伊藤郁男の発言 (本会議)
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○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております行革関連六法案に関しまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
行政改革は、現下未曽有の財政危機を克服し、活力ある福祉社会建設の基盤を築くために不可避の国民的課題であります。また、行革の断行には総理のリーダーシップの発揮と国民の理解と協力が不可欠であります。そのためには、まず何よりも政治と行政に対する国民の信頼を確保することが絶対必要なのであります。この点、さきの田中元総理に対する有罪判決ほど政治に対する国民の信頼を著しく失墜させたものはありません。
わが国の将来をかけた行政改革は、ここに一大試練のときを迎えているのであります。この試練を乗り越え、行政改革を推進できるかどうかは、政治倫理を確立し、国民の政治不信を払拭することができるかどうかにかかっていると言わなければなりません。そして、この点にこそ総理のリーダーシップの発揮が強く求められているのであります。
そこで、私は、まず冒頭に総理にお伺いをいたします。総理は、田中元首相の政治的、道義的責任についてどのようなけじめをつけるおつもりか。また、政治腐敗を根絶するために政府として今後どのような措置を講ぜられるのか、明快なる御答弁をいただきたいのであります。
さらに、これと関連して、さきの参議院選挙においては官庁ぐるみの選挙運動が目に余るものがありました。官僚が国民の血税で賄われる補助金や公権力を選挙運動に利用することは許されません。それは国民の政治不信を一層助長させるものであります。官僚の最高の地位にある総理は、今度の総選挙において二度と再びこのような事態が繰り返されないよう厳しく監視すべきであると思いますが、総理の決意をお伺いしたいのであります。
〔副議長退席、議長着席〕
第二に、減税問題についてお伺いをいたします。
政府・自民党は、さきに五十八年一千五百億円、五十九年七千億円の所得税減税を中心とする減税案を提示されましたが、これはその実施時期、規模等あらゆる点において景気浮揚に役立つ相当規模の大幅減税実施を約した与野党合意の趣旨に全く反するものであり、きわめて遺憾であります。のみならず、政府が減税財源確保の名のもとに、来年度において間接税等の大幅増税や所得税の最低税率の引き上げをもくろんでいることはとうてい容認できません。このように小規模で、かつ増税との抱き合わせによる減税によっては、多くの国民の要望である税負担の軽減も速やかな内需主導型の景気回復もとうてい望めません。わが党は政府に対し、このような見せかけ減税の方針の撤回を要求するとともに、国民の各階層に配慮した一兆四千億円の本格的な所得減税の五十八年実施を強く求めるものでありますが、これについての総理並びに関係大臣の御所見を求めるものであります。
第三に、増税なき財政再建についてお伺いをいたします。
中曽根内閣は、これまで臨調答申のかなめとも言うべき増税なき財政再建をその最大の公約としてこられました。しかるに、最近その公約の実現に対する政府の姿勢が大きく揺らぎ、次第に増税の影を濃くし、国民の不安感、不信感を増大させていることはきわめて遺憾であります。一昨日の政府税調の中期答申は、「物品、サービス等に係る課税ベースの拡大」の検討をうたい、将来における大型間接税の導入に道を開くとともに、来年度における物品税、酒税などの大幅増税を認めたものであり、とうてい容認できるものではありません。かかる大増税路線は、政府公約たる増税なき財政再建に全く反するものであり、税負担の軽減を求める多くの国民の要望に逆行するばかりでなく、現在の景気低迷を一層長引かせることは必至であります。
さらに中期答申は、五十八年における大幅な所得減税実施の見送りを追認するのみならず、自動車運転免許税の導入、自動車関係諸税の増税など大衆増税を図ろうとしているのであります。
わが党は、積極経済政策への転換と行財政改革の断行によってあくまでも増税なき財政再建を達成すべきだと考えますが、総理はこの公約を今後も堅持していかれるのでありましょうか。また堅持の際には、増税なきの判断基準たる将来の租税負担率及び国民負担率のめどを早急に明示されるよう強く求めるものであります。
さらに政府は、さきの税調答申を受けて、来年度における物品税、酒税、自動車関係諸税の増税、自動車運転免許税の導入、退職給与引当金の圧縮等による法人課税の強化などを実施されるつもりなのか、また六十年度以降においては大型間接税を導入するつもりなのか、あわせて総理並びに関係大臣の御所見を求めるものであります。
第四に、行政改革の具体的問題点について順次お伺いいたします。
その第一は中央省庁の統廃合についてであります。臨調は、内外情勢の変化に伴い、現在の一府十二省体制の改編につながる抜本的な改革案を今後の中長期的課題として提示しておりますが、政府は中央省庁の統廃合をどのように推進しようとされるのか、その計画を示していただきたいのであります。
第二に地方支分部局の整理縮小についてであります。地方支分部局は今日、国、地方の二重行政のむだを生み出しているだけでなく、地方の自律性を阻害するものとなっており、将来は現業関係を除いて原則廃止の方針を打ち出すべきだと考えますが、政府の方針はいかがでありましょうか。
第三に補助金の整理合理化についてであります。臨調答申は、補助金総額の抑制とあわせて補助金の総合化を提言しております。これは現在の一件査定方式による国の細部にわたる過剰な干渉が地方分権を阻害し、陳情行政をはびこらせ、繁雑な事務手続に伴う行政の非効率を助長しているからであります。民社党は、このような弊害を是正するため、第二交付税制度の創設をかねてから要求してきたところでございますが、補助金の総合化について政府の方針はいかがでありましょうか。
第四は公務員定数の大幅な削減についてであります。公務員定数の大幅な削減は行革の断行によって可能なはずであります。五年間で実質一割の定員削減を実現するため、私は現在の第六次定員削減計画を改定強化すべきだと考えますが、政府の方針はいかがでございましょうか。
最後に、私は、行政改革に名をかりた財政の帳じり合わせに関して政府の方針をお伺いいたしたいのであります。
この問題は、これまでも行革の本旨に反し、安易に国民に負担を転嫁するものとして国民の強い反発を招いてきました。にもかかわらず、政府は、来年度において地方交付税借入金の利子や生活保護費、公共事業費について地方負担を増大させるとか、健康保険の給付率を引き下げる等々の方針を示しております。徹底した行革を行わず、安易に負担を国民に転嫁することは、総理の言われる国民と等しく痛みを分かち合うという基本姿勢とは相入れないものであります。
健康保険給付率の引き下げ、地方への負担増などはこの際撤回するよう強く求め、これに対する政府の方針をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕