三浦久の発言 (本会議)

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○三浦久君 私は、日本共産党を代表して、国家行政組織法関係整理法案など行政改革関連五法案について、中曽根総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 第一に、五法案を貫く基本的な考え方についてであります。
 言うまでもなく、すべての国民が本当の意味での行政改革の実行を強く求めております。それは何よりも、いつまでも後を絶たない腐敗と浪費に鋭くメスを入れることであり、国民に開かれた公正で簡素で効率的な行政を実現することであります。同時に、国民生活に打撃を与えるのではなく、逆に、社会保障、教育など国民にとって欠くことのできない行政を拡充強化することであります。日本共産党は、真の行政改革を推進するよう改めて強く主張するものであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
 さて、今回の五法案とすでに提出されている国家行政組織法案は、このような見地に立ったものでしょうか。
 中曽根総理が「最大限尊重する」と繰り返し、信奉してやまない臨調の基本答申は、行政の基本方向を三つの分野に分けて示しております。すなわち、社会保障、教育、農業、中小企業などは行政の果たすべき役割り、責任領域の見直しが必要と称して国が大幅に手を引くよう主張し、一方、軍事、外交、経済協力については本来的に行政の責任領域に属するとして、その拡大強化を迫っております。さらに、財界のもうけにつながるエネルギー、科学技術、都市再開発などの部門は新しい行政需要だとこじつけて、重点的強化を要求しているのであります。総理は、所信表明で、「憲法の諸原則を忠実に守る」と言明しましたが、福祉は切り捨て、軍拡を進めるというこのような勝手きわまる行政区分は、恒久平和、基本的人権を旨とする憲法原則とそもそも相入れるものではありません。このような考え方を行政機構や組織の再編にも貫く方針なのか、総理及び所管大臣の明確な答弁を求めるものでございます。(拍手)
 ことし二月のNHK世論調査では、「行革のメスの入れ方が甘く、むしろ国民生活へのしわ寄せが目立っている」と答えた人が六四%にも上っております。五月の世界同時調査でも、「軍事費を削減し、これを社会福祉、衛生、教育に使うべき」との声が、反対の一一%をはるかに上回る五八%を占めておるのであります。これが国民の圧倒的な声であります。
 総理、あなたはこの声をどう受けとめ、どうくみ上げようとされるのですか、それとも無視されるおつもりですか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、中央行政機構改編の進め方について質問いたします。
 行政機構が不動のものでないことはいまさら言うまでもありません。わが党は、国民の要求、社会の変化、科学技術の発展等々に従って、絶えず行政機構組織を点検し、柔軟に改編すべきことを一貫して主張してきました。
 しかし、そのことは国会審議と矛盾するものではありません。むしろ、その際最も重要なことは、公務員労働者を含む国民の合意を形成することであり、とりわけ国民を代表する国会で十分審議を尽くすことであります。これはまた、国会が憲法の定める国権の最高機関たり得るかどうかという議会制民主主義の根幹にもかかわる重大な問題であります。ところが、政府は、この問題についてどう対処しようとしているのでありましょうか。国家行政組織法の抜本的な改悪によって、各省庁の内部機構については、国会の関与を一切排除し、政府が全く一方的に改編することができるようにしようとしているのであります。このことは、実質的には、財界代表が思いどおりに動かしている臨時行政改革推進審議会と新たに設置される総務庁が直結して方針を決めるということではありませんか。行政管理庁長官に伺いますが、結局総務庁の設置というのは国家行政組織法改悪と相まって初めて生きてくる、こういうように考えているのではありませんか。
 さて総理、戦後、新憲法のもとで開かれた第一回国会、第二回国会に国家行政組織法並びに各省設置法が上程された際の、あの熱のこもった論戦をよもやお忘れではないでしょう。
 衆参両院の決算委員長は、それぞれ本会議にこう報告しているのであります。
 省庁の局や部を政令でやるというような考え方は、戦時中に法律で定むべき事項をやたらに勅令に委任したと同じ考えでありまして、これはもちろん新憲法の精神に違反するのであります。したがって、法律に明記することは、旧憲法の官制大権のごとき思想をさらりと捨てまして、すべては国民の代表たる国会におきましてこれを決定すべしとする国会至上主義の実現であります。われわれ憲法を最も合理的に運用せんとする考え方を持つ者にとりまして、これは重大原則の確立てあり、過去の宿弊を国会の意思によって断固一掃せんとする意図に出たものであると断じたのであります。
 だからこそ、かつて佐藤内閣、田中内閣が三度にわたって今回と同趣旨の法案を出してきた際、実質的な審議もないままに廃案となったのであり、本法案が議会制民主主義と根本的に相入れないことは明らかであります。(拍手)
 しかも、国会のコントロールを廃し、政府に全面的に委任することは、有事立法、国家総動員法の重要な柱ともなるものであります。現に、一九六四年に明るみに出た自衛隊の秘密計画、三矢作戦研究では、行政機関を臨戦化し、総動員体制をとる最大のポイントを、総理大臣の権限強化による各省機構の自由な改編に置いていたのであります。
 政府は、この法案が通った後直ちに、来年度、防衛庁、外務省、運輸省、文部省など八省庁十八局にわたる大規模な組織改編を準備しておりますが、有事体制研究が進められているもとで、国会に一切相談なくこれらが強行されることに、私は慄然たる思いを禁ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 総理、議会制民主主義への挑戦そのものであり、有事立法、国家総動員体制に道を開くこの悪法は、あなたが強調してやまない戦後政治の総決算の中で一体どのような位置を占めるのか。歴史の苦い教訓を現代に生かそうとするならば、国家行政組織法大改悪案を潔く撤回すべきではありませんか。この点を何よりも強く求めるものであります。(拍手)
 第三に、中央省庁のあり方についてお伺いをいたします。
 これまで述べてきたとおり、国民の要求と必要に応じて行政組織を改編すべきことは当然であります。政府も口を開けば国民のニーズということを言いますが、問題は、それが本当に国民のニーズなのかどうかであります。今回提出された国家行政組織法関連整理法案を見れば、この法案が国民のニーズとは全くかけ離れたものであることは明らかだと言わなければなりません。
 すなわち、この法案は、各省事務の整理に便乗し、労働省の所掌事務から婦人、年少労働者の保護を削ったり、科学技術庁の事務から原子力利用の安全確保を削除するなどの重大な改悪を織り込んでおります。
 さらに、この法案は、財界が総理の民間活力論に勇気づけられて、独占禁止法の骨抜きを求める大合唱を始めたまさにそのときに、内閣からの独立性を最大限に保障されるべき公正取引委員会の内部機構まで、政府の思いどおりに改廃できる道を開こうとしているのであります。
 これらの諸点について、総理の納得のいく釈明を求めるものであります。
 さて、総定員法制定以来十六年、防衛庁を除く一般省庁の定員は、事務量の増大にもかかわらず、八百六十四名の純減となっております。ところが、その一方で、防衛庁、自衛隊だけは一万八千五百三名も増加をしているのであります。国民本位の行政簡素化を図るというのであれば、例外はないはずであります。予算のみならず、定員についてまで、なぜ自衛隊を聖域扱いしなければならないのでしょうか。
 また、田中内閣のもとで日本列島改造を推進するために設置され、全国各地に膨大なむだと未利用地を残した国土庁、このようなものをこそ、まず縮小、廃止の対象とすべきでありますが、あわせて総理の答弁を求めるものであります。
 最後に、国と地方の関係についてお尋ねを申し上げます。
 国の地方出先機関に定員の約五割が配置されている現状から見ても、地方自治体に大規模に権限を委譲し二重行政のむだを徹底的に省くならば、大幅な簡素化が図られることは自明であります。
 たとえば機関委任事務について、わが党はかねてから地方自治権拡充の見地から原則的に廃止するよう提案してきました。しかし、今回の行政事務簡素合理化法案は、約五百事項に上る機関委任事務のうち、わずか三十九項目を整理合理化するとしているにすぎず、しかもその対象は、すでに有名無実化したものや国の権限に実質的な影響を及ぼさないものばかりなのであります。
 都市計画を進めるのに一々建設大臣の判こが要るとか、スーパー出店の是非も自治体ではなく通産大臣が決めるとか、こういうことこそ直ちに改めるべきだと思います。
 山本自治大臣は、今回の法案でどの役所も困らぬよ、ワッハッハと語ったそうでありますけれども、どの役所も困らないような内容のないものであることを自認するのですか。なぜ実のある改革ができないのですか。総理並びに自治大臣の答弁を求めます。(拍手)
 地方自治の強化を抜きにしたまま、国の府県単位の出先機関を整理すると言っても、それは看板のかけかえだけに終わるかあるいは住民サービスにしわ寄せされるのかのどちらかに終わらざるを得ません。サラ金対策の強化が叫ばれているもとで、今回の法案によって財務部の機能を低下させない保障があるのでしょうか。また、地方行政監察局の格下げが、国家行政に対する国民の不満、告発、相談を身近に受けとめる重要な役割りを果たすべきことと矛盾しないのでしょうか。
 所管大臣の答弁を最後に求め、軍拡、国民犠牲の臨調路線ではなく、行政改革の流れを国民本位の方向に根本的に転換させる日本共産党の決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕

発言情報

speech_id: 110005254X00619830920_029

発言者: 三浦久

speaker_id: 12074

日付: 1983-09-20

院: 衆議院

会議名: 本会議