馬場昇の発言 (本会議)
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○馬場昇君 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理に、国民が強く注目している緊急な重要課題について質問をいたします。
私は、冒頭、総理の政治姿勢と政治倫理の確立についてたださなければなりません。
総理は、行政の最高責任者として、また政権与党の最高指導者として、政権を担当するに当たって、安定した政治の運営は、国民の信頼を得て細めて実現できると述べて、政治倫理の確立を公約の第一に挙げられたのであります。
しかるに、その後は、戦後最大の疑獄事件であり、国民の政治不信を最も深めたロッキード疑獄事件の刑事被告人であるところの元総理の勢力に屈して、その影響を最も強く受け、国政をやっておられるのであります。(拍手)また、灰色高官を党中枢の要職につけておられます。
さらに、自民党総裁として、航空機輸入調査特別委員会も復活せず、約束した倫理委員会も設置せず、国民の政治に対する信頼を取り戻す行いは何一つ実行せず、今日に至っているのであります。(拍手)
総理、政治家の言葉は、その裏づけになる行動、実績があって初めて生命を得るものであることは御存じのはずであります。総理の御所見を承っておきたいと思うのであります。(拍手)
総理、六月八日の橋本、佐藤両被告に対する有罪判決は、被告人とともに総理の政治に対する倫理観が問われ、自民党の金権腐敗の体質が問われ、政界、官界、財界一体の構造疑獄が糾弾されたのであります。総理はこの判決をどのように受けとめられたのか、伺いたいのであります (拍手)
次に、具体的にお尋ねをいたします。
第一に、大部分の国民は、賄賂の授受を否定している政治家は真実を言っていないと思っております。民主主義は、政治家の道徳的責任の上に立って初めてりっぱに機能するものです。政治家の厚顔恥知らず、腐敗堕落は議会制民主主義を崩壊させ、ファッショ化への道を開きます。有罪を受けた佐藤孝行議員は、辞職勧告決議案の通過を待つまでもなく、即刻辞職すべきであります。(拍手)国政の最高責任者である総理の見解を明らかにしていただきたいと思います。
第二に、灰色高官と言われる人にも黒い汚れた金が渡っていたことが、判決で事実として認定されたのであります。しかるに、灰色高官は依然としてこれを否定しております。
総理、事実は一つしかないのであります。加藤六月議員は、証人喚問に応ずると言っております。二階堂幹事長は、昨年七月に衆議院議長に上申書を提出して、次のような趣旨、すなわち、議員を名指しで政治的道義的に責任ありと公表する以上は、その議員に、資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると述べています。国会もその権威にかけて、両議員を証人として喚問し、真相を明らかにする責任があります。(拍手)
しかるに、昨今の自民党の態度は、議院証言法の改正を引き延ばして、証人喚問を逃げ切ろうとしておるように見受けられます。総理は、自民党総裁として、党利党略や派利派略を超えて、国会の権威にかけて、速やかに予算委員会に証人として両議員を喚問するよう党内で措置されるべきであります。総理、どうなさいますか。(拍手)
第三に、国会の自浄能力を高め、政治倫理を確立するために、航特委の復活、政治倫理委員会の設置、企業の政治献金禁止などを含めた政治資金規正法の改正や政治家資産公開法の制定など、直ちに自民党を指揮して野党要求に応ずる措置をとり、国民の期待にこたえるべきであります。どうですか。
第二の課題は、反核軍縮の推進であります。
核軍縮は、人類生存のため、今日すべてに優先する課題であります。
ただいま報告がありましたように、総理は、第二回国連軍縮特別総会の一般演説で、軍縮をもって人類生存への行動原理としようと訴えられ、軍縮を通ずる三原則を提案されました。そして世界に公約されたのであります。
この演説に鈴木総理を駆り立てたものは何だったのですか。核の恐怖のるつぼの中で、人類生存の危機を感じられたのですか。草の根から燃え広がり、六月十二日のニューヨークの百万人の反核集会まで盛り上がった世界の民衆の軍縮の声と、日本における八千万人の国民の署名を胸に刻み込まれた良心の発露からですか。総理の本当の心を吐露していただきたい。その上に立ってお尋ねいたしたいと思います。
第一に、核抑止論、力の均衡論のもとで、全人類を数十回も全滅させるほどの核軍拡を招いたのであります。力の均衡、核軍拡による平和は成り立たないという決意こそ鈴木演説が生きる道と思いますが、総理の見解をただします。(拍手)
第二に、総理は、核兵器が二度と使用されることのないように、核大国を初め各国が実効ある措置をとるべきだと演説され、核兵器不使用決議案が出れば国会決議を物差しにして判断すると言っておられます。総理、この際、日本から積極的に今次国連総会に核兵器不使用決議案を出して実現させるべきであると思いますが、総理の答弁を求めます。(拍手)
第三に、国連における総理の軍縮の誓いは国内政治に生かさなければなりません。そのあかしは、本年度突出した防衛費を来年度は縮小することです。日本で軍事拡大をやっていながら世界に軍備縮小を訴えることは矛盾であります。世界の信用をなくします。
第四に、総理は、自民党内の改憲派が激しく批判している憲法前文、すなわち、「諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という文言を引用されました。これは前回の軍縮総会でも園田外務大臣が引用されました。日本は、二回にわたって国際的に約束したわけであります。この約束を守るためには、今日自民党内にある非核二原則論とか、防衛費の国民総生産一%突破論とか、憲法改正論などの動きは、総裁として、憲法逸脱の行き過ぎがないよう指導力を発揮されることが国連での軍縮の誓いを生かす道であると思うが、どうでしょうか。(拍手)
次に、第三の課題は、ベルサイユ・サミットと経済外交についてであります。
世界経済は、国連が最近、一九三〇年以来の大きな景気後退に見舞われるおそれがあると警告したように、危機的な様相を呈しています。インフレの中で、失業者数は三〇年代の大恐慌時に迫る数であり、世界資本主義体制を揺さぶるほどの社会緊張を醸し出しています。これに対して、サミットで、総理は、軍縮で生まれる経済余力を第三世界に振り向け、先進国を含めた世界経済の再活性化を図るという方向を進めるべきであると主張されました。
ところが、総理のハワイでの太平洋構想の演説では、経済、文化よりも政治を前面に出している印象を受けるのであります。これはアメリカの軍事戦略への追随であり、サミットにおける鈴木演説と矛盾すると思いますが、総理はどう思われますか。
次に、貿易摩擦はいまだ基本的に解決したわけではございません。特に農水産物の輸入枠拡大、自由化の要求は、引き続き強く要求されると予想されます。政府の安易な妥協は国会決議に反し、わが国の農林水産業を破壊し、国の安全保障をも脅かします。まさか総理は、自由化要求には応ぜられるとは思いませんが、総理の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
次に、第四の課題として行財政改革問題についてお尋ねいたします。
第一に、総理、五十六年度三兆円以上、このまま推移すれば、五十七年度は四兆円ないし五兆円以上の歳入欠陥が出ることは確実と言われていますが、どうですか。その原因については、物価の安定が原因などと言って責任を感じられない発言がありますが、要するに、見通しを含めて財政運営に誤りがあったことは間違いないのであります。(拍手)結果として政府は、粉飾予算を組んだのであります。その責任はまことに重大でございます。与党からさえ責任追及の声が上がっています。総理の政治責任を明らかにしていただくとともに、その対策はどうなさるのですか、お答えいただきたいと思います。(拍手)
第二として、政府は、本年度財政見通しとして、実質五・二%の経済成長を見込んでいますが、昨年の例を見ると、当初見込みの五・三%が、結果はその半分の二・七%成長になったのであります。本年度五・二%の成長をどのようにして達成されるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
第三に、総理は、サミットで内需拡大を約束されましたが、どのような手段で内需を拡大して景気を浮揚させるのか、国民の納得のいく説明を求めたいと思います。(拍手)一兆円減税を中心に勤労国民の減税や、仲裁裁定の完全実施や、中小未組織労働者の賃金の大幅引き上げなどで消費を拡大して景気に刺激を与え、税の自然増収を図るべきではありませんか。どうですか。
第四点として、五十七年度の補正予算について伺います。
補正予算はこの延長国会に提出されるのですか。その提出時期を明らかにしてください。伝えられるように、自民党総裁選挙前に財政運営のミスを表面化させたくないとして補正予算をおくらすというのであれば、国民にとっての緊急、差し迫った対策を私利私欲のために責任を放棄する態度と言わなければなりません。(拍手)総理はホノルルで、自民党総裁の再選に意欲を示されたと伝えられていますが、その心境を含めて責任ある答弁をお願いいたします。(拍手)
第五に、総理は、この本会議場においても、本年二月の予算委員会においても、五十九年度末までに赤字国債をゼロにすることができない場合には政治責任をとるとかたく約束されました。それに二言はございませんでしょうね。念のために、本当に成算があるのか、本音の答弁を承りたいと思います。
次に、来年度予算編成についてお聞きします。
現状のまま推移すると、財政再建期間を繰り延べするか、赤字国債を増発するか、または増税なしには予算は組めないのではありませんか。予算編成の見通しを承りたいのであります。
次に、行政改革の臨調の目的、任務についてお尋ねいたします。
第一部会の行政理念によれば、政策のすべてを見直すとして、国家目標の設定にまで任務を拡大しています。
総理、臨調は行政調査会であって、国政調査会ではないのであります。臨調の行き過ぎは是正すべきであります。公共事業を財界に売り渡す民営論、福祉、教育切り捨て、軍事費突出のための臨調路線には絶対に反対であります。
最後に、総理、今日の日本に危険なものを感じませんか。いままで述べた政治、経済だけではなしに、教育、文化、司法、マスコミ、あらゆるところで反動化が進み、まさに昭和初期の戦争前夜を思わせるものがあります。
そのような中で、十八日右翼による日教組本部襲撃事件が起きました。威圧やおどしによる集会、結社、表現の侵害が、ついにテロの前兆、ファッショ化の足音がするところまで来ました。
総理、あなたこそ、この日本の重大かつ深刻な情勢をつくり出している最高責任者でございます。その最高責任者としての自覚を持っておられますか。どうですか。
憲法を守り、平和、人権、民主主義を貫く平和日本をつくるための、総理の強い決意を確かめて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕