三治重信の発言 (本会議)
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○三治重信君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案と租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣に御質問をいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
さて、わが国の租税負担率は五十七年度で二五・四%を見込まれております。また、最近五カ年間で四・一%もの租税負担率が上昇しております。われわれは「増税なき行財政の再建」を強く主張してきましたが、法人税の増税と所得税の強い累進税率によって租税負担率は年々高められ、実質増税路線を歩んでおります。
また、先進国の中で日本は租税負担率が低いから、赤字財政を克服するには先進国並みに負担率を高めるのもやむを得ないというもっともらしい意見も聞きます。しかし、先進国の七九年度における租税負担率は、米国二七・七%、西独三一・七%、英国三九・三%でありますが、社会保障費は、日本一二・二%、米国一六・五%、英国一九・九%、西独二八・七%と、わが国は著しくその負担が軽くなっております。
わが国も現在、先進国の老齢化社会の道を二倍のスピードで進み、老齢者の年金、医療は急増するものと見込まれます。また、防衛費の突出として非難されておりますわが国の防衛費の負担は、五十七年度において〇・九三%であるのに対し、同じく七九年度で、西独が三・三%、英国は四・九%、米国五・二%と大変な負担の差があります。
わが国の財政は、社会保障費と防衛費において先進諸国に比べ負担が非常に少ないゆえに、租税負担率が低いのは当然でありまして、むしろ多額の国債に依存しているこの現在の状態が、「大きな政府」への芽が強くうごめいていると考えます。総理及び大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
次に、五十六年度は、大増税と自然増収の合計五兆八千億円余と、対前年度二二・二%の増収を見込みました。今回の補正で四千五百億円の減額補正をしましたが、一月末の税収実績からはさらに一兆数千億円の租税収入減が予想され、当初の租税収入額に対しおおむね二兆円の減収になろうかと思われます。財政再建の五十九年度赤字国債発行をなくすという大目標がありますが、初年度から赤字国債二兆円の減額は歳入の減収二兆円ともしもなるならば、実質はゼロとなる結果になりませんか。このような結果が予想されるのは、経済成長率が五十六年度は実質五・三%を見込んだものが、第三・四半期の国民所得速報から判断すれば二%台と予想され、二・五%もの減少による法人、個人所得の伸び悩みの結果となりましょう。
五十七年度の国内外の環境はさらに厳しく、政府の実質五・二%は民間研究機関のほとんどが三、四%と見込んでおり、本年一月以後における景気は現在においても依然として低迷しております。年度当初に七五%の公共事業、住宅等を前倒しにして景気刺激を図っても、GNP実質五・二%、名目八・四%の達成は非常に困難であろうと思われます。そうしますと、五十七年度の歳入も一兆八千三百億の公債減額と同程度の歳入欠陥を出すおそれがありませんか。大略の推計から判断をいたしますと、五十六、五十七両年度における財政再建の最大目標である赤字国債の発行の減額は、決算をしてみると実質では何もできなかった、ただ、歳出の削減を相当やって赤字増加をやっと抑制した、こういうようなことにならぬかと思うのであります。かかる景気の低迷の状態、歳入欠陥に対しまして、財政再建の方途をいかがお考えか、お伺いいたします。
去る三月四日、総理府が発表した家計調査では、サラリーマン世帯の月平均所得は五%の伸びにもかかわらず、その可処分所得は、租税、社会保険料等公課の負担増一二・九%と消費者物価上昇分四・九%を差し引いた実質で、史上初めて二年連続一%を超えるマイナスとなったのであります。また、全世帯の消費支出も実質で二年連続のマイナスは史上初めてで、消費不況の根は非常に深いのであります。五十七年度も前二カ年の状態が続き、改善の見込みがなければ、三年連続の対前年度実質消費が減少するであろうととは明瞭であります。このような実質所得の減退が続きますれば、働く勤労者の働く意欲は減退をすることになります。政府は、衆議院の予算審議の過程においての所得税一兆円減税について議長見解の趣旨を十分に生かし、五十八年度はもちろん、五十七年度においても一部減税が実現されるよう要望する次第であります。
法人税の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。
確定申告による法人税額にかかわる延納割合を、現行二分の一から四分の一に引き下げるとともに、中間申告による延納制度を廃止することといたしております。この措置は、従来、翌年度税収に掲げられるものを、五十七年度に限って歳入に千四百四十億円繰り上げ先取りしようとするもので、全く小手先の増収策であります。中小企業や金融不如意の法人には資金面で苦しむことになります。
また、貸し倒れ引当金の法定繰入率の引き下げは、調査の結果実質に近づけた、こういうことでありますから了承をいたします。
中小企業の四分の一以上が世代交代期にかかっております。農家の農地の相続制と同じように、事業継承税制を設けて中小企業の経営基盤の維持拡大を図るべきだと思います。通産大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、租税特別措置の整理合理化、交際費課税の強化、貸し倒れ引当金の見直し等は、不公平税制の是正の一部として評価できるものでありますが、現行の土地等の譲渡所得課税は、土地価格の暴騰、暴利を抑制する土地インフレ対策として課税強化を図ったものであります。土地の譲渡所得課税の軽減措置は土地価格の暴騰、暴利を再び招来することになりませんか。また、この措置は宅地供給に対象を限定すべきだと思いますが、どうか。
また、宅地不足のはなはだしい三大都市圏内では、サラリーマン等一般庶民には余りにも土地価格が高価になり過ぎ、勤労者には買うことのできない宅地と化しつつあります。私は、わが国のごとく狭隘な国土の土地は、地主からその土地を手離すことを強制せず、国、地方公共団体においても、利用目的に合致した長期賃借権による地代の収得で安心して土地を提供できるよう借地法の近代的改正を図り、土地の提供を確保する政策がとられるべきだと考えますが、法務大臣及び建設大臣の、土地の制度、政策の改革をすべきだと思いますが、その点をお伺いいたします。
また、大蔵大臣は、このような土地譲渡所得課税の軽減による税収入の増減見積もりが全然出ておらぬのは、このような措置に対してどういうふうに考えておられるのでありますか。
また、勤労者財形貯蓄の中で住宅貯蓄控除を五十七年度限りで廃止し、かわりに財形持ち家融資額の引き上げと金利に対する利子補給を行うことによって住宅建設を促進する改正案につきまして、住宅建設には融資額の引き上げや利子補給は前進でありますが、一挙に従来の住宅貯蓄控除を廃止することは、これを利用してきて積み立て中の勤労者をだますことにはなりませんか。何らかの経過措置なり貯蓄の組みかえ措置を講じて住宅資金として利用される道を開くべきだと思いますが、どうですか。
最後に、租税の自然増収の四分の三強に当たる三兆五千百億円が法人税、所得税の二つに集中されております。「増税なき財政再建」は総理が政治生命をかける行財政改革の最重点でありますが、見えざる増税となっております所得税の一兆円減税による租税体系の是正に踏み出していただくことを重ねて要望して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕