穐山篤の発言 (本会議)
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○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行うものであります。
近年、公的年金に対する国民の関心はますます高まっています。すなわち、公的年金制度間の格差の是正、年金権の確立、年金による生活の安定が強く要請されているところとなっております。公的年金制度はいまや国民生活に欠くことのできない重要な存在になっているのであります。
したがって、公的年金制度の改革に当たりましては、社会的不公正の是正、すなわち富と所得の公平な再配分を通して国民生活の安定と景気の回復を同時に実現することを目指すものでなければならないと思うのであります。
しかるに、本法律案は、国家公務員の共済組合制度と公企体職員の共済組合制度を統合するとともに、国鉄共済組合に対する財政調整事業を実施することを二本柱とするだけのきわめて拙速な法律案であります。わが国の公的年金制度の動向を展望する視点からのビジョンも手順も欠けた、全く不満足な内容のものとなっているのであります。
問題点の第一は、公的年金制度一元化の意義と改革への具体的構想が全く不明のまま本法律案が提出されていることであります。
政府は、新行革大綱におきまして、「公的年金制度の改革については、昭和五十八年度末までにその具体的内容、手順等について成案を得るため、」「今後の検討を進めるものとする。」としておりますが、その五十八年度末はわずか六カ月後に迫っているのでありまして、この際、公的年金制度改革の大前提となる一元化の意義と改革構想の概要については、その方向性だけでも明示すべきであると思うのであります。現時点でそれさえもできないというのであれば、幾ら本法律案を「公的年金制度の再編・統合の一環」と言ってみたところで、だれをも納得させることができないと思うのであります。国民の合意の得られない年金制度の改革では、八つの公的年金制度崩壊の糸口にこそなれ、真の年金制度の改革になるはずがないのであります。総理の明確な答弁を求めるものであります。
第二は、わが国公的年金制度の大宗であります厚生年金保険制度の改正との関係が全く不明であり、しかもそれとの整合性が何ら図られていないということであります。
国家公務員と公企体の共済組合制度を統合することは、いわゆる官官格差の是正となり、ひいては官民格差の是正に通ずる第一歩であります。それだけに、本法律案の提出に当たりましては、厚生年金保険制度との整合性を考慮しなければならないのは当然のことであります。にもかかわらず、本法律案では何の配慮もされていないのであります。新行革大綱では、挙げて昭和五十九年からの改正と逃げを打っているのであります。一方で年金担当大臣を置き、年金制度の改革を進めると言っておきながら、他方でこのような態度に終始しているのでは、今後の年金制度の改革の進め方に大いなる危惧と不安を感ぜざるを得ないのであります。
共済年金制度と厚生年金保険制度との整合性、厚生年金保険制度の改革構想について、厚生大臣の御答弁を求めるものであります。
第三は、公的年金制度以外の各種の年金制度のあり方と公的年金制度一元化の関係がこれまで一度も明らかにされていないことであります。
言うまでもなく、恩給や互助年金などは公的年金そのものではありません。しかしながら、公的年金に準じた機能と役割りを果たしていることは疑いのないところでありまして、公的年金制度との均衡調和がとられていなければならないと思うのであります。
従来、共済年金の改正につきましては、恩給法や援護法の改正に追随してきた事実は、根拠法が異なるにせよ両者の均衡調和を無視し得ないからなのであります。これらの点について総理並びに各関係大臣の御所見を伺いたいのであります。
第四は、三公社の経営形態の変更と年金制度適用との関係であります。
わが日本社会党は、国鉄、電電、専売三公社の分割民営化政策には反対であります。が、仮に臨調答申の趣旨に沿って民営化された場合現在の公的年金制度のあり方から言えば、厚生年金保険制度を適用するのが本筋であります。民営化の後も各共済年金制度を適用するということは、立法政策として可能ではあるとの意見もありますが、それは全く異例の措置であり、現行公的年金制度の原則、基本を崩すものとして決して好ましいことではないのであります。
そこで、三公社の今後の経営形態変更の展望並びに今後の厚生年金保険制度適用者に対する企業年金のあり方、共済年金制度における企業年金部分の区分の必要性と今後の取り扱い方針について、総理並びに各関係大臣の御見解を伺いたいのであります。
第五は、財政調整事業の実施についてであります。
私は、かつて一九六〇年代当初から、国鉄共済年金財政は構造的要員事情から必ず近い将来圧迫化することを指摘し、その改革の必要性を訴えてまいりました。しかるに、国の交通運輸政策の無策により、国鉄再建は再三失敗するとともに、国鉄共済年金は予想以上に早く成熟度は目下八九・七%というきわめて高い指数となり、財政状況もこれまた全く危機に陥ったのであります。
年金受給者は今後ますます増加し、各種公的年金制度も成熟度を一層高めてまいりました。このような状況において、逼迫した年金制度を政済するために安易に財政調整に依存することは慎まなければなりません。国鉄共済財政の悪化の根本的原因にまずメスを入れ、国の責務と共済組合の責務を明確にさせることが必要であると思うのでありますが、いかがでしょうか。
今回の法律案に基づく財政調整事業試案によりますと、国家公務員、電電及び専売の各共済組合に今後五年間で六百億円もの拠出金の負担を求めると同時に、国鉄共済組合にも自助努力と称して同額の負担と犠牲を求めるのみで、国の責任は完全に棚上げされているのであります。共済組合員にのみ過酷な負担と犠牲を強いているのであります。そもそも自助努力の強要という観念は、元来社会保障政策になじまないものであります。この際、国鉄共済年金の財政悪化に対する国の責任を明確にすべきだと思うのであります。
国鉄職員は、戦後三十八年間自助努力を要請され通しであり、昭和三十一年以降だけでも七回の引き上げ、費用負担は目下千分の百七十七となり、負担は最高限度に達してるのではないでしょうか。
また、政府はしばしば追加費用、特定人件費問題は、国鉄管理委員会設置の機会にはそのあり方について明雄にしたいと述べておりながら、一向に態度が示されていないのは全く遺憾であります。これらにつき、運輸大臣の考え方をお尋ねしたいのであります。
第六に、この際特に強調しなければならない点は、公企体職員の仲裁裁定並びに公務員に対する人事院勧告は、政府の優柔不断によっていまだに実施されていません。ましてや、賃金が凍結抑制されるのみならず、今年度賃上げ予定分の三分の一に相当する千二百円、財政再計算分も含めてその負担は約六割増となるわけであります。これらを強制的に拠出せよと言いましても、関係者は絶対に納得するものではありません。本法律案に先立って、仲裁裁定、人事院勧告実施について政府が明確に態度を表明すべきものであると思います。総理の決断を伺いたいのであります。
第七に、公的年金制度一元化のもとにおける健康保険制度のあり方であります。
医療費につきましては、すでに共済組合や一部健康保険制度間において財政調整事業が行われているわけでありますが、公的年金制度が一元化された場合における健康保険制度のあり方についての基本方針について、総理並びに厚生大臣にお尋ねをいたします。
また、税負担とあわせて社会保障費の負担について、その負担率の上限設定を必要とする時期が到来していると思うのであります。その水準、内容などについて大蔵、厚生大臣の御所見を伺いたいのであります。
憲法第二十五条は、社会保障の向上、増進に対する国の責任を明示しております。したがって、公的年金制度改革の方向は、一切の不公平是正を目指し、あわせて生活の保障、向上を目指すものでなげればならないと思うのであります。給付水準と負担のあり方、女性の年金権の確保、特例適用期間中における厚生年金事業などに係る国庫負担金の繰り入れ特例措置の解消、年金行政組織の一元化など、今後の年金制度改革の中で絶対に避けて通れない具体的な課題が山積しているのでありますが、これら年金制度改革と公平性の確保に対する総理及び関係大臣の御答弁を求めるものであります。
最後に、新行革大綱では、本年度末までに年金制度改革の成案を得るとしている以上、その成案を得て共済年金制度の統合問題に着手する方が拙速な本法律案によるよりもより合理的で、関係者の合意を得られる改善を行うことができるものと確信するものであります。したがいまして、本法律案を撤回して、改めてこのような見地から改正を図るべきものであると思うのでありますが、総理の御見解を伺い、私の質問を終了いたします。
以上です。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕