内海英男の発言 (建設委員会)
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○内海国務大臣 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。
御承知のとおり、最近のわが国経済の課題は、物価の安定を基礎としつつ、国内需要を中心とした景気の着実な回復を図り、持続的な安定成長を達成し、雇用の安定を確保する一方、行財政改革を着実に推進していくことにあります。
このような情勢のもとで、政府としては、昭和五十八年度予算の編成に当たって、歳出規模を厳しく抑制するとともに、公債発行額を可能な限り抑制することとしたところであります。
昭和五十八年度における建設省関係の公共事業については、こうした政府の方針に沿って、予算総額は前年度とほぼ同額ではありますが、財政投融資の活用等により所要の事業費の確保に努めたところであります。
改めて申すまでもなく、建設行政の基本的課題は、社会資本の整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。このため、現行の住宅建設、治水、都市公園、下水道、海岸、交通安全施設の各五カ年計画とあわせて、第九次道路整備五カ年計画、急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を新たに策定し、国民生活の維持向上、国土の安全性の確保及び国土の発展に資する諸施設の整備を、長期的視点に立って計画的に推進することとしております。社会資本の整備に当たっては、事業の重点的、効率的な執行等所管行政の合理化、効率化を図りつつ、地域の特性に応じ地域住民の要請に的確にこたえるとともに、環境にも十分配慮してまいる所存であります、特に、災害から国民の生命、財産を守ることは、政府の大きな使命の一つであり、従来にも増して災害の防止に努めてまいることとしております。
私は、昨年十一月建設大臣に就任以来、このような観点に立って、建設行政の推進に努めてまいりましたが、昭和五十八年度予算の的確な執行等を通じ、今後とも、この責務を果たすことに全精力を傾注する所存であります。
以下、当面の諸施策について申し述べます。
第一に、住宅宅地対策であります。
住宅は、潤いのある家庭生活の基盤をなすものであります。すべての国民が、その家族構成、世帯成長の各段階、地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、総合的な施策を展開してまいる所存であります。
このため、住宅金融公庫の無抽選体制の維持及び貸し付け条件の改善、住宅取得控除制度の大幅な改善等金融、税制上の措置による良質な持ち家取得の促進に努めるとともに、公共賃貸住宅の建設戸数の確保、既成市街地における住環境整備とあわせた市街地住宅の供給の促進、既存住宅の増改築及び流通の促進、地域住宅計画の策定等の施策を推進してまいりたいと存じます。
また、宅地対策については、地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進するため、宅地需給の逼迫している大都市地域を中心として、公的宅地開発の計画的な推進、政策金融等による優良な民間宅地開発の推進、関連公共公益施設の整備の推進等を図るほか、いわゆる線引きの見直しの促進と開発許可制度の適切な運用を図る等各般の施策を総合的に推進してまいりたいと存じます。
第二に、都市対策についてであります。
わが国においては、二十一世紀初頭には国民の約七割が都市に居住するものと見込まれており、こうした本格的な都市化社会の到来に適切に対応していく必要があります。このため、大都市についてはその高度の都市機能を維持しつつ、安全で潤いのある居住環境を確保するとともに、地方都市については周辺農山漁村を含めそれぞれの地域の特性を生かしながら定住するにふさわしい個性と魅力ある都市を形成することを目標として、長期的展望のもとに総合的、計画的に都市政策を推進してまいる所存であります。
このような観点に立って、都市計画の総合的運用により、欧米先進諸国に比して立ちおくれている街路、公園、下水道等の都市基盤施設の整備を計画的かつ効率的に推進するとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等を推進することにより、後世代に残る良好な都市資産としての市街地の整備を積極的に図ってまいる所存であります。
さらに、この場合においては、避難地、避難路等の整備の推進、建築物の不燃化の促進等により、都市の防災構造化を積極的に推進してまいる所存であります。
第三に、道路の整備についてであります。
道路は、国土の均衡ある発展及び活力とゆとりのある地域社会の形成の基礎となる社会資本であります。これまで八次にわたり五カ年計画を策定し、その整備を着実に進めてまいりましたが、その整備水準はいまだ低い状況にあります。
このため、道路交通の安全の確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の充実等についての国民の要請にこたえるため、新たに昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画を策定し、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備する所存であります。
なお、昭和五十八年度を初年度とする第八次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画及び第六次奥地等産業開発道路整備五カ年計画を新たに策定し、事業の推進を図ってまいる所存であります。
第四に、国土の保全と水資源の開発についてであります。
わが国の国土は、洪水等の自然の脅威に対してきわめて弱い体質を持っておりますが、その保全施設の整備状況はいまだ低い水準にあります。御承知のように、昨年も長崎県を初めとして全国各地にわたり激甚な災害が発生いたしましたが、これらの災害に対しては、補正予算等の措置により従来より大幅に復旧の促進を図り、現在鋭意その事業の推進に努めているところであります。
このような災害の発生を未然に防ぎ、国土の保全と国民生活の安定番図るため、第六次治水事業五カ年計画に基づき、重要水系河川対策、都市河川対策及び土石流対策を重点に、保全施設の整備促進を図るとともに、第三次海岸事業五カ年計画に基づき積極的に海岸事業の推進を図ってまいる所存であります。
特に、多数の人命を奪うこととなったがけ崩れ災害の発生の状況にかんがみ、昭和五十八年度を初年度とする急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、計画的かつ強力に事業を推進することにより、がけ崩れ災害の防止を図ってまいる所存であります。
また、国民生活に不可欠な生活用水等の水資源の開発についても、長期的な水需要に対して安定した供給がなされるよう多目的ダム等の水資源開発施設の建設を促進してまいる所存であります。
最後に、建設産業の振興等についてであります。
国民経済上大きな地位を占め、建設行政の推進に重要な役割りを担っております建設産業については、元請、下請関係の改善、中小建設業者の健全な育成等その健全な発展を図るための施策をより強力に展開することにより、建設産業の振興に努めてまいる所存であります。
なお、公共工事に係る入札制度の合理化対策等については、現在、中央建設業審議会において調査審議が進められているところであり、その結論が得られ次第、所要の改善措置を講じてまいる所存であります。
不動産業については、標準媒介契約約款の定着及び不動産流通市場の整備を推進すること等により消費者の保護と不動産業の振興に努めてまいる所存であります。
また、開発途上国に対する経済技術協力については、これを積極的に推進するとともに、建設業、建設コンサルタント等の海外活動を促進してまいる所存であります。
なお、建築物に係る適正な設計、工事監理業務の確保、建築確認、検査の合理化等を図るため、諸制度の整備改善を行ってまいりたいと存じます。
以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、いずれも国民生活に直結する重要なものでありますので、これを積極的に推進してまいる所存でありますが、その際、特に適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。
委員長を初め委員各位の格別の御指導と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)