鈴木善幸の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 秋田議員にお答えいたします。
今回のサミットは、まことに厳しい国際経済情勢のもとで開催されたサミットでありましたが、私は、世界経済が現在直面する諸困難を乗り越え、将来の展望を切り開いていくためには、われわれは、各国経済の活力の回復と自由貿易体制の維持強化という二大目標に向けて強い決意をもって協力していくことが肝要であることを強調した次第であり、参加各国首脳とも同様の問題意識をもって真剣な討議を重ねた結果、お互いに将来に向けての協力姿勢を確認するとともに、科学技術、経済政策、通貨、貿易、南北問題、東西経済関係等につき行動の目標を定めることができたことは大きな成果であったと考えております。
私は、また、伝統、文化等の面でさまざま異なる背景を持つサミット各国が、それぞれの特徴を生かしつつ、多様性の中の結束を固めていく必要性を訴えるとともに、その協力の成果を日米欧の枠にとどめることなく、開発途上国等、他の国との間にも広めていくべきことを強調いたしました。
科学技術につきましては、科学技術の発展が、停滞した世界経済に活力を与え、経済成長の回復をもたらし、拡大均衡の達成の活路となり得ることを具体的例を挙げつつ強調いたしました。今後作業部会において検討すべき課題としては、先端技術の国際的な共同研究とその成果の交流を初めとして、開発途上国への技術移転、技術革新と雇用あるいは文化との関係等、多々あると考えますが、わが国としても、わが国の知識と経験をもってその作業に積極的に貢献してまいる所存であります。
なお、来るガット閣僚会議は、自由貿易体制の堅持のためにもきわめて重要な会議であり、サミットにおいても同会議へ向けて積極的に取り組むべきことが確認された次第でありますが、わが国はセーフガード等の懸案や、新たな時代の要請であるサービス、投資、先端技術の検討に当たり、積極的に協力していく所存である旨を表明いたしました。政府といたしましては、今後同会議の成功のために、なお一層の努力を払っていきたいと考えております。
秋田議員は、特に国際通貨問題の重要性を挙げられましたが、今回のサミットにおいては、国際通貨の安定が世界経済の発展のために非常に重要であること、このためサミット参加国が協力して行動する必要があり、具体的には、各国経済政策の協調、為替政策等の監視の強化、市場の混乱に対処するための介入などについて合意がありました。今後、これらの合意を実施に移すため、サミット参加国の通貨当局間で随時会合を開き、協議を行うことになっております。
国際通貨安定に向けて各国の協力の具体的方向が打ち出されたことは、今回のサミットの重要な成果でありますが、わが国としても、通貨安定のための協議には積極的に参加していく考えであります。
次に、秋田議員からASEANとの関係についてお話がございましたが、私もサミットにおいて、開発途上国の経済社会開発への支援が、世界経済の再活性化及び世界の平和と安定に不可欠である旨を強調するとともに、特にASEANの国々が発展への可能性を秘めつつダイナミックな結束を達成しつつあることを指摘して、サミット諸国がその協力の成果を日米欧の枠にとどめることなく、ASEAN等開発途上国との間にも広めていくことを訴えた次第であります。幸い私の発言に対しましては、サミット参加国首脳も大きな共感を寄せておりました。
近年、わが国とASEANとの協力関係は、秋田議員も御承知のとおり著しく発展しております。政府といたしましては、今後とも広く政治、経済、貿易、文化等の諸分野において、官民双方の力を結集した総合的な関係の発展を目指して努力してまいる所存であります。
次に、軍縮の問題についてお答えいたします。
私は、唯一の被爆国としての立場から、核の惨禍が二度と繰り返されないことを願い、さきに国会で採択された決議を踏まえ、全国民的立場に立ってさきの国連軍縮特別総会に出席し、軍縮を通じる平和三原則を世界に向けて訴えてまいりました。幸い私の演説に対しては各国代表から御理解をいただき、みずから出席して演説を行った意義は十分あったと考えております。
もとより、軍縮の実現は一朝一夕にして成るものではありません。現在の国際社会の平和と安全が国家間の力の均衡により保たれているということも否定することのできない現実でありまして、さればこそ、その均衡の水準を少しずつでも下げていくよう、現実の国際関係の中で実現可能な措置を一つ一つ積み重ねていくじみちな努力が肝要であります。
私は、先般の国連軍縮特別総会での演説を常に念頭に置き、今後とも世界の軍縮の促進と平和の実現を目指し、平和憲法のもとで平和国家としての独自の道を歩んできたわが国にふさわしい努力を行っていく所存であります。
次に、経済協力についてお答えいたします。
わが国は、平和国家として、また、自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献していくこととしております。このような考え方から、わが国は昨年一月に新中期目標を設定し、今回のベルサイユ・サミットにおいても表明いたしたように、この中期目標のもとに援助の拡充に引き続き努めております。
政府開発援助の予算につきましては、現下の厳しい財政状況をも踏まえ、援助の効果的かつ効率的実施にも配慮しつつ、今後とも中期目標のもとにその着実な拡充に努めていく所存であります。
なお、私のハワイにおける演説についてお尋ねがございましたが、演説でも述べたとおり、私はかねてより、太平洋島嶼諸国が民主主義体制を選択して、相互間の協力を強化しつつ、その国づくりに励んでいることに大きな関心を抱いておりました。わが国といたしましては、これら諸国とも相互理解を深め、連帯のための共通の基盤を確立することに努力していきたいと考えております。
最後に、内政について、五点御質問がございました。
まず、臨時行政調査会の答申に基づく行政改革の実施については、行政改革は、私が総理就任以来、国政の最重要課題として取り組んできているところであり、七月末に予定されている答申につきましても、過去二回の答申と同様、誠実にその実施のために必要な施策の検討、立案及び推進に努めてまいります。
次に、昭和五十六年度の歳入欠陥の問題であります。
五十六年度の税収は七月上旬に確定いたしますが、現在では、当初予算額に対し一〇%台の減収が生ずることも懸念されており、このため、五十六年度の決算は相当規模の不足とならざるを得ません。
このような状況に立ち至ったことはまことに残念でありますが、その処理は、現行制度にのっとり、国債整理基金からの繰り入れを含む決算調整資金からの繰り入れにより対処してまいりたいと考えております。
次に、五十八年度予算の編成についてでありますが、私は、まず、歳出の一層の節減合理化に努力したいと考えます。このため、予算の要求枠、いわゆるシーリングにつきましては、昨年よりも一層厳しいものとすべく、現在、検討を指示しているところであります。
財政再建は、現下、緊急の国民的課題であります。このため、歳出の節減合理化を中心に財政再建の努力を続けてまいりましたが、現在周囲の環境はさらに一層厳しいものがあり、俗に言う胸突き八丁に差しかかっています。しかし、ここでくじけてはなりません。将来の展望は開けません。五十八年度予算の編成に当たっても、五十九年度には特例公債依存の体質から脱却することを目標に財政の再建を推進してまいりたいと存じます。
最後に、政治倫理、公選法改正等の政治課題についてであります。
政治倫理の確立、政界の浄化刷新が緊急な課題であることは言うまでもありません。自由民主党も、政権政党としての自覚のもとに、国民の負託にこたえるべく、先年結党二十周年に当たって倫理憲章を制定し、政治家各人が身を正し、常に自粛自戒し国政に精励しているところであり、そのことはそれなりに国民の皆さんからも評価されていると信じております。
また、政治倫理の確立に資するため、政治資金の明朗化や金のかからない選挙制度の改革にも取り組み、これまでも所要の法改正をいたしてまいりましたし、現在国会で御審議いただいておる参議院全国区制の改革案もまさにその一環であります。大幅な国会の会期延長をお願いいたしましたのも、長い間の懸案であった全国区制の改革の審議がせっかくここまで盛り上がったこの機会を逸しては、将来改革できなくなるのではないかと考えたからであります。ぜひとも、各党間で論議な尽くしていただき、一日も早く法案が成立することを念願いたしております。(拍手)
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