岩佐恵美の発言 (本会議)
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○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十七年度地方財政計画、地方交付税法改正案、地方税法改正案に関して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず、総理に伺いたいと思いますが、憲法では、地方自治体の自治権尊重が明確にうたわれています。しかし、臨調第一次答申及び現在作業が進められている基本答申の検討課題では、口では地方自治を唱えながら、実際には国の財政危機を地方自治体に転嫁し、住民サービスの低下を押しつけるとともに、府県の廃止、道州制の実施など、地方自治制度の根本的改悪が盛り込まれています。
〔議長退席、副議長着席〕
総理は、地方自治尊重の立場に立たれるのか、それとも臨調路線で地方自治破壊の立場に立たれるのか、基本認識について伺いたいと思います。(拍手)
臨調第一次答申は、老人医療の無料化制度の自治体による上積み措置の廃止を求めました。これこそ地方自治体独自の努力による福祉充実に対する攻撃であり、自治権侵害の最たるものと言わなければなりません。昨年秋の臨時国会においては、当時の村山厚生大臣は自治権にかかわる問題で、地方の判断にまたざるを得ないと述べているところでもあります。
自治大臣、自治権を尊重して、老人医療上積み措置の廃止を自治体に強要しないと約束されるかどうか、はっきりと答弁願います。
政府は、自治体に働く職員の人減らしを強引に推し進めようとし、自治省がその先頭に立っています。
自治大臣に伺いますが、先日のホテル・ニュージャパンの火災は、現場に駆けつけた消防職員の、みずからの安全を顧みない献身的な働きにもかかわらず、あのような大惨事を引き起こしました。それは予防、査察、消火のどの面をとっても、現在の消防体制が大きく立ち遅れていることを明らかにしたのであります。だからこそ、石見消防庁長官は、現行の消防力基準を引き下げようとは考えていないし、現在七八%にすぎない達成率を一〇〇%に引き上げるために全力を挙げると国会で答弁してきたのであります。
自治大臣、あなたのお考えはいかがですか。消防職員の増員は必要なのではありませんか。せめて一〇〇%にするための人員三万三千人の増員は早急に確保すべきだと思いますが、いかがですか。
自治大臣、もし消防職員の増員が国民の生命と財産を守るために必要であるとお考えであるならば、国民の安全と健康を守るすべての分野における職員の配置についても、同じ考え方が貫かれるべきであります。臨調第一次答申は、消防職員を初め小中学校の教員、保育所の保母、看護婦、保健所職員など、すべての自治体職員の配置基準の引き下げ、人員の抑制を求めておりますが、これらについてどうなのか、この際、あわせて答弁を求めるものであります。(拍手)
次に、五十七年度の地方財政計画について伺います。
五十七年度地方財政計画の最大の特徴は、八年ぶりに収支均衡を回復し、財源不足がゼロになるという地方財政余裕論に立っていることであります。問題は、果たしてこれが事実に立脚したものかどうかということであります。国家財政と比べて地方財政は楽だというような認識にない、交付税率の引き上げをしなければならない状況である、これはわずか四カ月前の安孫子前自治大臣の国会答弁であります。自治大臣、深刻な消費不況で、国の税収が空前の歳入欠陥に落ち込もうとしているにもかかわらず、ひとり地方財政だけが四カ月間で急速に好転するような、どんな事情の変化があったのでしょうか、国民にはっきりと説明していただきたいと思います。(拍手)
地方財政計画をよく見れば、収支均衡が無理やりにつくり出されたものであることは明らかであります。まず指摘しなければならないのは、住民負担の強化と国庫補助の大幅削減によって強引な抑制が図られていることであります。
地方財政計画は、使用料及び手数料の伸びを、歳入全体の増加率五・六%を大きく上回る七・八%としておりますが、これを受けて多くの自治体が、公立高校の授業料、保育料、地方公営交通の運賃、上下水道料金、公営住宅家賃、国民健康保険料など、公共料金の軒並み値上げを打ち出しているのであります。また、小中学校の整備費は、三百校分に当たる九百五十億円の削減、公営住宅についても一千戸分八百八十億円の削減、こうした住民の暮らしの基本にかかわる事業費が大きく削り込まれているのであります。
総理並びに自治大臣、行政水準を下げれば歳出が減るのはあたりまえであります。地方財政を豊かにするために、住民サービスは切り下げれば切り下げるほどよいとでもお考えなのでしょうか、はっきりとお答え願います。
さらに、歳入面でも過大見積もりをしているという問題があります。地方税収は前年度比一一・七%増とされていますが、この計画の基礎となる五十六年度の国税収入に一兆円単位の大穴があくことは、予算委員会における私の追及に対して、政府が否定できなかったことでも明らかであります。自治省近藤事務次官自身が、五十七年度は前年度以上に厳しい環境にあり、税収、特に法人税収の見通しには難点がある旨発言しておりますが、自治大臣は事務次官のこの発言と同じ見解なのかどうか、それとも事務次官が間違ったことを言ったと言われるのか、明らかにしていただきたいと思います。
地方税収が地方財政計画に比べて大きく落ち込むようなことになれば、地方自治体に収拾のつかない混乱をもたらすことは必至であります。大蔵大臣は、税収欠陥が出れば政治責任をとると表明されておりますが、地方税収に巨額の欠陥が出た場合、担当大臣である自治大臣、最高責任者である総理大臣は、それぞれどう責任をおとりになるのか、明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
地方税収を過大に見積もった結果、政府は、地方の財源が余るという口実で、一千百三十五億円に上る地方交付税の国への一方的な借り上げ措置さえとろうとしています。総理は、予算委員会での私の質問に、交付税率の引き下げは考えていないと答弁されましたが、こうした借り上げという方法が繰り返しとられるならば、事実上の交付税の引き下げになるわけであります。
しかも、政府は、それに加えて、来年度予算編成に際して、自治体と国民の猛反対で断念せざるを得なかった国民健康保険給付費、児童扶養手当、特別児童扶養手当の一部都道府県肩がわりを引き続きたくらんでいるのであります。自治大臣、あなたは大蔵大臣との間で今後検討する旨の合意文書を交わされたそうでありますが、それは肩がわりもあり得るということを意味するのでしょうか。安孫子前自治大臣は、地方財政法にも反するよこしまな道であると明言されました。あなたはそのよこしまな道を歩むおつもりなのかどうか、はっきり答えてください。(拍手)
所得税とあわせて、三年連続の住民税減税の見送りによる実質増税、固定資産の評価がえや農地の宅地並み課税による大増税と、来年度は大きな税負担が住民にかけられてきます。だからこそ、国民は、所得税減税とあわせて住民税の減税を強く求めているのです。
ところが、政府は、来年度またしても住民税減税をしないで、非課税限度額の引き上げというこそくなやり方で、生活保護基準とのつじつま合わせをしようとしています。この非課税方式は、課税最低限をそのままにしているため、限度額を超えた途端税負担が急増するという矛盾があり、これを重ねれば重ねるほど、その矛盾が激しくなることは明らかであります。しかも、昨年この方式を初めて採用したとき、自治大臣は、今年限りの措置だから認めてほしいと述べましたが、一体この約束はどうなったのでしょうか。
また、五十七年度の十三万円引き上げを五十八年度にも繰り返せば、住民税非課税限度額は所得税課税最低限とちょうど一致する二百一万五千円となり、五十九年には逆転することになります。それでも所得税減税はあくまで拒否されるのかどうか。
以上、二点について総理に答弁を求めるものです。
最後に、わが党は、国の工事を受注している業者から、鈴木総理を初め多数の閣僚、議員が違法献金を受け取っていた容疑を提起しました。同様のことが、鈴木東京都知事、岸大阪府知事など自治体首長に対しても行われていた疑いが、わが党の調査によって明らかになっています。このような大企業との不明瞭な関係、財界奉仕の体質に、国のレベルでも、自治体のレベルでも大胆なメスを入れ、行政の責任者の姿勢を正すことが地方政治の民主的な発展、住民サービス向上の重要な条件であります。
自治大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕