中井洽の発言 (本会議)

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○中井洽君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に関し、提案者並びに鈴木総理大臣以下関係閣僚に質問を行います。
 質問に入る前に、今回長崎を中心とする九州各地で集中豪雨により未曽有の被害に見舞われた多くの方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府が一刻も早く万全の対策をとられるよう強く要請をいたします。(拍手)
 さて、そもそも選挙法は、民主政治の基本的ルールを定めたものであります。一党一派が自分の党の有利、不利だけで勝手にルールを変更すべきものではありません。
 今回の公職選挙法の一部を改正する法律案は、わが国、国政選挙の内容を変更するだけでなく、現在の参議院の形態や内容をも一変せしめる大変重要なものであります。したがって、その審議には十分な議論がなされ、また、大半の政党の基本的な合意があり、なおかつ選ぶ側の国民の理解を得て成立を期するのが当然であろうと考えるのであります。
 しかるに、提案者や自民党は、一方的にその成立を急ぎ、結果、参議院における審議は中途で打ち切られ、また本会議における採決も、幾つかの会派が欠席の中で行われました。
 わが党は、議会制民主主義の政党として、あえて参議院本会議に出席をし、反対の立場を国民に明確にいたしましたが、このような状況下で法案が衆議院に送付され、本日、公明党が欠席のこの本会議で質疑が行われ、二十日余りの日程で審議をしなければならないのは、この法案の重要さから見て非常に残念なことであります。
 提案者は、この法案の参議院通過の状態をどうお考えでしょうか。重要な選挙法の改正が一党で提案され、一党だけの賛成で成立して、本当に民主的な話し合いでルールづくりができるとお考えかどうか、お尋ねをいたします。
 また、鈴木総理は、今国会における本法案の成立を自民党総裁として強く希望されたと聞いておりますが、多くの政党の合意なしでもその成立を望まれるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 私が言うまでもなく、現在の選挙制度に国民の大多数は大きな不信と不満を持っております。議会人たるわれわれは、率先していろいろな改革を断行していかなければなりません。長年各政党間で話し合いが行われた結果、一番重要な、また急を要する改革案として一致したのは、衆参両院の定数是正であります。その次が政治資金規正法の改正であり、そして次が参議院全国区の改正であります。しかるに、定数是正や政治資金規正法の改正がなおざりにされ、全国区の改正案だけが提出されたことに大きな不信を抱くものであります。
 いま衆参両院で仮に機械的に選挙区の定数を変更しようとするとき、たとえば衆議院で議員一人当たりの有権者が少ない順、十の選挙区を見ますと、党派別当選者は、自民党二十三人、社会党九人、他の政党三人であります。多い順、十の選挙区を見ますと、自民党十六人、社会党八人、他の政党十三人であります。
 このことは、現在の選挙区や定数がきわめて自民党に有利であるので、定数是正には手をつけず、自民党にとって金がかかり戦いにくくなっている参議院の全国区の改正にだけ踏み切り、その内容を大政党にだけきわめて有利なものとして提案されているのがこの法案であります。自民党の余りにも党利党略的な姿勢に強く反省を求めるものであります。
 そこで、提案者は定数是正問題をどのように御認識をされているのか、お答えを願います。
 また、政府は定数是正の法案を早急に国会に提出されるべきと考えますが、自治大臣、いかがでしょうか。
 次に、この法案と憲法との関係についてお尋ねをいたします。
 平素憲法問題で大きく立場や解釈の方法が異なる自民党や社会党が、拘束名簿式比例代表制という制度については一致して合憲とされておりますので、あえて制度の合憲についてはお尋ねをいたしません。しかし、その中身の中心であります個人が比例代表区に立候補できない、また、有権者は個人名を書けないという点は、わが党を初め多くの会派、また国民の多数が違憲であると主張しております。参議院でも議論がなされましたが、全くすれ違いの議論で審議が終わりました。この際、憲法に抵触しないという提言者の明確な根拠をお尋ねをいたします。
 次に、いわゆる政党の要件についてお尋ねをいたします。
 すなわち、五人以上の議員を有するか、直近の選挙で四%の得票率を得るか、十名以上の立候補者を有するという三つは、それぞれどういう根拠で提案をされたのか、きわめてあいまいであります。今回の法案のように政党選挙を提言するならば、まず、何年かかってでも政党法をつくる努力をすることが先決であります。参議院選挙の、しかも全国区制にだけ適用するような政党の要件という発想に、私は政党人の一人として納得ができません。提言者にこの政党の要件の根拠や考えを明確に御説明願います。
 また、鈴木総理は、日本の現在の政治風土の中で政党の存在をどう思われておられるのか、また、政党法というものが必要とお考えになっていらっしゃらないかどうか、お尋ねをいたします。
 また、政党の要件とともに自由な立候補の制限になると思われるものに、供託金の引き上げ並びに没収のきわめて厳しい規定があります。これらは、個人の立候補ができず、あえてきつい要件を満たしながら政党を新しくつくり、政治に参加しようとする人々を金銭面から締め出すと同時に、当選者の少ない小政党をいじめ抜く発想と言わざるを得ません。
 そこで、提案者にお尋ねいたしますが、供託金の引き上げ率をもっと緩やかにする考えをなぜおとりにならなかったのか。また、現在、参議院全国区の供託金の没収は有効投票総数割る五十掛ける十分の一、すなわち、ほぼ当選票の十分の一を獲得すれば没収されないのに、なぜ、どういう計算でこのようにきつい没収規定をあえて設けられたのか。さらに、政党を選ぶ選挙で当選者を出した政党から、政党の出した供託金を没収するというのはどういう発想に基づくのか、これらの点について明確にお答えをいただきます。
 次に、選挙運動のあり方について、二つの観点からお尋ねをいたします。
 第一は、名簿の候補者は比例代表制の一切の選挙運動ができないとされています。この改正点は、現在のお金を莫大に要すると言われる全国区の悪癖を直すために提案されたと考えますが、しかし地方区の候補者は比例代表制の選挙運動ができると法案にあります。したがって、地方区の候補者の数が多いほど選挙運動において圧倒的に有利になるのであります。地方区に候補者を立て得ない、あるいは少ない小政党にきわめて不利な改正であり、あえて地方区の候補者を多数擁立すれば、いままでより小政党にとっては一層金のかかる改正となるのであります。大政党のエゴイズムまる出しの法案と言っても過言ではありません。提案者は、このあからさまな不平等をどのように考えられておられるのか、お尋ねをいたします。
 他の一点は、政党の日常活動と選挙運動とをどのように区別するかという点であります。
 法案の流れを考えますと、選挙期間中あるいは事前運動期間中も日常政党活動は制限されないようでありますが、往々にして法律は、一たん成立しますとひとり歩きをいたします。提案者は、政党の自由な日常活動がどこにどのように保障されているのか明らかに願います。私は、各政党間で政党の日常活動の自由の保障や選挙運動との区別を明確にすべきと考えますが、提案者はいかがお考えでしょうか。
 また、自治大臣、国家公安委員長は、選管並びに取り締まり当局に対し、もしこの法案が成立すればその内容をどのように徹底さし、あるいは国会の論議や合意を生かして取り締まりの実施等を行いになるのか、お考えを承ります。
 また、関連してお尋ねいたしますが、この法案の中に名簿届け出政党に対して罰則が設けられております。わが党は、これは政党の自由な活動に対し、権力の不当な介入を招くおそれがあると強く警告を発します。提案者の釈明を求めます。
 次に、議員の資格についてお尋ねをいたします。
 名簿により当選した議員は、離党、除名等で所属する政党から離れても議員資格を剥奪されないとあります。憲法に保障されている議員の身分や発言からこのような考えが出てきたものと思いますが、一方では憲法で保障された個人の立候補を禁止して、他方で当選後は無所属で構わないという制度では大きな矛盾ではないでしょうか。議長、副議長の当選後の党籍離脱という慣例もありましょうが、この点をどのように御説明いただけるのでしょうか。またあわせて、政党の離合集散の場合の資格並びに名簿の扱いはどのように考えておられるのか、また、名簿が六年間も有効であるという点の根拠についても御説明を願います。
 以上、わが党から見て、この法案の重要な問題点を提起してまいりました。本来、選挙法の改正は、選ぶ側の国民の立場から判断すべきものでもあります。現在の選挙制度の改革を国民が強く望んでいるのは事実であります。しかし、拘束名簿式比例代表制度というわかりにくい制度で、なじまない政党投票を強要される今回の改正を望んでいないのも事実であろうと私は考えます。提案者は、世論調査等で批判の多いこの制度を、どのように国民の声を組み入れていかれるおつもりか、お尋ねをいたします。
 また、この法案がよしんば成立したとしても、国民にとって非常にわかりにくい点が数多くあるのも事実であります。現在国政選挙で最も無効投票率の多いのは全国区の選挙でありますが、もしこの法案が通り、新しい選挙が行われれば、第一回全国区選挙の無効投票率一四・七二%を大きく上回る無効票や棄権票が出るのは目に見えているのであります。せめて、間違いやすい自書式を改めて記号式を導入し、無効票を少しでも少なくするなり、ドント方式という説明しにくい分配方式をわかりやすい単純比例配分に変える等、いろいろな点で国民に理解を求める努力が必要と考えますが、いかがでございましょうか。
 また、選挙制度の改革と同時に、参議院のあり方についても議論がなされなければなりません。鈴木総理は、参議院のあり方について、国会の二院制についてどのようなお考えをお持ちであるのか、また、国民の大多数が参議院の理想の姿をどう思っていると御認識をされているのか、お尋ねをいたします。
 また、提案者は、この改正が実施されれば国民や憲法の理想とする参議院のあり方とずいぶんかけ離れた参議院になるのではないかという心配にどうお答えになるのか、お聞かせを願います。
 以上、申し上げてまいりましたように、本改正案には幾つかの重大な問題点があり、大政党にだけ有利な法案であり、このままではわが党はとうてい容認することはできません。政治のルールづくりである選挙制度改正に当たり、提案者は、あくまでもこの不合理な原案に固執され、一党の賛成だけであえて成立を望まれるのか、あるいは従来の各公職選挙法改正法案のように、あるいはまた提案者が参議院においてたびたびベストじゃないんだベターだ、こういったことをおっしゃっておられますが、そういった姿勢を貫いて各党と十分話し合い、修正等に応じられる用意がおありなのかどうかを最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 109605254X02919820727_017

発言者: 中井洽

speaker_id: 7661

日付: 1982-07-27

院: 衆議院

会議名: 本会議