近藤忠孝の発言 (本会議)
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○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本改正案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
第一に、本改正案もその一環とされている政府の臨調行革が、国民の福祉と生活にどうかかわるかという問題であります。
臨調最終答申は、「活力ある福祉社会は、自立・自助を原則とする国民の活力と創意を基礎にしてこそ存立し得るものである」として、行政の役割りは最小限のものとすべきだと提言しております。その具体化が、すでに実施されている老人医療の有料化や、人勧凍結に関連させての年金スライド実施見送り、シーリング方式による福祉予算などの徹底削減にほかなりません。この臨調行革のもとで、福祉はいまや冬の時代に追い込まれたのであります。
福祉行政の重要性について、生存権を規定した憲法二十五条は、その第二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と国の責任を明記し、その努力を義務づけております。総理は、生存権について、またそれに関する国の責務についてどう認識しているのでありますか。さらに、臨調行革による福祉施策の縮小、後退を憲法との関係でどう位置づけているのでありますか、お答えいただきたい。
目前に迫る高齢化社会を云々せずとも、生活保護世帯、ひとり暮らし老人、寝たきり老人、さらには有病者の増大、そして保育所不足、医療、保健行政の立ちおくれなどは目に余るものがあります。国民の命と暮らしにかかわるこの分野こそ、行政が重点的に心配りをすべきところであります。指摘しておきたいのは、国民の生活と健康に対する不安がきわめて高いということであります。
たとえば、一昨日発表されました日銀の貯蓄に関する世論調査でも、最も重点を置いている貯蓄目的の第一位は、病気や不時の災害への備え三六・一%。第二位は、老後の生活のための一五・三%であります。また、毎月行われている時事世論調査によっても、暮らし向きは昨年に比べ苦しくなったという人が四割から五割もおります。このことは、国が国の責任で社会保障制度の整備充実を進めることを求めるものでこそあれ、後退を是認するものでは決してありません。総理は、将来に向けて福祉政策の力点をどこに置いて進めるのか、明らかにされたいのであります。
さらに、さきの衆議院行革特別委員会で、租税と社会保障の国民負担率を四〇ないし四五%の水準に引き上げるとの臨調での論議が明らかにされております。これが実行されると、国民一人当たり、お年寄りから赤ん坊までのすべてに十万円から二十万円もの負担増が押しつけられるという驚くべきものになるのであります。総理は、この考え方にどのような所見をお持ちか、福祉政策との関係を含めて答弁願います。また、負担増を考える場合、税負担と社会保障負担のどちらに重点を置くのか、あわせてお答え願います。
第二に、本法案そのものの持つ問題について質問します。
まず、本法案の最大のねらいの一つは、破綻寸前になっている国鉄共済年金財政の救済を、国家公務員と二つの公社職員の掛金引き上げ、国鉄労使の負担増で当面糊塗しようというものであります。
今日、国鉄共済年金財政を他の共済に先駆けて急速に悪化させてきた根本原因は何か。戦前から戦中にかけて国鉄は、応召、外地派遣の補充と戦時輸送力の増強のために大量の新規採用を行い、戦後も復員者、外地引揚者の大量吸収をしてきました。これらすべて当時の国策遂行の目的に従ってきた世代の職員が今日大量に退職期を迎えているのに対し、この人たちを財政上支える現役職員は、政府のモータリゼーション政策と合理化計画で急激に削減され、このことによる職員構成上の大きなゆがみが今日露呈している、これが根本原因なのであります。このことが歴代自民党政府に責任があるとは考えませんか。しかるに本法案には、本来責任をとるべき国の援助が一片も見られず、国鉄労使とOB、さらには何の関係のない他の共済職員にもっぱらその負担を転嫁しよとしており、絶対に容認できないのであります。総理の答弁を求めます。
次に、組合員に対する過大な負担と給付切り下げの問題であります。
組合員の掛金は、大蔵省の試算によっても、来年十月からその上げ幅は財政調整による分や修正率引き上げによる分に国鉄救済分も加えて、国公済と電電で三・三五%、専売で三・九%。一方、国鉄はことし十月の分も入れて二・八%になっており、全く過去に例のない大幅引き上げであります。他方、給付については、水準の低い側に合わせる低位平準化方式を基本的にとっており、たとえば、公企体の職場の特殊性から設けられている危険職種に対する加算措置の廃止などはその典型的なものであり、職場の実態を全く無視したものであります。
しかも重大なことは、この切り下げ措置は第一段階のものであり、六十一年度までには他の制度との関係で大幅な保険料の引き上げ、給付の切り下げなど一層全面的な改悪を企図していますが、組合員に犠牲を強いるのではなく、使用者負担割合をふやすなど、抜本的に負担割合を改める考えはありませんか。
一方、この犠牲を強いられる官公労働者は、昨年の人勧凍結に続き、ことしもいまだ人勧、仲裁が実施されておりません。速やかに完全実施すべきであります。官房長官、給与関係閣僚会議の座長として、けさの関係閣僚会議の内容の報告とともに、今国会中に給与法案を提出する意思があるかどうか、明快な答弁を求めます。
最後に、今後の公的年金制度全般について質問いたします。
政府は、本年四月、関係閣僚懇談会で、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を図る方針を決定しましたが、いま国民の中に、本当に老後の生活を保障し得る年金制度が確立されるのだろうかという不安が巻き起こっております。いま政府が検討しているのは、保険料は二倍にするが、年金給付の水準は直近の労働者の平均標準報酬月額の六割程度に抑えようというものであります。厚生省が行った年金に関する有識者調査でも、六割以上の水準が必要だと答えた人は八七・九%を占めています。
そこで、総理に伺いますが、給付水準は老後の安定のためにせめて七割程度にし、財源も国民の負担を増加させるのではなく、利益を上げている大会社などにも社会構成員の有力な一員として特別の負担、社会的寄与を求めることは道理もあり、当然必要なことだと考えますが、検討の用意がありますか。
また、国民が非常に危惧を感じている点は、年金制度の一元化の美名に隠れて、国庫負担削減の意図が明確になってきていることであります。財政危機の口実のもとに国の責任を放棄し、国庫負担を乱暴に削減して、戦後営々として築いてきた社会福祉と社会保障を一挙に突き崩すことは絶対に許せません。厚生大臣、年金制度改革に当たっても、国庫負担の見直しは安易にやらないと約束できますか。
年金制度改革に求められる原則は、第一に生活できる年金であること、第二に長期的に安定した制度であることであります。政府がその実現に努力することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕