鈴切康雄の発言 (本会議)
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○鈴切康雄君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました行革関連五法案に対し、総理並びに行管庁長官に若干の質問をするものであります。
今国会は、新憲法下にあって百回目を迎えた意義ある国会であります。また、中曽根総理は、みずから行革国会と銘打ち、意義づけされておられます。しかし、提案された法案の内容を検討した限りにおいては、およそ国民のための行政改革とはほど遠い内容のものと言わざるを得ないのであります。第二臨調答申、それに続く行革大綱の決定により、いまや行革は名実ともに実行の段階を迎えたわけでありまして、中曽根行革の試練の舞台がこの行革国会であると言っても過言ではないのであります。
個々の法案に関する問題点は後ほど触れますが、まず初めに、総理の基本的な行革に対する考え方及び姿勢についてお尋ねいたします。
まず、行政改革を断行する上で何をおいても肝要なことは、総理の指導力であり、決断と実行でありますしかるに、今回の行政改革において、総理の指導力と決断は必ずしも十分に示されなかったのではないかと考えますが、今回の行政改革に当たり、総理の考え方と決意をお示しいただきたいと存じます。
さらに、行政改革を断行するに当たって重要な観点は、簡素で効率的な行政に改革するには、何といっても仕事減らし、機構減らし、入減らし、金減らしを伴ったものでなければならないということであります。すなわち、これらの視点を欠いたものは、国民の期待を裏切るばかりか行革の名に値しないと思うのでありますが、この点について総理の御所見をお伺い申します。
また、第二臨調の土光会長は、「増税なき財政再建」を一貫して主張されてこられました。中曽根総理も、当初はその方針に沿っておられましたが、五月の行革大綱では、いつの間にか「増税なき財政再建」の文言は失われております。ちまたでは、政府の意図するところは大幅増税による財政再建をわらっているのではないかという推測も行われております。
総理、あなたは、「増税なき財政再建」というスローガンをおろされ、変更されたのかどうか、それとも、「増税なき財政再建」は堅持するという基本姿勢に変わりはないのか、明確にしていただきたいのであります。(拍手)
行政改革の重要な柱は、何といっても中央省庁の統廃合にあります。政府は今国会に総務庁設置法案を提出しておりますが、中央省庁の改革に当たっては、行政をいかに変革し国民の期待にこたえようとするのか、その具体的な展望が明らかにされることが必要であり、単なる機構いじりであってはならないと思うのであります。臨調は中央省庁の大幅な改革を求めておりますが、これらの点につき総理の御所見と展望をお示しいただきたいのであります。
中央省庁の統廃合計画と並んで重要なのが、特殊法人の統廃合計画の実施であります。
特殊法人に関しては、次期通常国会に提出する予定と言われておりますが、政府が決定した行革大綱の内容にとどまる限り、特殊法人の整理統合も国民の期待に沿うものにはならないと思うのであります。総理は、特殊法人に対する思い切った統廃合の断行についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
次に、定員削減の問題があります。
政府の第六次までの定員削減計画に当たっては、昭和四十三年から五十八年までの十六年間に約十六万人の削減の実績があると言っておりますが、実際の純減数はわずか一万二千人しか削減されておりません。これでは定員削減計画は名ばかりで、実のない計画と言わざるを得ないと私は思うのであります。現下のきわめて厳しい行財政状況のもとにあって、この機に総定員の大幅な純減を行うべきであると思いますが、この点について総理の御決意をお示しいただきたいのであります。
また、国家公務員のほか、特殊法人などの職員の人事管理の改革を進めることが必要であると思います。臨調は、この点について、その見直しと制度の改革を求めております。総務庁構想に当たっても、政府内でこの点について十分な検討が行われなかった、そのように言われておりますが、総理は今後どのような対策を講じていかれるのか、御所見を承りたいのであります。
さて、次に、行革関係五法案に関してお尋ねいたします。
今回提案されました五法案の中には、先国会より継続されている国家行政組織法改正案に関連した法律案が提出されております。そこで、国家行政組織法改正案の問題を洗い出すことが先決であると考えるものであります。
国家行政組織法改正案の目的は、言うまでもなく、各省庁の内部部局や審議会、附属機関等の設置改廃について、法律事項から外し、政令にゆだねることにあります。確かに、新しい行政需要に敏速に対応するためには、部局の再編成が弾力的にできるようにすることは必要な面もあり、全面的に否定するものではありません。しかし、局の数も現行数に抑え、将来削減に向かっての努力が欠如している点は問題であり、指摘をしておかなければなりません。従来は法律事項となっていたため、行政の怠慢、独走等が国会で厳しくチェックされ、行政の公正及び中立性が保たれていたことも厳然たる事実なのであります。
この点に関しましては、先ほども御質問がありましたが、昭和二十三年五月の第二回国会で国家行政組織法が審議された際、中曽根総理、あなたは当時民主党の代表として、国会のチェック機能の重要性を訴え、厳しく指摘されております。
すなわち、昭和二十三年五月二十四日の決算委員会で、あなたは、あらゆる官庁の内部部局というものが政令で決められてしまえば、国会はこれに関与をしなくなると述べ、さらに、政党政治というものは行政官庁にとっては無用なものになってしまうとまで述べられ、法律でチェックして、ややもすれば膨大にならんとする行政機構というものを簡素にする必要があると指摘して、芦田内閣の提案された法律案を修正し、現在の国家行政組織法を制定したという経緯があります。
時は移り、立場は人を変えると言われておりますが、三十五年前には法律事項とするよう法案修正に尽力されたあなたが、現在は逆に法律事項から除外する立場の責任者となっておられます。変われば変わるものであります。
そこで、行政組織に対する国会の民主的統制及び機構膨張抑制という観点から、総理の現在の心境をお尋ねいたします。
次に、行革国会の目玉と言われている総務庁設置法案等についてであります。
現行の総理府と行政管理庁とを統合再編成して総務庁と総理府にする内容ですが、臨調答申では、総合管理庁設置構想が提言されておりました。今回提案された総務庁設置構想は、単なる名称の違いだけなのか、内容についてはどうなのか、また、総務庁設置に変更した経緯について明らかにしていただきたいのであります。
臨調第三次答申では、人事、組織、定員の一元化を図るための機構改革を目的としていたはずでありますが、今回の総務庁設置構想は、極論するならば、総理府本府と行政管理庁を単純統合し、看板を書きかえたのにすぎないという批判も高まっております。すなわち、機構、予算、人員、仕事のどれをとっても削減されたとは言えない内容でごまかしたと言っても過言ではありません。内閣法の改正がない限り、大臣の数もこれによって削減されたわけでもなく、わずかに総務副長官のポストが削減されたにすぎません。行革の重要な中核とも言える中央省庁の統廃合にしては余りにもお粗末な内容と言わざるを得ないと思うのでありますが、総理は、今回の総務庁設置構想に関して、真に行革の名に値すると考えておられるのか、率直に御答弁願いたいのであります。
しかも、最終的に法案としてまとまるまでに、ほぼ臨調答申の趣旨に沿ってつくられた橋本試案すら、官僚等の強硬な反対の前にあえなく妥協し、大幅に後退したと言われております。行革国会の目玉とされてきた法案がこのていたらくでは、今後、国鉄、電電、専売等抜本的改革をしなければならない重要課題が山積している現在、総務庁設置法案に見られる政府の弱腰の態度は、今後に大きなしこりを残したと言わざるを得ませんが、この点について総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)
次は、地方出先機関の中で府県単位機関の整理合理化を内容とした総務庁設置法等改正案についてであります。
地方行政監察局、地方公安調査局、財務部を廃止し、現地事務処理機関を置くとしております。この改正により、仕事、組織等がどれくらい縮小されるのか、これまた単なる看板のかけかえに終わると思われますが、この際はっきりしていただきたい。また、府県単位機関の整理合理化に関しては、これ以外にも臨調答申ではさまざまな提言がなされておりますが、その改革を今後どのように進められるか、お考えをお伺いいたします。
最後に、行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律案についてであります。
許認可等の整理合理化と機関委任事務の整理合理化を内容とした法律案でありますが、きわめてなまぬるく、内容の乏しいものであります。しかも、今回の機関委任事務の整理合理化に当たって重要な問題として留意すべき点は、地方分権の推進という面に欠けていることであります。政府は、今後どのような方針で機関委任事務の整理合理化を進めていかれる考えなのか、また、地方分権の推進という観点に立ったときどうお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
さらに、総理は、かねてより行革に当たって民間活力の向上ということを強調されておられましたが、このような観点からも、許認可等の整理合理化を積極的に推進すべきであると思います。政府の今後の許認可等の整理合理化方針を明らかにしていただきたいのであります。
わが公明党は、かねてより行革推進の立場をとってきております。その行革を進めるに当たっては、国民の期待に沿うようなものでなければならないと考えており、今後ともこの考えに沿って行革を推進することを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕