近藤忠孝の発言 (本会議)

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○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました両改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 五年連続減税見送りによる所得税の国民負担は、総額八兆四千億円、納税者一人当たり実に二十万円の負担増となり、加えて社会保険料、公共料金の値上げなどが国民の消費支出を大きく圧迫し、これが今日の不況の最大の原因であります。これは、河本経企庁長官が「景気回復のおくれは実質可処分所得がふえず、消費が伸びないからだ」と答弁しているように、政府みずから認めざるを得ないところであります。したがって、一兆円減税は正当かつ当然の要求であり、政府の責任において実施すべきことであります。
 わが党は、軍事費一兆円以上の削減、大企業補助金や大型プロジェクト、産業基盤投資の削減、大企業、大資産家優遇の不公平税制の改革等によって財源を確保し、これにより、一兆円減税を初め福祉や教育条件の充実改善など、国民生活擁護の施策を進めるための三兆六千億円規模の予算組み替え案を示し、政府にその実現を求めました。しかるに政府は、不当にもわが党以外の五会派と自民党との合意を盾に、参議院での予算審議に際しても、「衆議院大蔵委員会の小委員会審議の結果を尊重する」と言い張るのみであります。これは実質的に参議院における減税審議の拒否ではありませんか。参議院軽視であって断じて許すことはできません。参議院軽視は、昨十八日の渡辺大蔵大臣を初め、各閣僚の予算委員会における態度からも明らかではありませんか。
 総理、五十七年度減税の実現は、わが党組み替え案を誠実に検討すれば可能です。本年当初予算において一兆円減税という国民の要求にこたえる意思ありや否や、総理の答弁を求めます。
 渡辺大蔵大臣は、三月十一日の予算委員会で小笠原議員に、「野党が一切増税を考えないというなら減税できない」と答弁しました。増税を認めなければ、五十七年も、また五十八年以降も所得減税はできないということですか。それとも、減税要求につけ込み、大衆負担の増税をしようというのですか。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 政府は、減税など国民の切実な諸要求に対し、「財源がない」の一点張りでありますが、さきに述べたように、軍事費削減や大企業優遇税制の是正など財源はあります。大企業がもっぱら利用している海外投資損失準備金、試験研究費の税額控除、技術等海外所得の特別控除などについて、その適用期限は今年限りで終わるにもかかわらず、本改正案では、これらについてほとんど手直しもなく、わざわざ延長しています。また、引当金についても、各業界のトップ企業二十八社の退職給与引当金の今年度末積立金に対して、実際に退職があり支出したのはわずか一割程度であり、貸し倒れ引当金についてはこの二十八社平均でわずか五%という実績であります。これらの制度は当初の政策目的を離れ、ひたすら大企業の内部留保の拡大に奉仕しているだけではありませんか。
 たとえば三菱重工は、二千三百四十五億円という最大の兵器製造の発注や一千三百二十三億円の輸銀融資を受け、かつYX開発など六十四億円の補助金を受ける上に、優遇税制でさらに六十億円もの税金を免れ、その結果、内部留保は二千六百九十五億円に達していますが、このように大企業には二重三重の恩恵を引き続き与えているのであります。
 大蔵大臣、大企業優遇のこうした特別措置こそ厳しく見直すべきではありませんか。大企業五十社の内部留保は毎年ふえ続け、昨年九月期で十五兆六千億円に達しています。敗戦直後の深刻な資本不足の時代ならいざ知らず、GNP資本主義国第二位の今日、実質大増税など国民犠牲の上に独占大企業の内部留保のための減税措置を温存する必要がどこにあるのですか。総理、いまこそ国民本位の税制に転換すべきではありませんか。政府は、こうした国民の声に押されて、退職給与引当金などの課税強化を検討したものの、財界の企業増税反対の大合唱に屈して断念しました。強い怒りを覚えます。総理、断念に至る経過を説明してください。
 次に、土地税制についてであります。
 かつて政府税調は、地価の上昇が庶民の住宅取得を困難にすることなどを指摘し、これを防止するための総合的な土地政策を確立すべきこと、そしてその中に土地税制の活用を位置づけるべきことを提起したことがありますが、建設、大蔵両大臣の見解はどうですか。
 今回の土地税制の大緩和は、こうした総合的な土地政策の観点がありません。大蔵大臣、これでは大地主や土地投機者を優遇し、不公平を一層拡大させるだけではありませんか。政府は、景気回復のてこを住宅建設に求め、百三十万戸供給を目標にしています。住宅政策はそれ自体重要な政策課題でありますが、政府はもっぱら民間の住宅供給促進をあおるだけで、肝心の需要面、すなわち国民の住宅購入能力を全く無視しています。住宅価格が急騰する一方、所得の伸びが停滞しているため、国民の住宅取得能力はこの数年低下の一方です。経企庁長官、これでは住宅供給はかけ声だけに終わるではありませんか。住宅取得能力の実情はどうか、建設省は正確につかんでいますか。住宅金融公庫の金利や枠の若干の緩和では焼け石に水です。建設大臣、住宅取得能力拡大のための有効な具体策を明らかにすることを求めます。
 次に、大資産家優遇の不公平税制の最たる利子配当の分離課税は、早急に総合課税に移行すべきであります。ところが、渡辺大蔵大臣は、これに関し、高額所得者減税必要論を説き、高額所得者には実際九三%も課税されるかのごとく印象づけたり、重税は勤労意欲を阻害するなどと言っています。しかし、実効税率は地方税も含め最高八〇%であります。かつその税率が適用されるのは、年所得何億という超高額所得者のみではありませんか。正確な答弁を求めます。また、何億という所得を勤労所得のみで得ることはまずあり得ず、土地や株式の譲渡など資産所得が大半を占めるので、彼らの勤労意欲への配慮は不必要です。大蔵大臣、このような億万長者減税の検討はやめるべきではありませんか。
 さらに、総合課税の実施は架空名義の禁止や銀行の預金管理の厳密化などによって可能であることから、わが党はグリーンカード制の採用には反対してきました。すなわち、それはプライバシーの侵害、庶民の資産の国家管理につながり、かつ本来把握すべき高額所得者についてしり抜けになるおそれがあるからであります。問題は、この機会に利子配当の総合課税化をおくらせようとする動きであります。総理並びに大蔵大臣、「グリーンカード制は実施するが、総合課税は延期する」という理不尽なことは断じて許せません。そのとおり確約できますか。
 最後に、税収見通しについて質問します。
 経企庁長官、いま公共事業の七五%前倒しなど急いで景気対策を講ずるようですが、国民の購買力を高めなければこの不況はさらに続くのではありませんか。さらに大蔵大臣、見通しを下回り、今年度の税収不足は一兆円をはるかに超えるのではありませんか。予算補正後の税収見通しの確保ができなかった場合どうするのですか。
 特に、国債整理基金からの借り入れは、借金のツケ回しで、将来の財政を圧迫し、かつ財政の単年度主義を破るものであり、認められません。総理並びに大蔵大臣、このような危険で無責任なことはしないと約束できますか。
 以上明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 109615254X00919820319_020

発言者: 近藤忠孝

speaker_id: 31842

日付: 1982-03-19

院: 参議院

会議名: 本会議