長谷川峻の発言 (交通安全対策特別委員会)

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○長谷川国務大臣 運輸省における交通安全対策に関し、所信を申し述べます。
 人命の安全の確保は、交通運輸に関する施策の基本であります。
 運輸省におきましても、交通安全対策を最も重要な施策の一つとして全省の組織を挙げて取り組んでまいりました。
 最近の交通運輸活動はふくそう化と高速化の度を強め、輸送機器も大型化しておりますので、事故の発生の可能性も高まっており、一たび事故が発生いたしますと多数の死傷者を出すおそれも強まっております。したがって、交通運輸活動が展開される場における安全性の確保のための条件を整えることが必要であり、このため鉄道、道路、港湾、航路、空港などの基盤施設の整備を推進し、車両、船舶、航空機などの輸送機器自体の安全性の確保のための諸施策の充実に努めるとともに、交通管制の強化等秩序ある交通運輸活動の確保のための施策の一層の徹底を図る必要があります。
 最近発生した主な事故の原因を見ますと人的な要因によるものが多く、それらの中には基本的な事項を守らなかったために引き起こされたものも見られます。このような事故を防止するためには、安全な連行を確保するための管理体制を一層充実させるとともに、運行関係者一人一人が安全運行確保の責務の重大性を自覚し、事故の絶滅に努めることが何にも増して重要であり、そのため関係者の教育訓練と安全意識の高揚に努める必要があります。
 このほか、交通運輸における安全性の向上のためには、最近における技術の進歩も重要な役割りを果たしておりますので、このための技術開発に努力を傾注することが必要であります。
 私は以上のような視点から、今後の交通運輸における安全確保のための諸対策に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、当面重点的に実施する施策につきまして、陸、海、空に分けてその概要を御説明申し上げます。
 第一に、陸上交通の安全対策であります。
 日本国有鉄道につきましては、その経営は未曾有の危機的状況にあり、いまや事業の再建は一刻の猶予も許されない事態に直面しており、設備投資も極力抑制せざるを得ない事態にありますが、その中におきましても、安全のための投資を最優先に確保し、国民に安心して利用してもらえる体制を確立してまいりたいと考えております。また、職員に対しても国民の信頼を得るようその教育訓練に努めるとともに、厳正な職場規律と強い責任感とによって安全輸送に徹するよう指導してまいる所存であります。民間、公営の鉄道、軌道につきましても、同様に事故の防止体制を徹底してまいりたいと考えております。
 次に、自動車交通についてでありますが、さきの通常国会におきまして、自家用乗用車の新車の車検期間の延長等を内容とする道路運送車両法の一部を改正する法律が成立したところでありますので、同法の円滑な施行に努力してまいる所存であります。また、自動車整備事業の指導監督の強化、過積載及び過労運転の防止のための指導の徹底等を図る等、自動車交通の安全を図るため所要の措置を講じてまいる考えであります。
 被害者の救済対策といたしましては、自動車損害賠償保障制度の適切な運用を図るほか、重度後遺障害者のための療護施設の整備、交通遺児に対する貸付額の改定など自動車事故対策センターの業務の充実を図ることとしております。
 第二に、海上交通の安全対策であります。
 施設面の対策といたしましては、第六次港湾整備五カ年計画に基づき船舶の安全航行と緊急時の輸送路の確保のため、港湾及び航路の整備を着実に推進するほか、航路標識の整備充実に努めてまいります。
 船員の資格等に関する国際条約及び船舶の技術革新の進展に対応した新しい船員制度の円滑な実施を図るとともに、これに即応し得る船員を確保するための船員教育訓練体制の整備を推進するほか、船員災害防止対策の充実に努める所存であります。
 また、船舶の安全性を向上させるため、海上における危険物の輸送及び貯蔵の増加傾向に対処して所要の安全基準及び安全審査体制の強化を図ってまいります。
 海上保安庁におきましては、海上捜索救難に関して各国が適切に役割りの分担を行うという国際的な動きに対応して、広大な海域における船舶の航行安全体制を確立するため、広域哨戒体制及び海洋情報システムを整備するとともに、海上機動力を強化するため、老朽巡視船艇の代替建造、航空機の増強等を推進することとしております。また、油排出事故、海上火災等に対処するため、海上防災体制の充実を図っていく所存であります。
 船舶の運航の安全の確保につきましては、船舶の運航に従事する者に対し、海上交通法規の遵守、運航管理の徹底、安全運航等の指導を強化するとともに、海上交通に関する情報提供の充実及び強制水先制度の整備を推進することとしております。
 なお、海上交通の国際的ルールを定めた海上における衝突の予防のための国際規則が一部改正され、本年六月一日から発効することとなっており、このため、本国会に海上衝突予防法の改正案を提出し御審議をお願いすることにしております。
 第三に、航空交通の安全対策であります。
 昨年は羽田沖日航機事故を初めとして航空機事故が相次いで発生したことはきわめて遺憾なことであり、こうした事故の再発防止に全力を挙げるよう定期航空各社に対し十分指導監督を行っているところであります。特に、乗員の健康管理のあり方については、昨年十一月航空審議会に対し諮問を行っており、答申が得られ次第、所要の改善措置を講ずる等航空機の安全運航の確保に万全を期す所存であります。
 施設の面では、第四次空港整備五カ年計画に基づき、引き続き空港の整備を行うほか、レーダー網の整備を初めとする航空保安施設等の整備を推進することとしております。
 第四に、気象関係についてでありますが、交通機関の安全を初め国民生活にとってきわめて重要な問題である台風、集中豪雨、豪雪等の異常な自然現象の早期、的確な把握とその予警報を行うため、静止気象衛星業務の整備、気象資料伝達網の整備等により、気象業務体制の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上、運輸省においてとろうとする交通安全対策の概要について申し述べてまいりましたが、これらの施策は、申すまでもなく、委員長を初め委員各位の深い御理解と御協力を必要とする問題ばかりでございます。
 終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 長谷川峻

speaker_id: 17201

日付: 1983-02-09

院: 衆議院

会議名: 交通安全対策特別委員会