塩出啓典の発言 (本会議)

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○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました二法案について質問をいたします。
 政府は、五十六年度、財政再建を口実に物品税など一兆四千億円の大増税、所得税減税見送りによる実質増税、公共料金の値上げなどの負担増を国民に押しつけたのであります。その結果、国内消費は停滞し、加えて外需すなわち輸出の伸びも落ち込んできており、当初目標五・三%の実質成長率も低下を余儀なくされ、結果、五十六年度の税収は大幅に不足が生じることが憂慮されています。
 大蔵省の発表によれば、昨年四月から今年一月までの十カ月間の税収累計額は対前年同期比一〇・五%増で、五十六年度補正後の見込み一八・五%増より八ポイントも下回っております。このままでは年度末には一兆円をはるかに超える税収不足が生じるものと推定されます。自民党首脳の中にも、「もし今年度税収が当初比一兆円も不足すれば政治責任の問題である」との発言もされております。財政再建の破綻とも言うべき異常事態に対し、総理は政治責任をどう考えているのか、お伺いしたい。
 また、今年度の税収が最終的にはどの程度の不足になると予想しているのか。さらに、今年度の実質成長率はどの程度と予想しているのか。大蔵大臣、経企庁長官にお尋ねをいたします。
 政府は、五十九年度赤字国債脱却という財政再建目標の達成には、年間四、五%以上の実質成長と、年間四、五兆円以上の自然増収があることが大前提であると言明してきました。今日までは内需の低迷を辛うじて外需すなわち輸出の伸びでカバーしてきましたが、厳しい対外摩擦の状況で今後輸出の伸びは期待できず、財政再建の大前提となる経済成長と税収増が現状のままでは困難ではないかと憂慮するが、経企庁長官のお考えを聞きたいのであります。
 政府は、民間各機関の予測よりもはるかに高い昭和五十七年度実質成長率五・二%を目標とし、その達成のため公共事業七五%の前倒しをやろうとしておりますが、五十七年下半期は一体どうなるとお考えか、あわせて経企庁長官にお尋ねをいたします。
 政府は国民の強い要望である所得税減税を四年連続見送り、その結果、収入を完全に把握されている給与所得者に実質増税が集中していることは何人も認めるところであります。物価上昇に伴う実質増税は、少なくとも五年間で約三兆五千億円に達すると言われています。税負担の増加は中低所得者層においてその伸びが高くなっており、国民の生活をますます圧迫していると言えます。日本経済の発展を支え、消費の大半を占めてきたのは、国民の大半を占める給与所得者であります。この階層が所得税減税の連続見送りのために将来への明るい展望を失い、財布のひもをかたく締め、自己防衛を余儀なくされ、結果は不景気を拡大していると言わなければなりません。総理府の家計調査は、実質消費支出と可処分所得が二年連続のマイナスとなっていることを示しております。
 一兆円減税の問題は、衆議院議長見解で、五十七年度実施の方向で一応の解決を見ましたが、財政再建達成のための大前提である経済の成長を確保し、かつまた実質増税による国民生活の圧迫を避けるためにも、野党がこぞって要求してきた一兆円減税を五十七年度に実施するための財源確保にどういう対策をお考えであるのか、総理大臣にお尋ねをいたします。
 私たちは、補助貨幣回収準備金の一般会計への繰り入れ、外国為替資金特別会計からの一般会計繰入額の増額、公社有資産所在市町村納付金の改善等を主張しております。大蔵大臣、自治大臣のこの問題についての御意見を伺いたい。
 次に、租税特別措置法の改正案について伺います。
 今回の土地譲渡所得税の軽減措置は、給与所得者の実質増税をよそに、一部の土地保有者のためにのみ行われる減税措置であり、税の不公平のみが拡大されるだけに終わるのではないかと指摘されています。果たしてこの措置により土地供給がどの程度促進されるとお考えなのか。また、この措置に伴う減収は幾らになるのかさえ明らかになっておりません。この二点につきまして、先ほどは具体的数値のお答えがなかったわけでありますが、具体的数値をもって建設大臣、大蔵大臣にお答えをいただきたいのであります。
 さらに、税制面と徴税面の不公平についてお伺いします。
 大蔵省は、先日発表した実態調査において、いわゆるクロヨンなど所得の捕捉率の差はなく、税負担の不公平感は税制上の問題に根差している旨の調査結果を発表しております。税制度上に不公平ありとすればいかなる点か、また、この不公平是正をどうするか、大蔵大臣に伺いたい。
 しかし、東京国税局が所得調査をした五十五年度分の申告所得のうち、調査対象三万六千五百八十四人の九三・三%から八百八十三億円が申告漏れになっていることが明らかになっております。こうした実態を見ると、税の不公平は制度上のみの問題とする大蔵省の見解はいかがなものか。これは明らかに執行上の不公平もあると考えられるのであります。大蔵大臣の見解をお聞きします。
 また、現在の個人で約五%、法人で約一〇%の実調率を上げるための税務職員の体制強化、県税事務所との相互協力など、執行面の不公平是正にどう対処するか、大蔵大臣にお聞きします。
 さらに、最近、中小企業の事業承継という視点から、所得課税はともかく、財産課税の相続税の見直しを迫る声が強くなっております。具体的提案として、事業用土地の評価改善、取引相場のない株式の評価方法改善などが挙げられておりますが、この取り扱いについてはどのような御見解をお持ちか、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 最後に、グリーンカード制についてお伺いをいたします。
 長年指摘されてきた不公平税制の是正のためようやく実現したこの制度が、実施を前に反対論が相次いで起こっております。隠すべき財産も持たない大半の庶民にとっては理解しがたいことであります。総理は国会の答弁においても、断固予定どおり実施する御決意と伺っておりますが、これらグリーンカード制反対論の根拠がいかなる点にあると総理は理解されておりますか、お伺いをいたします。
 この問題についての大蔵大臣の今日までの御答弁は、総理とはややニュアンスの異なるものであります。所得税の累進税率の高額所得者の税率を下げるのか、あるいは利子配当の分離課税制度を残すことを考えておられるのか、明らかではありません。私は、このようなはっきりしない大蔵大臣の姿勢がグリーンカード制をめぐる混乱を助長していると言わざるを得ません。
 この制度は、昭和五十五年、共産党を除き全党が賛成をし、不公平税制是正のために決定されたものであり、最近のグリーンカード反対論にはこの不公平是正の代案が示されておりません。私は、不公平税制是正のためには、この制度を予定どおり実施する以外にはないと思うのでありますが、大蔵大臣の御答弁をいただきたい。
 また、グリーンカード制実施が日本経済にどのような影響を及ぼすのか、活力を失わせるおそれ等があるのかどうか、経企庁長官のお考えをお尋ねしたい。
 グリーンカード制についての国民に対する政府の説明が全く不足しており、銀行や証券会社のグリーンカード枠獲得競争等で無用の混乱を生じることが懸念されます。大蔵大臣は今後国民にどのようにPRをしていくのか、このお考えをお聞きし、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 塩出啓典

speaker_id: 16080

日付: 1982-03-19

院: 参議院

会議名: 本会議