに三十五年の歳月を経て、国民の生活及び意識の中に強く定着しており、住民の意識や行政需要の動向とかかわりなく府県制度の改廃を考えることは重大な問題であるとして、これを否定しているのであります。
 私も、このような住民生活や行政制度の根本に触れることを、限られた利便や効率を中心に軽々に論ずべきものでないと考えます。まして、知事官選論のごときは論外で、時代錯誤もきわまるものと思いますが、このような問題では、単に臨調任せではなくて、責任ある立場で、総理は明快な見解を出すべきものと存じますが、いかがでありますか。
 また、総理は、第二臨調の審議を尊重することはもとより大切なことでありますが、しかし同じ総理の諮問機関として第十九次に至る長い歴史の厚みを持つ地方制度調査会の意見についても同様に十分尊重すべきと思うが、いかがでありますか。
 両調査会の答申にもし重大な差異が生ずることがあった場合に、このような場合、総理はその軽重をどう判断するお考えであるか、伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、この際、総理のお気持ちをぜひ聞きたいことがあります。
 昨今いわゆる談合問題あるいはこれにかかわる天下り官僚や政治倫理の問題は、中央地方を問わず国民の大きな批判を浴び、政局の重大な焦点となっているところであります。本来、これらの問題は、行政の公正を期す上で行政改革の重要な課題であるべきものであり、これらの検討こそ臨調審議の第一でないかとも思うのであります。(拍手)臨調に対する諮問者の立場である総理は、これをどのようにお考えになっておられるか、どのような期待を持っておられるのか、お聞かせいただきたい。
 また、談合問題、天下り利権問題等についての総理の見解も、この際いただきたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、総理、私どもは、残念ながら今日まで、あなたの地方に対する基本的な考え方を御披露いただいたことがないのであります。
 故大平前総理は、三全総の目の玉に定住圏構想を描き、田園都市を唱えられました。フランスのミッテラン大統領の地方分権化法、アメリカのレーガン大統領の新連邦主義など、地方分権はいまや世界の潮流であります。しかし、総理の所信表明をお聞きいたしましても、昨年も今年も、地方政策に当たる分がない。御就任以来の一年半を通じて全く見るべき地方政策が出ていないのであります。地方の時代と言われる今日、総理にその理念を見出すことができないことは、国民にとってまことに不幸なことであり、さびしいことであります。(拍手)
 今日、地方の現状は、ローカル線の廃止、農業破壊、地域特例の削減など、むしろ地域社会を崩壊に導き、地方受難の感があるのであります。総理、効率主義だけでは地方を育てることはできないのであって、今日の政府の地方にかかわる諸施策は定住圏構想に逆行し、地域における定住の条件をつくるどころか、逆に、これを壊していると言わなければなりません。総理、この際、あなたに地方への愛情と政策があるのならば、お言葉を得たいものであります。
 「足元を掘れ、さらば泉わかん」とはゲーテの言葉でありますが、よき地方をつくることがよき国を築くことであることをここに強く主張して、代表質問を終えたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕

発言情報

speech_id: 109605254X00819820223_005

発言者: 五十嵐広三

speaker_id: 9562

日付: 1982-02-23

院: 衆議院

会議名: 本会議