穐山篤の発言 (本会議)
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○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
まず、わが国の財政の現状は八十二兆円の国債残高を抱え、その元利償還のため、歳出の六分の一にも及ぶ七兆八千三百億円に上る国債費を計上せねばならぬ現状にあります。この国債費は、赤字国債の償還が始まる昭和六十年度には十兆円に達し、また昭和六十二年度には国債整理基金は底をつくというまさに危機的な状況にあります。しかも、急速な高齢化社会の進展や、エネルギー資源の制約、貿易摩擦などへの対応など、わが国経済社会は従来以上に財政への需要が増大し、あわせて財政機能の有効な発揮を必要とするでありましよう。
国民は、当面しております諸問題につきましても、政府の対応に大きな疑念と不安を持っておりますが、中長期にわたってどのように対応していくのか。今後の財政運営はわが国が抱える最重要な課題であります。政府の責任と将来にわたる財政運営の基本理念について、まず明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
すでに昭和五十六年度補正は、三千七百五十億円の赤字公債追加の発行を含めて成立いたしました。政府はこの補正をもって十分足りるとしておりますが、この見解には国民は何としても納得するわけにはいきません。
まず、国民に公約をしました実質成長率五・三%は、昨年十月から十二月のマイナス成長により、いまや四・一%を割り込む状況にあります。加えて、わが党が再三指摘をしてきましたとおり、歳入欠陥は一兆四千億円をも超えようとしております。明らかに政府の財政運営の失敗と言わざるを得ません。総理は何を根拠に五・三%の達成は可能だと信じたのでありましょうか。また、最終的な見通しは幾らになると思うのか、はっきりさせていただきたいと思うわけであります。実質成長率の大きな落ち込みや巨額の歳入欠陥などに対し、総理はどのように政治的責任をとられるのか、この際、明確な答弁を要求をするものであります。
政府は再補正をしないと明言しておりますが、この一兆四千億円を超える歳入不足額の補てんの方法についてどういうふうに考えておるのか、具体的に御答弁をいただきたいと思うわけであります。
次に、減税問題についてお伺いをいたします。
われわれ野党は、一兆円減税について財源を明示して政府に要求をいたしました。減税要求は天の声であったにもかかわらず、総理が決断をしなかったことはまことに遺憾であり、総理の優柔不断は国民の大きな不信を買ったものと言えます。なぜならば、各家庭は生活の合理化を余儀なくされております。また、個人消費は伸び悩み、中小商工業者の中にはすでに倒産が起きております。また、失業者の増加などは明らかに可処分所得が大幅に落ち込んでいるからであります。可処分所得の減少は内需の不振に一層拍車をかけている現状であります。
先日の減税に対する衆議院議長の見解提示後も、総理は五十七年度を含む減税を決断しているのかどうか全く不明であります。いかなる理念をもって対処されようとしておりますか。総理はしばしば行革は天の声と言われますけれども、いまや所得税の減税、地方税の減税こそが天の声であります。大幅減税せずしてどうして内需拡大型の景気回復が望めるでありましょうか、その点はっきりしてもらいたいと思うわけであります。
今日まで政府は、われわれの減税要求に対し、財源がないと常に主張しておりますが、たとえば貨幣回収準備金やあるいは外国為替特別会計などからの繰り入れによる財源捻出も可能ではないかと考えますが、この点について明確な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
なお、わが党は、去る二月二十三日、所得税の物価調整制度に関する法律案を衆議院に提出いたしました。この法律案は、まず物価上昇に伴う名目所得の増大による所得税の負担の増加に対応するため、所得税について物価の上昇に応じ所得控除の額などの改定を行う制度で、よって所得税の負担の適正化と公平化を図ることを目的とするものであります。すでに五年にわたりまして所得税の物価調整が行われず、課税最低限が据え置かれたままであり、毎年の巨額の自然増税の大部分は勤労者の負担となっているわけであります。さきに当面の減税問題の実施について述べたとおりでありますが、所得税の物価調整を政府の恣意的裁量にゆだねることなく、明確に法律による制度として確立するものであります。
周知のごとく、わが党と同様の所得税の物価調整制度は、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、イギリス、オランダ等、先進国あるいは発展途上国を問わず実施され、いまや世界の常識となっているわけであります。国民は、わが党が提起しました物価調整を強く支持しております。少なくとも世界の仲間入りは、まず所得税の物価調整制度を採用することと確信しておりますが、総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、経済見通しについてお伺いをします。
昭和五十五年度実質経済見通し四・八%に対し三・七%の実績でありました。五十六年度は五・三%に対し四・一%以下の実績見込みが想定されております。このような苦い体験にもかかわらず、政府は五十七年度実質経済成長率を五・二%という高い指標としておりますが、これは過去の経済運営の失敗を十分検証していない証拠である。OECD並びにわが国民間機関は、いずれも現実的数値として最高でも四%前後であります。明らかに作為的な指標と思いますが、総理は本当に五・二%の達成が可能と考えておられますか。外需によるもの、あるいは内需にわたる算定の根拠をこの際明示をしていただきたいと思うわけであります。
特に、雇用者の所得の増加は、政府や財界の抑制措置によりまして、伸び率は今年七%以下が想定されております。内需の振興はどの分野でどうやって成長を見込むつもりなのか、納得のいく答弁を求める次第であります。
さらに、アメリカの一〇%近いインフレ、そして一五%前後の高金利政策は、わが国を初めEC諸国に重大な悪影響を及ぼしておりますが、この際政府は断固としてアメリカに対し注文をつけるべきではないかと考えますが、明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
総理府の税金に関する世論調査の集計を見るまでもなく、国民は重税感とともに不公平に対し強い不満を表明しております。今回の租税特別措置の整理合理化は、不公平税制是正の一環とは考えます。しかし、私は、さきの行革国会におきまして、税制上の不公平、執行上の不平等などについて具体的に指摘をしました。あわせて歳入対策につきましても政府の再検討を強く求めましたが、今回の改正を見ておりますと、全くそれらに十分にこたえておりません。政府は今回の改正によって不公平税制は一段落したと考えているのかどうか。もしさらに再検討するというお考えであるならば、どの分野を改正なさろうとするのか明示をしていただきたいと思うわけであります。
次に、今回の税制改正によります延納の縮減は、大企業に比べ資金調達力の弱い中小企業経営者に大きな打撃を与えることは必然であります。大企業からは長期の手形を渡され、担保力も少なくなっており、かえって滞納者がふえ、企業倒産に拍車をかける懸念がいたしますが、大蔵大臣並びに通産大臣の所見をお伺いいたします。
次に、土地税制の改正でありますが、今回多年の懸案に着手いたしましたが、相変わらず根本的な土地政策を持たず、あめとむちの税制で解決しようとしております。
問題はその内容であります。税制改正によって宅地供給の促進を図り、住宅建設を期待している模様でありますが、その効果は宅地転用面積のせいぜい一〇%程度であり、それも遠隔地となることは必然であります。これでは、宅地の需給ギャップを解消し、地価を安定させるにはほど遠い供給量ではないかと考えます。宅地供給の見通しがないまま持ち家需要をあおっておりますのは、再び地価の高騰を招きかねないと思うわけであります。現に、住宅のセールスマンは、土地税制が改正されるならばまた地価が上がります、買うならいまですとあおっているではありませんか。かえって大口土地所有者の譲渡所得について軽減を図るものであり、税負担についての不公平を拡大すると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
なお、最近、住宅・都市整備公団や各地の住宅供給公社などが、庶民には容易に手の届かないほどの四、五千万円もする高級住宅の供給を行っておりますが、明らかに官民の責任分担を無視した不当なやり方ではないかと考えるわけであります。
次に、グリーンカードについて質問をいたします。
周知のとおり、この制度は、利子所得の分離課税制度による不公正を是正する目的で制度化されたものであります。ところが、五十九年実施の延期とか、導入に際して高額所得者層の税負担軽減のための税率変更などのうわさが出ています。また、総合課税そのものを否定する意見も出ています。長年の審議の結果制定されたものであり、朝令暮改であってはならないと思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いします。
また、大蔵大臣はしばしば、直接税、間接税のいわゆる税率構造について言及をしておりますが、それは直接税構造を広げるものであるのか、あるいは直接税のシェアを是正する見地から間接税の見直しを考えているのか、一体本音はどこにあるのか全く明瞭でありません。この点について明確に考え方を明らかにしていただきたい。
最後に、総理は財政再建のため大型間接税の導入はしないと公約をしてまいりました。しかし、その後政府部内には、たとえば所得税減税などとの抱き合わせで大型間接税導入をほのめかす意見もある模様ですが、はなはだ不見識と言わなければなりません。「所得税の減税」「増税なき財政再建」は、あくまでも行財政の徹底的な見直しと、不公平税制の是正を根本理念とすべきものと考えます。改めて、大型間接税は導入しないという公約を明らかにするよう総理に求めて、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕