梶木又三の発言 (環境委員会)

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○梶木国務大臣 第九十八回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 環境は、人間が活動する場であると同時に、人間を初めとする生物の生存の基盤であります。
 人間は、これまでの歴史において環境を利用し、変化させることにより経済活動を営み、高い生活水準を実現してきました。しかし、その過程で、ともすると、みずからが環境に依存していることを忘れ、環境を回復困難なところまで破壊したり、環境の持つ自律性や多様性を損なったりしたことも事実であります。
 ことにわが国は、狭い国土できわめて高密度の経済社会活動が営まれてきており、高度経済成長の過程においては、著しい公害と自然破壊、公害による健康被害まで生じさせました。こうした経験から、私たちは、環境は有限であり、人間がその力を環境への配慮なく行使すれば、私たちの生存自体が危機に瀕することを学んだのであります。そして、緊急の対策を求める国民的要請のもとに、環境保全への本格的な努力が始められたのであります。
 以来、国、地方公共団体、国民が一体となって対策に全力を挙げてきた結果、かつての著しい環境汚染に比べ、一部にはかなりの改善が見られます。しかしながら、交通公害、閉鎖性水域の水質汚濁のように深刻な問題となっている分野もなお残されており、かけがえのない自然を保護する上でも多くの課題を抱えております。
 また、近年、生活雑排水問題、近隣騒音といった都市・生活型公害、石油代替エネルギーの開発導入に伴う環境問題に加え、快適な環境づくりを求める国民意識の高まり、環境問題の地球的規模への広がりなど、環境問題の様相は、多様化、複雑化しております。
 こうした環境問題の現状に対処し、大きく変貌しつつある経済社会条件のもとで、将来にわたって環境を保全していくためには、環境汚染の未然防止を第一義として着実に環境の保全に努めるとともに、よりよい環境の創造に向け、長期的視点に立った環境政策を総合的に講じていく必要があります。
 また、国内の環境問題にとどまらず、地球上の緑の減少を初めとする地球的規模の環境問題について、国際協力の観点に立って積極的に対応を進めていくことが必要となっております。
 私は、こうした基本的考え方に立ち、長期的な環境政策の目標と、その達成方策についての環境保全長期構想の策定を推進するとともに、次のような事項を重点として、環境行政の推進に最大限の努力を払ってまいる所存であります。
 第一に、環境影響評価法制度の確立であります。
 かつての著しい環境汚染の経験にかんがみ、環境汚染の未然防止に万全を期することが環境行政の根幹であります。このため、政府は第九十四回国会に環境影響評価法案を提出し、現在同法案は本委員会の審査に付されております。同法の早期制定は、現下の環境行政の最重要課題であり、今国会において、御審議の上、一日も早く成立させていただくようお願いする次第であります。
 第二に、各種公害対策の推進であります。
 特に、自動車、航空機、新幹線鉄道等交通機関の運行に伴う交通公害は、近年各地で深刻な問題となっており、先般の中央公害対策審議会の二つの専門委員会報告で示されたように、環境保全の観点から、物流や交通施設周辺の土地利用のあり方にまで踏み込んだ対策の強化が要請されております。環境庁としては、関係行政機関との連携のもとに、従来からの発生源対策、周辺対策をさらに推進するとともに、審議会での審議を踏まえつつ、抜本的かつ総合的な交通公害対策の樹立、推進に努めてまいります。
 次に、湖沼につきましては、河川、海域に比べ環境基準の達成状況が悪い上、富栄養化に伴う障害が著しくなっております。環境庁としては、先般、湖沼の窒素及び燐に係る環境基準を告示したところであり、さらに、窒素及び燐に係る排水基準の設定を急ぎたいと考えております。また、湖沼法案について、今国会への提出を目指してさらに政府部内調整に努めるなど、総合的な湖沼環境保全対策を推進してまいります。
 これらに加え、窒素酸化物を初めとする大気汚染、水質汚濁等の公害防止対策を引き続き推進してまいります。
 第三に、公害健康被害者の救済対策の充実であります。
 公害健康被害者の迅速かつ公正な保護に万全を期することは、環境行政の重要な責務であります。このため、公害健康被害補償制度の円滑な実施に努めるとともに、これに必要な財源を引き続き確保するための所要の法改正をお願いしているところであります。また、水俣病認定業務の促進、国立水俣病研究センターの研究体制の充実等を図ってまいります。
 第四に、自然環境の保全であります。
 私たちは、美しく豊かなわが国の自然の中で生活し、固有の文化を築いてきました。自然環境は、経済活動のための資源となるだけでなく、物心両面において私たちに限りない恵みを与えてくれます。しかし、自然は一たび失われると、回復は著しく困難であり、自然を守り、子孫に伝えていくことは、私たちに課せられた重大な責務であります。
 この責務を果たすべく、わが国の自然環境の現状を把握するための第三回の自然環境保全基礎調査の実施や、自然保護に国民の参加を求めるための新たな方策の検討等、自然環境の保全に関する調査研究を推進するとともに、自然公園の施設整備等による自然との触れ合いの増進、鳥獣保護対策の充実を図ってまいります。
 最後に、環境行政の基盤の充実であります。
 環境行政を的確に推進するには、その基盤となる科学的知見の整備、充実が不可欠であり、国立公害研究所のなお一層の充実強化に努めてまいります。
 また、環境問題の解決のためには国民の理解と協力が不可欠であり、国民の声に十分耳を傾けるとともに、広報活動や環境教育にも力を入れてまいりたいと考えております。
 以上、私の所信の一端を申し述べました。
 私は、国民の健康と生活を守り、自然を保護し、よりよい環境をつくり出していくという環境行政の使命を果たすべく、全力を尽くす決意であります。本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の進展のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。(拍手)

発言情報

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発言者: 梶木又三

speaker_id: 18214

日付: 1983-02-22

院: 衆議院

会議名: 環境委員会